福祉パス年額1,800円に有料化
当初案3,200円から引き下げ、条例案を12月議会に提出予定
福祉パス(福祉特別乗車券)は、横浜市内のバスや地下鉄などに無料で乗れる乗車券で、障害者に無料交付される横浜市独自のものです。1966年のスタート以来、利用者や福祉関係者からも高く評価されています。
横浜市は、福祉パスの交付対象に愛の手帳B2所持者(比較的経度の知的障害者)を新たに加える一方、一律年間1,800円の利用者負担を導入する条例案を、第4回市議会(11月29日~12月25日)に提出予定です。
負担金導入が真に必要な方への交付方法?
横浜市は今年4月、「適正な交付の観点から利用者負担金を導入(一律年間3,200円)」する見直し案を発表しました。理由は、福祉パスの事業費が毎年1億円ずつ増大し、対象者が増加傾向で今後も事業費の増加が見込まれており、実際に福祉パスを利用しない場合でも交付枚数としてバス会社などに負担金を支払っているため、「真に必要とする方に交付する方法が必要」だとしています。3,200円は、高齢者に交付されている敬老パスの最低負担額と同額です。
有料化やめて!の声が続出
この見直し案に対して、障害者や障害者団体などから反対の声があがりました。
障害者団体31を含む51団体らは11月6日、市会議長と担当常任委員長あてに「福祉パスに利用者負担を導入することはやめてください」という要望書を提出。働きたくても働けない障害者にとって3,200円は大きな負担と訴えています。
横浜市が今年6~8月に行った市民意見募集では、福祉パス等の見直しの考え方に「理解できる」と回答した人は「よく」「おおむね」合わせて62.3%でしたが、自由回答を記入した41%が反対の意見を記入し、肉筆で有料化はやめてほしいと切々と訴えました。
負担金導入でも事業費の削減はわずか4%
11月22日開かれた健康福祉・病院経営常任委員会では、福祉パスの事業費(2012年度予算額で26.8億円)は3,200円の利用者負担金で1.6億円の収入が見込まれるが、システム改修費や制度周知にかかる費用に0.5億円見込まれることが当局の説明によって明らかになりました。
これに対して議員から「数字ありきで、障害者のことが考えられていない」「この程度の金額で本当にやらないといけないのか疑問を感じる。少なくとも今の時点では市民理解も得られていない」等の厳しい意見が出されました。
障害者の反対の声が負担額を引き下げ
11月26日に行われた議員への議案説明では、利用者負担を1,800円とした理由を、「障害者の移動支援施策の見直し全体で収支バランスをとった」と説明。実際は、予想以上に障害者からの反対が多く、自民・民主などの大会派の合意を得るために引き下げたのが本当のところではないでしょうか。
日本共産党は、福祉パス有料化案に一貫して反対し、議会や委員会で取り上げ、市長に申し入れるとともに、障害者や各種市民団体の方々に呼びかけてきました。有料化しないでという障害者の声を無視した条例案に断固として反対し、有料化が撤回されるよう全力をつくします。
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