横浜市議会で9日、会派代表の一般質問が行われ、古谷やすひこ議員が、深刻化を増す不登校問題、保険料が上がり続ける介護保険制度、横浜国際園芸博覧会開催が抱える4重苦、本市の気候変動対策、補聴器助成、旧統一協会と本市の関わり問題について、山中市長・鯉渕教育長に質問しました。
古谷議員は、2021年の不登校児童・生徒数は全国的に過去最多となり、横浜市でも毎年増え続けている。一人一人不登校の状況は違うと思うが、昨年度6616人の不登校児童生徒を生み出している原因について、どう分析しているのか問いました。その上で、この事態を改善させるには、子どもも教員も余裕をもって過ごせる環境が必要だと述べ、具体的には教員の加配を行い、政令市で一番小さな校庭面積基準や機械的な学校統廃合方針の見直しを求めました。
不登校児童対策として、登校できない生徒を対象に別教室を活用した「ハートフルスペース・ハートフルルーム」は多くの学校から事業参加を希望する手が挙がっていることから、しっかり予算をつけて推進するよう求めました。また、不登校への対応についは学校復帰を前提とせず、学校以外の多様な学びの場もきちんと市として位置付けることが文科省の通知で出されていると述べ、フリースクールへ通う子どもたちへの支援を求め、不登校児童生徒の健康診断についても学校だけではない場も提供することが必要ではないかと提案しました。
鯉渕教育委員長は、不登校の原因分析はなかなか難しく、個別の多くの原因があると思うと述ベた上で、令和3年度は、中学校一年生で新たな不登校の割合が急増しており。これは進学に伴う環境変化の中でコロナ禍による体験活動などの制限で集団関係づくりの機会が減少したことが影響しているのではないかと述べました。
教員の配置など教育環境の改善については、小学校で段階的に35人学級へ引き下げるために毎年100人程度の増員をしているが、教員志望者が全国的に減っている中、率直に苦慮していると述べ、なんとか35人学級を広げて行こうとしていると述べました。
フリースクールについては、不登校児童によっては、適している場合もあると述べましたが、国からの財源確保につながる指針等は示されていないため、費用助成を行うことは困難な状況のため国の動向を注視すると答弁しました。ハートフルスペースについては、個別最適な学びの保障につながる有効な取り組みであるため、まずは中学校を中心に実施校を広げていきたいと述べました。
また、古谷議員は補聴器助成については、認知症は早期発見・早期治療が大切。最近ではリスク要因の解明も進み、医学専門誌ランセットの2020年の論文では“難聴”が認知症につながるリスクは、社会的孤立の2倍、飲酒の8倍ものリスク要因であると発表されたことをあげ、本市の認知症対策を進めるうえでも、難聴対策は不可欠ではないかと指摘。実態調査を進め、また本市でも全国で進められている加齢性難聴者への補聴器助成を検討するべきではないかと、提案しました。
山中市長は、現時点では補聴器の使用と認知症の発症率の低下、この関係についての明確な因果関係は示されていない。難聴と認知症に関する研究が様々行われていることは承知している。そのため今後の研究の結果、また国の動向を注視していくと答えました。
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