動画 ・ 議会での質問・討論(詳細)
2024年5月23日

■議案関連質問 大和田あきお 2024.5.23

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国の保育士配置基準の改善で増額になった予算を活用し、市独自の保育士配置の更なる拡充を
大和田議員:大和田あきおです。日本共産党を代表し、今定例会に上程された議案に関連し質問します。
初めに、市第3号議案「横浜市児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例等の一部改正」についてです。
これは、国が保育の質を向上させるとして保育士1人が受け持つ子どもの数である保育士の配置基準を76年ぶりに見直したことで、横浜市の基準を、3歳児は20人に1人以上 を15人に1人以上に、また4、5歳児を30人に1人以上を25人に1人以上に改正するものです。
横浜市は、すでに国基準を上回る保育士配置を、民間認可保育園には設定していますが、現場では、子どもたちに安心安全で豊かな保育を保障するとして、市の基準を超える配置で実施しています。
特に0歳児3人を一人の保育士が保育することでも無理がありますが、災害時などに保育士一人で3人の子どもたちを避難させることは不可能との声が現場からあがっています。
明日来るかもわからない災害に対して、0歳児は2対1への改善が急務です。また、豊かな保育を実践するために、1歳児を3対1、2歳児を4対1への配置の拡充をすべきです。
 国からの歳入増5億4700万円を活用し、0歳児から2歳児までに対して更なる保育士配置の拡充を進めるべきであり、急な災害時を想定した場合、特に0歳児の改善は急務であると考えますが、見解を求めます。
佐藤副市長:市第3号議案についてご質問をいただきました。国からの歳入増を活用し、急な災害時も想定しさらなる保育者配置の拡充を進めるべきとのことですが、これまでも本市は国基準を上回る手厚い配置としています。さらに6年度予算ではローテーション保育士雇用費や障害児等受入れ加算など基準以上に配置される保育士に対する市独自の助成を拡充しました。避難対応も含め、現行の配置基準での対応を想定しており、保育所等では、避難訓練計画を策定し、職員が迅速に避難誘導できるよう取り組んでいただいております。
大和田議員:また、民間の保育園では、市民の願いに応えた保育を行うために長時間保育をはじめ、自主的な基準で保育士を配置していますが、保育士確保には大変苦労されています。
公立の保育園では、保育士の採用試験の最終合格者倍率が直近の2023年度は2.4倍と、高倍率です。給与などの処遇が高倍率のもとです。ここに保育士確保のヒントがあるのではないかと考えます。
民間保育園の保育士確保に向けて、公立保育園と同等の処遇に改善するために本市が責任を持って取り組む手立てが必要であると考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:市第3号議案についてご質問をいただきました。民間保育所の保育士確保に向けて公立保育所と同等の処遇となるように取り組む必要があるとのことですが、民間保育所の処遇については運営法人により様々であり、公立保育所と一概に比較をすることは困難でありますが、保育士の年収は全産業平均と比較して低く課題であると認識しております。そのため本市では、国基準に上乗せをして経験年数に応じた処遇の改善や宿舎の借り上げ支援を実施しております。こうした市独自の取り組みに加えまして、さらなる処遇の改善に向けて引き続き様々な機会をとらえ、国に要望をしてまいります。

無料低額宿泊所に関わって、「貧困ビジネス」を規制する条例改定を
大和田議員:次に、市第5号議案「横浜市無料低額宿泊所の設備及び運営の基準に関する条例の一部改正」についてです。
この際、本議案に関連して無料低額宿泊所の在り方について質問します。
無料低額宿泊所は、社会福祉法第2条にある「生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業」という条文に基づき設置される施設であり、現在、横浜市内には40施設 1,227室あります。
問題は二つあります。一つは居住面積が狭いということです。条例では、居室の床面積は7.43㎡以上で4畳半しかありません。これでいいのでしょうか?国の住生活基本計画で示された住宅の面積に関する水準では、一人暮らしで最低居住面積水準は25㎡。さらに50㎡まで目指すべきだとしている水準からみれば歴然たる差があります。一時的であれこれほどの狭小な居住面積を認めるべきではないと思います。住まいは人権です。そこで伺います。
横浜市として、どんなに生計困難な低所得者でも住生活基本計画で示されている最低居住面積における居室面積にとどまらず、その基準を上回る居室に住めるように市が援助すべきと考えますが、見解を伺います。
問題のもう一つは、無料低額宿泊施設と名乗って、それが貧困ビジネスの温床ともなっていることです。
無料低額宿泊所はあくまでも一時的な施設という位置づけであるにもかかわらず、一旦入所してしまうと、テレビ、冷蔵庫などのセット購入や毎月の生活支援と称する様々なサービスを押し付けられ、手持ちのお金が残らない貧困ビジネスに絡め取られて通常のアパートへ転居することが困難となるケースもあると聞いています。そして、劣悪な環境に耐えかねて脱走し、路上生活に戻ってしまう入所者もいるとの報道も目にします。横浜市の無料低額宿泊所の条例では、「無料低額宿泊所は、契約期間1年以内のものに限る」とされていますが、実際は、契約更新を繰り返し何年も住んでいる実態もあります。貧困ビジネスを規制するに実効性ある条例に改正するべきと考えますが、見解を伺います。
山中市長:市第5号議案について、ご質問をいただきました。入居が長期間とならないように、条例を改正すべきとのことですが、本市の条例では、無料定額宿泊所は、一時的な居住の場と位置づけております。このため、契約期間満了前には、施設と区のケースワーカーがご本人の状況や意向を確認して支援方針を共有することで、アパートへの転居など自立に向けた支援を行っております。このため現時点では、条例改正を行う必要はないものと考えておりますが引き続きご本人に合った生活場所の確保に努めてまいります。
佐藤副市長:市第5号議案についてご質問いただきました。生計困難者が入居している無料定額宿泊所の居室面積を改善すべきとのことですが、無料定額宿泊所の居室面積は、国の省令において、収納設備等を除き、7.43平方メートル以上とするように定められており、本市の条例においても同様の規定としております。引き続き、事業者に対しては、入居者のプライバシーが守られ、安心して生活ができるよう指導を行っていきます。

