各区が抱えている課題や取り組み支援ができる区づくり推進予算の増額を
大和田議員:日本共産党の大和田あきおです。党を代表して質問いたします。
はじめに、市第43号議案 横浜市区づくり推進基金条例の制定についてです。議案は、区における市民サービスの向上及び地域課題の解決に関する事業を通じ区づくりの推進に資するために、横浜市区づくり推進基金を設置するものです。寄付金を複数年度にわたって計画的に活用できる基金設置の趣旨については理解できますが、そもそも区づくり推進費そのものの予算額や規模は適正なのでしょうか。
区づくり推進費とは、
①地域の総合行政機関として、区役所の自主性を高める予算
②地域のニーズに的確に対応し、個性ある区づくりを推進できる予算
③地域的、個別的、緊急的ニーズに迅速に対応できる予算
④区役所職員が主体的に参画できる予算
として、区の機能強化の一環として区の予算の充実を図ったものです。
区の人口を30万人とすれば、一人当たり300円程度の予算となります。この予算では、とても事業目的を実現できるとは思えません。
そこで、今回の寄付に加えて、もっと各区が抱えている独自の課題や取組を支援できるよう区づくり推進費の予算を増額する必要があるのではないでしょうか。市長の見解を求めます。
山中市長:各区の独自の課題は、個性ある区づくり推進費に加えて、各局からの配当予算や施設整備など局が執行する予算を含めて対応をしているところです。引き続き区・局が一体となって、地域の課題とニーズにきめ細かく対応できるようにしてまいります。
大和田議員:また、区役所は市民にとって最も身近な行政窓口であるため、区づくり推進費の予算の増額に合わせて、区民要望にきめ細やかに対応できるよう人員を増やすことが必要ではないでしょうか。市長の見解を求めます。
山中市長:区役所が市民の皆様の声や地域のニーズをしっかりと受け止め、局と一体となって市民目線での施策実現につなげていくことが重要です。デジタル技術やデータを活用しながら、市民サービスや地域課題への対応力を向上させるとともに、業務の効率化を図り、持続可能な区役所を目指してまいります。
スポーツ振興と企業版ふるさと納税について
大和田議員:次に、市第44号議案 横浜市スポーツ・レクリエーション振興基金条例の制定についてです。議案は、スポーツ・レクリエーションの振興に資するため、横浜市スポーツ・レクリエーション振興基金を設置するものです。
スポーツ振興について伺います。そもそもスポーツは、「すべての人々の権利」であり、条件整備は国や自治体の責任です。スポーツ振興のためには、施設整備費を抜本的に増額し、公共スポーツ施設を「誰もが気軽に使えるスポーツ施設」として拡充することや、施設利用料の引き下げや指導員の増員、利用者や団体の声を行政に反映する仕組みが必要です。
「横浜市中期計画2022―2025」では、スポーツ環境の充実として、「(市民が)身近にスポーツができる機会や場の確保・充実を図り、市民の多様なニーズに応じて、スポーツ施設を利用しやすい環境に整えます」とあります。
そこで、市はプロスポーツの場をつくることに主眼を置いているようですが、市がやるべきことは、市民がスポーツを行い、親しむことができる環境を整える施策を推し進めることであると考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:今回設置する基金は、スポーツ関係団体が、市民の皆様を対象に行う公益的なスポーツ振興事業への支援にも活用していく予定です。市民の皆様がスポーツに参加する機会をこれまで以上に創出し、誰もが多様なスポーツを楽しみ、スポーツが身近に感じられる街の実現に向けて取り組んでまいります。
大和田議員:次に、企業版ふるさと納税の問題についてです。
企業版ふるさと納税は、寄付企業への経済的見返りは禁止されています。経済的見返りを容認すれば、寄付行為が経済的利益を得るための取引になってしまいます。しかも寄付額の最大9割も税制優遇されることから、当然高い公共性が求められます。そこにもし見返りがあるとしたら、税金を使って特定企業への私的な利益に資するものとなってしまいます。そんなことはあってはならないことです。しかし国が示している規制は極めて限定的で、抜け穴だらけです。
そこで伺います。例えば、企業版ふるさと納税を利用した企業が、その寄付を活用した事業の受注者になることは、直接的であっても間接的であっても、あってはならないと思いますが、市長の見解を伺います。
山中市長:企業版ふるさと納税制度は、内閣府令において寄付を行うことの代償として経済的な利益を供与してはならないと定めており、各自治体は内閣府令に則って適切に対応を行うものであると認識しております。
大和田議員:またそのためにも、企業版ふるさと納税制度を活用した寄付企業の公表は不可欠です。それは寄付行為でありながら、同時に税制優遇がセットになっているため、高い公共性がこの制度を利用する企業側にも求められます。
そこで、非公表を認めている現行制度を改めて、透明性の高い制度とすることについて市長の見解を伺います。
山中市長:7年度税制改正において寄附活用事業の契約手続等で、競争入札での一社応札や補助金・負担金での一社交付など、寄附企業との関連性が見られる場合には透明性を確保するため、地方自治体に対し寄附企業名の公表を義務付けるなどの制度改善策が講じられています。本市としても制度の趣旨にのっとり、適切に対応をしてまいります。
