大貫委員:共産党の大貫です。スライドを使わせていただきます。
花上委員長:どうぞ。
大貫委員:人口減少社会を見据えた財政確保の在り方について質問したいと思うのです。
スライドを出します。(資料を表示)このスライドですけれども、今後の財政推計のグラフなのですけれども、中身をちょっと説明していただきたいんですけれども、右肩下がりになっていますね。改めてその理由と、そしてその傾向を穏やかにするためにどういう施策を考えているのか、お聞きします。
横山財政局長:この推計が右肩下がりになっておりますのは、生産年齢人口の減少が影響しておりまして、税収に占める個人市民税の割合が高いものですから、そこが影響を受けて、主に個人市民税の減少ということでこのような右肩下がりとなっております。これからの対策ということでございますけれども、横浜市に住み続けてもらうためには、やはり総合的な施策の推進が必要と考えておりまして、子育て、教育といったような、世帯形成するに当たっては横浜がいいなと感じていただける施策も当然必要ですし、また、経済を振興しまして財政基盤を強化いたしまして、そこから得た税収を様々な施策にも振り向けていけるような経済施策もしっかりやって推進していく。これは横浜市中期4か年計画でもそうした考え方は述べておりますけれども、今後もそれをしっかりやっていく必要があると考えております。
大貫委員:私もそのとおりだと思っています。それが具体的に確実に実現していけば、横浜というのは本当に住みやすくて、財政も長期も安泰だと思うのですけれども、現実に私はそうなってないと思うのです。そういうことが、やはり今コロナ禍の下で、具体的にはいろいろ明らかになっている点でこの財政問題というのは出てきていると思うのです。
それで、先日も私、政策局で質問したんですけれども、市長が国の政策を具体的に実現するためだ、これが横浜市のやることだと言っているわけですから、そうすると本市の考え方というのは、国の成長戦略に沿って横浜市の経済施策を図ると、こういったまちづくりで進められていると思うのです。その後、それに基づいたまちづくり、経済成長というのは直接的に横浜の成長ということが目的になってしまっていて、経済、また財政の健全化のためにはあまり役に立たないのではないかと思うのですが、いかがですか。
横山財政局長:財政基盤を強化していくためには、市内経済の発展が不可欠でございます。したがいまして、横浜は中小企業の皆様で成り立っておりますので、まずはそこをしっかりお支えするということが大変重要でございまして、新年度予算案でも様々な支援策を盛り込んでいるところでございます。その上で、さらなる需要を喚起して、人や企業を呼び込んでいくのだという政策を戦略的に取り組んでいく必要がございます。経済政策は本市だけでやはり限界がございますので、マクロの国の政策とも連動、連携しまして効果的に取り組んでいくことが重要でございます。チャンスを逃がさず本市にとって重要な事業に積極的に取り組んでいると、現在そういう状況だと理解をしております。
大貫委員:私が質問したかったのが、まさにそういう状況の中で、やはり横浜の生産年齢人口をどうやって増やしていくか、これは意見が一致していますから、具体的にそれをどうするかということが一番問題だと思うのです。その点で、2019年度の横浜の人口動態を見てみると、県の県央だとか埼玉だとか、そういうところに入ってくるよりも出て行く人が多いわけですね。具体的にそういうことを考えると、横浜の生産年齢人口が現実にこれまで減ってきているということは、今局長が言っていたことは、その言っていることは分かるけれども現実にはそうではないのだと。しかも、これからのコロナ禍の下で、少子化が進むような状況の中で、なおその状況が進んでいくということなると、横浜の長期財政計画というのは非常に問題が起きてくるのだと思うのです。私は、今までの横浜市から県央だとか埼玉とか千葉だとか、そういうところに人口が出ていってしまうことについてどういうふうに考えているのか、お聞きします。
横山財政局長:大都市共通の1つの人口の動きとして、18歳から20代前半については転入超過ということで大きな山がある。これは恐らく共通だと思います。一方で、20代後半から30代の世帯形成の段階になりますと、そこで今度は、場合によっては転出超過みたいなことが起きてくるというのが恐らく共通した傾向かと思います。世帯形成をするときに、必ずしも横浜が住みにくいとかということではなくて、御夫婦でどうするのかといった場合に、配偶者の実家に近いところに居住するとか、あるいは配偶者相互の中間地点なところ、通勤の便を考えて選択するとか、あるいは住宅を購入するという大きな人生のイベントがあるわけですけれども、その際により地価の安いところに、より大きな家を求めてという選択もあろうかと思います。いろいろな要因があって恐らく選択をされると思います。大都市においては、一般的にはそういったこともあろうかと思います。
