議会での質問・討論(詳細)
2021年3月16日

■追加議案関連質問 北谷まり 2021年3月12日

福祉現場の激務を助長させる人員基準の変更は認められない

北谷議員:北谷まりです。日本共産党を代表して質問いたします。

市第161号議案 横浜市指定障害福祉サービス事業等の人員、設備、運営等の基準に関する条例等の一部改正について、および市第162号議案 横浜市指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準等に関する条例等の一部改正についてです。

ふたつとも、関係する法に基づく省令の一部改正に伴う措置であり、おおもとには、国の政策判断があるものです。

北谷議員:まず、両議案に共通してかかわる問題についてうかがいます。最初は、新たに盛り込まれた、感染症対策・非常災害対策の強化、業務継続に向けた取り組みの強化についてです。感染症や災害が発生した場合であっても、利用者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制を構築するとして、指針の整備、研修・訓練の実施などを事業者に義務づけます。しかし、障害者福祉施設、高齢者福祉施設ともに、深刻な人手不足のなか、ギリギリの人員で日々の業務をこなしています。余裕のない体制の上に、新たな責任が課されれば、さらなる負担増となるだけです。求められる感染症対策、災害対策等を強化しようとすれば、十分な人員が必要であり、事業所に対して財政的支援を行うべきと考えますが、市長の見解をうかがいます。

林市長:感染症対策や災害大災害対策等の強化には十分な人員が必要であり、財政的支援をすべきとのことですが感染症や災害への対策に向けて日頃からの備えや業務継続に向けた取組を推進するため、運営基準を見直しました。基準の改正と同時に感染症対策等も含めて全体でプラス0.56%の報酬改定が行われますので、事業者の皆様にはこの改正の趣旨を遵守していただくよう語りかけて行きます。

北谷議員:次に虐待防止対策の強化についてです。従業者への研修の実施や虐待防止委員会の設置などを事業者に義務づけます。これらの対策を機械的に事業所に求めるだけでは不十分で、実効性のある対策にはなりません。虐待がなぜ起きるのか、背景の分析をした上で対策をとるべきと考えますが、市長の見解をうかがいます。

林市長:虐待が起きる背景を分析した上で対策を取るべきとのことですが、横浜市では現在障害福祉施設の管理者等に向けた虐待防止研修を実施しています。これは研修を始める際に行った現状分析から、施設管理者の役割の重要性が明らかとなったためです。研修は毎年受講者アンケートの実施と講師陣による振り返りを行い内容を見直しています。条例改正も踏まえ引き続き必要な研修を行っていきます。

北谷議員:次は、市第161号議案の就労移行支援サービスの就労支援員の常勤要件の廃止についてうかがいます。就労移行支援とは、一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者を対象に、求職活動の支援及び就職後の定着のための支援を行うもので、中心的な役割を担うのが就労支援員です。就労支援事業における就労支援員の人員配置基準は、15対1で、1人以上は常勤配置でしたが、この要件を廃止し常勤換算可能とします。利用者が15人以下であれば、常勤の就労支援員はいなくてもよくなり、例えば、0.5人分の仕事を担う非常勤職員が2人、パートのつなぎでもよいことになり、職務の専門性の高さに相反する条件の切り下げです。常勤要件を廃止することが、利用者にとっての支援の質の向上にはならないと思いますが、市長の見解をうかがいます。

林市長:北谷議員のご質問にお答え申し上げます。市第161号議案についてご質問いただきました。

就労支援員の常勤要件の廃止は〇〇の控除にならないとのことですが就労を目指している障害者にとって訓練から就職その後の定着支援まで一貫した支援が望まれます。

今回の改正で就労支援の中心的な役割を担う○○が就労定着支援事業と兼務することが認められます。これによりまして別々に提供されていたサービスが同一の○○によるきめ細かな支援も可能となり利用者は安心して働き続けられるようになります。

北谷議員:次は市第162号議案についてです。介護事業所は、これまでの度重なる介護報酬の引き下げで体力が弱り切っていたところに、新型コロナ危機が追い打ちをかけ、介護事業所はかつてない危機に立たされています。その上、新たに感染症の流行・災害に備えた計画の策定や研修・訓練、地域住民との連携などの責任を課し、深刻な人手不足のまま、人員配置基準が緩和されれば、事業所と職員の負担が増すことになるのは明らかです。医療や介護・福祉についてコロナ禍で明らかになったことは、非常時に対応できる「ゆとり」が平時から必要だということです。そのためには、配置基準の引き上げ、労働環境の改善と処遇改善で、大幅に専門職を増やすことが必要です。 ところが、今回の条例改正は、いかに少ない人員で現場を回すかを追求する方向に向かうものであると言わざるを得ません。

施設系サービスである特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院における個室ユニット型施設について、現行の「おおむね10人以下」という記載が「原則としておおむね10人以下とし、15人を超えないもの」になるとのことで、これは定員を緩和することになると思いますが、見解をうかがいます。現在はこの条例に沿って、特養、老健では、1ユニット10人程度の利用者の実態だと聞いています。上限を定めるというのであれば、「おおむね」という文言を取ればいいものを、なぜ「15」にしてしまうのか、この部分を緩和と指摘しているのです。上限を「15」にすれば、定員を引き上げるところが出てくるのではないですか。緩和されれば、職員が担当する利用者数と業務量が増えて負担増となることから、ケアの質が上がるとはとうてい思えません。市長の見解をうかがいます。

