
新たな中期計画素案の方向性について
みわ:日本共産党のみわ智恵美です。党を代表し質問します。
1.最初は、新たな中期計画素案についてです。
①今の中期計画にある「平和や人権の尊重を市政運営の基調」とされていた姿勢が、新たな中期計画素案にも「市政の基調に据え」と示され、注目しています。そこで伺いたいのは、今回、「基本姿勢」として示されている、「データ経営の徹底」ということです。目を向けるデータによっては、最上位のデータを確保することで、小さな声は切り捨てられるのではとの懸念があります。データとして取り上げられるものが、市民の声を受け止め、事実やデータに基づいた信頼性のある根拠に基づき、科学性が担保された、市民のための施策となるのかが問われると考えます。
「市民目線の経営サイクル」は「住民目線」なのでしょうか。データを政策形成に生かす考え方を伺います。
山中市長:みわ議員のご質問にお答えします。新たな中期計画の素案についてご質問をいただきました。データを政策形成に生かす考え方ですが、人口や国勢調査などの統計データをもとより、市民の声を集めたアンケート調査や庁内の各種業務データなどから市民ニーズを的確に把握します。データとともにこれまでの経験や、洞察も生かして市民目線の政策立案を行っていきます。
みわ:②行政の役割は市民の暮らしを守ることこそが最大の責務です。新たな中期計画においても、市民生活の安心の暮らしを守ることを柱とするべきと考えますが、どうか伺います。
山中市長:新たな中期計画においても市民生活の安心を柱とすべきとのことですが、新たな計画では基本的な戦略として市民生活の安心安全と横浜の持続的な成長発展を掲げています。その戦略のもと毎日の安心安全・防災減災・医療・保険・子ども、子育て・高齢長寿・障害児者など14個の政策群に総合的に取り組んでまいります。基礎自治体として市民生活の安心と安全に引き続きしっかりと対応してまいります。
医療環境改善の取組を求める
みわ:次に、市民の命と健康を守る医療環境改善の取組について伺います。
①横浜市内の医療機関からは、「材料費も検査費等も値上がりで、手術や検査をするたびに赤字が膨らむ」との苦悩の声が聞かれます。中堅病院では、「年間の消費税が2億円。もう慈善事業としてもやっていられない」と悲鳴が上がっています。横浜市が診療報酬の改定にあたって「賃金・物価等の上昇に適切に対応する新たな仕組みを導入すること」を国に求めているのは時機を得ています。さらに、消費税負担の軽減も強力に求めてください。しかし今、国から示されている診療報酬改定の概要は、医療機関が求めているものには到底及んでいません。
そこで、国に診療報酬改定を求めるにあたっても、臨時交付金の活用にあたっても、医療現場の経営状況などを、市が実態調査をすべきではないでしょうか。併せて、消費税の負担が診療所・病院などに与える影響についても調査すべきと考えますがどうか伺います。
佐藤副市長:医療環境改善の取り組みについてご質問いただきました。医療機関の経営状況や消費税負担の影響について調査すべきとのことですが、これまで国や医療関係団体が調査を行っております。本市としましても、市内医療機関の状況等につきまして、医師会や病院協会を通じて把握するほか、地域中核病院等から経営状況等について直接聞き取りを行っております。引き続き、市内医療機関の状況について把握に努めていきます。
みわ:②横浜市はこの春に、経営困難にある医療機関への直接支援を実施しましたが、病床のある病院への支援だけでした。今こそ全ての医療機関への支援を行う時ではないでしょうか。
診療所も含め経営の困難に直面している医療機関に対しての直接支援を横浜市独自で一刻も早く取り組むべきと考えますが、どうか伺います。
山中市長:医療環境改善の取り組みについてご質問をいただきました。医療機関に早急に直接支援を行うべきとのことですが、政府が閣議決定した総合経済対策の中では、医療介護等支援パッケージとして国から直接医療機関に物価や賃金上昇への支援が行われる予定であります。また内閣府からは地方公共団体への重点支援地方交付金が交付される見込みであります。引き続き国と県の動向を踏まえて検討をしていきます。
みわ:③小児医療費無償化の年齢を伸ばし、子育て環境の充実を図っていますが、国が進めるOTC類似薬を保険診療から外すことになれば、新たに薬代の負担が生じることで、無償化の意味が無くなります。
また、熱が出て心配でも、解熱剤は自己負担となるかもしれないと医者にかからない事や、アレルギー性皮膚疾患などで塗り薬が欠かせない方は、保険から外されることで最大で50倍の負担増となるとも聞いています。まさに、全ての世代を苦しめます。
