白井委員:日本共産党を代表して質問します。項目の順序を変更いたしますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、放課後キッズクラブについてです。
2019年度末で公設民営のキッズクラブは全校で340か所の設置が完了しました。5時以降も利用する利用区分2の子供の数が1.5倍に増えているということですが、その理由をどう見ているのかをまず伺います。
遠藤青少年部長:新型コロナウイルス感染症対策として、学校の一斉臨時休業期間中は、遊びの場と位置づけている利用区分1の児童については受入れを行わず、留守家庭児童を対象とした利用区分2の児童のみの受入れとしていました。これにより、これまで区分1を利用していた留守家庭児童の一部が区分2に移行したと考えております。
白井委員:こういう現状もあるということなのですが、放課後キッズクラブの質の向上に向けて事業の見直しをすると常任委員会で報告がありました。改めて、その趣旨を伺います。
齋藤こども青少年局長:令和2年4月、今年の4月でございますけれども、この段階でキッズクラブの全校設置が確実になってきた中で、以前から、次はさらに質の高い放課後の居場所を提供できるように検討を進めておったところでございます。見直しの趣旨といたしましては、利用者等のニーズに応じた質的な充実を図ろうということで取り組んでいるものでございます。
白井委員:質的充実を行うということなのですけれども、この制度の見直しで支払いを新たに伴うところも出てくるというところを聞いておりますけれども、5時までの利用という新しい区分を設ける。そして、選択肢を増やすのだということも常任委員会で聞いておりますけれども、そこで、その全校340か所での運営主体の状況について、種別ごとの運営法人の数、そして法人種別の箇所数を伺います。
遠藤青少年部長:NPO法人が94法人で153クラブを運営しており、同じく株式会社が11法人で142クラブ、社会福祉法人が7法人で10クラブ、公益財団法人が2法人で34クラブ、一般財団法人が1法人で1クラブを運営しています。
白井委員:運営箇所数の最も多いのが株式会社なのですが、割合では4割を超えています。認可保育園の運営も株式会社の割合が多くなっているのと同様ということなのですけれども、補助期間の5年間を終了すると再公募ということが行われますけれども、今年度の再公募では学習塾をメイン事業とする株式会社が6か所選定されたということで、2021年度は株式会社の割合がさらに増えることになります。保護者からは学習支援が求められている状況もあるということで常任委員会でも聞いておりますけれども、さらなるこの事業を拡大の場とされる懸念もあるわけです。受益者負担の考えで実費負担が求められることになれば、キッズクラブを選択しにくくなるというようなことにもなるかとも思われます。質の向上に向けて、生活の場を充実するに当たっては公設ということですから、過度な負担が発生しない制度設計とするようにと、意見として述べさせていただいておきます。
次です。放課後児童クラブについてです。
耐震基準に適合していないクラブのところをちょっと伺いたいと思うのですけれども、民設民営の放課後児童クラブの施設の耐震基準の適合について、5年間の計画と2019年度末の時点での実績を伺います。
遠藤青少年部長:平成27年度から令和元年度までの5年間の経過措置期間において、全ての児童クラブが耐震基準に適合できるよう取り組みました。その結果、令和2年4月1日時点で耐震基準未適合のクラブは12クラブでした。そのうち方針未定のクラブは5クラブでした。
白井委員:方針も立っていないところがあったということなのですけれども、この見通しの立たない5クラブへは移転の補助、そして運営費補助制度の扱いについてはどう通知しているのかを伺います。
遠藤青少年部長:令和元年度限りの交付としていた移転のための補助金について、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて1年間延長しています。令和2年度末時点で耐震基準を満たすことができないクラブに対しては、令和3年度以降に基準を適合することが確認できる場合を除き、運営費補助の交付を終了することを伝えています。
白井委員:移転補助については、9月から10月に変わるに当たって何か変更がありますか。
遠藤青少年部長:令和2年度中に移転した場合の移転費補助金の補助率について、9月末までに移転先を確保した場合は補助率10分の10、10月以降に移転先を確保した場合は補助率2分の1としておりましたが、今なお続く新型コロナウイルス感染症の影響等も踏まえ、補助率10分の10のまま対応することとしました。金銭面だけの支援でなく、移転活動中のクラブに対しては、物件の情報収集や地域へのチラシの配布など様々な支援を継続してまいりたいと思っております。
