病院の地域的かたよりがおきる医療圏の1本化はやめよ
白井議員:日本共産党を代表して質問します。よろしくお願いします。
地域医療構想についてです。10月に地域医療構想が策定されます。現行の神奈川県の医療計画の中に、団塊の世代が75歳となる2025年の目指すべき横浜版の医療体制を横浜市が定めるものですけれども、そこで、その構想の素案では、人口将来推計・入院医療需要、そして在宅医療需要、それぞれどう推計しているのかを伺います。
城医療局長:国立社会保障人口問題研究所の推計によりますと、2025年の本市人口は371万4,000人で、現在より減少しますが、75歳以上の人口は2010年の1.89倍の62万人に増加します。また、厚生労働省の計算式によれば、入院を必要とする患者数は、回復期が2013年の1.4倍の約8,000人、慢性期は1.37倍の約5,400人に増加します。在宅医療等の対象患者数は、2013年の1.8倍の約5万6,000人に増加いたします。
白井議員:増加に見合うだけの医療体制をしっかりととられるかどうかというところの視点で見ていきたいと思うんですけれども。
まず、市内のベッド数の状況ですけれども、市内の一般病床、それから療養病床の人口10万人対の入院ベッドは県内と全国平均と比較してどうなのか。また、2025年に市内で7,220床不足とされ、大変な数ですけれども、構想では病床機能をどうやって確保するとしているのか、伺います。
城医療局長:平成26年度の厚生労働省の医療施設調査によりますと、人口10万人あたりで本市の一般病床数は494.3床ということになります。これに対して、県は508.4床、全国は696.6床ということになります。療養病床は、本市は103.5床で、県は147.9床、全国は255.6床です。今後不足する病床の確保策についてですが、様々なデータを活用し、患者の受療動向や既存の医療機関への影響等にも配慮しながら段階的に整備を検討していくということになります。具体策については、平成30年度からの次期横浜保健医療プランに盛り込んでいけるよう準備を進めます。
白井議員:構想で市内を1つの区域として整備するということになっているのですが、現行の医療計画では市内3つの二次医療圏が単位になっていて、このベッド数は全国の349の二次保健医療圏のうち、人口で見ると最大が大阪市。今回1つになれば、横浜市が最大になります。面積で見れば、川崎市内に2つある川崎南部医療圏が64ですから、小ささ全国3位に対して、本市は473平方キロメートルで7倍の大きさということなんですが、県の医療計画では、本来、保健医療サービスは二次保健医療圏内で完結することが望ましいと考えられるとしていますから、区域を1つにすることは入院ベッドの地域的偏在をきたすと思うのです。
それで、自宅の近くに入院できるベッドがないということになりかねないと思いますが、どのようにして地域的な偏在をなくす計画なのでしょうか。
城医療局長:先ほどもお答えいたしましたけれども、病床事前協議制度というものがありますので、その中で、一つの構想区域にはいたしますけれども、必要となるエリアについて明示をするなど、優先順位をつけて病床を配分していくことで、バランスよく医療提供体制を構築していく考え方です。
白井議員:その考え方では、高齢者の受診の動向調査というのができた上で、そう配分していくのでしょうか。
城医療局長:様々なデータをこれから拾っていかなきゃいけないと思いますけれども、3つの医療圏、今ございますけれども、それは市の中心部を中心にして扇形に3つに分けている。その中では、たとえば西区と神奈川区は近接しているのに違う医療圏であったり、一方で鶴見区と都筑区が同じ北部医療圏というふうになっていたりですね、これからの在宅医療を考えていく医療の中心が、そういった医療を考えていく上で、やはり非常に広域にすぎるという部分があります。
また、もうすでに3つの分け方というのが、あまりその役割が終わったのではないか。今後は1つの中で、さらに地域ごとにいろんなデータを用いて、どこにバランスを保つべきか、そういった決め方をしていきたいという考え方でございます。
白井議員:今後、在宅医療のことも考えるということなんですが、その在宅医療で、医療と介護が一緒になった考え方で進められると思うのですが、その介護施設の偏在が起きていることを見ると、その病院ベッドにおいても心配なので1つにすべきではないと思います。このところを主張しておきます。
