議会での質問・討論(詳細)
2024年3月26日

■追加議案・請願討論 大和田あきお 2024.3.26 

一元化される児童発達支援センターは、利用者負担増がでないよう手立てを

大和田:大和田あきおです。日本共産党を代表して、討論を行います。

まず、市第158号議案は、児童福祉法の一部改正に伴う、横浜市児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例等3つの条例の一部改正です。

法の一部改正によって、「児童発達支援センター」について、「福祉型」と「医療型」という類型を廃止して、「児童発達支援センター」に一元化します。多様な障害児が身近な地域で支援を受けられる体制を促進する観点からの改正としており、この点では賛成するものです。一方、「医療型児童発達支援センター」のこれまでの利用者と比べて、このままでは最大月額13,084円もの負担増になるとの試算が出されています。親の所得や通園回数で負担に大きな差が出ることは、問題です。このまま負担増になる事は認めることができません。市として、負担増が発生しないよう対策をとる必要があるのではないでしょうか。こどもの最善の利益優先を大原則にし、児童発達支援センターに通う子どもたちも、保育所、幼稚園、認定子ども園等に通う子どもたちと等しく、十分な通園日数・時間・職員体制・環境が保障されるようすべきです。

障害者の意向尊重できる入居施設政策の拡充を

次に、市第159号議案、横浜市指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備、運営等の基準に関する条例等の一部改正についてです。この議案は、障害者が希望する地域生活を実現・継続するための支援や、就労支援に関する改定であり、賛成しますが、次の2点については、更なる拡充と改善を求めます。

1つ目は、議案の中にある障害者入所施設における地域移行の推進についてです。問題点は、地域移行が、国の示す「入所施設削減ありき」で進められるという側面です。

国は、2023年度までに、施設入所者数を2019年度比1.6%以上削減し、地域移行者数を6%以上とする目標を立て、2027年までに更に削減をする目標を示しています。この国の目標に沿って、機械的に進めてしまっては、当事者の意思を尊重し、寄り添う障害者入居施設の施策から遠のく恐れがあります。

本市の第4期障害者プランには、「アパートでの一人暮らしやグループホーム、入所施設での暮らしなど、障害のある人も自分が住みたい場所で暮らせるようにする」とあります。ぜひ、この当事者の意向を尊重する方向を堅持して進めていただくよう要望します。

また、障害者が住みたい場所としてグループホームを選ぶにあたっては、障害特性や日中活動に通える距離にあることも含めて、本人の意向に合う候補先として数が足りていることが必要です。本市は障害者グループホームを毎年200軒ずつ増やしていくことは評価しますが、精神障害、知的障害など「障害種別」の増設計画となっていないことが課題だと考えています。今後はぜひ障害種別の増設数の計画を策定して進めていただくよう要望します。

現在、障害福祉施策は、居宅サービスはもちろん、グループホームや入所施設などの社会資源の絶対的不足が慢性化しており、結果として多くの障害児者が家族の介護に依存した生活を余儀なくされています。家族に依存した生活の長期化は、精神的にも経済的にも相互依存をより助長し、障害児者の自立をますます困難なものにしています。障害者の入居施設を考える時は、ぜひこの問題に光を充て、手当することを重視していただきたいと思います。

障害者就労支援の方針策定を

2つ目は、就労支援についてです。今回、障害者が体調や心の状態に合わせて、福祉的なサービスを受けながら働く「福祉的就労」へつなげる取り組みとして、就労選択支援事業が新たに創設されます。2025年から就労継続支援B型事業所・A型事業所等での作業体験の支援が想定されています。だれもが暮らやすい社会にするために、障害のある人も安心して働ける環境づくりや支援は、本市の重要な施策の一つです。これを機に、本市の障害者就労支援に関連する事業を更に強化する必要があると考えます。

本市には、全国でも先進的な取り組みをしている9か所の就労支援センターがあります。その実践を踏まえながら、就労支援センター・特別支援学校卒業時の就労支援など含めた、就労支援全体の方針を策定するなど更なる施策の拡充を行うことを求めます。

ケアマネの業務負担増、施設人員配置基準引き下げは認められない

次に、市第160号議案「横浜市指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準等に関する条例等の一部改正」については、反対です。

条例改定の最大の問題点は、本市の待ったなしの課題である介護人材の不足の解消に進むとは考えられないことや、むしろ介護の担い手不足に拍車をかけてしまうことにつながる恐れがあります。

