議会での質問・討論(詳細)
2020年10月7日

■政策局・あらき由美子(10月7日)

荒木委員:日本共産党を代表して質問します。
 委員長、スライドの許可をお願いいたします。
望月[高]委員長:どうぞ。
荒木委員:まず、横浜市中期4か年計画の中間振り返りと今後の市政課題について伺います。
 まず、横浜市中期4か年計画を作成したときの狙いについて伺います。
伊地知政策局長:人口減少・超高齢社会が進展するに当たり生ずる課題や老朽化する公共施設への対応にしっかりと取り組み、安全安心な市民生活を守り、住みたいまち、住み続けたいまちを実現すること、また企業の立地やMICE施設の開業、さらには道路や鉄道などの都市インフラ整備によるチャンスを生かし横浜の魅力を発信し、交流人口の増加に結びつけ、横浜経済を活性化させることなどによって都市の持続的な成長発展を実現すること、こうしたことを狙いといたしました。
荒木委員:人口減少・超高齢社会の進展に対する施策の評価と達成状況について伺います。
伊地知政策局長:主に戦略3と戦略4に当たりますけれども、戦略3の超高齢社会への挑戦では、健康で自立した生活の継続に向け、健康づくり、介護予防活動の支援を体系的に進めました。また、戦略4、人が、企業がつどい、躍動するまちづくりでは、誰もが住みたい、住み続けたいと思える郊外部に向けてコンパクトなまちづくりを推進するなど、様々な政策を総合的に進めております。いずれの関連する政策も、AあるいはB評価となっておりまして、おおむね順調に進捗しております。
荒木委員:その中の政策20、市民に身近な交通機能等の充実のうち、地域交通の維持充実及び歩行者の安全確保、地域の利便性向上の施策の達成状況について伺います。
目黒政策担当部長:地域交通の維持充実につきましては、地域交通サポート事業におきまして検討組織を4地区設立したほか、企業と連携した新たな交通サービスの社会実験を7件行うなど、おおむね目標どおりに進捗しました。歩行者の安全確保や地域の利便性向上につきましては、あんしんカラーベルト整備事業、これは通学路などで路側帯のカラー化を行うものでございますが、4か年の想定事業量84キロメートルに対しまして、2年間では18キロメートルの整備にとどまるなど目標を下回っております。
荒木委員:それ以外にも、踏切安全対策実施計画に基づく歩行者対策も三角と。厳しい財政状況下でも、老朽化した市営住宅などの公共施設の対応や地域交通の維持充実及び歩行者の安全確保、地域の利便性向上は横浜市中期4か年計画の狙いでもあることから、実現することは待ったなしだと考えます。どう考えているのか、改めて伺います。
伊地知政策局長:厳しい財政状況の中におきましても市民生活を支える公共施設の役割を維持していくことは必要だと思っておりますので、公共施設の計画的、効果的な保全更新を推進することは重要だと思っています。また、超高齢社会の進展などを踏まえますと市民に身近な交通機能等のニーズは増えると考えておりますので、今後も交通手段の維持充実、安全安心に移動できる環境づくりなどを着実に進めていく必要があると考えております。
荒木委員:そこで、政策38、公共施設の計画的・効果的な保全・更新のうち、市立小中学校及び市営住宅の建て替えは、平成30年度市営住宅瀬戸橋、六浦、瀬ケ崎住宅の基本計画を策定、令和元年度瀬戸橋住宅の基本設計着手、測量地質調査を実施し、進捗状況は目標どおりということになっています。この4年間、中期計画の4年間120億円の予算が組んでありまして、見込額で2年間の決算額は僅か4億円です。今年度の予算がどこまで進んだかを調べました。小中学校の建て替え予算は23.7億円、市営住宅は建て替え事業瀬戸橋住宅1億3967万円、約1.6億円と、これまでの合計約30億円は執行しています。これからが問題です。
 この先、新年度予算で残り90億円を実現しなければいけないのですけれども、この点の確保についてはどう考えているのか、伺います。
伊地知政策局長:厳しい財政状況の中ではありますけれども、必要なことをしっかりとやっていくということには変わりはございませんので、そこについては予算厳しい中ではございますが、進捗に応じてしっかりと計上していくように努めていきたいと思います。
荒木委員:小林副市長に伺います。来年度予算編成に当たってということで、今現時点でもコロナの影響で約1000億円不足するということが見込まれています。そういう状況であっても、これらの市民の生活、安全安心を守るための事業というのは間違いなく予算を優先的に確保する、この点についてお答えください。
