(実際には、質問と市長答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。なお、第2質問とそれに対する答弁については最後に記載しました。)
市内の消防署所8か所削減は消防力の低下にならないか
白井議員:私は日本共産党を代表し、今定例会に出された議案に関連し、市長に質問をいたします。
まず、市第63号議案、市第71号議案についてです。
市第63号議案は、増大する市民の119番通報を受け、救急度・重症度の高い段階、中段階、低い段階と3段階に識別し、出動する救急体制を決めるというものです。
これまで救急車には3名の救急隊員が乗車することが義務付けられていましたが、新しいシステムでは救急車には2名しか乗車させず、緊急度の高い段階、中段階は救急車の他にミニ消防車やポンプ車を出動させるとしています。
いつ起きるか分からない火災に備えて常に待機している消防車やポンプ車が、新システム導入により、救急患者の対応に出動することが日常的に要請されることになります。新システムは救急体制の強化につながる一方、消防体制の弱体化につながることは必至と考えますが、うかがいます。
また、これまで消防体制に専念し、日常的に消防訓練も義務付けられている消防吏員が、新たに救急体制に組み入れられるもので、新しいシステムの導入は、消防吏員に過重な負担を強いることにはならないのか、うかがいます。
さらに、このシステムは識別をしたとしても、どの段階でも救急車を出動することになります。その救急車は現有数の62台としています。高齢化が進み、救急需要が急速に増加する中で、救急車の絶対台数が不足していることは明らかで、すべての消防署所に配置することこそ、市民の緊急・救急需要に応えるものと思いますが、うかがいます。
市第71号議案は安全管理局が今年1月に制定した「横浜型消防力再編計画」の具体化で、その再編計画は市内の消防署所をトータルで8か所減らそうとするもので、消防力の強化に逆行する重大な問題を含んでいます。8か所も消防署所を削減することは消防力の低下が必至と考えますが、うかがいます。
中田市長:お答え申し上げます。まず初めに市第63号議案および第71号議案についてのご質問をいただきました。
まず、消防体制の弱体化ということでありますけれども、火災などの災害時には救急出動中の消防隊以外にも近隣署所から複数の消防隊などが出動しまして、一定の消防力が確保できる体制で臨んでおります。なお、昨年6月に消防隊と救急隊との連携活動の運用を開始してから、これまで災害活動など支障となった事例はございません。
職員の負担についてでありますけれども、たとえば、重症・重篤な傷病者につきましては4人から8人体制で出場し、本人が歩ける状態であれば2人で出場するなど、傷病者の状態に応じて必要なマンパワーを投入することで、負担とならないよう適切な体制を組んでまいります。
救急車の配置についてでありますけれども、他都市と比較しても充足率は特に低いわけでもなく、現場到着所要時間についても適正なものとなっていると考えております。
消防出張所の統合・再編についてでありますけれども、これまで必要以上に近接している偏りのあった配置を、適正な場所にバランスよく配置をし直すものでありまして、消防力の低下につながるものではございません。
指定管理者で動物園の使命・役割・体制を守れるのか
白井議員:市第81号議案は、主に野毛山動物園、金沢動物園に、現在ズーラシアの指定管理者となっている財団法人横浜市緑の協会を指定管理者に指定するものです。
「横浜市立動物園のあり方懇談会」でも指摘しているように、動物園は、娯楽、種の保存、教育、調査研究という4つの機能を持ち、その機能を発揮する為には、本市の役割は大きいと考えます。その立場から、いくつか質問を行います。
指定管理者を指定したからといって、指定管理者任せ、丸投げはあってはならないことです。金沢動物園の再生構想の策定は、これからの課題であり、動物園機能を発揮し、3園への市民満足度を高めるために、本市の果たす責任は大きものがあります。野毛山動物園もふくめ、本市の使命、役割、体制強化はどう考えているのか、うかがいます。
審査に当たり、指定管理者委員会は、管理経費について厳しい点数をつけています。このことは、本市の意向を受けて経費削減を求めたも、同然です。指定管理料の積算に当たっては、コスト優先から経費の一方的な削減を強いるのではなく、動物園の役割・機能が果たせるよう必要な人と資金は、しっかりと保障するという考え方から行うべきと考えますが、市長にうかがいます。
