苦境に立たされている市民へ本市独自の支援策を
宇佐美議員:日本共産党を代表し、市第55号議案 令和4年度横浜市一般会計補正予算(第4号)について伺います。
今回の補正予算案では、住民税非課税世帯等に対する給付金の給付に必要な歳入歳出補正を実施するとして、全額国費がこの給付事業に充てられます。実施概要は、対象者として、今年9月30日時点で本市に住民登録があり、世帯全員の今年度の住民税均等割りが非課税の407,500世帯と、今年1月から12月までの家計が急変し非課税世帯と同様の事情にあると認められる3,000世帯としています。開始時期は、今年11月中旬に申請を受付、受付けた順に支給され、申請の期限は、2023年1月31日までとなっています。
補正の内容として、電気・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金の給付にかかる事業費となっています。相次ぐ物価高騰と3年以上に及ぶコロナ禍によって市民生活は、より苦しくなっています。そもそも、物価高騰の大きな原因は、異常円安を促進させた「異次元の金融緩和」政策と『アベノミクス』による金融政策が手詰まりとなっている事実を認めようとしない岸田政権の無反省による結果です。日本共産党は、経済と国民生活を立て直すため、中小企業支援の抜本的強化による最低賃金1500円の実現と、緊急に消費税を5%に減税し、全ての国民を支援できる提案をし続けています。また、小規模事業者やフリーランスの方々を苦しめるインボイス制度の中止も求めています。さらに、370万人の年金収入200万円以上で、75歳以上の方々の医療費負担の2倍化が今月から実施されましたが、負担増の撤回を、国会で提起しました。
総務省が9月20日に発表した8月の消費者物価指数は、総合指数で前年同月比3.0%前月比0.3%上昇となりました。原油などの資源の高騰と急激な円安進行が様々な所に影響を及ぼし、10月からさまざまな商品、サービスの価格が上がります。飲料・食品の値上げについては、帝国データバンクが主要105社を対象に集計し、1日に公表した内容では、10月の1か月間では、6,699品目に上るそうです。今年1年間では、2万品目を超え、1世帯あたりの平均負担増は年間7万円になると試算されています。多くの市民が、いつまでこの状況が続くのか見通しがつかない状況に不安を感じています。
9月6日の議案関連質疑において、党市議団が行った質問に対し市長は「物価高騰をはじめとした現在の社会情勢のもと市民や事業者の皆様が広く影響を受けています。今後も社会情勢の変化を見極め、必要な方々に対し必要な支援を行ってまいります」と答弁しました。今回の補正予算案で、国の追加策にとどめ、本市独自で予算の上乗せをなぜしなかったのか、その理由は何か伺います。
山中市長:国の追加策を補正予算として提案した理由ですが、市民や事業者の皆様が置かれている状況を踏まえ、本定例会において原油価格・物価高騰や新型コロナウイルス関連の対策、また、横浜経済の活性化に向けた支援策などの補正予算を提案し、議決いただいた上で速やかな執行に向けて全庁を上げた取り組みを進めているところです。この度の住民税非課税世帯等に対する給付金は、国が全国一律かつ速やかな支援を決定したことから本市においても早急に対応するため、追加で提案をさせていただきました。引き続き必要な支援が行き届くよう適切な支援策を検討を実施してまいります。
給付金は、一刻も早く届くよう前倒し支給を
宇佐美議員:私は、駅頭で「5万円の支給は、まだですか?」と聞かれました。さらに別の方々から電話での問い合わせでも同じことを聞かれました。
安倍元首相の国葬問題がメディアを賑わしていた頃「国葬やっている場合じゃないでしょう!世中困っている人が沢山居るのに、たった1人のために、閣議決定だけで、私の払った税金の使い方を勝手に決めないでほしい!」と、多くの方々から怒りの声が寄せられました。
