75歳以上の医療費窓口負担の倍化はやめよ
北谷まり議員が連合議会で主張
3月29日、「神奈川県後期高齢者医療広域連合議会」が開かれました。この議会は県内の市町村議会から選ばれた議員で構成され、広域連合の予算や条例などの審議・決定を行う機関です。日本共産党からの選出議員は、北谷まり横浜市議(保土ケ谷区)一人です。今議会では、問題の75歳以上の医療費窓口負担の倍化問題をとりあげました。
横浜市内約14万人が負担増
菅政権は、75歳以上の高齢者の医療費窓口負担を現行の1割→2割へ倍増させる法案を今通常国会に提出し、2022年度中に実施しようとしています。2割負担の対象となるのは、年収200万円以上の単身世帯、夫婦ともに75歳以上で年収320万円以上の世帯で、全国で約370万人。神奈川県は約33万人、横浜市では約14万人が見込まれています。
85歳以上は月1.5倍もの負担に
日本医師会の資料(政府の全世代型保障会議提出)によると、75歳以上は現行の『1割負担』でも(医療費の窓口負担は)年間平均8万円です。85歳以上は年間9万円を超えています。それが『2割負担』になれば、単純に計算すると倍の支出となり、負担はあまりに重いもとなります。
現役世代の負担軽減というが国の支出抑えることが狙い
高齢者の年収に占める医療費窓口負担の割合は、85歳以上は60歳代前半の2倍、30~40歳代の5倍にも上ります。
菅政権は、「若い世代の負担上昇を抑える」ためと強調していますが、現役世代の負担する後期高齢者支援金の減少は1人あたり年間約350円、月額わずか30円程度の減額にしかすぎません。一番減るのは、後期高齢者医療にかかる公費980億円です。結局、高齢者の負担は倍増し、現役世代の負担軽減にもならず、国の支出(国庫負担)は大幅に削減されるというのが実態です。
食費を削るしか…お年寄りの悲鳴
いま、高齢者世帯の約7割が公的年金のみで生活されています。唯一の収入源である公的年金は毎年減らされ、厳しさが増しています。
窓口負担が2割となれば、高齢者の受診控えに追い打ちをかけ、さらに重症化を招くことになりかねません。日本高齢期運動連絡会が今年1月から始めているアンケート調査の中間報告では、2割負担になれば、受診を控えると回答した方が30㌫ににのぼります。「生活費は1日1000円以下。負担上がれば通院も入院もできない」「食費を減らすしかない」などの声が上がっています。
国庫負担戻し、窓口負担下げよ
北谷議員は、誰もが安心して医療を受けられるようにすることが公的医療制度の本来のあり方だと述べ、減らされ続けてきた国庫負担を戻すよう国に求め、各世代の窓口負担の引き下げの検討こそ、今求められていることだと主張しました。
連合長は「高齢者だけが負担増にならないよう、国庫負担割合の増加など財政支援を拡充する」ことを国に要望していると答えました。
また、日本年金者組合神奈川県本部から出された「後期高齢者医療保険の窓口負担の2割化の中止・撤回を求める意見書提出」の陳情を採択すべきと主張しましたが、共産党以外の反対多数で否決されました。引き続き負担軽減へ力を尽くします。
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