ズーラシアの指定管理期間は5年間ですが、今回はズーラシアと合わせるということで、3年間になっています。動物と飼育担当者との信頼関係は、長い期間で作られるものです。また、動物の飼育という専門性の高い技術や知識の継承の点でも、3年間はあまりにも短かすぎます。上野動物園の10年にならい、指定期間を長期にすべきと考えます。更に、金沢動物園においては、再生構想を定める前に指定管理者を指定するのはあまりにも拙速ではないのでしょうか。あわせて市長にうかがいます。
今回、「横浜市緑の協会」が指定管理者に指定される野毛山動物園に、ネーミングライツを導入する予定で、現在スポンサー募集が行われています。
野毛山動物園は、56年間の長きに渡り、市民の憩いの場所であり、子どもたちの楽しい思い出の場所になっています。「野毛山」という名前が消えるということがあってはなりません。子どもたちが集う施設に、スポンサー企業名やブランド名を付けるのは、なじまないと思います。
募集要項には、ネーミングライツ導入の目的に「利用者サービスを維持・向上するため」と謳っています。このネーミングライツで得た収入によってどのように市民サービスを向上させるのか、うかがいます。
中田市長:次に、市第81号議案についてのご質問をいただきました。指定管理者導入にあたっての市として果すべき役割ということでありますけれども、本市と指定管理者とで締結をする協定に基づき適正な運営が行われるように、モニタリングや事業評価などによって確認をするとともに、施設の整備など設置者として果すべき役割は適切に果してまいります。
指定管理者業務を行ううえで必要な人員や経費を市として保証すべきではないかということでありますが、動物を適正飼育していくための経費を初め、指定管理業務を良好に執行するための必要経費について、措置をいたしてまいります。
今回の指定管理期間を3年間とした考えでありますが、選考して指定管理者を導入した横浜動物園の指定期間に合わせるため、3年間といたしたものであります。指定管理者の指定が拙速ではないかというご指摘ですが、金沢動物園の再生構想ということにつきましてはこれからの課題でありまして、今回の指定管理期間中に業務内容の変更を行うものではないわけであります。このたびそうした意味において指定管理者制度を導入をしたものでございます。
ネーミングライツで得た収入をどのように活かすのかということについてでありますけれども、現在の厳しい財政事情の中において、動物園の運営をこれまで通り継続をしていくということは、率直に申し上げて大変困難であります。このため、動物の管理・運営にあたっては、あらゆる工夫をしていく、そのことが私たちは求められているわけでありまして、ネーミングライツの収入についても、長年親しまれてきた施設を今後も維持していく、喜んでいただく、そのために活かしていきたいと考えております。
また、子どもを中心とする施設へのネーミングライツについてということですが、施設の趣旨に賛同して、理解のある企業が応募していただけると、そのことを見込んでいるわけであります。
市の財産であるマリンタワーを特定民間企業の営利の場に提供するのか
白井議員:次に、市第84号議案一般会計補正予算のうち、マリンタワー再生事業の減額補正についてです。これは、本市が行う再整備工事に関わる実施設計における基本構造の調整に時間を要したために、工事着工が遅れ、工事進捗に合わせたものです。
実施設計の変更によって、工事着工が遅れただけではありません。工事費増もなく、工期が4か月伸びています。工事費増とならないこと自体不思議ですが、工事費増を伴わないでどうして工期がのびたか、その理由をうかがいます。
再整備工事の完了時期が高層部で10か月、低層部で8か月当初計画より、遅れることとなり、運営事業者の自主工事にあてる期間が約1年から大幅に短縮されることになります。開港150周年事業のために当初期日どおりにオープンさせるために、無理をして、施設の出来ばえに影響がでることはあってはなりません。運営事業者の自主工事期間が窮屈になることは、運営事業者にしわ寄せがくるのではないか、うかがいます。
続いて、マリンタワー再生事業を本市とともに担う運営事業者の選定などについてです。
同事業は、マリンタワーを横浜の観光振興と山下公園周辺地区や中華街および元町・山手地区などの活性化を目指した観光・交流の場として活用するためです。問題は、使用目的が明白であるにもかかわらず、行政財産ではなく、普通財産として取得したことです。普通財産となれば、議会の関与なく、その運用は行政サイドの裁量に委ねられます。市民のチェックを受けることなく、営利会社にも貸付できます。特定企業に市の施設を賃貸し、営利活動の場に提供するとなると、横浜市は不動産経営をすることにもなるわけです。こうした財産運用をするために、恣意的に行政財産ではなく、普通財産としたとなれば、問題です。当然行政財産とすべきであるのに、なぜ普通財産としたか、うかがいます。
