【報告者 大和田あきお議員】

大牟田市では、行方不明が発生した際に関係団体へ迅速に情報提供できる仕組みがあります。警察からの情報を愛情ねっと等を使い小学校区のネットワークや近隣市町、市民等へ発信します。広く情報提供することで、行方不明者の早期発見・保護に努めています。
この仕組みを総称して、「ほっとあんしんネットワーク」と呼んでいます。

1.行方不明のおそれのある認知症高齢者等の事前登録制度について
行方不明が発生した際に、「若い頃の写真しかない!」「情報が不十分でやりとりに時間がかかった」ということがあると捜索に重要な初動期に情報伝達で手間取ってしまうこともあるため、大牟田市では、認知症等行方不明のリスクが高い人の情報を整理して事前に登録する制度があります。事前に情報を登録することで、初動の対応がスムーズになり、早期発見につながるよう取り組んでいます。
登録は、大牟田市福祉課地域支援担当または各地区地域包括支援センターとなっています。
2.認知症をまなぶ「認知症サポーター養成講座」について
認知症サポーターは、認知症について正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする人です。
大牟田市では、認知症サポーターになるための講座を開催します。また、受講した方には、認知症サポーターの証である認知症サポーターカードが配布されています。
3.大牟田地区高齢者等SOSネットワーク関係団体について
日常的な業務の中で行方不明捜索やほっとあんしんネットワーク模擬訓練に協力している企業・団体は、下記の20団体で構成されています。※大牟田市福祉課地域支援担当
関 係 団 体 | |
大牟田警察署 | ・生活安全課 |
大牟田市 | ・福祉課 |
消防機関 | ・大牟田市消防本部 |
交通機関 | ・大牟田タクシー協会 ・西鉄バス大牟田 ・JR大牟田駅 ・JR荒尾駅 ・西鉄久留米駅 |
地域代表 | ・はやめ人情ネットワーク |
警備業 | ・にしけい |
生活関係 | ・大牟田ガス ・大牟田薬剤師会 ・JA大牟田支店 ・大牟田郵便局 ・道の駅おおむた花ぷらす館 ・ファノバ(大牟田市企業局お客様センター) ・イオンモール大牟田 |
金融機関 | ・大牟田柳川信用金庫 ・明治安田生命 大牟田銀水営業所 |
教育機関 | ・帝京大学 福岡キャンパス |
4.11月10日の第21回大牟田市ほっとあんしんネットワーク模擬訓練
・認知症の人含め、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるまちを目指し、ほっとあんしんネットワークを活用して、地域の連絡網を見直したり、日頃からの声かけや見守りについて考えたりする機会です。
普段からみんなが声かけ合えるようなまちを目指して、困っていそうな方がいたらやさしく声をかけるとりくみです。
日時 11月10日(日) 8時30分~11時30分
主催 大牟田市・大牟田市介護サービス事業者協議会
場所 大牟田市全域で、市議団は①駛馬校区とし白川校区に分かれ参加しました。

白川校区は、エリアAからエリアFまでの6グループに別れて訓練しました。
内容 今年は、本人が目的地まで外出できるための声かけに重点を置いて実施しました。
当日の8時30分頃、愛情ねっとで外出役の情報(訓練用)を流します。外出役を見かけたら、自力で目的地まで行けるよう声かけを行います。
白川校区のエリアBでは、12人と対話し、通りがかったデイサービスの人とも模擬訓練について説明を行った。エリアB地区以外は、通行人が少なかったが積極的に対話を行うように取り組んでいました。
白川校区では、2007年から毎年実施してきましたが、当初は、認知症の高齢者が行方不明になったことを想定した訓練でした。しかし、近年では子どもの声かけ事例などが増えてきており、「高齢者に限らず、子どもたちも、地域全体で見守っていこう」ということになり、昨年から子どもたちを想定した訓練を実施しています。この訓練には、ライン公式アカウント「白川校区情報ネット」を活用しています。
今回の「2024年度模擬訓練」は、認知症基本法の理念に沿って、「認知症があってもなくても繋がって暮らせる社会をつくる」ことを目標としています。