白井委員:支援について配慮はしていただいているということなのですけれども、その運営費の補助をこの2020年度末で適合が確認できなければ終了するという点については今本当に必死で物件を探したり対応をしようとしているところにすれば大変厳し過ぎる対応だと思うのですけれども、どう考えておられるのでしょうか。
齋藤こども青少年局長:耐震基準の適合の事業といいますか、こちらについてはそもそも暮らしているというか、クラブを運営している場所自体が子供たちのための大切な居場所でございますので、安全に放課後の時間を過ごしてもらえる場を確保する、この目標を達成するために、各クラブと私ども、一緒になって適合できるようにこれまで努力をしてきたつもりでございます。取組に当たって十分な検討期間を満たすために、昨年度、令和元年度までの5年間、経過措置期間を設けて支援をしてまいったところでございます。また、ただいま答弁ございましたけれども、今回、新型コロナウイルス感染症の影響により、その5年間にプラスをしてさらに1年間延長して対応してまいったところでございます。
この間、費用面でも支援を増やしてまいりました。特に最終年度であります昨年度、令和元年度については、補助内容を大幅に拡充するなど、一段と強化をしてきたところでございます。その結果としまして、児童クラブのほぼ全てが、ハードルの高い低いはともかくとしまして、それぞれのあるハードルを自分たちで超えて、基準に適合していただくことができたと考えておりますので、これらのことを総合的に勘案いたしまして、ただいま青少年部長が申し上げたような判断を私どもはさせていただいているところでございます。
白井委員:強化していただいたところは聞いてはいるのですが、もう次の年度から運営費補助を打ち切ると。その点について、あまりにも対応が厳しいのではないかと思うので、その点を伺っているのですが。
齋藤こども青少年局長:ただいまも申し上げましたとおり、私どもとしては、通算しますと、結果的にですが、6年前から何らかの形で、もし大きな地震があって--東北の地震ですとか熊本のほうの地震ですとか、現にこの間も起こっております。こういう地震があったときに、子供たちが生活の場として安全に暮らせるはずの場所で何か起こってはいけないということで、事業者の方の理解もいただきながら、この間、基準の適合に向けて一緒になって頑張ってきたつもりでございます。
やはりクラブによっては、なかなか移転先が見つからないとか、経営面での問題もございますので、いろいろ大変なところはあったと思いますが、ほぼ全てのクラブがそれらのハードルをクリアしまして、移転も含めて基準の適合を行ってきたということでございますので、それらを行ってきたクラブの皆さんの思いも含めて、6年間、探した、いろいろやり方を考えたその結果として、なかなか適合ができないようなクラブがもし残るとすれば、それについては同じ横浜市内のお子様を預かる事業所ということになりますので、そういう点で、私どもとしてはそういう判断をさせていただきたい。ただ、まだ時間がございますので、区役所とも連携を取りながら、できる限りそういうことのないように、私どもとしてもさらに一生懸命支援をしたいと思っておりますので、御理解いただきたいと思います。
白井委員:今後も支援していくということなのですが、現在の見通しが立っていない5クラブの方向性についてはどのように把握をしておられるのでしょうか。
遠藤青少年部長:該当するクラブのある区は、クラブの方々と一緒に知恵を出し合い、物件の情報収集や地域へのチラシの配布など、基準の適合に向けて今本当に努力を続けております。局も積極的に相談に応じるなど支援をしております。その結果、対応の方向性が定まったクラブもありますが、今も基準の適合に向けて活動しているところもあるという状況でございます。
白井委員:放課後児童クラブは市の子ども・子育て支援事業計画に位置づけられているということで、現計画では既存クラブの受け入れ枠を前提にしているということですから既存クラブの存続支援は不可欠だと思います。運営費を打ち切ると脅すということではなく、支援しているということは伺ったのですけれども、責任を持って移転を支援すべきです。その決意を伺います。
齋藤こども青少年局長:先ほど来申し上げておりますけれども、このため様々な支援を行う中で、各事業所が工夫をしてハードルをクリアして、基準の適合ということで達成していただいているというところでございます。子供たちのため安全な場を確保することは、これも先ほど申し上げましたが、さらに保護者や運営主体にとっても重要なことであると私どもは思っております。今も青少年部長が答弁させていただきましたが、移転活動中のクラブがございます。こちらについては引き続き区局で連携をして、各クラブにそれぞれ個別に寄り添いながら、現在も活動を続けておりますので、ぜひ移転なり適合に向けて最後のゴールを切っていただきたいと考えております。