OTC類似薬が保険適用から外されることで、自己判断での薬の服用や、医療機関から遠ざかり疾患が見逃され、重篤な症状で命にかかわる事態となり、かえって医療費削減に逆行です。OTC類似薬の保険診療除外はすべきではないと国に強く求めるべきと考えますがどうか伺います。
佐藤副市長:OTC類似薬の保険適応除外は、行うべきではないと国に求めるべきとのことですが、国は医療機関における必要な受診を確保し、子どもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮しまして、検討するとしております。現在、癌やアレルギーなどの患者団体にヒアリングを行うなど、配慮事項を踏まえた慎重な議論が進められていると承知しております。
学校給食の無償化について
みわ:次は、学校給食の無償化についてです。
給食費無償化について、私たち日本共産党は憲法に基づき義務教育は無償の立場からも歓迎します。全国では約30%の自治体が、すべての小中学生を対象に給食無償化を実施しています。食材費の購入には地域差があり、給食費には全国で違いがあります。
横浜市の給食費は全国平均に近い値ですが、実際は、物価高騰による保護者負担の給食費上昇を抑えるために食材費に市として15%加算して賄っています。国の給食費算定の考え方は、全国の給食費の平均額で基準額を決める流れです。これまでの水準の給食を実施しようとすれば、食材にかける予算の不足分を自治体が賄うか、質を下げるしかありません。そんなことが起こってはなりません。
また、12月4日には、平均額の国費による完全無償化すら断念し、自治体にも一定の負担を求める方向性になっていることが報道されました。
義務教育は無償の立場で国は責任を持つべきです。見せかけの無償化にさせるわけにはいきません。
国には、質の低下を招かないよう子どもたちのための最良の給食を実施するために、地方に負担をさせない、地域の格差や、物価変動に影響しない恒久的な財源をしっかりと示して、地方交付税ではなく、財政措置として全額国費負担を求めるべきと考えますがどうか伺います。
山中市長:学校給食無償化についてご質問をいただきました。全額国費措置を求めるべきとのことですが、給食費の無償化については地域間差なしで自治体の特色を生かした質の高い給食を恒久的に提供できる制度であることが不可欠であります。物価水準の違いや今後の変動なども考慮に入れて、地方自治体に財政負担を押し付けない仕組みが必要です。今の給食無償化の議論は、本来の無償化の議論から離れていますので、地方交付税措置というような方法ではなくて直接財政措置による全額の国費負担を国に強く要望してまいります。
みわ:②物価高騰分もしっかり国費での財源構成がされれば、給食無償化はより良い給食実現のチャンスとなります。有機野菜の食材への取入れなど、物価高騰の中でも質の高いさらなる良質な給食を子どもたちに実現できるチャンスとするべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
下田教育長:学校給食無償化についてご質問いただきました。無償化はより良い給食を作るチャンスとのことですが、本市では学校給食を健康保険審議会からの答申を踏まえまして栄養摂取や、職員構成の充足に加え将来を見据えた食育、横浜の食文化への知識を深める献立、地産地消の推進など質の高い給食の提供を努めてまいりました。こうした取り組みを物価高騰の中でも恒久的に継続するために、全額国費での無償化の実現を強く要望しております。
2027 国際園芸博に向けて
みわ:国際園芸博覧会グリーンエキスポ2027の「認定サプライヤー」にGL events Japan株式会社が認定されていることについて伺います。
国際園芸博覧会の「GX Houseサプライヤー」と認定されているGL
events Japan株式会社は、フランス系イベント会社の日本法人で、10月13日に閉幕した、大阪・関西万博で、マルタなどの4館を手掛け、一部で建設費の不払い問題を起こし、提訴されています。一次下請けには、契約通りに工事を進めていたにもかかわらず、開幕直前に突如「工事費が支払われなく」なりました。合計で21社もの会社が、未払いの相談を国にしていると聞いています。
このような、大阪・関西万博における不払い問題を起こしているGLイベンツ・ジャパン株式会社を、協会がサプライヤーに認定したことについて、協会として、改めてふさわしいのかどうか検討すべきではないでしょうか。協会の副会長としての市長の見解を伺います。