直近の数字ですと、東京から横浜に転入されている方が多いというようなデータも出ております。これはコロナの影響で、テレワークみたいなことで、必ずしも都心に住まなくても横浜に住めばいいという人が増えているかなとも思います。様々な要因がありますので、そういった数字にあまり必要以上にとらわれずに、しっかり腰を据えて、先ほど申し上げましたような施策をしっかりと推進していくことが必要かと思います。財政局としては、財政基盤の強化という立場でございますので、関係局としっかり議論をしながら、そうした施策の推進にもしっかり連携して取り組んでいきたいと思っております。
大貫委員:とにかくおっしゃっているように、どうやって人口が減っていくのを、少子化を抑えていくかということが大事だと思うのですね。
この次を見ていただきたいのですけれども、先ほどの財政の長期の推計と人口の推計というのはほとんど同じなのです。だから、先ほど局長が言ったことも全く同じだと思うのです。そういう中で、今一番大事なのは、そういう中で財政を確保していくという意味でいうと、これまではやはりどうしても経済政策が中心になってしまっていて、経済を大きくする、成長させるということが自己目的になっていると先ほど言ったのですけれども、次を見てもらえると分かるのですけれども、結局は分かるように、おっしゃっているように個人市民税が市税のほとんどというのですか、法人市民税と比べると10倍以上個人市民税があるわけです。
だから、そういう意味では、個人市民税をどうやって増やしていくかということは非常に重要だと思うのです。そういった点で、個人市民税、要するにまちの経済を発展させるのは非常に重要だと思うのですけれども、具体的に言いますと、私は横浜の経済というのは、外からの外的な要因で経済を大きくしていくということももちろん大事だけれども、大本は375万市民の力をきちんと財源、資源にして横浜の内的発展を図っていくべきだと思うのですけれども、そのことが長期財政を改善していく大きな力となると思うのですがいかがでしょうか。
横山財政局長:おっしゃるように横浜に住んでいらっしゃる方、あるいはいろいろな資源をより有効に持てる力を発揮していただいて、それが横浜の発展につながるような施策も非常に重要だと思います。それは私も同感でございます。一方で、やはり様々な企業誘致でありますとか、あるいは観光MICE、そうしたことで人や企業を呼び込む、そういったことで雇用を確保していく、あるいは経済波及効果を狙っていくということも重要でございます。雇用が安定的に確保されれば消費も活発になりまして、また経済も循環してさらなる成長につながっていくと。そうした安心感が結婚でありますとか、世帯形成でありますとか、ひいては人口の増加あるいは税収の増にもつながっていくと考えております。
委員のおっしゃることも全く同感ですが、経済政策も重要であると、両方やっていく必要があると考えております。
大貫委員:そういうことであれば、今の横浜の成長経済を中心とした財政に対する支出の問題、これを私は375万の市民の皆さんの生活と安心して豊かなまちづくりのための財政に大きく転換していく必要があると思うのです。今いろいろ見てみるとやはり足らないものがいっぱいありますよね。子供の問題、教育の問題もそうです。そういう中で、今の財政の支出を変えていくためには、今、横浜市がやっている中身をやはり変えていくということで、私の中ではっきりしてきたことはコロナによってまちのつくり方が変わってきたのではないかと思うのです。
茅ケ崎ではどんどん人口が増えているというんです。横浜とそういう意味では違ってくると思っているのですけれども、茅ケ崎ではどうして人口が増えているのか、もし資料があったら教えてください。
横山財政局長:これは神奈川新聞に出た社説の記事でございまして、茅ケ崎は、2021年度市内に本社を移転したり、サテライトオフィスを設置する企業を対象にした補助制度を創設したといったことが一つの起爆剤になって人口が増えているというようなことが、この社説には書かれているところでございます。