小林副市長:市民に身近な政策、今御指摘いただいたような子育て、医療、福祉、教育あるいは生活といった面において、やはりどんなに厳しい状況であってもしっかりと確保していくというのは市長も答弁申し上げている内容でございます。その中身については、本当に厳しい中ではございますので、当然その中で優先順位なり、重要性を精査することに、あるいは議論していくことになるとは思いますけれども、基本的な考え方としては今申し上げたとおりでございます。
荒木委員:まず、その予算をしっかり確保しないと進みませんから、この点は改めて要望しておきます。
 次に、政策24、乳幼児期から学齢期までの子ども・子育て支援及び政策29、子ども・若者を社会全体で育むまちの評価と達成条件について伺います。
岡崎データ活用推進等シニアディレクター:政策24では、保育所整備などによる保育ニーズへの対応や放課後キッズクラブの全校設置等に取り組みました。その結果、おおむね順調に進んだ政策としてB評価としました。政策29では、ひきこもり等の困難を抱える若者への支援や寄り添い型生活支援事業の拡充などに取り組みましたが、支援により改善が見られた人数が目標を下回ったことなどによりC評価としています。困難を抱える若者の支援では、本人の状況に応じた段階的な支援や身近な地域に出向いた相談などを進めてきてはいますが、自立に向けて継続的な関わりが必要など支援が長期化するケースが多いことも事実です。
荒木委員:そこで、子育て世帯の負担軽減に対するニーズ調査の実施をしたかどうか、この点伺います。
伊地知政策局長:横浜市では子ども・子育て支援事業計画や子供の貧困対策に関する計画、ひとり親家庭自立支援計画などの策定に当たりまして、子育て世帯の現状とニーズを把握するためのアンケートなどを行っております。こうした調査の結果や各年度の予算編成に当たって寄せられる要望、あるいは日々所管局や各区の相談窓口等に寄せられる御意見などを通して、子育て世帯のニーズの把握に努めているという状況だと考えております。
荒木委員:その一つとして横浜市民意識調査、(資料を提示)これは長年にわたって政策局が取り組んでいるすばらしいデータだと私も評価しています。この中で毎回取り上げられているのが、昨年度もそうなのですけれども、30代、まさに子育て世代の人たちの困っていることの質問の中で、心配事や困っていることでの1位が子供の保育や教育のこと、割とこの世代は変わらないのです。当然ですよね、子育てで負担がかかる、保育園へ入れるかどうかという社会的な状況がうかがえるわけです。この傾向がどうなっているか、私もこれをずっと持っているのでここ数年の傾向見てみました。やはり上位5位までには必ず入っています。ですから、こういうことが見えているわけで、それを今、局長がおっしゃったように施策に反映するということなのですから、やはりそういう点での負担を軽減するということで、小児医療費無料化だとか、待機児童解消だとか、あるいは私たちがずっと言い続けている中学校給食実施とか、そういう政策をどうしてなかなか横浜市としてはやらないのか。
 この点についての市民意識調査の捉え方はどう考えているのか、改めて局長に伺います。
伊地知政策局長:今委員おっしゃっていただいたように、様々な調査の中で傾向として子育ての負担、経費的な負担、経済的な負担が重いというようなことはずっと同じような形で出ているのだと思っています。横浜市としてもできるところから、少しずつ負担の軽減についても行って、それがひいては子育て支援策の充実が子供を産みたいというふうにつながっていけばと考えておりますけれども、ただ財政状況も非常に厳しい状況でもございますので、様々な施策の中で、優先順位をつけながらやっていかなければいけないということもございますので、そういった意味で、できるところからやっていくということになろうかと思います。
荒木委員:いつも財政状況が厳しいという言葉で逃げるのですけれども、横浜市の財政状況というのはほかの都市から比べても、財政規律も含めてかなり優位な状況にあるのです。問題は優先順位なのです。そこは改めていただきたいと思います。
 さらに具体的にお聞きします。困難を抱える若者への支援やひとり親家庭自立支援事業の進捗が遅れていました。地方自治体としてこういう困難な家庭にこそ下支えをより強くして対応していくことが必要だと考えます。副市長に見解を伺います。
