議会での質問・討論(詳細)
2020年9月30日

■医療局・病院経営本部(北谷まり9月30日)

北谷委員:北谷まりです。日本共産党を代表して質問いたします。
 まず、2025年に向けた医療提供体制の確保についてです。
保健医療サービスは、二次医療圏内で完結することが望ましいとされ、かつては横浜北部、西部、南部と3つの医療圏に分かれていましたが、2018年市域全体が1つの医療圏に改定されました。しかし、これは問題であり、直すべきと考えます。新型コロナウイルス感染症拡大により医療体制の脆弱性が明らかになった今だからこそ、地域医療構想そのものを見直す必要があると最初に述べておきます。

2018年3月に策定されたよこはま保健医療プランは、2023年度までの6年間の計画です。3年目の2020年度中に中間振り返りを行い、必要に応じて計画を見直すとしていますが、中間振り返りと病床等医療提供体制の見直しの状況はどうか伺います。
修理医療局長兼病院経営副本部長:よこはま保健医療プラン、今委員御指摘あったように、3年目に中間振り返りを行い、必要に応じて計画を見直すこととしてございますけれども、現在、新型コロナウイルス感染症への対応に全力で取り組んでいるという状況もございまして、振り返りは実施を保留してございます。なお、国については医療計画の見直しについても、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮いたしまして、必ずしも今年度中に見直す必要はないとしております。
北谷委員:このよこはま保健医療プランに2018年3月31日時点の既存病床は2万2869床とありますが、2020年4月1日時点の既存病床数は何床なのか、伺います。
戸倉副局長兼医療政策部長:2万3183床となってございます。
北谷委員:314床が増えたことになります。この間の病床配分数は809床と聞いておりますが、配分された数との差について御説明お願いします。
戸倉副局長兼医療政策部長:主な理由といたしまして、既存の医療機関の病床数が313床減ったことや、平成30年度に配分した病床の一部である228床が返還されたことによるものです。
北谷委員:病床整備について、市内を1つの区域とすることの問題点として、地域的偏在への懸念を日本共産党横浜市会議員団は指摘ししてきました。これまでの病床整備、バランスよく進んでいるのか気になるところです。
どの地域にどれだけ整備されたのか、今後どの地域に整備されるのか、御説明をお願いします。
戸倉副局長兼医療政策部長:本市では、市内を7方面に区分し、地域バランスを考慮して病床の配分を行っています。今年1月の調査結果による病床数で申し上げますと、整備済みの病床は青葉区を中心とする北部方面、鶴見区を中心とする東部方面、南区を中心とする中心部方面、戸塚区を中心とする南西部方面の計4方面で計45床となっております。また、今後の見込みとしましては、東部方面、中心部方面、南西部方面、神奈川区を中心とする北東部方面、旭区を中心とする西部方面、港南区を中心とする南部方面の6方面で計536床が整備される予定です。
北谷委員:病床事前協議制度で必要となるエリアについて明示するなど、優先順位をつけて病床を配分していくことでバランスよく医療提供体制を構築していくと、以前、医療局審査で言われているのですけれども、副市長に伺います。そのように進められた結果なのかどうか、伺います。
城副市長:北谷委員が御指摘の二次医療圏の話というのは、過去は3つでやっていたわけです。今は二次医療圏は1つですけれども、7つの方面でバランスよく、より細かく物を考えていこうという発想に立っていますので、その意味で適正に進んでいると考えています。
北谷委員:地域の方々が困ることのないように、地域偏在なく進めていただくようお願いしたいと思います。
 県の調査による2020年度の横浜市の基準病床数を伺います。
戸倉副局長兼医療政策部長:2万3785床です。
北谷委員:先ほど伺いました既存病床2万3183床との差、602床が2020年度の配分病床になるとのことですけれども、コロナによる病院の経営悪化が深刻です。総量の確保と整備が地域偏在なく進むのか心配ですが、どのように考えておられるのか、伺います。
修理医療局長兼病院経営副本部長:令和2年度の配分につきましては現在県と協議中でございますけれども、病床配分を行う場合には、7方面別で、人口当たり病床数や高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの病床機能を把握した上で、地域バランスを考慮して配分先を決定したいと考えております。横浜市病院協会が開催しております地域医療検討会で示されたところによりますと、今年度かなりの増床希望があるということを把握してございます。