具体的に指摘します。
1点目に、議案にある「地域包括ケアシステムの推進」において、ケアマネージャーが働く居宅介護支援事業所の人員配置が含まれています。ケアマネージャーはケアプランを作成し定期的な状況の確認を行う業務ですが、要支援1・2の人のケアプラン作成などは、これまで地域包括支援センターで行われていましたが、2024年度から居宅介護支援事業所が直接実施することができるようになり、報酬単価が増額されるものの、ケアマネージャー 一人が扱うケース数の上限が35件から最大50件未満に引き上げられます。3分の1と換算する要支援の件数を含めれば、これまで以上に業務が増えることは明らかです。ケアマネージャーは、医療連携の必要なケースや困難なケースを扱うことも多く、今回、一人の持ち件数が増えれば、ケアマネージャー一人の負担が過重となることは明らかです。

現在、居宅介護支援事業所のケアマネジャー数はここ数年減少しており、高齢者人口、サービス利用者数の急増に対応するためにはケアマネジャーの不足が深刻な問題となっています。

その理由の一つは、ケアマネジャーの仕事がますます多様化しており、介護保険に限定されない業務も担当することが求められていることです。また、介護保険に関連する書類の不備を調査する実地指導があり、これに対するペナルティも非常に大きいため、ケアマネジャーの責任は非常に重いものとなっています。そのため、資格があってもケアマネージャーの仕事につかない人が多くいることが指摘されています。
このままでは、一層、ケアマネージャー不足に拍車がかかり、ケアマネージャーの確保や定着に向けた施策に逆行するものです。

2点目として、今回の提案で、介護付き有料老人ホームでの人員配置基準の引き下げが行われます。通常、利用者3人に職員1人のところ、見守りセンサー等を複数設置するなどで認められれば、職員0.9人でよいとされます。すでに人材不足が深刻化している特別養護老人ホームにおいて、同様の見守りセンサー等の設置による夜間の職員数の引き下げが行われています。しかし機械の役割は、あくまで補助や効率化です。職員の代わりはできません。機器の活用で配置人数を下げるということは、介護現場の個々の介護職員にとってはさらなる過重労働となり、現在の人員不足に拍車をかけることになります。

日限山小学校・南舞岡小学校の統廃合計画の見直し求める請願は採択を

次に、請願第59号『日限山小学校・南舞岡小学校』通学区域と学校規模適正化検討部会の一時中断についてです。

請願は、横浜市学校統廃合を考える会が、以下の2点を求めています。
一つは、日限山小学校と南舞岡小学校の通学区域と学校規模適正化検討部会を一旦中断すること。
二つ目に、通学区域と学校規模適正化検討部会の委員を再選考してほしいというものです。

なぜ、このような請願が出されたのか、市民から私に届いている声を紹介します。

  • 「南舞岡小学校は地域の宝であり、少人数で困るということはない。児童数が少ない方がきめ細やかな教育ができると思う。今、極端に南舞岡小学校の児童数が少ないわけではないので、このまま続けていってほしい」
  • 「小学校がない地域には子育て世代が来ないので衰退していく。今の学校に人がたくさん来るようにするためにどうしたらいいのかをもっと考えてほしい」
  • 「南舞岡小学校は規模が小さいので、個別支援の子どもたちが安心していられる場所になっている」
  • 「南舞岡小学校が統廃合になった場合、子どもたちは、日限山小学校まで通学に時間もかかり、交通量の多い、大きな道路を渡らないといけないので危険である」
  • 「学校は、地域コミュニティの中心的役割を果たすものである」など、多くの意見が出されています。

そもそも、統廃合は、財政的理由によるものであり、何の教育的な根拠もありません。

その証拠に、1973年当時の文部省・初等中等教育局長通達「公立小・中学校の統廃合について」では、「小規模校には教職員と児童生徒の人間的ふれあいや個別指導の面で小規模校としての教育上の利点も考えられる」と、小規模校の価値を認めてきました。

また、1973年3月7日、衆院・予算委員会で、文部省初等中等教育局長は、12学級~18学級を適正規模とすることについて、「学問的なあるいは科学的な見地からこれが最適であるというのは、教育につきましてはなかなかそういうような判断は出しにくい」と語り、「学校の適正規模」とされてきた「12学級~18学級」に教育学的根拠はないことが前提になっています。

請願の趣旨として、住民説明会が2022年5月に両校で1回ずつ開かれて以降、教育委員会に説明会の開催を再三求めてきたものの開催されないこと。検討部会開催後の検討部会ニュースで住民多数の意見が反映されないまま進められていることをあげています。

2018年の市教委が示した基本方針で小規模校対策として「保護者や地域住民と十分に調整を図り、理解と協力を得ながら」とされていますが、住民の要望を踏まえず、検討部会を公開していないなかで、児童や保護者・地域住民の理解と協力は得られるはずがありません。

また、請願は、児童や保護者・地域住民の意見を反映させることを重視した委員の構成も求めています。

児童や保護者・地域住民の意見をしっかり聞くことを求めた請願は、採択すべきと考えます。市会のみなさんのご賛同を心からお願いをし、討論を終わります。 


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