小林副市長:地方自治体だけではなくて、こうした困難を抱える若者、あるいは独り親家庭、ある意味社会として、地域社会としても、国としても、そういう方々をしっかり下支えして、本来の力が発揮できるように行うことが世の中の基本的な考え方だと私は思います。であるからこそ、基礎自治体はそうした方々の生活実態ですとか、あるいは今後やらなければいけないこと、あるいはそうしたいことはたくさんあると思います。そうした障害を、ハードルを低くするとか、様々な手だてを講じてやっていかなければいけない。これは社会がどう変わろうとも必要なことだと思っています。そういう意味で、今回中期の振り返りでC評価になったということは、横浜市全体として大いにその振り返りをしっかり、何が至らなかったのか、あるいは目標設定が適切だったのか、政策はどうだったのかということをこの中間地点で考えるべきですし、今後に向けても、一つ一つこうした方々に対してどういった支援が必要か、あるいはどういう財政的な手当てが必要かということも含めてしっかりと取り組まなければいけないと思っています。
荒木委員:ぜひそういう実践をしていただきたいと思います。厚生労働省は9月24日、新型コロナウイルス感染拡大に関連する解雇や雇い止めが6万人を超え、2万5000人超が非正規労働者だと発表しています。独り親世帯で女性の場合はより所得が少なく、非正規で働いている子育て世帯が多い傾向にあります。今回コロナの影響を受けて、国の制度でひとり親世帯臨時特別給付金、1世帯当たり5万円、第二子以降一人につき3万円加算や市独自で2万円の臨時特別給付金などは実施しています。しかし、いずれも一回限り、ダブルワーク、トリプルワークで働いてやっと生活が成り立っている独り親世帯に対して、市としてしっかりと実態把握をし、足りない部分への補足をするという視点が必要だと思います。この件について改めて副市長に見解を伺います。
小林副市長:基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりです。ただ、具体的な手だてをどうどういうふうにすれば、そういう方々が効果的に生活できるか、あるいは自分がしたいことができるかといったことを見極めていく必要があると思います。ですから、今御指摘いただいた部分を即増やすということは今私は申し上げることはできませんし、直接担当する局あるいは関係する区局が知恵を出してあるいは現状を把握して必要な対応をしていくべきべきだと思いますし、そうしていきたいと思っています。
荒木委員:地方自治体というところはやはり下支えをしていくという、困っていらっしゃる方に手を差し伸べるというのもある方向だと思います。今回の補正予算でも、横浜市が独自に2万円予算を組んだというのは本当に画期的だったと思います。ですから、そういうことからまた声を聞いて、その人たちがどういうふうに生活に困っていらっしゃるのかというのを把握しないとやはり政策はできないと思いますから、ぜひその点での改善をお願いしたいと思います。
 次に、人口減少社会に対する市としての課題とその対策です。スライドを御覧ください。(資料を表示)これは2017年度に実施した将来人口推計における年齢区分別の見通しについてです。この点、説明をお願いいたします。
岡崎データ活用推進等シニアディレクター:2015年の国勢調査を基点に2065年までの人口を推計したものですが、ゼロから14歳の人口は、2020年には45万人、2065年には32万人と13万人の減少。またスライドにはありませんが、15歳から64歳の生産年齢人口は、2020年には235万人、2065年には162万人と73万人の減少が見込まれています。一方、65歳以上の人口は、2020年には94万人、2045年頃まで増加し、その後は減少に転じますが、2065年には108万人で全体の約36%を占める見込みです。
荒木委員:このグラフを見ていただいても、生産年齢人口が減って高齢者人口が増えていっときまた減りますけれども、そういう山が見えています。この人口推計を基に社会保障経費の長期推計が出されています。次のスライドを御覧ください。負担が増えるという状況になっています。そして、その次のスライドは、入ってくるお金と足りない部分の出ていくお金の収支差が出されています。このままの状況でいくと、2065年には2042億円から2338億円の不足を見込んでいます。
 生産年齢人口が減少し65歳以上が増えていく人口推計で、市の施策を今後進めていくに当たり、アクセスなどのインフラ整備で後年度負担につながるIR、道路拡張だけで数百億円の旧上瀬谷通信施設地の開発計画など、今ここで立ち止まって考えなければいけない政策だと思います。この点、副市長に伺います。