入院患者を病院から早く追い出すような医療構想はやめよ
白井議員:そして次に、市の構想では在院日数の短縮、検討するとしているんです。神奈川県は医療費適正化計画をつくっていまして、医療費の伸びが過度に増大しないようにしていく必要があるといって、一人当たりの平均在院日数が長いほど入院一般診療医療費が高くなるという相関関係があるということで、県の指標には、平均在院日数と医療費を入れています。
そこで、神奈川県は、全都道府県の中で東京都と並んで、平均在院日数、医療費とも最も少ないという数字が出ているのですけれど、県の計画で、平均在院日数について、2017年度、ここが目標ですけれども、その目標とそれから進捗状況どうなのかを説明いただきたいと思います。
田中副局長:県は医療の効率的な提供の推進に関する目標として、平成29年度の介護療養病床を除く全病床の平均在日数を23.7日と設定しております。県の公表資料によりますと、進捗状況としては24年度は23.1日、25年度は22.7日、26年度は22.2日となっております。
白井議員:それでは本市の平均在院日数はその直近で県と比較すると、どうなんでしょうか。
田中副局長:介護療養病床を除く全病床のものについては、市単位での集計がされておりません。そのため、介護療養病床含む全病床での、申し訳ありませんが比較となりますけれども、平成27年の国の病院報告によれば、本市の平均在院日数は20.8日で、全国の29.1日、県の22.5日に比べて短いという状況となっております。
白井議員:その平均在院日数短縮するということは、診療報酬が上がる、こういう仕組みになっているということですから、現状でも全国や県と比較しても短い平均在院日数。さらに短縮を求められれば、病院から無理やりに追い出されたり、在宅医療となりかねないと思うのですけれど、どうなんでしょうか。
城医療局長:平均在院日数の問題はですね、病院から無理やり追い出す云々という話ではなくてですね、例えば回復手術から腹腔鏡の手術に変わってきていると、医療技術の進歩によって短くなっているという側面もありますし、さらには急性期を脱した患者さんが在宅医療や、あるいはより適した機能を提供する病院に転院すると、こういったことは早期の社会復帰にもつながるという考え方でございます。多くの方に必要な医療を提供するために、平均在院日数を短縮は必要であるというふうに考えています。
白井議員:無理になるようなことが起こってはいけないということも心配しております。
それでは、その構想の中で言っている回復期、そして慢性期病床、大幅不足解消をこの老人福祉圏域と整合性をとって一体に解消していくということとか、それから在宅見取りを実施している診療所や病院は全国平均と同程度か、下回るという、そういう記述もあります。そこで、2013年度本市が在宅医療連携拠点開設準備調査というのを行いまして、そこで在宅における看取り状況の分析や、在宅医療の実施状況の分析が行われているのですが、市内の死亡者数と死亡場所の推計が行われています。この調査で、医療機関・自宅・施設別の死亡者数、そして2020年から2035年まで5年ごとの死亡場所別の推計がされています、説明をお願いしたいと思います。
修理医療医務監:平成25年在宅医療連携拠点開設準備調査におきまして、2013年の死亡場所別の死亡者数は、医療機関が2万858人、自宅が2,302人、施設が2,513人でした。将来推計に関しましては、医療機関における死亡者数については2万3,640人と据え置いておりますが、医療機関以外での死亡者数は5年ごとに2020年が7,754人、2025年が1万1,576人、2030年が1万4,628人、2035年が1万6,934人に増加すると推計してございます。
白井議員:この調査では、医師によって件案される死亡者数が一定あって、今後も増加する、そして在宅看取りが大幅増加するということなんですが。調査結果、どう認識して、今後どうするのか。担当医師によって件案される死亡者数ですね、これが一定あるということも言われていますけど、このへんのことをどう認識して、どうするのでしょうか。
城医療局長:団塊の世代が、後期高齢者となる2025年には、医療機関以外で亡くなる方、医療機関や自宅ですとか施設で亡くなる方が増加していくということは、これは必然でございます。それに対応できる環境整備をしていく必要があると考えております。医師会と連携して在宅医療に対応する医師の確保、医療介護人材の育成、人生の最終段階についての市民の意識啓発、こうしたものに取り組んでいく所存でございます。