山中市長:GREEN×EXPO2027についてご質問をいただきました。GLイベンツジャパン株式会社についてですが、報道によりますと複数企業複数の国内企業から工事費の見払いに関して訴訟を提起され、いずれの訴訟も交渉中あるいは係争中であると承知しております。今後事実関係が明らかになった段階で、GREEN×EXPO協会において適切に対処していくものと承知しております。
みわ:私たちは、1000万人規模の有料入場者数で進めていくことは、建設費の値上げばかりでなく運営費の値上げも必至だと指摘してきましたが、これまで360億円としていた運営費が536億円となり、入場券も3500円から5500円へと値上がりが示されました。これでは、何度も行きたい市民の足が向かわず、成功が遠のくのではないでしょうか。有料入場者数の見直しを求めます。
山下ふ頭再開発のあり方
みわ:次は、山下ふ頭再開発のあり方についてです。
山下ふ頭の再開発は市の最重要課題の1つと考えます。どのような場所にしていくのか、そのための政策決定における民主的な手続きや透明性が担保されるのかということと併せて、何よりも市民の共有財産であり、50年後100年後の市民へ手渡すもので、公共に資するものをしっかりと確保すべきと考えます。市民は、山下ふ頭は市民の共有財産という思いがあるからこそ、2021年から23年にかけての2回の意見募集に応え、9回の意見交換会に参加し、1万件を超える意見を出されてきたのではないでしょうか。また学識者や地域関係団体の委員で構成される検討委員会の場でも「山下ふ頭は市民の共有財産」「経済開発のために使うのではなく、本来の未来の住民のために贈り物のように何を残すのかを検討すべき」などの発言が出されていました。
ところが、現在横浜市は、再開発は「民設民営」を基本とすることを強調し、初めての取組である「市民検討会」実施の真っただ中に、民間事業者にアイデアや実現可能性などを意見交換するサウンディング調査を行っています。これでは、実際は営利企業の事業の範囲内での事業策定となるのではないでしょうか。
カジノIR計画で市民からノーを突き付けられた民設民営のやり方は、市民が繰り返し反対の声を上げても、市が国や事業者の声を聞いて、決めてきたことが最も大きな反省点だったはずです。
市民のための再開発とするために、山下ふ頭再開発に市民意見を反映していくためには、民設民営を基本という前提を撤回すべきではないでしょうか。伺います。
山中市長:山下ふ頭の再開発の在り方についてご質問をいただきました。民設民営を基本とするやり方は撤回すべきとのことですが、民間事業者が持つ知見やノウハウなどを民間活力を最大限に生かした持続的なまちづくりを目指すため、当初から民設民営を基本としております。再開発は市民の皆様と共につくるという考え方が重要です。そのためこれまで市民の皆様から多くの意見をいただきました。それらの実現に向けてサウンディング調査等を行いながら、議論を重ねて町づくりを進めてまいりたいと思います。
非核三原則の堅持について
みわ:最後に非核三原則の堅持について伺います。
核兵器廃絶の運動に取り組む日本被団協がノーベル平和賞を受賞し、被爆80年を迎えた今、核兵器廃絶への願いが世界中に大きく広がる中で、事もあろうに、高市早苗首相は、国是である「非核三原則」の堅持を明言しないばかりか、見直しの検討をするとしました。
日本被団協代表委員の田中熙巳(てるみ)さんは、「首相には、我々の声も届いていない。核兵器は兵器ではない、悪魔の道具」と怒りの声を上げられました。
私は広島の被爆二世として、大勢の被爆者から被爆の実相を聞いて育ちました。核兵器は、生きながらにして一瞬で丸焼きにされ、まだ息があっても誰にもどうすることできない、人が人として死ぬことも生きることも許さない絶対悪です。核兵器で、国を守ろうとするなど絶対に許されないとの思いが改めてこみ上げました。
そこで市長に伺います。山中市長は、平和市長会議の一員として政府に対して「核兵器禁止条約」に早期に署名することを求められています。国連からピースメッセンジャー都市の称号を受けている都市の市長として、唯一の戦争被爆国の日本が非核三原則を堅持することについての考えを伺います。
山中市長がなお一層の平和への、核兵器廃絶への取り組みに力を尽くされるよう
要望します。
山中市長:非核三原則の堅持についてご質問をいただきました。堅持に対する見解ですが、非核三原則を堅持する姿勢は、核兵器のない世界を目指す上で、国際社会に対する重要なメッセージであります。



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