小林副市長:将来どういう対応をするかというのは、私ども何度か御答弁申し上げていますけれども、やはり今問題となっていることをしっかりやることは必要ですけれども、将来に例えば社会保障も含め、あるいは子育て、医療、福祉、教育、様々な財源が必要となります。そうした財源をどう確保していくか、また人口が減少する、少子高齢が進むといった世の中においても、例えば教育も、文化芸術も、あるいは地域活動も、様々な活動を私たちは継続して、ある意味、人生を楽しく暮らしていく、安全安心に暮らしていくといった側面もあると思います。そうしたことを考えていくと、どうしても先ほど申し上げた高齢社会における福祉の費用ですとか医療の需要ですとか、あるいは様々な行政サービスにはやはり財源を伴います。そうしたことをどう確保していくかということにおいて、今御指摘いただいたIR、あるいは旧上瀬谷についても必要な事業だと思っています。ただ、そのかけ方とか、その費用のバランスの仕方についてはよくよく検討しなければいけませんけれども、立ち止まるべきではなくて、今この時点においても必要な検討を進めるべきだと思っています。
荒木委員:いや、後年度負担がはっきりしている中で、もともと歳入が減ると分かっているわけです。だから、その点での歳出が増えることをまた改めて横浜市が後年度負担をやるという考え方は、やはり今の人口減少社会の中で私たちは踏みとどまって考えるべき内容だと思っていますから、その点はぜひもう一回議論させていただきたいと思っています。
 もう一つの問題点は、来年度予算編成のスタートに当たって、市政運営の基本的な考え方で、市長は収支不足額は970億円に上り、かつてない極めて厳しい予算編成になるとし、最終年度を迎える横浜市中期4か年計画に掲げている施策であっても徹底的に事業を見直し、真に必要なものを見極め、事業の休止や延期などを検討してくださいとおっしゃっているではないですか。何で言われていることと、今私たちが掲げた政策が例外なのですか。そこの点をもう一回はっきり説明してください。
小林副市長:政策にしろ財政にしろ、こうした厳しい状況というのはここ数年続いております。確かにこのコロナ禍において、あるいは2065年という見通しの中で厳しい状況というのは私ども共有しなければ、先生方とも共有しなければいけないと思って、市民の皆様とも共有するためにお出しをしたものですけれども、やはり市政というのは様々な分野、あるいは総合的な判断においてやっていくべきことだと思います。言い方を変えれば、あらゆる政策を総動員するということです。ですから、まちづくりもそうですし、道路整備もそうです、福祉もそうです。様々な全体を見極めた上で、どういうふうにしていくか。その基本的な考え方は、来年度予算に向けて、今委員に御説明いただいたような基本的な考え方がございますけれども、だからといって、ある事業をやめろとか立ち止まってちょっと小休止するのだというようなことではなくて、全体のバランスの中で考えていくべきだと、そういう考えでおります。
荒木委員:その全体のバランスを見誤った結果が国の借金になっていますし、横浜市だってみなとみらいの計画は、私たちもやり過ぎだと思っていました。やはりそういうことが常に後年度負担にのしかかっているわけです。横浜の経済を本当に優先するというのであれば、まず地元の中小企業や市民、働いている人たちの生活を安定させてこその私たちは経済循環だと思っていますから、ここは多分ずっと平行線だと思いますので、ぜひ見直していただきたいと思います。
 次に、新たな劇場整備計画について伺います。
 今後の劇場検討委員会の提言が出てくる時期の見通し、それからその後の市としての進め方について伺います。
尾仲芸術創造本部室長:提言の時期につきましては、確定的なことは申し上げられませんが、12月には検討委員会の事務局としての作業を終わらせ、その後、検討委員会のほうが提言を取りまとめるという状況でございます。附属機関からの提言ですので、いただいた内容につきましてはまず尊重するということが基本姿勢でございます。十分に吟味をいたしまして、今後の進め方については丁寧に検討を進めてまいります。
荒木委員:劇場整備に関して市民意見を聞くことを求めてきたのですけれども、いまだに実施しておりません。検討委員会の提言が出されたら、パブリックコメントを実施することについての考えがあるかどうか、伺います。
尾仲芸術創造本部室長:一番大切なことは、まず市民の皆様からしっかりと意見をいただく前提として、やはり情報提供が今は大事だと思っておりまして、検討委員会の会議動画の配信など積極的に行っているところではございます。今御指摘のパブリックコメントあるいは市民意見の募集ということにつきましては、現段階では検討期間中でございますので、予定はしてございません。
荒木委員:ですから、提言が出た後のことをお聞きしているのです。その点についてのパブリックコメントの実施はどうですか。
