2012年4月11日
横浜市長 林 文子 様
日本共産党横浜市会議員団
団 長 大 貫 憲 夫
東急建設は1月5日、3度目となる「栄区上郷瀬上沢地域」の開発計画を発表しました。この開発計画は、対象区域約33haのうち約13 haに戸建住宅や6階建て程度のマンション、診療所、商業施設などを建設し、約千人の人口増を見込むものです。その後、東急建設は1月13日、都市計画提案事前相談書を本市都市整備局に提出し、都市整備局は、3月9日付で事前相談に関する「助言書」を東急建設に交付しました。
林市長は1月6日の年頭記者会見において、上郷開発に対するスタンスについての記者の質問に対して、「前回提案に比べて緑地保全の範囲や割合が増えている」、「(市は、)計画的な街づくりをしていただきたいとお願いをしていますので、東急建設様には、地元の方々のご要望や市としてのスタンスを受け止めていただいているのではないか」、「開発とみどりの保全の関係は非常に難しい問題です。市としては、土地の所有者の方々の御協力や市民の皆様の御理解を得る必要がありますので、そういったバランスを考えた対応にしっかり取り組んでいきたい」、「(開発されない部分について、規模は不明であるが)買わせていただきます」と答えています。
この開発容認と受けとれる市長の発言には、看過できない重大な問題が含まれています。
第一に、市街化調整区域での住宅建設のための「開発計画」自体が、「拡大成長を前提とするまちづくりのあり方を転換し、」「開発許可制度における大規模開発にかかわる取り扱いの見直しを行う」という2006年の「都市計画法改定の目的」、および「(市街化調整区域は、)開発を基本的に抑制し、市街化調整区域の地域特性に応じた土地利用を実現する。」とした2010年決定の「神奈川県整備・開発・保全の方針」に即していないことです。
第二に、横浜市みどり条例およびみどりアップ計画、ヨコハマbプラン(生物多様性横浜行動計画)・「つながりの森」構想策定方針、さらに、2012年度予算議会における市長所信表明での「樹林地の保全や市街地におけるみどりの創造をすすめていきます」など、市長の基本的姿勢に反することです。
第三に、前回提案は、環境・みどりの保全を求める9万余の市民要望を受けて「横浜市都市計画提案評価委員会」(2008年7月29日)で否決されています。上郷瀬上沢地域における開発にかかわる条件は、その時と何も変わっていません。今回の3度目の開発計画を容認するならば、市民の意思・期待に真っ向から反します。
そもそも、上郷の「開発計画」については、本市のかかわり方に根本的な間違いがあります。本市担当課と神奈川県担当課による2005年3月2日付「上郷猿田地区についての打ち合わせメモ」によれば、本市側の説明として「舞岡上郷線の4車線化と緑地保全などをふまえた開発計画について、市の内部で固まってきた。提案の話は後から出てきた話であり、東急も最初は否定的であったが、・・・市から説明を行った。東急は提案制度の活用には否定的であったものの、地元地権者の強い意向もあり、最終判断ということで提案制度をつかうとの結論に至った」と記録されています。
このメモから、市街化調整区域内での開発は「不可」と判断していた東急建設に対して、横浜市は、都市計画道路・舞岡上郷線の4車線化を図るために、東急建設側に開発を説得するという構図が見えてきます。
上郷瀬上沢開発計画については、本市のこれまでの間違った対応を反省することなしに、法、本市の緑地保全等の基本方針、市民の期待に即した適正な解決策は生まれません。日本共産党市会議員団は、このことを強く指摘するものであります。
以上のことから、日本共産党横浜市会議員団は、次のことを強く要求するものです。
記
1.市長が、緑地保全等の本市の基本方針の立場に立つとともに、みどりと環境の保全を願う広範な市民の期待に応えて、「上郷瀬上沢開発計画は認められない」という明確な態度表明を行うこと。
以上