◆荒木委員 日本共産党を代表して質問いたします。よろしくお願いします。
まず、中小企業におけるコロナの影響とその対策について伺ってまいります。
経済局における一般会計予算は1577億円で、そのうち1480億円は金融対策費、これで94%を占めています。融資を除く施策として経済局が予算を組める額は97億円と僅かです。この点についての局長の見解を伺います。
◎星崎経済局長 貴重な財源を有効に活用し、横浜経済の回復につなげていく視点で予算編成を進めてまいりました。直近の自社業況BSIはマイナス26.0で、コロナ影響前の数値まではいまだ回復しておりません。今後も感染症の拡大やウクライナ情勢による影響、債務残高の増加に伴う倒産増加等が懸念されます。大変厳しい状況にある市内中小小規模事業者の皆様がコロナ禍での影響や変化に対応し市内経済の好循環を生み出していけるよう予算を編成いたしました。
◆荒木委員 必死な思いで97億円を政策的にどう使うかというのも問われていると思います。この少ない額で施策を検討しより効果が出るように考えて予算編成しているのは理解できます。コロナの影響を受けている中小企業に対してどういう施策を検討したのか、伺います。
◎星崎経済局長 厳しい経営状況にある中小小規模事業者の皆様の事業継続をお支えするため、企業訪問やオンラインによる経営相談、資金繰り支援、設備投資の支援など基礎的な支援にしっかりと取り組みます。また、脱炭素化やデジタル化などの新たな視点を踏まえ助成制度を新設、拡充するなど、中小小規模事業者の皆様の成長と発展を支援し横浜経済の力強い回復につなげてまいります。
◆荒木委員 新型コロナの影響を受けた小規模事業者の影響実態について、特に時間短縮要請を受けた飲食業、飲食の卸をしている小売店、それ以外の自営業者などの廃業等の状況について把握しているのでしょうか。
◎名倉副局長兼政策調整部長 先ほど御答弁申し上げました直近の自社業況BSI、全産業がマイナス26.0であるのに対しまして、小規模事業者はマイナス32.2、飲食業はマイナス76.2と大変低い数値となっております。また、民間の調査結果によると、令和3年の市内の休廃業、解散件数は1242件で前年から2.4%減少いたしました。産業別の内訳では、飲食業や宿泊業などを含むサービス業ほかが437件と最も多く、全体に占める割合は35.2%で、件数は前年から4.5%増加をいたしました。
◆荒木委員 これら小規模事業者からの営業存続についてここ2年間の相談件数はどうだったのか、伺います。
◎高橋中小企業振興部長 IDEC横浜では、小規模事業者様向け無料出張相談を行っております。相談件数は、令和元年度は262件、令和2年度は318件となっております。
◆荒木委員 こういう相談ができるところはいいのですけれども、結局、お金を借りると返済しなければいけないのです。この点では景気が回復している状況にはなく、先ほど局長がお答えいただいたようにロシアの戦争が始まった状況ですとか、いまだにコロナが終息していないというところで、まだまだ景気回復という点でも見えていないという点について、借りないとまた営業ができない実態、この点の相談はどういう傾向になっているでしょうか。
◎星崎経済局長 横浜市信用保証協会における制度融資の新規保証承諾件数は、コロナ前の令和2年1月末で5723件、令和3年1月末で2万2605件と急増し、直近の令和4年1月末では4393件とコロナ前と比較すると減少しております。また、既に借り入れた債務の横浜市信用保証協会への条件変更の御相談については、令和2年度では4583件、令和3年度は1月末現在で3780件対応しております。
◆荒木委員 条件変更もしたとしても借りたお金を返済するのを少し先延ばしするとか、利率が低いものに借り換えるとか、できることはもうかなり皆さんやっていらっしゃると思うのです。金融機関からの債務の免除及び返済の大幅猶予など、こういう制度も創設するという考えはないのでしょうか。
◎星崎経済局長 金融機関と事業者は、本市制度融資のお申込みの際に金銭消費貸借契約を交わしておりまして、契約に基づいて事業者は借入金の返済を行います。そのため本市が債務を免除することはできません。なお、金融機関は企業の皆様からの条件変更の御要望について事業者の実情に応じて柔軟な対応を行っており、金融庁によりますと全国的に条件変更の申込みについて99%応じている状況です。
◆荒木委員 高い確率でいろいろ対応していただいているのは分かります。
今年の2月10日から受付をした小規模事業者の緊急支援は非常にニーズが高くて応募倍率が高かったと聞いています。どうなっていたでしょうか。
