市立中学生の柔軟体操事故の対応に市教委は真摯に向き合え
第二回横浜市会定例会の最終日に、異例の議案撤回の提案がありました。急遽、古谷やすひこ議員(鶴見区選出)が質問に立ちました。撤回された議案は「市第16号議案 治療費保障に係る書類作成請求調停事件についての調停」です。
2015年10月に市立中学校で、野球部顧問の男性教諭が部活で柔軟体操をしていた中学校1年生の男子生徒の背中を強く押し、坐骨を損傷させた事故がおきました。この事故をめぐって、横浜簡易裁判所で調停が行われ、横浜市教育委員会は、提示した調停案が被害者も同意するとの認識のもとで地方自治法96条の議決案件として本定例会に提出されました。しかし、調停申し立て人である被害生徒の保護者から「現在の調停条項案では合意ができない」との申し出があって、議案が撤回されることになりました。
保護者側が調停案に合意できなかったことの1つは、調停条項の1で「申立人が受傷した障害が原因で、今後、手術などの治療が必要になった場合には、その補償について相手側は申立人と協議を行う」とされていて、協議を行わなければ、本件の障害が原因で治療が必要になったとしても補償を受けることができないものだったからです。対象も手術などの治療と限定されていました。また、事故をおこした当該教諭は部活顧問や担任のままとされ、なんら処分もされていませんでした。
古谷議員は、今回議案が撤回されるに至った背景には、事故発生後に被害者や被害者家族の願いに学校や教育委員会が真摯に寄り添ってこなかったことが一番の問題だと指摘。加害者である横浜市側が、その保護者の思いに真摯に寄り添った調停が行われていれば、議案の撤回に至ることはなかったと述べ、事故後の学校と教育委員会の対応を質しました。今後は、保護者の願い・思いに寄り添って、真に納得できるような提案を市が率先して出していくべきだと主張。その上で、原発避難児童へのいじめの事案であれだけ議論したにもかかわらず、また同じような無責任な対応を繰り返した教育委員会に対して、教育長の任命者である市長の責任への見解を求めました
林文子市長は、「保護者の方の調停案への不安を汲み取れず、結果的に議案を撤回することになり、大変申し訳なく思っています」と述べ、「教育長には学校教育行政全体の管理監督者として責任を果たしてもらおうと思います」と答弁しました。
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