議会での質問・討論(詳細)
2025年12月18日

NEW!2025.12.18 討論 白井まさ子議員

日本共産党を代表して、討論します。

市第44号議案横浜市スポーツ・レクリエーション振興基金条例の制定は、企業版ふるさと納税による寄付金等を基金へ積み立てて、スポーツを通じた地域課題解決、スポーツ施設の環境整備等に資する事業に活用するとするものです。

現行の企業版ふるさと納税は、地方公共団体が、地方版総合戦略を基に地域再生計画を作成し、内閣府が「計画の認定」をして、企業が「寄附」する流れです。企業にとって企業版ふるさと納税を使った寄付であれば、寄付額の9割の軽減を受けることができます。形式的には地方公共団体の計画を応援するものとなっていますが、実質的には法人税の節税です。地方公共団体の収入が増える分、国税が減ることになります。この仕組みは、企業と自治体の関係を変質させ、癒着を一層広げる危険性が指摘されています。

本市では、バスケットやサッカーのプロチームのホームスタジアムやホームアリーナとして、本市施設の改修の計画が進んでいます。こういう事案において、指摘されているような問題が起きないのでしょうか。議案関連で党市議団が指摘した質問に対し、市長からは、改善が講じられていると、国の対策を繰り返されましたが、企業版ふるさと納税のもともと持っている問題は改善されていません。

例えば、公的なスポーツ施設の利用についてですが、プロスポーツチームの本拠地としての使用が予め計画されていたとしても、地域住民や団体による利用が可能となっていれば、プロチームの専属的な利用に当たらず、禁止されません。全国では、スポンサーとしてバスケットボールやサッカーのプロチームを持つ企業が、そのチームがホームとするスタジアムやアリーナ改修のために、企業版ふるさと納税で寄付を行ったケースもあり、寄付した企業に「間接的な利益」を与えることは禁止されていません。

そもそも、市民共有の財産である施設を一部企業の利益優先の事業に充てるべきではないことから、議案には反対です。さらに言えば、これから一気に事業化されるGREEN×EXPO2027推進に活用される企業版ふるさと納税についても、厳しく見ていきます。

次は、市第47号の横浜市個人情報の保護に関する条例の一部改正です。これは、個人情報を取り扱う事務の委託について、横浜市個人情報保護審議会に報告する範囲を変更するものです。これまで、個人情報を取り扱う事務の委託にあたっては、全ての案件を審議会に報告してきましたが、今回、新規の委託業務に限ること、しかも、取り扱う個人情報の数が10万人を超えるものなどに絞る、というものです。これは、個人情報の取り扱いの後退になると考えます。議案には賛同できません。

市第66号議案は、動物園及び公園の指定管理者の指定です。

野毛山動物園・金沢動物園・よこはま動物園ズーラシアの3園を、引き続き、非公募で10年間、横浜市緑の協会に指定するものです。

問題は、よこはま動物園ズーラシアの敷地内に設置されている繁殖センターの直営をやめ、指定管理とされることです。

繁殖センターのHPには、「100年後、200年後を見据えて、絶滅が危ぶまれる動物の配偶子や遺伝子、体細胞などの凍結保存も始めています」とあり、まさに種の保存の最前線に立つ施設として継続性が求められています。2007年の議会答弁でも、当時の局長から、「動物の種の保存・調査研究といった部分については、引き続き行政の責任の中で実施していく」と明確に述べておられました。この間、動物園の指定管理者選定が繰り返されても、繁殖センターだけは直営とされてきたのは、本市に行政が責任を果たすという矜持があったからではありませんか。

繁殖センターは、希少野生動物の飼育・繁殖と種の保存にかかわる調査研究を目的に、1999年に設置され、このような施設が動物園内につくられたのは国内初とされました。以来、絶滅危惧種の飼育・繁殖や生息地外保全、野生復帰を通じて、グローバルな生物多様性保全ネットワークの一翼を担っています。絶滅の危機に瀕しているマレーバクの人口繁殖、インドネシアと協力したバリ島のカンムリシロムクの繁殖と野生復帰、ニューカレドニアのカグーと学術交流・動物交換、ミゾゴイの繁殖、ムカシツチガエルの飼育繁殖など高い評価と信頼を受けています。これほど、公共性、公益性の高い繁殖センターを民間任せとすることは承知できません。なお、常任委員会での説明資料に繁殖センターの明記がなかったことは、不誠実であったと言わざるを得ません。