白井委員:その点はよろしくお願いいたします。
それでは、運営費補助の制度は児童数に応じたものとなっておりまして、キッズクラブが全校で設置された。そして、営利企業などの民間の学童も増えている。放課後児童クラブと同数の民間学童がある区もあると聞いております。放課後児童クラブ自体が、次年度の4月から希望者が何人なのかを想定するのは大変難しい状況にあると思います。あるクラブでは、現在15人の子供がいますけれども、六年生3人を含めた5人が来年度は退所の予定です。それで10人を割るのではないか、そうなれば運営費補助がなくなってしまうのではないかと心配をしています。国の制度は10人以上であって、10人を割ると市の単独補助ということだと思うのですけれども、一年生の希望者数が読めない中でも全てのクラブが安定運営できるように10人未満にも補助制度を充実すべきと思いますが、どうでしょうか。
齋藤こども青少年局長:クラブの利用者の人数ということでございますけれども、安定的にクラブを運営していただく、これが一番大事かと思いますけれども、そのためには、やはり一定以上の規模がどうしても必要になるだろうと、事業の収支のことも考えますと、そのように考えております。そのため、今もおっしゃっていただいたとおりですが、国の交付金の条件を参考といたしまして、各年度4月1日の時点での対象児童数が10名以上在籍しているということをもって私どもは補助金交付の条件としておりまして、これを変更する考えはございません。
白井委員:全学校にキッズクラブができたことで、過渡期でもありますので、検討をよろしくお願いいたします。
それで、平均保育料が年々上がっていて、おやつ代以外では2020年度は月1万8200円となっています。このコロナ禍の中では、低所得世帯が利用を続けられるように減免制度を拡充することがどうしても必要だと思います。現在、市民税非課税世帯に2500円の減免の制度がありますけれども、独り親世帯、多子世帯も対象とすべきだと思います。財源を国へ要望していることも承知をしておりますけれども、市単独でも実施する必要があると思います。見解を伺います。
齋藤こども青少年局長:ただいま委員おっしゃっていただいたとおり、生活保護世帯、それから市民税所得割の非課税世帯等に対しては既に児童1人当たり月額2500円ということで、補助を市単独費ということで行っております。利用料の減免は本来国がやるべきものだと私どもは考えておりますので、毎年、この辺については国に補助制度の創設を求めております。独り親世帯とか多子世帯についても同様に、国に引き続き要望を続けていきたいと考えています。
白井委員:コロナ禍という現状を踏まえれば、市単独での補助についても検討をよろしくお願いいたします。
次に、横浜市子どもの貧困対策に関する計画の策定についてです。
2019年度から第2期計画の策定の検討が行われています。第1期計画策定の目的は、子供の育ちを守る、貧困の連鎖を防ぐために実効性の高い施策を展開する、そして支援が確実に届く仕組みをつくるとしていました。この計画期間の5年間を振り返って、子供の貧困の実態は改善されたという認識かどうかを局長に伺います。
齋藤こども青少年局長:子供の育ちや成長を守り貧困の連鎖を防ぐため、第1期計画に基づきまして、将来の自立に向けた基盤づくりのための子供の生活・学習支援や生活の安定と自立に向けた独り親家庭の支援、これらに取り組んでまいりました。また、地域における子供の居場所づくりの支援や児童養護施設等を退所した子供たちへの支援など、様々な取組を進め、成果も上がってきたと考えております。
白井委員:子どもの貧困対策の推進に関する法律が2019年に改正され、新たに子供の貧困の解消に向けて児童の権利に関する条約の精神にのっとりと明記がされて、新しい大綱には子育てや貧困を家族のみの責任にしないとされるなど前進したと思いますが、国の法改正や新しい大綱を踏まえた本市の計画策定の考え方を伺います。
齋藤こども青少年局長:ただいまの国の法改正や貧困対策に関する新しい大綱、これらにおきましては子供の最善の利益が優先考慮されるということ、それから、貧困の背景に様々な社会的要因があることなどが明記をされております。子供の貧困対策を総合的に推進するとされているものでございます。私どもは、改正法等の趣旨を踏まえまして、貧困の連鎖を防ぎ、引き続き実効性の高い施策を展開し、支援が確実に届く仕組みをつくることを目的といたしまして、今後計画を策定してまいりたいと思っております。