具体的には、次の5点を重視し取り組まれています。
- 「はいかい」ではなく、「人」に目を向ける。
- 一方的な見守り、声かけ、保護ではなく、本人の思いに共感し、外出の目的(意味)を達成できるための見守りや声かけ
- 認知症のバリアフリー
- 認知症であってもなくても、誰もが生きやすく、暮らしやすくするために、共に何ができるか
- 認知症の本人と出会い、本人に学び、共に考え、一緒に楽しめる機会、共にある「場」をつくる
(具体例)認知症であってもその人はその人です。一人の人間として接してください。 |
・「わからない、できない」と決めつけない。 自分のことを決めつけられると、誰でも自信を失ったり、反発したくなるものです。 その人がしたいこと、できることを奪わないために、まずはその人の話を聞いて、その人の気持ちについて考えてみましょう。 ・どんな行動にも意味や理由があると考える。 その人が今、何のためにどこに行きたいのか、その目的を達成できるよう、必要に応じて手助けしましょう。 (例)本人「スーパーに買い物へ行っているところ」 →もし道がわからないようであればスーパーの場所を教えてみましょう。 |
※当日の訓練では「愛情ねっと」等を通じて外出役の情報を発信。

「愛情ねっと」は、登録利用者に、大牟田・荒尾・南関・長洲地域の「防犯」「防災」などの安心安全情報や、その他の様々な行政情報をスマートフォン(携帯電話)やパソコンのメールアドレスに情報配信を行うサービス。不審者などの防犯情報や、台風や大雨等の防災情報、高齢者等の行方不明情報などを携帯電話やパソコンのメールアドレスにすばやく送信する。

5.本人の声を集約したとりくみ
「日頃の生活の中で道がわからなくなった時、いざという時、あなたならどのような声かけをしてほしいと思いますか?」と問いかけて調査を行っています。

6.11月11日「ほっとあんしんネットワーク」についての説明と質疑の交流会

① 大牟田市及び駛馬校区における認知症のまちづくりの歩み
・2004年(平成16年)~、駛馬校区に「はやめ南人情ネットワーク」を発足し、第1回徘徊模擬訓練を実施。
・2007年(平成19年)~、大牟田市全域で徘徊模擬訓練を実施し、これ以降、年1回全市的に模擬訓練を実施。
・2018年(平成30年)~、校区再編により南北が統合され、「はやめ人情ネットワーク」と改称し、第15回大牟田市ほっとあんしんネットワーク模擬訓練を実施。
・2022年(令和4年)~、認知症当事者に学び、当事者に共感することを重視した模擬訓練とした。
7.大牟田市駛馬校区の活動から始まったSOSネットワーク模擬訓練の目的
・「徘徊がノーではなく、安心して徘徊できるまちづくりをつくろう!」として取り組んでいます。文字通り、徘徊をポジティブにとらえ、道に迷っても、買い物がうまくできなくても、地域のいたるところに「味方」がいて、自由にのびのびと外出できること、それが人として当たり前に暮らすことではないか?
・一人でも多くの住民が認知症を理解し、一人でも多くの見守りの目を増やすために始めたとりくみ。
・「一人の百歩より、百人の一歩」がスローガン!
8.「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」の基本理念を実践する。
・全ての認知症の人が自らの意思によって日常生活や社会生活を営めるようにすること
・国民が、認知症や認知症の人に関する正しい知識や理解を深めることができるようにすること
・認知症の人が意見を表明したり、活動に参画したりする機会を確保すること
・認知症の人だけでなく、その家族らへの支援も適切に行われること
この基本理念は、「はやめ人情ネットワーク」の目的と同じであり、取り組まれてきました。