市第72号議案 令和7年度横浜市一般会計補正予算(第3号)は賛成です。

その理由は、現在、中学3年生まででとどまっている小児医療助成制度の対象を18歳まで拡大する準備の事業費がつき、来年6月から18歳までの無料化がスタートするからです。市民からは来年4月からの無料化が望まれています。なぜ子どもの医療費を無償化にしていく必要があるのでしょうか。

それは、子どもの病気やけがは重症化リスクも高いため、早期の診断と治療が大切です。お金の心配をせずに受診できる仕組みが欠かせません。高校生になると、医療費は自己負担となるため、経済的に厳しい家庭の子どもの受診は後回しになりがちです。例えば、「歯医者に行きたいけれど親に経済的な負担をかけたくない」という思いから、学校から受診勧告の用紙をもらっても、親に言えないという声も聞かれます。このように、子どもたちが必要な医療にかかれない状況は、一刻も早くなくすべきだからです。

党市議団が、小児医療費の当面3歳までの無料化を予算要望したのは、今から半世紀以上前の1973年のことでした。それ以来、一貫して対象年齢の引き上げと、所得制限や一部負担金の撤廃など、子どもたち誰もが安心して医療にかかれること、「お金の心配なく子育てができる環境」の実現を求め続けてきました。市民の皆さんから出された医療費助成に関する請願に対しても、党市議団しか賛同しない時期が長く続きました。そのような歴史を振り返ると、医療費助成がついに18歳まで無償化を迎えようとしている現状は、本当に感慨深いものがあります。

しかし、補正予算は手放しで賛同できるものばかりではありません。海辺と街なかの回遊性を高めることを目的に、シンボルとなる案内サインを設置するとしていますが、象の鼻エリアの1基4,000万円はあまりにも高すぎて、理解に苦しみます。常任委員会では、複数の会派からも高すぎるとの指摘がありました。コストの縮減を求めておきます。

次は、不採択となった5件の請願についてです。

請願第38号 学校給食費の無償化については、子どもたちの健全な発達を助け保護者負担を解消するために学校給食の無償化を求めるものです。国の制度がない中で全国の3割の自治体が独自に学校給食無償化を実施しています。国が無償化に向け地方自治体に半分負担を求める方向を示したことについて、本市は、本来の無償化の議論から離れているとして、直接財政措置による全額国費負担を求めていいます。無償化が実現すれば、本市で小学生と中学生の子どもがいる世帯では、年10万円以上となる子育て世代の負担軽減に、また、本市の学校給食の内容や質を向上させるチャンスとなります。本請願の採択を求めます。

請願第39号 市予算による少人数学級の拡大については、中学校の35人以下学級実施、高校での35人以下学級の計画、小中高の全学年で少人数学級実現を県・国に働きかけ、正規教員大幅採用し教員未配置問題の解消、フリースクールへ通う不登校の子どもらに予算措置、不登校の子どもたちに居場所づくりなど、子どもたちに行き届いた教育を求めるものです。担任のいないクラスという異常事態を起こさないよう、学校教育事務所から先生を派遣するなど、あらゆる手立てが必要です。高額な負担となっているフリースクールなど、この請願で、子どもや保護者の悲鳴が聞こえています。常任委員会では、趣旨はよくわかる、市も頑張っている、しかし、国の動向を見たいなど表明がありましたが、請願は、国でも市でもなく議会側が問われているのではありませんか。議会が請願を採択して、子どもや保護者に寄り添おうではありませんか。

また、

請願第37号は、米軍優先、日本側の人権侵害という不平等な規定である日米地位協定の抜本改定を求める意見書の提出を求めるもので、

請願第43号は、保育・子育て支援施策の拡充等を求めるもの、

請願第44号は、OTC類似薬の保険適用除外や追加負担を行わないことを求める意見書の提出を求めるものであり、切実な請願の採択を呼びかけます。

以上です。


新着情報

過去記事一覧

PAGE TOP