尾仲芸術創造本部室長:提言が出た後につきましても、先ほどの御答弁と重複いたしますけれども、丁寧に検討するという段階でございますので、今現段階ではパブリックコメントなり、あるいは市民意見募集を行う予定は、今の段階ではないということでございます。
荒木委員:その前提条件、間違っていると思います。だって、劇場は市民の皆さんに喜んでもらいたいというのがそもそもでしょう。文化なのですから、それに賛成する方も私はあっていいと思っているのです。ただ、その点で一番大事なのは、IRにしても、今度の花博のことについても、やはり財政的にどういう負担になるのかというのをはっきり示されて、それで横浜市の財政状況が回っていくのだったら納得する市民もいると思うのです。
 でも、横浜市が一番ずるいのは、そういう数値をきちんと示さないで、今後の財政状況も含めて、これだけ長期集計を出しているのですから、そこを何で恐れるのですか、改めて市民に問うべきだと思います。いかがでしょうか。
尾仲芸術創造本部室長:私どもといたしましては、建設費ですとか、あるいは運営費といったようなものも今お示しをしているところでございまして、その金額について妥当であるか、あるいは今後どうしていくのかといったようなことについて検討委員会で御議論していただき、またその提言を踏まえ、市としてどう進めていくのかということを慎重に検討しようという状況でございますので、現段階ではあくまでも提言を待ちながら、その後丁寧に検討するというような状況でございます。
荒木委員:ぜひ考えてください。新国立劇場のバレエダンサーの吉田都さんが神奈川新聞でこう述べています。長年在籍した英国ロイヤルバレエ団など欧米の主要バレエ団は、コロナ禍で休演中も給料の80%は支払われるが、出演料制の新国立劇場は公演の稽古が始まらないと支払われない。気持ちは踊るにも影響があるはず。ダンサーの生活を保障する仕組みができるように訴えていきたい。まさに、ここが横浜市も肝になると思います。今後の運営の仕方によっては、どれだけ財政的に持ち出しをして、出演者だけではなく、それを支えるスタッフのことも考えなければいけない。ですから、その点で横浜市が今後どう考えていくのか、ここの数字をはっきり出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
尾仲芸術創造本部室長:今荒木委員から御指摘がございましたヨーロッパの運営団体につきましては、もう委員がよく御存じのとおり、劇場が直接雇用している団体という形になっております。今御紹介いただいた新国立を含めて、日本の場合は日本の歴史の中で実演団体との関係性をつくってきているという状況がございます。ただ一方、今御指摘いただいたとおり、こういったコロナ禍の中でアーティストの方々は非常に生活が苦しいということも大きな意味での文化芸術行政の課題が浮き彫りになったのかと思っております。そういう意味では、これから運営主体の議論にも入ってまいるとは思っておりますけれども、そういった中では、どういった形で実演団体の皆さんとのパートナーシップといったようなものをつくっていくのかといったことも含めて検討していきたいと思っております。
荒木委員:新国立2019年度の運営経費を見ました。75億円でそのうち40億円が受託収益、国からの補助と読めます。これだけの補助を受けても、演目が決まってやると決まらないと新国立でダンサーの給料が払われてないという状況なのです。ですから、やはり横浜市が目指すのは、第二新国立並みの国からの補助金がこれだけ入るということが分かった上で進めなければ、横浜市が持ち出すお金だけが膨らんで、そして皆さんが見ていただく劇場の内容もどれだけのレベルものが決まるか、私はそこを心配しています。その点についてどうお考えでしょうか。
尾仲芸術創造本部室長:恐らくこれから資金計画の具体的なことをもう少し丁寧に検討しなければいけないとは思っておりますけれども、やはり大きな管理運営主体になっていくのか、民間の力も入れながらやっていくのか、それはいろいろな手法があるかと思っております。いずれにいたしましても、今新国立というものは一つの事例でございまして、全国の劇場の中でもカンパニーという形で持っているようなところもあり、そこの方法も多々あるかと思っております。いずれにいたしましても、やはり公共側が全て持つということも一つの考えかもしれませんけれども、やはり民間のお力も借りながら、どういった形で持続的に運営ができるのかということが最終目標になるかと思いますので、そういった点を含めて引き続き検討していきたいと思っております。
荒木委員:終わります。


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