昨年11月に事業者を公募し、本年3月に選定委員会が、優先交渉権者を指定、6月に基本協定書を締結し、事業者に株式会社リストを決定しました。この一連の過程に議会は関わることはありませんでした。しかも、提案の優劣の判断材料となった提案書は、非公開です。市民は、選定委員会の言い分を鵜呑することしかないのです。株式会社リストは、再開発をにらんで取得した旧三越の上大岡のショッピングセンターの運営を行っていますが、新聞報道によれば、同社は商業施設運営のノウハウは持ち合わせていません。新規参入事業のため企画力や人材の不足が普通であり、どうやって補って提案書を作成したのか、また構成員の会社を募ったのか、疑念がわくところです。業務実績からみてこの事業を運営する能力を有しているのか、疑問です。市長の見解をうかがって、一回目の質問を終ります。
中田市長:続いて、市第84号議案についてのご質問をいただきました。マリンタワー再生事業の工期を延長した理由ということでありますけれども、マリンタワーは特殊な高層建築物であるため、建築基準法における技術評定に関する協議を行ってまいりました。その結果を踏まえて、実施設計の内容が確定をしたことを伴って、展望台とタワーからなる高層部の耐震補強施行箇所が増加をしたわけであります。また、高層部の塗装工事の作業工程が増加したことや、1階から4階の低層部における供給施設を収容する設備等などの工事に時間を要することによるものでございます。
運営事業者の工事への影響についてでありますが、本市の工事工期が延長しましても、必要な事業者工事の施工期間や開業準備期間は確保できるものと考えております。
マリンタワーの財産区分についてでありますけれども、マリンタワー再生事業につきましては、民間事業者による企画力、経営資源を活用して、いかに魅力ある施設として再生をしていくかということを議論して、それを目的としたわけであります。このため、民間事業者のノウハウを活かした積極的な投資と、継続的かつ安定的な事業運営を確保するということを考えますと、これは民間のリスクを考え、普通財産として運用することとして、10年間の定期建物賃貸借ということにいたしたものでございます。
運営事業者に関しましては、外部委員などで構成をされたマリンタワー事業者選定委員会における公正公平な審議結果を踏まえ、決定をしてまいりました。審議にあたっては、事業提案内容と合わせて、事業者の運営体制や業績、事業提案の確実性といったことなどについても、評価の対象にいたしております。審議結果についてはすでに公表をいたしております。以上、答弁申し上げます。
市長は、消防団からの市長の政治資金パーティー券購入分の返却を
白井議員:二回目の質問を行います。
市長からは、消防署職員への負担増について、負担とならないよう適切な配置をすると、消防署職員への信頼に満ちた回答がありました。しかし、新システムによって、職員に新たに任務を負荷することは事実です。その一方、今回、本来の仕事以外のことを、結果的に、市長を支援する政治団体が、政治資金パーティー券の普及にかかわることを、消防団を介して消防署に押し付けていたことが判明し、安全管理局長も認め、報道されているところです。これは重大なことです。
市長の応援を目的にし、しかも売り上げから1100万円を寄付されたパーティーに関わってのことであり、市長として責任をとる必要がありますが、どうとるのか、また政治家中田宏として、会費納入にあたって一時的にせよ税金の流用ともいえることもあったことから、少なくとも消防団会計から支払われた分は市に返却すべきと考えるがどうか、あわせてうかがいます。
中田市長:お答え申し上げます。消防に関わる件におけるこのたびの報道、また私どもとして安全管理局が発表した件についての責任、またその資金についての返却ということについてのご質問でありますけれども、これについてはいささかも疑問をもたれるようなことがあってはならないわけでありまして、そういう意味においてはしっかりと調査をする、これがまず第一でありまして、徹底的に調査をし、そしてまたそれを正直に公開するということを、これは安全管理局長にもうこの2日間で何度私は言明したかわかりませんが、しっかりと調査をし、そしてそれを公表するということを通じて、いずれも果たしてまいりたいというふうに思います。以上、答弁申し上げます。
(議事進行)
大貫憲夫議員:いま、白井議員が第2質問で質問した中で、これだけの公金に関わって市長の問題が出ている以上、その1000万円という資金については、これは返すべきじゃないかと、市長の責任で返すべきじゃないかという質問については、答えていません。それについて答えるように要求します。以上です。
中田市長:なんでも議事進行かけないでいただきたいんですが、いずれも対応しますとお答えをしているわけであります。すなわち、調査結果をきちっと公表していずれも対応しますと答えているわけであります。なんでも議事進行かけないでいただきたいと思います。