議会での質問・討論(詳細)
2024年3月26日

■予算議案討論 白井まさ子 2024. 3.26

日本共産党を代表して、2024年度横浜市一般会計予算案に賛成の立場から討論します。

今回、山中竹春市長が編成した1兆9156億円の一般会計予算案は、子育て応援の施策や脱炭素施策など、「山中カラー」が出た予算案だと受け止めており、「子育て支援」や「誰もが自分らしく暮らせるまちづくり」などの方向性については歓迎します。しかし、新規に立ち上げた施策や拡充された事業の一つ一つの内容については、もっと現場の実態にあったものに改善・拡充をしていく必要があると考えます。懸念されるのは、有料入場者数見込みが半年で1000万人と過大規模となっている国際園芸博覧会、民間巨大給食工場で調理する弁当を各学校に届けるという全員制中学校給食は、抜本的な見直しを求めるものです。

付帯意見にある妊婦健康診査費用の負担軽減については、まったく同感で、出産費用ゼロと合わせて両方やりましょう。市議団は2008年に、それまで5回だった補助回数と補助額の引き上げを求めて、2009年度に補助回数が14回に増え、それ以降も補助額の引き上げを求め続けています。また、高すぎる国保料、介護保険料、後期高齢者医療保険料の引き下げはまったなしで、生活に困っている市民の暮らしと営業を支える施策の規模もメニューもまだまだ足りません。財源というのであれば、都心臨海部、横浜駅周辺、関内・関外地区など不要不急の大型開発、大企業などに多額の助成金を配る企業立地条例などの中止で、過度な財政出動は見直し、予算は市民生活を支える施策に厚く振り向けるべきです。また、みどり税については、市民に16年間にわたって超過課税をしてきましたが、目的である緑の総量を守ることができていません。緑を壊す宅地開発の規制がないままでは、緑の保全・創出という市の最重要課題に対処できません。緑の保全・創出は超過課税でなく、一般財源で位置づけて進めることが必要です。また、市立保育所2園の民間移管、小学校給食4校の民間委託拡大などで安定雇用が減らされることは問題です。見直しを求めます。

具体的な施策についてですが、市長公約の「出産費用ゼロ」については、今回、出産育児一時金50万円に、市独自に上限9万円を上乗せ支給します。昨年度、中3まで無料となった小児医療費助成の拡大に続く、子育てしやすい横浜に向けた施策の拡充であり歓迎します。市内公立病院の出産基礎的費用を全額カバーできるとしていますが、どの出産施設でも基礎的費用が文字通りゼロとなるよう求めます。

保育所での、おむつなど持ち物負担の軽減や紙おむつ処分費用の助成、学童保育と放課後キッズクラブでの、夏休み期間中に昼食提供のモデル実施、小学校始業前の朝の居場所づくりのモデル実施が始まります。これら、保護者要望に応える姿勢は評価できますが、保護者や現場で働く人の声をよく聞いた施策とすることが必要です。

第三者によるいじめ重大事態調査結果において、2020年3月に中学生の尊い命が失われ、当時、保護者からいじめを原因として自殺したものであるとの訴えがされていたのに、教育委員会としていじめ重大事態の調査をせず、遅れての今回の調査となった経過が明らかです。原発いじめで苦しみ不登校となった児童について、保護者が調査を申し出ていたにも関わらず、第三者によるいじめ重大事態調査の着手までに1年7か月を要し、調査に困難を生じさせた。その反省の上に、適格にいじめ重大事態調査の判断を行うとされました。しかし、本事案も、いじめで苦しみ不登校となった生徒に第三者によるいじめ重大事態調査が行われず、なくなった時点でも第三者による調査の必要を判断しなかった教育委員会について徹底的な調査が必要です。根深い問題に市議団としても力を入れます。

中学校給食は、2026年度からの全員喫食に向けて、市内外の民間の巨大給食工場で作った弁当を各学校に届ける計画をすすめ、現行36%の喫食率を新年度46%にするとしています。みんなが食べられる中学校給食には賛成ですが、実施方式は、小学校の給食のような学校調理方式にしていくことが、横浜の中学校給食の進むべき道だと考えています。

2023年に市外の民間工場の鍋で見つかったたばこ吸い殻事件は、本市保健所の立ち入り調査ができず、未解明のままで、年末には、1万3,000食の製造に参入予定だった事業者が食中毒で取引事業者から外されました。事業が始まってから事故が起これば、何十校もの給食が止まります。デリバリー方式は、食中毒対策のためにおかずを急冷して運ぶことから、他都市では生徒の評判が悪く直接調理方式等に切り替えている自治体が広がっています。また、運搬等のリスクとコストが高く、弁当への盛り付けが発生するために調理が深夜からスタートする過酷な労働を強いることから、計画の見直しを強く求めてきました。市教委の試算でも全校一斉実施にこだわらなければ、半数以上の学校で出来るとした学校調理方式を、できる学校から始めること、また、次善策として、新設する市内給食工場を、調理から2時間以内に食缶を運ぶ給食センターとして活用し、あたたかい給食に向かうことを求めます。生徒の声を聞き、署名を広げる市民運動が大きくなっており、力を合わせます。