◎高橋中小企業振興部長 事前エントリーでは2801件のお申込みをいただきました。事業形態で見ますと法人が61%、個人事業主が39%となっておりまして、業種別では飲食サービス業が14%と一番多く、次に学術研究、専門・技術サービスが13%、生活関連サービス業、娯楽業が12%となっております。なお、想定交付件数1000件を超える応募があったため、キャンセル分や補助額が上限に達しない申請があることを見越しまして、無作為に1500者を抽出いたしまして事前エントリーの確定者とさせていただいております。
◆荒木委員 この制度をつくった目的が何だったのか、また、この制度は市の単独事業だったのかどうか、併せて伺います。
◎星崎経済局長 オミクロン株による感染が急拡大する中、従業員が少なく感染の影響の大きい小規模事業者を対象に感染症対策に資する設備等の導入を補助することで感染防止を図り、事業継続を支援する事業でございます。財源につきましては国の臨時交付金を充当する予定です。
◆荒木委員 国の交付金でやるという話で、ただ、このメニュー自体、先ほど非常に倍率も高かったようにニーズはあったわけです。私の知り合いの弘明寺商店街の方に聞いたら、抽せんに外れてすごくがっかりして困っているとおっしゃっていました。生活支援関連で言うと、やはり来客の方に対しては空気を清浄化するようなものを使いたかったのだという話で、営業していくにはそれがニーズが高くて、そういうものが買える、この金額で非常にマッチしていたということなのです。国の交付金を使うのはいいのですけれども、そういうのも今のニーズに合わせると、来年度の予算の中にこれぐらいの少額で返済もかなり少なくて済むと、ある意味では10分の9ですからほぼ補助金に近いものです。そういうメニューをつくっていくという考えはないのかどうか、改めて伺います。
◎星崎経済局長 現在の急激な感染拡大に対し影響の大きい小規模事業者の皆様を対象に緊急的に対応したものでございます。今後も、感染状況を見ながら支援の必要性を検討してまいります。
◆荒木委員 びっくりしたのは、これは2月10日から2月16日とエントリーしたのは本当に短期だったのです。だけれども、知らせることも含めて、皆さんこれを知ってばっと申し込んだわけですから、やはりそれだけニーズがあるということを反映している表れだったと思いますから、ぜひ新しいまたメニューをつくっていただいて、借りるよりも少なくて済む、助成のタイプでできる。林副市長、ぜひそこは、現場大好きな方なので検討していただけますか。
◎林副市長 局長が申し上げましたとおりニーズが多いことは把握していますので、また今後状況に応じて検討してまいりたいと思います。
◆荒木委員 ぜひ、地元は中小企業、特に小規模事業者の方たちは返済なしのものを望んでいらっしゃるので、新しいメニューを考えていただきたいと思います。
次に、経営的に厳しい小規模事業者にとっては、融資ではなく先ほども伝えたとおり補助制度がどれほど助かるか、そういう声を本当にたくさんいただいています。県や国の制度以外で本市の支援制度にどういうものがあるのか、伺います。
◎名倉副局長兼政策調整部長 令和4年度予算では、小規模事業者の皆様が生産性向上のために導入するキャッシュレス機器や会計ソフトなどの経費を助成いたします。また、グリーンリカバリー設備投資助成や中小企業デジタル化推進事業等により小規模事業者も含めた中小企業の皆様の脱炭素化やデジタル化を支援します。訪問やオンラインによる無料相談なども併せて実施し、小規模事業者の皆様の事業継続を御支援いたします。
◆荒木委員 横浜市も今はキャッシュレスとかグリーンリカバリーとかと分かるのですけれども、一番は事業を継続できるようなメニューが欲しいということだと思います。国に対し再度の持続化給付金実施を要求してはどうか、また、申請手続は本当に大変だったので簡素化についても併せて国に求めたいと思いますが、どうでしょうか。
◎星崎経済局長 本市では、令和3年6月と11月に国に対し、給付施策の継続や給付額の引上げ、申請サポート等を要望いたしました。引き続き必要な支援策や申請手続の見直しなどを要望してまいります。なお、国では、各自治体からの要望を受けて持続化給付金の第二弾とも言える事業復活支援金の申請を令和4年1月から開始するとともに、雇用調整助成金の特例措置を6月まで延長する予定です。
◆荒木委員 予定になったら、それがはっきりしたらすぐにまた事業者さんにもお知らせいただきたいと思います。
一番中小小規模事業者にとって効果的なのは消費税を減税することです。コロナの影響が大きいことを受けてこれまでに50か国が消費税減税等の付加価値税減税を実施しています。副市長に国に消費税減税を求める考えはないか、伺います。
◎林副市長 消費税を減税した場合に消費促進の効果があるということは私ども予測できますが、一方で消費税は年金、医療、介護などの社会保障給付や少子化に対処するための施策など市民生活を下支えする扶助費の財源にもなっております。今後ますます少子高齢化が進み、福祉、保健、医療サービスに対するニーズは増大が見込まれる中で、現状においてもこれからさらに需要と財源のギャップが広がることが懸念されていますので、ギャップを解消できるシナリオが現時点で持てていない段階では減税を求めることは難しいと考えております。