大和田議員:また、福島県国見町では、企業版ふるさと納税の見返りを期待した企業との間で、官製談合が計画されていました。具体的には、高規格救急車の開発・製造に関する入札で、企業版ふるさと納税を行った企業DMM.comが、便宜を図られたワンテーブルという会社が有利となるように、入札する製品の仕様を調整しました。その入札の結果、ワンテーブルが落札しました。そのワンテーブルが再委託の発注を行ったのが、DMM.comの子会社でした。つまり、企業版ふるさと納税を行った会社の子会社でした。
最終的に、国見町のケースは企業版ふるさと納税において認可が取り消されることとなりました。
そこで、福島県国見町で発覚したような企業版ふるさと納税制度をめぐる談合事件が起こることを防止するために、再委託先の制限や複数年度契約に関する取り決めの締結などの仕組みを講ずるべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:地域再生計画の認定が取り消される事案が発生したことを踏まえ、7年度税制改正において制度の健全性を確保するため、寄附活用事業の発注先の公表、地域再生計画の認定取消を受けた場合の欠格期間の創設など、制度改善策が講じられたものと認識しております。
18歳までの小児医療費助成制度は4月1日から開始を
大和田議員:次に、市第72号議案 補正予算の小児医療費助成事業についてです。
議案は、小児医療費助成制度について、令和8年度中の対象年齢を18歳年度末まで拡大するに向け、システム改修や事務処理センターの設置、広報の準備を進めるため、事業費を追加するものです。
日本共産党は、1973年から子どもの医療費助成の拡大を市民の皆さんとともに要望し続けてきました。今回、18歳まで所得制限なしで拡充されることになります。歓迎しています。
実施するにあたり、1日でも早くこの制度を子どもたちに届けたいと考えます。前回の15歳までの小児医療費助成制度の無償化の際には、所得制限と一部負担金の撤廃などがあり、対象者の抽出作業にも一定時間がかかったと思われます。しかし今回は、対象年齢を18歳に引き上げるものであり、もっと速やかに作業を進められるのではないでしょうか。また、医師会、薬剤師会などとの連携体制は既に確立されています。
そこで、18歳までの小児医療費助成制度を、2026年4月1日から実施すべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:1日でも早く市民の皆様に医療証を確実にお届けしたいという思いから、新たな対象者を登録するためのシステムの改修期間や、医療証の発送などのスケジュールを精査いたしまして、実施時期を改定いたしました。
体育館の空調設備の設置は断熱工事とセットで
大和田議員:次に、体育館空調設備設置事業についてです。
議案は、市立小中学校の体育館への空調設備の設置について、夏の酷暑対策などの観点を踏まえ、設計校数を増加させるため、事業費を追加するものです。
本市は、2029年までにすべての市立小中学校の体育館にエアコン設置を進めるとしており、気候変動による猛暑が年々酷くなる中、子どもたちの健やかな教育環境を守るうえで重要な取り組みだと考えます。
また、多くの学校の体育館は地域の防災拠点の避難所に指定されています。
児童生徒の授業などに影響がないようにスケジュールを調整しながら進めていることは承知していますが、早期に事業を完了することがますます求められています。
一方で、早期に全エアコン設置を完了することは進めつつも、エアコン効果を最大限に引き出すための断熱化について質問します。
そもそも国からの空調設置への補助は、効果的な断熱化とセットで行うことが条件でした。文部科学省のホームページによれば、「空調設置に伴う断熱性確保の必要性について、断熱性の確保がされていない体育館へ空調を設置した場合、過大な能力の空調機が必要となったり、光熱費が課題となったりと、効率的、効果的な施設整備ができません。」「一定の条件で空調を稼働した場合の電気代は、断熱性なしでは年間280万円、断熱性確保では年間140万円」となっており、空調と断熱化改修工事を実施することでランニングコストを削減できることが紹介されています。
そこで、文部科学省が断熱化とセットで行うことを条件としていた2024年以前に、エアコン設置と同時に断熱化を実施しなかったのはなぜでしょうか。教育長に伺います。
下田教育長:一般的に断熱化の工事は屋根や壁を大規模に改修する必要があり、空調設置以上に費用、そして期間が必要となります。空調設置と断熱化をセットで行うことが望ましいとは思っておりますけれども、断熱化と合わせて行うことで工期自体が遅れてしまったり、着手が遅れるというようなことがないように、空調の工事を行うことが大切です。設置を先行させていただくところでございます。
大和田議員:また、2025年度からは先にエアコン設置を進めて、その後2033年(令和15年)までに断熱化を実施しても補助金の対象になりましたが、空調設置と断熱化のセットが求められていることには変わりありません。
そこで、現在の気候変動の中で、今後、体育館のエアコン設置と断熱化はセットで進めるべきであると考えますが、教育長に伺います。以上で私の質問を終わります。
下田教育長:近年では天井に射熱性のあるシートを貼るなど、簡易な断熱手法も開発されてきておりますので、まずは空調設置を早急に進めていくことを原則としながらも、並行して効率的で効果的な断熱化の改修手法も検討しながら進めていく予定でございます。




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