上瀬谷で2027年に開催される国際園芸博覧会の関連予算は、広報費、会場建設費の市負担分、市外企業からの寄付の基金などで、また、会場計画の具体化、来場者輸送対策、ボランティア計画策定としています。問題は、開催期間半年の想定有料入場者数1000万人を集めようとするあまり、道路整備など莫大な費用がかかる輸送手段の新設、園芸博後の巨大テーマパーク誘致に向けた大規模土地改変で貴重な緑が破壊されてしまう計画になっていることです。さらに、整備費・運営費・その他も含めて公費負担が膨らみつづける大阪万博と同じ道を進むようであれば、とても市民の理解は得られません。公費負担が膨大に膨らむことが予測される時点で速やかに、有料入場者数の大幅縮小に踏み込んだ抜本的な見直しを行うべきです。市長は、先日行われた3年前プレイベントのフラワーフェスタで「世界中の皆様の記憶に残るGREEN×EXPOを市民の皆様とともに作り上げていく」とあいさつされました。そのためには、開催地庭園の内容を含めて、具体的な全体像を早く示し、市民の検証と提案も受けながら内容を練り上げていく作業は必須となるのではないでしょうか。

市長公約の地域交通の充実に向け、「地域交通サポート事業」や実証実験中の事業などを踏まえ、行政が潜在的な移動ニーズを掘り起こす「プッシュ型」施策への転換、また、新たな移動サービスの導入・持続のための支援内容の拡充など公費負担のあり方を検討するとしています。また、敬老パスは、IC化後の利用実績が明らかになり、介護予防的な効果も検証するとしています。市長公約の75歳以上自己負担ゼロに向け、健康寿命の延びによる医療費抑制など社会的効果を検証し、予算を充てることを要望します。また、JR・私鉄でも利用できるよう求めます。一方で、市営バスは、バスドライバーの働き方改革を理由に、4月に290減便するとしています。働き方改革は当然ですが、大幅な減便では公営交通の責任は果たせません。市民の足を守るという視点に立った改善型公営交通の見直しが必要です。また、4月に横浜でライドシェア解禁とされていますが、タクシー運転手不足の悪循環の中、市民の足を守る施策の拡充は、ライドシェアではないと考えます。現場で働く運転手の処遇改善などで、働く労働者を守ってこそ発展させることができると考えます。

脱炭素に関わる施策の予算倍増は、気候危機対策へ、本市の取り組みが一歩前進と評価しますが、横浜発祥の次世代型太陽光発電ペロブスカイトの普及拡大などは求められているスピードや規模に比べ、少なすぎる予算であり、更なる引き上げが必要です。また、温暖化対策を統括する本部を無くす局編成は、姿勢が問われるもので再検討を求めます。さらに横浜港で水素・アンモニアを大量輸入・貯蔵する計画が進んでいますが、原産国で大量の二酸化炭素を排出するグレー水素などを規制する仕組みがない中では、石炭火力発電の延命策と批判されている日本政府のエネルギー戦略に乗るものであり、大都市横浜が果たすべき再エネ普及や省エネ促進から遠ざかるものと考えます。

能登半島地震を受けて、本市の新たな地震防災戦略の策定が予定されています。施策の総点検に向けては、示されている深刻な被害想定に見合う本気の備えが必要です。すべての防災計画に女性や障害当事者、ジェンダーの視点を入れ、避難支援が必要な方への個別の避難計画を早急に作成し、リアルな被災状況を想定した防災訓練が必要です。また、地域防災拠点が避難所と合わせて在宅避難者支援の拠点ともなることを市民に周知し、避難所のありかたを抜本的に見直すことを求めます。

ロシアのウクライナ侵略、イスラエルのパレスチナ・ガザ地区への武力攻撃が続くなか、アメリカの対中国戦略の一環で、横浜港のど真ん中にある米軍基地横浜ノース・ドックが、沖縄県読谷村に司令部がある在日米陸軍第10支援群のもとにおかれ、2月8日に、100人配備で大型揚陸艇の運用が始まりました。今年中に280人まで増員されます。沖縄で米海兵隊や陸軍特殊部隊と一体で活動し、中国を想定したミサイルなども運ぶことになり、横浜が対中国の前線基地にされようとしています。また、ノース・ドック経由で横田基地に配備され、墜落死亡事故を起こしたオスプレイですが、運行が再開されます。これら米軍基地機能強化は、本市が掲げている米軍基地早期全面返還が遠のくもので許されません。本市は、基地対策の取り組みを市民利用施設などでパネル展を行い知らせるとしています。機運を醸成し、市民とともに返還を実現させるべきです。新年度に、基地対策課が政策局から都市整備局に移管されることは、返還跡地活用が優先され、横浜ノース・ドック、安善貯油施設などの米軍基地を抱える本市の基地対策機能が低下することになりかねません。

自衛隊員募集のダイレクトメールの宛先として、本市は若者の氏名・住所をタックシールに印刷して自衛隊に提供しており、新年度は18歳になる若者の情報を提供するとしています。個人情報保護の重要性が言われている中、市民に知らせず、勝手に渡していることは問題です。運動と議会質問によって、除外申請が受け付けられることになりました。提供そのものを中止するべきです。

最後に、自民党派閥の裏金事件を巡って、深刻な政治不信が起きています。「裏金を受領した議員には遅滞上乗せで課税し、議員辞職させるべき」などの怒りの声が報道されています。政治不信の根を絶つ本気の改革を行わなければ信頼を取り戻すことはできません。金権腐敗政治の根を断つためには、企業・団体による政治資金パーティー券購入含め、企業・団体献金の全面禁止が必要です。政治資金の収支の公開は誰がこのシステムをつくり育て活用したのか、裏金は何に使われたのか、全容解明なくして再発防止はありません。日本共産党は、企業団体献金も政党助成金も受らない政党として、民主政治の根幹である政治とお金の透明性と公開性を追求し、政治への信頼を取り戻す役割をしっかり果たしていく決意を述べ、討論を終わります。

本会議の発言全文


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