◆荒木委員 そこは意見は一致しませんけれども、社会保障費の財源だといっても、国は全く社会保障費の減税を使っていないですから、もうこれは間違えた考え方だと思っているので、ぜひ消費税減税を求めていただきたいと思います。小規模事業者に限って減税している国もあります。諸外国の例を参考にして市内の99.5%を占める中小企業を守るために取り組んでいくことも要望しておきます。
次に、企業立地促進条例について伺います。
新年度予算で1億円以上の助成を出す大企業と中小企業はそれぞれ何社認定されているのか、伺います。
◎嶋崎誘致推進部長 令和4年度予算において1億円以上の助成金を交付する企業は9社となっており、全て大企業となっております。
◆荒木委員 企業立地促進条例により経済波及効果が高いということでこの制度をずっとやっているわけです。そもそも体力のある大企業にそれだけ助成することによって支援の経済波及効果があると言える根拠について伺います。
◎星崎経済局長 本条例は、企業の規模にかかわらず経営や財務が安定した企業に御活用いただいています。経済波及効果は認定企業の雇用者数や投資額を用いて横浜市産業連関表により生産誘発額を試算しています。これまで認定した150件では、建設投資に伴って1兆2631億円、事業活動に伴って5兆1842億円、合計で6兆4473億円の経済波及効果を見込んでおります。
◆荒木委員 その数字は数字で聞いておきますけれども、中外製薬に助成することを認定した時期と助成額について伺います。
◎嶋崎誘致推進部長 平成29年3月に企業立地促進条例に基づく認定を行いました。認定投資額は約836億円で、認定時の助成予定額は20億円です。
◆荒木委員 それ以外に5年間で固定資産税とかの減税はありますか。
◎嶋崎誘致推進部長 税軽減といたしまして15億6400万円ございます。
◆荒木委員 合わせると35億6400万円。助成金と減税の恩恵を受けて中外製薬は戸塚に研究拠点施設を建てている現在です。この場所に盛土をして研究所を建てることについて、近隣住民が2019年に予定地に盛土をすると周辺住宅の浸水の危険性を増大させるとして市に開発許可を出さないように求める訴訟を横浜地裁に起こしています。経済局は承知しているでしょうか。
◎星崎経済局長 令和元年7月に横浜地方裁判所に訴えの提起がなされ、現在も係争中と承知しております。
◆荒木委員 訴えの内容は今説明したとおりで、約7割に盛土を施して地盤を最大2メートルかさ上げする、研究棟など7棟を建てる。原告側は、予定地北側エリアはかねて洪水の危険性が指摘されている低地のため、盛土をすることで内水の浸水被害を増大させると主張しています。施設に設置予定の雨水流出制御槽の排水能力では対応し切れず盛土以外の工法に切り替えるよう求めています。中外製薬が企業立地促進条例の助成金を市から得ると今金額をお聞きしました20億円、減税を含めて35億6400万円。その一方で住民の安全という視点とは間違った方向で研究拠点施設を建設しているという認識は経済局にはおありでしょうか。
◎星崎経済局長 当該施設の開発に当たりましては、本市の担当部署によって適法に開発許可が出され、研究所の建設が進められているものと認識しております。
◆荒木委員 適法だと言うのですけれども、住民の安全安心をないがしろにするような適法があっていいのかどうかという点では問題があると思います。この問題は、特に企業立地促進条例の目的から逸脱するような助成と私たちは考えるのです。認定を取り消すなどの見直しをするべきだと考えますが、いかがでしょうか。
◎星崎経済局長 認定の取消しを行うことができますのは、条例第6条によりまして、認定事業計画に従って企業立地等を行っていないと認めるとき、規則で定める期間内に事業を開始していないと認めるとき、廃止の届出があったとき、正当な理由なく本市への報告や立入検査等を拒んだとき、法令等または法令等に基づいてする行政庁の処分に違反したときと規定されています。当該施設の開発についてはこの規定のいずれにも該当していないため認定の取消しは行いません。
◆荒木委員 企業立地をすることで経済波及効果と盛んにおっしゃるのですけれども、中外製薬の当期の今状況を見ました。純利益で2021年度は売上9998億円、271%の増なのです。資生堂も見ました。資生堂もかなり景気はよくて541億円の増。ですから、これから企業立地促進条例で助成するという企業は内部留保も含めて物すごく今もうけているわけです。そういうところに助成金を出すというお金があるのだったら、市民の暮らしのために、小児医療費のために、そして経済局、中小企業のために使うべきだということを主張して、終わります。
議会での質問・討論(詳細)
2022年2月28日