白井議員:今の、どういう場所で亡くなるかということに注目してみると、誰にも見取られず終末を迎えたのではないかということもありますので、そのしっかりと把握をお願いしたいと思います。
そして、市内の入院ベッド数の現状は、県や全国平均より少ないということ、そしてこれは整備が追いついていないということなのではないかと思います。そして、今後不足分を在院日数の短縮とか、在宅医療頼み、こういうふうにしても在宅医療を担う医師不足ということも、構想の中では言われておりまして、看取りを含めて望む医療を受けられる保障が大丈夫なんだろうかという疑問を持ちます。構想というは、希望的観測でしかないのではないかと思うのですけれど、高齢者医療安心のためには、高齢者人口の伸びに見合った入院ベッドの整備が決め手と思いますが、認識、どうでしょうか。
城医療局長:決して地域医療構想、希望的観測としてまとめているものではなくて、先ほど申し上げましたけれども、やはり7,000床のベッドが不足するということは大変な危機感をもって受け止めております。今後2025年まで10年切っておりますので、限りある医療資源を有効活用するなど構想の実現にむけてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
大口病院事件について市民が納得するような検証を
白井議員:続いて、伺いたいと思うんですけれども、高齢者の入院ベッドに関してなんですけれども、今、大口病院の一連の経過によって、市民への影響が出ていますので、ちょっとその点について、局長と副市長に伺いたいと思います。
病院のホームページ見ましたら、少子高齢化が進む現在の医療環境の中で、当院の果たす役割は慢性期療養医療、入退院を繰り返しながら最後まで療養を支える医療、かかりつけ医、老人保健福祉施設等での対応が困難とされる患者さんのリハビリテーションを含めた継続医療、在宅での訪問診療が困難になった際のかかりつけ医・訪問診療医の後方支援、受け皿的入院医療から終末期に向けての医療と考えていると、こうされておりまして、高齢者人口急増する本市において、今後ますます求められる機能を担っている医療機関です。そのために、多くの市民の関心が今、ここに集まっております。そして、この事件をうけてこの病院は外来の診療を今休止していて、病院の経営にも、そして市民の生活にも犠牲が出ている現状がありますのでね。
そこで、本市の医療政策を所管する医療局として、今回の一連の経過について、どのような所感をお持ちなのかを、局長に伺いたいと思います。
城医療局長:医療の安全に関することは医療局で直接所管しておりませんのでコメントは差し控えたいと思うのですが、いずれにしろ、きちんと真相解明されて医療に対する市民の信頼が取り戻されるようにしていただきたいというふうに考えております。
白井議員:市長が、昨日の議会の答弁の中で検討委員会を立ち上げると表明されました。副市長に伺いたいと思うのですが、その検討委員会に、医療局としてはどのようにかかわることになるのでしょうか。
柏崎副市長:昨日、市長が答弁をいたしました、第三者も含めてきちっと検証していくということについては、われわれきちっとそういうことを視野に入れて行ってまいりますが、今回の事件というものは全体としてどういう内容なのかということに関しては、われわれまだ十分な情報持っておりません。そういう意味で、この間、当局からも健康福祉局からもご説明しているように、臨時の立ち入りの検査などもさせていただくつもりでございます。それから、これからまさに警察が捜査を本格化させているわけでございますので、そういう状況を見て、どういうメンバーで検証を行っていくかということについては、しっかり考えていきたいと思います。
なお、今、局長もご答弁したように、横浜市の中において、市内の医療機関に対する医療安全ということに関して所管をしておりますのは、健康福祉局でございますので、もちろんそこが中心となって行っていくということでございます。
白井議員:今、都政が注目されていますけれども、行政のありようが本当に鋭く問われている時ですので、市民が納得するような検証をぜひお願いしたいと思います。終わります。