妊婦健康診査の拡充を歓迎し、回数引き上げと費用金額の補助の拡充を
大和田議員:次に、市第17号議案 令和6年度横浜市一般会計補正予算(第1号)「妊婦・産婦健康診査事業」についてです。
安全かつ安心して出産を迎えられるよう、妊婦健康診査の公費負担額を拡充し、妊婦の経済的負担の軽減を図るため、今年4月以降に妊婦健診を受診した市民を対象として、母子手帳交付時に渡す補助券とは別に5万円の現金支給を行い、132,700円の助成を10月から実施するものです。そのため今後、健診が受けられる施設を増やす取り組みも必要だと考えます。
妊婦健康診査の拡充は大いに評価できます。今後さらに、お金の心配なく安心して出産できるように、診査回数の上限を引き上げ、妊婦健診にかかる費用の全額を補助すべきと考えます。このことこそ、市長が言う出産費用ゼロになるのでないでしょうか。市長の見解を伺います。
山中市長:市第17号議案についてご質問をいただきました。妊婦検診の検診回数の上限を引き上げ、費用の全額を補助すべきとのことですが、妊婦検診は自由診療であり、個々の妊婦の状態により必要な検査が異なります。今回の5万円の助成により、国から示されております妊婦に対する健康調査についての望ましい基準に基づく、市内公的医療機関における検診費用の最大値をカバーすることが可能になります。今後も妊婦の皆様が安心して出産を迎えられるよう取り組んでまいります。

小学校でのスクールカウンセラーの配置増と、スクールソーシャルワーカーの更なる増員を
大和田議員:次に、「いじめ再発防止に向けた学校体制の強化」についてです。
一つ目は、「スクールカウンセラー配置の充実」です。
市立中学校のいじめ重大事態の調査結果等に基づき、再発防止に向けた学校体制の強化として、悩みや辛さを抱えた児童生徒が、教職員以外にも日常的につながり、相談・支援を受けられるよう、教育相談の充実、居場所や学びの機会の確保を支援するものです。市立中学校や高校へのスクールカウンセラー配置を週1回から2回に増やし、特別支援学校でも、週1回配置されてきた3校は週2回に、これまで配置されて来なかった9校は週1回、配置することになります。
現在、市全体のスクールカウンセラーは、150名から160名と聞いています。この人員で2022年度の年間の相談件数は、小学校で52,220件、中学校で約36,000件、高校で約2,800件、特別支援学校で約200件となっていますので、カウンセラー1人あたりの対応相談件数は、年間570件以上となります。今回の改定で50名前後の拡充を計画していることは大変期待するところですが、まだ十分とは言えないと考えます。さらに今回のカウンセラーの配置拡充は、小学校が除外されています。文科省が設置した「教育相談等に関する調査研究協力者会議」では、「小学校への配置の拡大は、中学校において増加する問題行動等の未然防止といった観点からも大切である」とされています。小学校高学年は思春期の前期であり、中学校と同様に、小学校のスクールカウンセラーの配置を拡充すべきではないでしょうか。教育長の見解を伺います。
下田教育長:第17号議案についてご質問をいただきました。スクールカウンセラーの小学校での拡充についてですが、今回の補正予算では現場の声を踏まえるとともに短い期間で確保が可能なスクールカウンセラーの人数も勘案し、複雑で深刻な悩みを抱えやすい思春期にある中学校・高校・特別支援学校の支援を先行し充実を図りました。今後いじめ等に関する総合的な相談の仕組みづくりについては、小学校におけるスクールカウンセラーの拡充も含めまして、他の自治体なども研究しながら取り組んでまいります。