大貫委員:テレワークだとかそういった就業の形が変わってきて、脱都心になっていって、その人たちが県央に行ってしまっているという状況なんですね。横浜を飛び越えてしまっているという事態が起こっていると思うのです。そういうことを考えると、横浜にそういう人たちに来ていただいて、そして、生産年齢人口を増やしていくために、やはりまちづくりも今までの都心中心のまちづくりから地域のまちづくりに変えていくことが必要だと思うのですけれども、いかがでしょう。
横山財政局長:人口の動きについては様々な分析が必要だと思います。直近の令和2年度のデータですと、あるいは銀行からの調査によりますと、横浜市内のマンションの引き合いが多くて活性化していると。それは東京から転入されている方が増えているということで、直近ではそういう動きもございますので、県央に移っていく動きもあれば、東京から横浜に移っている動きもあります。そのことにあまり左右されずに、委員おっしゃっているように、住み続けたいと思っていただける方が横浜市でも増えるように我々もしっかり取り組んでいく必要があると思っております。
大貫委員:横浜市の人口を増やすということは非常に大事だということは分かりました。私も同感です。その点で質問なのだけれども、あえて聞きたいのだけれども、IRカジノというのは横浜の人口を増やすために役に立ちますか。
横山財政局長:直接の所管でございませんのでなかなか答弁が難しいところですが、財政局としましては、先ほども申し上げましたけれども、一人一人に寄り添った教育とか福祉とかということもしっかりやっていく必要ありますし、超高齢社会の中で持続可能な横浜市であるためには財政基盤の強化もしていかなければいけない。そうした意味合いにおいて、IRをはじめ様々な取組があるのだろうと思います。そうすることによって、人口が直接増えるかどうかの相関関係があるかはなかなか難しいところではございますけれども、財政基盤が強化されれば、住み続けられるという横浜市、持続可能な横浜市により近づいていくということではないかと思います。
大貫委員:やはり今まで言っていたのは、人口が増えること、生産年齢人口が増えること、これが一番の基本だといったときに、IRカジノそのものは直接的には人口増にプラスしていかないと思うのです。要するに、今局長が言っているのは、風が吹いたら桶屋がもうかるという論理だと思うのです。ですから、この考え方が、財政局としても、例えばIRで人口が定着する、人口を増やしていくという意味では政策的に財源をそこに投入するの間違いではないですか。
林副市長:生産年齢人口を増やしたりそういう政策が重要であるというのは全く同意見でございますが、IRに関して申し上げれば、いろいろな成長戦略の中の特に観光MICEの分類に入ると思いますけれども、生産年齢人口を増やして、将来のある意味では財政的に言えば財源確保ということもありますけれども、観光MICE施策は、基本的には交流人口を大きく伸ばして経済を活性化させて、そういったものが経済波及効果も含めて財源確保につながっていくというところが主な内容でございますので、全てイコール、生産年齢人口の増加策であるというところはちょっと違うのではないかと考えています。
大貫委員:ですから、交流人口を増やすことは可能だと思います。だけれども、今のテーマになっている点で言えば、いわゆる生産年齢人口を横浜に増やしていくというところへは直接結びつかないと思うのです。今おっしゃっていたからね。そうすると局長が言っていたように、今まで横浜の長期財政を考えたときには生産年齢人口を増やすことがやはり大事だとなっているときに、今言ったIRというのは、交流人口は増やすけれども生産年齢人口を増やすことには直接結びつかないということを副市長は言っているのですか。
林副市長:私が申し上げているのは、生産年齢人口を増やす政策も重要でありますし、交流人口を増やす政策も重要であります。また、さらに言えば、その両者をバランスよく進めていくことで将来の横浜の財政基盤をつくり上げる大きな要素になると考えているということでございます。
大貫委員:私が言いたいのは、やはりそのバランスが狂っているということなのです。花博もそうですけれども、それから新しい劇場もそうです。同じ交流人口を増やすということだけれども、結局は今私が主張しているように、生産年齢人口の定着度が増えていくということには直接結びつかないということです。
