4月22日、日本共産党横浜市議団は、学校から保護者に配布されている2021年度用の「就学援助制度のお知らせ」の表記が、申請をためらわせる内容になっていることから、記述を改め再配布を行うよう求める申入れを行いました。学校教育企画区部・佐藤担当部長、学校支援・地域連携課須山課長ら4人が対応しました。
就学援助制度は、経済的に苦しい生活をされている保護者へ、子どもの学用品費、修学旅行費、給食費などを援助するもので、利用者は、小中学生全体の12.76%(2019年度)、8人に1人となっています。横浜市のルールでは、利用者は毎年、申請する必要があり、制度紹介をする「就学援助制度のお知らせ」が学校から保護者に配布されます。
就学援助制度には所得制限があり、保護者は、「お知らせ」に示されている認定基準である総所得金額及び並記されている総収入の各限度額を見て、自分が該当するか否かを判断します。
今回、しおりに示されている認定の基準となる総所得の金額は昨年度と同じですが、一方で総収入(めやす)は、昨年度より12万円低い数字となっています。税制改定で、所得控除が10万円減額となったためです。これによって昨年までは認定された世帯でも今年は認定されない事例が出てきます。例えば、給与収入が昨年380万円の2人世帯は、所得が計算上10万円増えて260万円となり、認定基準の総所得250万円を上回り、認定されないことになってしまいます。
そこで、市教委は、総所得金額から10万円控除という救済措置を図り、実質的な認定基準はこれまで通りにするとしています。
しかし、すでに配布された「就学援助制度のお知らせ」では、そのことがわかる記述にはなっていません。このままでは、認定されるべき世帯の申請漏れが発生しかねないため、下記3点の改善を直ちに行うよう申し入れました。
1、給与所得者の場合、給与所得が限度額を超えていても、超える額が10万円以内であれば、申請できることを明記してください。
2、認定基準の所得表はあくまで目安であること、暮らし向きは苦しいという家庭であればまずは申請をとの記述を加えてください。
3、上記2つのことを周知徹底するために、お知らせの記述を改め、再配布してください。
申し入れで、あらき由美子団長は、コロナで厳しさが増している今、申請のハードルを上げるような記述にしたことは大問題だと指摘。さらになぜこのような懸念のあるものが市就学奨励対策審議会などで、問題として話し合われなかったのか残念だと強調しました。制度が生かされる丁寧な説明に改めるよう求めました。
佐藤担当部長は、「懸念は理解できる」「迷われたら申請ください等の追記は検討したい」と答えました。再配布については「申請も始まり混乱も起きることから、時期について検討が必要」と答えるにとどまりました。
申し入れ文の全文はこちらです。
「就学援助制度のお知らせ」の記述を改め、再配布を求める緊急申し入れ
参考資料
就学援助制度のお知らせ(令和2年度)
就学援助制度のお知らせ(令和3年度)