日本共産党市会議員だけでなく議員室にも、生活に困窮している方々から悲痛な声が寄せられます。「食品が何もかも値上がりして、スーパーの閉店間際の値引きされたお惣菜を買っている」 「値上げの商品が増えて生活を圧迫している」 「食料品だけでなく日用品も値上げされ、水光熱費も値上がりし、生活が苦しい」こういった声に対して、早期に給付金を支給し、生活を支えることが本市の役割と考えます。本市は既に生活に困窮している世帯を把握しているのですから、11月中旬からの申請受付を待つのではなく、1週間でも2週間でも良いですから、早期に支給を開始することを検討してはどうか伺います。
山中市長:給付金の前倒し支給についてですが、これまでの臨時特別給付金の支給実績があるなど、一定の要件を満たす世帯には、ご申請いただかなくとも登録済みの口座に支給します。今回の給付金は価格高騰による家計への影響が大きい方々を支援するものであり、迅速かつ確実に支給できるよう準備を進めます。
他都市のように給食費の減免を
宇佐美議員:本市は、国からの予算のみをそのまま給付に充てるとしていますが、お隣の川崎市は、市独自で物価高騰対策として、川崎市内に住む中学卒業前までの子どもが居る世帯に、子ども1人当たり1万円を支給する議案が本日議決される予定と聞いています。さらに、札幌市では、国からの支給と併せて、消費者物価指数の地域差などを考慮し、低所得世帯に対して、札幌市独自に1世帯あたり1万円を追加給付する議案を市議会で議決しています。さらに、北海道は低所得世帯の子どもに限定したものの、札幌市は、子育て世帯への支援策として、所得制限なしで18歳までの全ての子どもに対して1万円を支給することを、北海道生活と健康を守る会連合会の要望への回答で示しました。
先に述べたように、本市は、追加で独自の予算を組んでいません。市長は、子育て世帯への支援を基本戦略として掲げた中期計画の素案を作成したのですから、更なる支援策を講じる必要があると考えます。
先ほど議決された2021年度の一般会計決算では、実質収支で112億円の黒字となっています。半額を財政調整基金に繰入れ、56億円の余剰金が出ました。そこから9月補正で約31億円を既に使い、残り24億円が余剰金として手元に残っています。さらに、国が9月20日に地方創生臨時交付金追加分を交付する旨を各自治体に通知し、本市には、約50億円が交付される予定と聞いています。本市独自で子育て世帯のための何らかの手立てに活用することができないかと考えます。例えば、市内の小学生の給食費を減額するなどのことを検討してはどうかと考えます。市長の見解を伺います。
山中市長:本市独自の子育て世帯への支援として、給食費の減免をすべきとのことですが、物価高騰に対しては、保護者の負担を増やすことがないよう令和4年6月補正予算にて、臨時交付金を活用した物価高騰対策を実施しました。引き続き物価の推移と子育て世帯を含む市民生活への影響について注視をしてまいります。
市内経済支えている中小・小規模事業者へ財政支援を
宇佐美議員:物価高騰で、生活苦に喘いでいるのは、低所得世帯だけではありません。市内経済を支えている、中小企業・小規模事業者は、コロナ禍で融資を受けて必死で事業を成り立たせようとした矢先の物価高騰で、材料費が値上がりしてもお客に価格として転嫁できず、物を作って売っても利益が上がらないという苦しい経営が続き、そこへきてコロナ対策として実施した無利子・無担保のゼロゼロ融資の返済が始まり、返済に追われ税金や国保料が納められない状況にまで追い詰められています。こうした事業者に対しても、更なる財政支援が必要だと考えますが見解を伺います。
山中市長:市内中小・小規模事業者への財政支援の必要性ですが、これまでに物価高騰の影響を受け価格転嫁が難しい公衆浴場や交通運輸事業者、福祉施設等に対し支援を実施してまいりました。また、レシ活バリューを実施し事業者の皆様や市民生活を支援しております。引き続き、現在策定中の国の総合経済対策を踏まえ、市民、市内中小・小規模事業者支援にスピード感を持って取り組んでまいります。
宇佐美議員:市長、ぜひ市民生活が今どうなっているのかを直接肌身で感じるため、市内の商店街を歩いてみてください。市民の生の声、商売されている方々の声にぜひ耳を傾けてください。真に必要とされている施策が何か理解できるはずです。市民の声を聞くとして市長になられたのですから、ご自身の足と耳を使い、市民の声を今こそ聞いていただくことを要望し質問を終わります。