北谷委員:コロナ禍の中、回復期と慢性期のみを増床するという考え方でいいのか、どう考えておられるのか、伺います。
修理医療局長兼病院経営副本部長:令和2年度の病床配分においては、回復期、慢性期の病床に配分を行うとともに、現在、新型コロナウイルス感染症のこの状況を踏まえまして、一般病床ですけれども、感染症に対応するための病床に配分するということを検討しています。
北谷委員:大事なことは、市内の既存の医療機関に病床を増やしていただくことですので、よろしくお願いいたします。
 感染症病床ですけれども、医療費抑制、採算重視の国の政策の下、2020年で半分近くへ大幅に削減されまして、全国に1900床弱しかありません。神奈川県では74床、うち横浜市は26床です。明らかに足りないと思いますが、見解を伺います。
修理医療局長兼病院経営副本部長:今、委員御指摘のように、感染症病床、県内に74床、市内には26床ございます。その指定につきましては、厚生労働省の定める基準に基づきまして県知事が行うもので、県域全体で考えるべき課題だと認識してございます。本市としては、今回の新型コロナウイルスのように感染者数が急激に増大するような局面において、先ほど申し上げたように、一般病床として感染症に対応する病床を配分することを検討してございます。
北谷委員:相模原市にあります3月末に閉院した北里大学東病院は、新型コロナウイルス患者の専用病院として再活用され、感染がさらに拡大したときには病床数を増やすことも検討と報じられ、また元看護師寮は軽症、無症状の患者を受け入れる施設として再活用されています。本市では、旧市民病院を軽症、無症状の患者の宿泊療養施設として来年3月まで利用予定です。
 野球場の計画がありますけれども、代替の場所を確保して、旧市民病院を北里大学東病院のように感染症専門病院として再活用、再整理すべきと考えますが、見解を伺います。
修理医療局長兼病院経営副本部長:旧市民病院は都市計画決定に基づき建物の解体後、公園を整備することとなっておりますけれども、現在は新型コロナウイルス感染症に対応する宿泊料用施設として活用してございます。また、建物の老朽化が進んでおり、医療施設として再整備、再活用するには大規模な修繕、改修工事が必要です。さらに、病床配分の調整や、病床数に応じて医師等の医療従事者の確保が必要なため、医療施設としての再活用には課題が非常に多く、その実現は難しいと考えています。
北谷委員:しかし、こういった状況を踏まえて、再整備を検討していくことは必要だと思います。ぜひ県などと協議していただきたいと思います。国立国際医療研究センター病院国際感染症センター長の大曲貴夫医師は、今回のような混乱を繰り返さないためには、治療に当たる人や専門家の確保とともに、感染者を受け入れるベッドを準備し、医療体制を整備しておくことが、5年後、10年後、ひょっとしたら来年にも新たな感染症が流行する可能性がないとは言えないわけですから、次の備えとして必要だと言っておられます。感染症対策に力を割いたら、その分、経営がダメージを受ける。そのような国の仕組みは改められるべきで、診療報酬の引上げなどを国に求めていただきたいと思います。そして、旧市民病院の再活用、再整備の検討をしていただくことを要望しておきます。
 医師、看護師等の人材の確保も心配です。医療機関の経営悪化が医療従事者の一時金カット、人員、衛生資材の不足など、労働環境の悪化となって現れています。また、いわゆるコロナ差別も報告されています。
 こういう深刻な状況が改善されなければ人材確保は厳しいと思いますが、見解を伺います。
修理医療局長兼病院経営副本部長 医師、看護師含めまして、医療人材の確保については非常に厳しいということを認識してございます。本市としても、これまでも様々な支援策を講じて確保に努めてまいりました。今後もできるだけのことをして、人材確保に努めていきたいと考えております。
北谷委員:医療機関と医療従事者への財政的な支援、しっかりと行っていただきたいと思います。また、医療従事者が安心安全な環境で働くことを担保するためにも、定期的にPCR検査等が受けられること、新たな差別が生まれないよう市民への啓発も必要です。恒常的な人材不足の解消、人材確保への支援を強めていただくようお願いいたします。