大和田議員:また、スクールカウンセラーと同じくスクールソーシャルワーカーの増員も必要です。スクールソーシャルワーカーは、社会福祉の専門性を持ち、学校訪問を行い、生徒の課題がどういうものかについて分析し、手立てや家庭への必要な福祉的支援を行っています。横浜市では、正規職員が6名、会計年度任用職員が55名となっており、いじめ再発防止に向けた学校体制の強化に向けた取り組みを進めるためには不可欠な存在です。スクールカウンセラーよりも少ないスクールソーシャルワーカーの増員も必要であると考えますが、教育長の見解を伺います。
下田教育長:スクールソーシャルワーカーの増員についてですが、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーは、家庭や地域と連携したいじめや不登校対応などにおいて、その果たす役割は非常に大きいと認識しております。今回は児童生徒を心理的に支援をするスクールカウンセラーの配置の充実を先行して取り組むことといたしましたが、スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーとの効果的な連携、役割分担を見極めた上で総合的な仕組みを検討してまいります。

校内ハートフルの全校実施を歓迎し、専用教室の確実な確保を
大和田議員:次に、「不登校児童生徒支援事業(校内ハートフル事業)」についてです。
これまで、80校の中学校で実施している不登校支援のための校内ハートフルを今回中学校の全校146校で実施するものです。この取り組みを高く評価し、歓迎するものです。
先日、市内中学校の校内ハートフルの視察を行いました。2020年度から校内ハートフルに取り組み、保護者の了解を得て20数名の生徒が登録しています。昨年度までは授業や学習に重点を置いてきましたが、現在は、コミュニケーションと体を動かすことに力を入れ、それぞれの生徒の状況に応じた取り組みとなっているとのことでした。
視察した日は、8人の生徒がそれぞれ自分なりに興味あることに取り組んでおり、登校時間も生徒自身で決め、その笑顔が印象的で、それぞれの個性が生かされている場であると実感しました。
この中学校では教室不足が深刻で、教職員専用の会議室や休養室が設置できておらず、そんな中、当初、ハートフル専用の教室を捻出し、更に今年度からは、より環境の良い場所でということで、PTAが使用していた教室をハートフル専用の教室として大改造したとのことです。他の中学校では、ハートフル専用の教室が配置されていないところもあると聞いています。
現在、校内ハートフルのための教室が他の教室と兼用している実態があるのではないでしょうか。今後、校内ハートフル事業を中学校で全校展開する上で、ハートフル専用の教室が必要であると考えますが、教育長の見解を伺います。
下田教育長:校内ハートフル専用の教室についてですが、学校ごとに制約はありますが、まずは少しでも早く教室以外に安心して過ごせる場所を確保することに優先して取り組みを進めております。その上で校内ハートフルを利用する生徒一人一人にあった支援、多様な学びを提供できる、より良い環境を学校と連携し整えてまいります。

大和田議員:不登校対策を進めるために、現在の教職員の業務の抜本的な見直しと軽減をすすめることによって、教師の多忙化を解消し、教職員が児童・生徒一人ひとりと関われる時間とゆとりを充分に保障することが必要であると考えます。
更なる改善を求め、質問を終わります。       

第二質問
大和田議員:教育長の質問に回答いたして再度質問します。特に小学校のスクールカウンセラーについて明確な回答がありませんでした。小学校の小学校5、6年を中心に女子生徒は10歳ぐらいから思春期が始まります。この時に、実際に非常に重要な時期ではないでしょうか。この件数も小学校では52,220件って一番多いんですよね。そういう意味で、小学校に対しても中学と同等に少なくとも重視していく必要があるんじゃないかと思うんですが、その点の回答はありません。
それから2つ目にハートフルの専用の教室について必要だと思います。どの学校でも今教室不足で深刻です。本当に教職員専用の会議室とか休憩室がないというのは、これは法律違反になってしまいますよね。本当に緊急の課題ではないでしょうか。専用のハートフルの専用の教室はもちろん、教室不足対策というものを同時に行っていただければ、これは非常に不十分な体制が続くと思います。この点についてはきちんと検討し、回答をお願いしたいと思います。以上です
下田教育長:ご質問いただきました小学校の拡充については、私自身も小学校校長先生、それから中学校現場の声を聞いて、小学校に需要があることは承知しております。今回は、特に思春期にある中学校、高校、特別支援学校を先行し、短い期間で質の高いスクールカウンセラーを、確保するということを総合して判断したということをお答えしました。決して小学校のスクールカウンセラーについて重視していないということではございません。校内ハートフルの専用についてもお答えをいたしましたが、学校ごとに制約がある中で空間を確保すること。そのことを大切にしておりますが、課題があることについても私としても承知をしております。その上で学校と連携をして工夫をしながらその課題をしっかりと解決するように努力してまいります。ご答弁申し上げました。


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