林市長:市第162に号議案についてご質問いただきました。個室ユニット型施設における入居定員の変更は基準の緩和ではないかとのことですが1ユニットの転移について現行の概ね10人以下から15人を超えないものとして、1ユニットに係る定員の上限を明確化したものです。またユニット一人当たりの面積基準の変更はありません。基準の変更によりケアの質が上がると思えないとのことですが、入居者3人に対して介護職員又は看護職員一人の配置基準に変更はなく、サービスの質は維持されます。

北谷議員:さらに、認知症グループホームの夜勤職員体制は、現行の1ユニットごとに夜勤1人以上の配置から、同じフロアにある3ユニットについては、夜勤2人以上に緩和されます。認知症グループホームのある職員から、「夜勤体制が緩和されれば、利用者の転倒が多発することになると思う。グループホームは要支援2から要介護5の利用者を対象にしているという事実を軽視しているのではないか」と聞いています。

夜勤体制は、現行の基準でも人が足りていません。ついの住処になっている介護施設では、みとり期の利用者もそこで生活しています。その中で転倒などの理由で急きょ、病院に搬送されることになれば、職員はその対応に追われることになります。夜勤体制の緩和は、介護の質を引き下げ、災害時、救急時の対応水準の悪化を招くことになると思いますが、市長の見解をうかがいます。

林市長:認知症グループホームの夜勤体制の緩和は災害時の対応水準の悪化を招くとのことですが、原則は1ユニットごとに夜勤1名以上の配置とされています。

例外として3ユニット全てが同一フロアに隣接しておりまして、十分な安全対策が確保されている場合に3ユニット合わせて2名の配置が可能となります。なお現在本市においては、夜勤体制の緩和の条件に当てはまるグループホームはありません。

北谷議員:今回の条例改正は、国が主導して、様々な新たな対策を事業者に求める一方、慢性的な人手不足に対する手立ては何もなく、厳しいままの現状に合わせるような、基準の切り下げを強行しようとしています。まったく矛盾していると言わざるを得ません。

高齢者・障害者の尊厳を守るためにも、今、行わなければならないのは、福祉・介護サービスに手厚い職員配置をおこない、待遇改善と地位向上に力を入れることです。国の改正に唯々諾々と従うのではなく、市独自に上乗せして職員の待遇改善につながる施策を打つべきですが、その考えはないのか市長にうかがいます。

林市長市独自に待遇改善につながる施策をうつべきとのことですが、介護職員について令和元年10月に創設の、「介護職員等特定処遇改善加算」や、本改正と一体的に行われる報酬改定などにより一定の処遇改善が図られています。

また本市においても介護人材の確保や、定着支援、専門性の向上などに取り組んでいます。

北谷議員:コロナ禍で、人は誰しも、他者によるケアなしに尊厳ある生活をおくれないことが明らかになり、ケア労働の価値が改めて見直されたこのタイミングに、人員配置などの緩和をすることは考えられません。医療・介護・障害福祉・保育などは、命を守る尊い仕事であるにもかかわらず、それに全く見合わない、劣悪な処遇が現場に押し付けられていることから、慢性的な人手不足を招いているのです。事業者に自助努力を求めるだけでは、事態は改善できません。今こそ、必要なケアを安心して受けられるよう、抜本的な体制強化を国に求めるべきであり、同時に本市でも独自に進めるべきだと考えますが、市長の見解をうかがいます。以上で一旦、質問を終わります。

林市長:抜本的な体制強化の国への要望と、市独自の取り組みについてですが、これまで本市としても要望を行い内処遇改が実現したところです。先生のお話にございましたが、しっかりとですね今後も必要性や国の動向を見極めながら対応を行ってまいります。

以上北谷議員の御質問に御答弁申し上げました。 

第二質問

北谷議員:市第161号議案の常勤要件の廃止についてなんですけれども、兼務が可能とするためになぜわざわざ常勤要件を廃止しないといけないのでしょうか。常勤を要件としたまま、兼務するということだって可能ではないのでしょうか。何故わざわざ廃止するのか。しなくてもいいと思いますが見解を伺います。

林市長:北谷議員のご質問にご答弁申し上げます。常勤要件をなぜ廃止したのかということでございますけれども、常勤職員の勤務時間を考慮しますとこの要件を外すことでより運用に柔軟に対応できるようになり、これに取り組む事業者さんが非常に増えることを期待しております。

北谷議員:それからですね、様々なですね処遇改善を行ってきたということですけれども、しかしそれでは不十分だということで申し上げているわけで、その認識はないのか伺います。

またですね、新たにこういった今回条例の中で基準の緩和、あるいは切り下げというものが盛り込まれているわけですけれども、それに対しての懸念は市長にはないのかを伺って終わります。      

林市長:次に、処遇改善は中部不十分だと思うけれども認識があるか。ということでございますけど先ほどご答弁申し上げましたが介護職員については令和元年10月に創設の介護職員等特定処遇改善加算や、本改正と一体的に行われる報酬改定などによりまして、一定の処遇改善が図られている。また本市においても介護人材の確保や、○○支援専門性の向上などに取り組んでいることでございまして、引き続きこれに取り組み不都合があればですね、また改善していくという考えでございます。それから基準等の切り下げに対する市長の懸念はないのかということでございますけれども、これについてはしっかりと私共も体制を作っておりますので、その点は実際にしっかりやっていき利用者目線であくまでもやっていく姿勢でございますので、その辺はご覧いただきたいと思います。以上、ご答弁申し上げました。                                  


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