 厚生労働省は2019年9月26日、全国424病院を突然名指しして、2020年9月までに再編統合、機能移転、ベッド数縮減などの計画を具体化するよう求め、市内の公的病院もこのリストに入っていました。厚生労働省は感染症対策の議論が必要だとして、9月末の再編統合の検証期限を延期せざるを得なくなりました。コロナ禍で日本の医療が崩壊の危機に陥り、医療費削減第一の病床削減を懸念、批判する声が上がりました。医療には余裕が必要です。先ほどの大曲貴夫医師も、今回のような事態に対応するにはそれなりの余力が必要です、それが今の日本の病院には全く許されていませんと言っておられます。
 効率的な医療提供体制の構築の名目で進められている高度急性期、急性期病床を削減する地域医療構想を根本から見直すべきと思いますが、見解を伺います。
修理医療局長兼病院経営副本部長:地域医療構想につきましては都道府県単位で策定されておりまして、神奈川県地域医療構想は、県の保健医療計画の一部であり、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた保健医療計画の見直しを適切な時期に行う方向と聞いてございます。今後、県の計画の見直しを行う際には、本市としても県と緊密に連携していきたいと思います。
北谷委員:県で算出した2025年推計よりも低い本市の必要病床数など、本市でも見直しが必要だと思います。感染症への対応の視点を入れた今後の医療提供体制についての議論をし直すべきだと思います。
 次は、市民病院について伺います。
 市民病院は感染症指定医療機関となっていますが、そもそも感染症指定医療機関とは何か、担っている役割は何か、御説明をお願いします。
神内市民病院管理部長:感染症指定医療機関は、感染症の種類に応じて特定感染症、第一種感染症、第二種感染症及び結核の各指定医療機関に区分され、国または県から指定されます。市民病院は、エボラ出血熱など1類感染症に対応する県内唯一の第一種感染症指定医療機関であり、また、SARSなど2類感染症に対応する市内唯一の第二種感染症指定医療機関の指定を受けています。感染症が疑われる方の診療のほか、感染症に関する対応訓練や研修など予防啓発活動の推進役としての取組も行っています。
北谷委員:中期経営プランの振り返りで報告されておりますけれども、1類、2類感染症対策訓練を2019年度は4回実施したとありますが、訓練はどのような訓練だったのか、伺います。
神内市民病院管理部長:昨年8月には1類感染症を想定した感染症外来での受入れ訓練を、12月には神奈川県と合同で1類感染症患者の受入れ及び遺体搬送訓練を実施しました。これらは、実際に防護具を装備した職員が診療や搬送に当たるなど、実働訓練として行いました。また、10月には新病院での搬送動線や保健所との連携を確認するため、机上訓練を実施いたしました。
北谷委員:中期経営プランでは新市民病院の目標値は感染症指定医療機関としての役割を果たすための訓練5回としていますけれども、コロナ危機を踏まえ、参加の対象者を増やし、規模を拡大して訓練を実施するなど、従来よりも充実させることが必要ではないかと思いますがどう考えておられるのか、伺います。
神内市民病院管理部長:これまでも様々な状況を想定した訓練を実施してまいりましたが、今回の新型コロナへの対応で蓄積された経験を生かし、さらに質の高い、また多くの職員が参加する訓練を企画してまいりたいと思っております。
◆北谷委員 ぜひよろしくお願いいたします。医療機能の充実として、総合的ながん医療の充実、救急医療の強化などがあり、例えば救急車搬送受入れ件数の目標値は、令和2年度6000件、令和3年度6550件、令和4年度7000件とありますけれども、手術の件数や救急受入れ件数の増加に見合うだけの人員の確保についてどのように考えているのか、伺います。
石原市民病院長:新病院の施設設備を十分に生かしながら、高度急性期を中心とする医療機能の充実強化を図ってまいります。また、その際は、医療職の働き方改革にも対応しながら、必要な体制を構築してまいります。
北谷委員:医療機能の充実には人材の確保が前提です。増員を図り、現場に負担を押しつけることにならないよう、医師、看護師等の確保を進めていただきたいと思います。
 厚生労働省は各医療機関が策定する医師の労働時間短縮計画の策定指針をまとめましたが、医師の抜本的増員なしに、各医療機関の自己責任で労働時間短縮を進めるもので、実効性の乏しい内容だと思います。市民病院では、医師の増員を図り、労働時間短縮を実現していただくよう要望いたします。
 以上です。


新着情報

過去記事一覧

PAGE TOP