ところが、横浜の市政というのは今までやってきたことは、特に林市長がこの間も言っていたけれども、まさに国の政策を実行するのが横浜だと言っていて、今おっしゃっている交流人口を増やすということはやはり国の成長経済の路線そのものを横浜がやっていると言わざるを得ないと思うのですけれども、いかがですか。
林副市長:IRにつきましては国家プロジェクトの一環として、今、横浜市が事業者の皆様の提案を受け付けているという状況にあるという御説明であると私は思いますけれども、いずれにしても交流人口を増やしていくことと生産年齢人口を増やすことを私は分けて申し上げましたけれども、双方が全く関係ないということではなくて、例えば観光地としてのブランドが上がってくると横浜に住みたいという人も出てきますし、実際最近、民間の調査でも住みたい街ナンバーワンに横浜市が選ばれておりますし、そういったことを、交流人口を増やしてブランド力を高めるという試みも直接的ではなくても間接的に生産年齢人口が減らない、また増えていくきっかけづくりになると我々は考えています。
大貫委員:そこは考え方が違うんですが、横浜は選ばれていると言っていましたね。だけれども、あれはポイントで横浜駅の調査で、横浜駅はそういう意味では全国的に住みやすいまちだと言われているので、ちょっとデータが違うと思うのです。
私ね、やはり今大事なのは、横浜の財政の使い方をコロナを契機に変えていくことが非常に大事だと。375万市民のための経済を大事にしていくことが大事だと思うのです。そういった意味では、これからの経済は、特に暮らしの意味で言えば、また安全の立場で言えば、やはり命を守る暮らし、施策、福祉だとか教育だとか、さらには介護だとか、本当にそういったところにフォーカスして、そこの市内雇用も増えるというやり方に横浜市の経済を集中することが非常に重要だと思うのですけれども、いかがですか。これは林副市長のほうがいいかな。
林副市長:今日はエビちゃんも含めてエビデンスの話がありましたので財政局の資料をちょっと紹介しますと、令和3年度の予算の説明で、市民1人当たりの予算の使い道という資料がございまして、子育て、教育、福祉、保健、医療は一般会計予算の総額の55.3%を占めておりまして、委員がおっしゃっているそういった分野に最も力を入れて予算措置をしている。一方、経済につきましては1人当たり、先ほどの子育て、教育、福祉、保健、医療で言いますと、市民1人当たりの額が29万5314円となっているのですけれども、横浜の魅力づくりや経済の発展については6万8936円ということで、これももちろん力は入れてはいるのですけれども、先ほどの分野に比べれば4分の1以下ということで、横浜市は実は客観的に見ると、委員のおっしゃっているような子育て、教育、福祉、保健、医療に最も重点的に予算配分している都市であるということをまず申し上げたいと思います。
そういった中で、先ほどから議論があるように、市内産業の育成とか雇用の創出というのも、もちろん雇用を増やせば、働ける職住近接の場所として横浜に住みたいという方も増えていくと思いますし、これまでの議論の中でも、郊外部にいろいろチャンスがあるのではないか、コロナ禍において働き方も変わってきている、生活様式も変わっていっている。そういったチャンスも生かしながら、企業誘致も郊外部も含めてやっていくということを連動させながら成長戦略を描くことが重要ではないないかと考えております。
大貫委員:今おっしゃっていたように、経済の点で、中小企業とか横浜市内、横浜の経済のために使っているとおっしゃっていたけれども、今度の予算見てみるとやはり確かに増えているけれども、その大部分は融資のための預託金で、具体的には本当に少ない金額なのですよ。さらには今、子供や教育へ使っていると言うけれども、それを分析してみると、例えばお聞きしたいのですけれども、なぜ横浜は、出てこない、ごめんなさい。小規模クラスね。これは国からお金が来ているのに、今、二年生までだけれども三年生までに広げていませんよね。そういった意味では、一つ一つを見てみると、本当に横浜の子育て、こういったところの分野では、他都市と比べても、また現実に数字を見ていくと低いのですね。そういうふうに考えますと、やはり今、横浜の経済を含めて見直しをすることが非常に重要だと思っています。
私は、今度の予算で一番大事なのは何と言っても市民の暮らし、福祉を充実するまちづくりが一番大事だという点でいうと、これを契機に横浜の財政の在り方を変えていく、375万の市民の生活と暮らしを守るために財政を使っていくということが一番大事で、現実に横浜の予算は国の経済政策の下でやられているところに多額に使われていると指摘しておきます。
以上です。