白井委員:児童の権利に関する条約の精神にのっとって、子供の意見が尊重された計画とするために、今回は子供の意見をどのように聞くのかを伺います。
本田副局長兼総務部長:子育て世帯等に対し、保護者だけでなく子供を対象としたアンケート調査を実施いたします。調査に当たっては、できるだけ多くの回答が得られるよう、調査の意義や趣旨を明記し、保護者にも理解いただけるよう努めてまいります。また、回答の負担を考慮しまして、設問数の設定ですとか、簡潔で答えやすい設問とするなど、子供が回答しやすいよう工夫をしてまいります。
白井委員:対象を前回より広げる必要があると思うのですが、小学生などにも聞くような方向でしょうか。
本田副局長兼総務部長:その方向でございます。
白井委員 昨年10月の消費税10%増税が暮らしと経済にダメージを与えていて、そこにコロナ禍が追い打ちをかけて、家計の危機と貧困もより深刻となっていると思います。この計画策定に当たって、この実態をどのように捉えていくのかを伺います。
本田副局長兼総務部長:支援者の幅広い意見聴取ということで、子供の貧困の背景には様々な社会的要因がございます。家庭が生活困窮に至る経緯ですとか、抱えている課題も一様ではないため、多面的な実態把握が必要と考えております。そのため、日常的に子供や家庭に関わる様々な方々へのヒアリング等により、多様な困難の状況について、きめ細かな実態把握に取り組んでまいります。
白井委員:支援が届く制度設計をしていただくということが必要だと思うのですけれども、支援を届けるに当たっては支援制度を利用する家庭が浮き彫りになるようなことがあってはいけないと思います。その点では、2021年4月から始まる中学校ハマ弁給食は喫食率20%の想定です。これは16%という就学援助率に近い数字ですから、注文をすればレッテルが貼られるおそれが考えられます。思春期の子供の心を傷つけないようにと考えるのであれば、喫食率20%想定のハマ弁給食は実施方法として選択には上がらないわけですけれども、この就学援助をはじめ支援を行うに当たっては子供の心を傷つけないようにすべきですが、この計画策定に責任を持っておられる局長の立場から見解を伺います。
齋藤こども青少年局長:中学校給食につきましては教育委員会事務局のほうの所管ということになりますので、貧困対策ということでお答えさせていただきたいと思いますが、子供の貧困対策については全ての子供を対象とした教育保育がベース、基盤となりますけれども、貧困の連鎖を防ぐには、特に困窮層等の特定の子供、それから家庭を対象とした支援も重要だと考えています。子供たちが自尊心を傷つけられることなく支援を受けられるように、家庭が抱える困難や背景に周囲の方がいち早く気づいて、子供の気持ちに配慮して寄り添いながら支援していく必要があるかと考えています。
白井委員:その点の配慮をどうぞよろしくお願いいたします。
子供の貧困解消に向けた施策として、私たち日本共産党市議団がこれまで充実改善を求めてきましたのは次のような制度についてです。生活保護、生活自立支援、就学援助、高校生奨学金、放課後児童クラブ、保育料減免、国保料減免、市営住宅増設、安定雇用などです。計画を充実させて、実行して、対策を進めるには、予算措置が伴います。子供の貧困解消に向けた予算措置に当たっての局長の決意を伺います。
齋藤こども青少年局長:子供の貧困対策については、幅広い取組を実施し、これまでも予算を確保しながら充実を図ってきたところでございます。今後もそのように取り組んでまいりたいと思っています。
白井委員:同様に、この予算措置の決意を副市長にも伺っておきます。
城副市長:本市では、これまでも計画に基づき、教育、福祉、子育て支援等の総合的な取組を進めてまいりました。しかし、地域には、今なお、社会的な要因により困難な状況にある子供や家庭が存在しているということも事実です。全体の予算は非常に厳しい状況ではありますが、子供の育ちや成長を守るため、庁内の連携を図りながら、必要な対応が図られるよう今後も子供の貧困対策を進めていきたいと考えております。
白井委員:副市長、全体として厳しいとおっしゃるのですけれども、カジノ、IR誘致や、それから新たな劇場の整備、そして上瀬谷への巨大テーマパークをメインに新交通も整備するというような事業、そういうものを進めている中で子供の貧困解消に向けてやるというのではなかなか期待ができませんので、巨費を伴うこれらの事業についてはきっぱりと決断をして、全体の中から子供の貧困対策に予算を回すということが必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
議会での質問・討論(詳細)
2020年10月6日