◎質問と答弁は次の通りです。なお、実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。
あらき議員:日本共産党を代表して質問します。
横浜環状北西線・北線が東京オリンピックに不可欠?
あらき議員:まず、市第1号議案・高速横浜環状北西線工事技術提案評価委員会条例と市第24号議案・高速横浜環状北西線シールドトンネル建設工事委託契約の締結についてです。
2件とも高速横浜環状北西線に関するもので、これからシールド工法でトンネルを2本工事するものです。1本は首都高に456億5160万円で委託契約をし、もう1本は市が技術提案を審査し、評価する付属機関を設置してから進めていくというものです。この北西線の全体事業費は2200億円で、延長は7.1キロメートル、そのうちの4.1キロメートルがトンネル構造になると計画されています。
北西線について、市長は「オリンピック・パラリンピックで横浜を訪れる多くの方々をおもてなしするためには、横浜環状道路の北線と北西線は欠かせません」と、昨年10月の決算特別委員会で答弁しています。2020年の東京オリンピック開催と横浜市との関係について現時点では何も決まっていないのに、なぜ北線と北西線が東京オリンピックで横浜を訪れる方々におもてなしをするために不可欠なのか、その理由がわかりません。「不可欠」とお答えになったその根拠について、まず説明をしてください。
今回提案されている首都高に委託契約するシールド工事の履行期限は、2019年3月31日となっています。シールド工事が完成してからすぐに道路として使えません。現に、北線でもシールド工事が今年の3月に完了し、これから道路として整備するまでには2、3年はかかると言っています。今回、委託契約をするシールド工事の履行期限からして、2020年の東京オリンピックに間に合わせることができるとは考えられませんが、見解を伺います。
昨年10月の決算特別委員会の総合審査と第4回定例会の一般質問において、自民党議員団の「北西線の完成時期を前倒しし、東京オリンピックに間に合わせるよう早期完成を」という質問に対し、市長は「北西線の完成予定を前倒しできるようにする」と答弁しています。しかし、道路局が示している北西線の事業期間は2012年度から2021年度となっています。2021年度ということは2022年の3月までです。つまり、当局は東京オリンピックには完成しないと言っているのです。市長は2020年の東京オリンピックに間に合わせるよう完成予定を前倒しすると2度も答弁していますが、議案審査をする上で一体どれが正しいのか。議員と市民を混乱させるようなことを議会で述べるのは問題だと思います。この点について、説明責任を果たすという観点から、どちらが市の方針なのか、納得のいく答弁を求めます。
そもそも高速横浜環状道路は、30年前の右肩上がりの経済成長を前提に計画された事業です。その後、時代の変化とともに生活様式や人口なども大きく変わっています。こういう現状にありながら、30年前の当時の計画をそのまま実行しようとすることに無理があり、今こそ、この事業を根本的に見直す時期がきていることを主張して、次の質問に移ります。
渡辺巧教副市長:あらき議員のご質問にお答え申し上げます。
市第1号議案および市第24号議案について、ご質問をいただきました。オリンピック・パラリンピック東京大会で訪れる方々のおもてなしと、北線北西線の整備についてでございますが、北西線は北線と一体となり、東名高速道路と横浜臨海部を直接連絡し、横浜港の国際競争力の強化や市民生活の利便性の向上、さらには防災力の強化など、大きな整備効果が期待される重要な路線でございますので、完成予定の前倒しに向けて取り組んでいきたいと考えているところでございます。
また、この区間の整備により、オリンピック・パラリンピック東京大会開催を契機に国内外から多くの方々に訪れていただき、横浜の魅力を知っていただく絶好の機会をさらに拡大することにもつながると考えているところでございます。
北西線の完成とオリンピック・パラリンピック東京大会についてでございますが、シールドトンネル工事によりトンネルの躯体が完成した後に実施する設備工事など、シールドトンネル工事と並行して進めることに努めるなど、完成予定の前倒しに向けて工事工程を十分に工夫してまいります。
北西線の完成時期についてでございますが、本事業は都市計画法に基づく事業認可を得て進めておりますが、その中で規定をされる事業期間はその期間内に事業を完成させるという趣旨でございますので、その中で期間の短縮を図るということについては、事業期間と齟齬をきたすものではございません。北西線は、大きな整備効果が期待される重要な路線でございますので、完成予定の前倒しに向けて取り組んでまいります。
(第2質問)
あらき議員:北西線について、再度質問いたします。北西線のシールド工事についてはまだ着手もしていません。にもかかわらず、2年も前倒しをして完成をさせる。これは、私達は、道路局に何度も問い合わせをして確認をしていますが、そういう行程にはなりませんとお答えいただいています。いま、私達が望んでいるのはその事実を元にどうやって私達に説明責任を果たすということです。そして、市長の思いであっても、現実にはできないことだということを説得し、諭す必要が副市長にあると思っています。この点どう思われているのか、副市長の見解、伺います。
市長が議会で答弁したことは思いであってもそれが方針となります。今回提案されているシールド工法の期限と、市長が答弁している前倒しで完成するということとの整合性、これはやはりとれていません。このことについて、市民に示していることについて副市長としてどう考えているのか、この点について明確にお答えいただきたいと思います。以上です。
渡辺巧教副市長:あらき議員のご質問にお答え申しあげます。先ほどのちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、北西線は横浜経済の活性化、横浜港の国際協力の強化、市民生活の利便性の向上などで、極めて重要な路線でございます。私ども道路局をはじめ、組織といたしましては、この点で認識は一致をしております。従いまして、先ほどもお答えいたしましたが、シールドトンネル工事と並行してトンネルの設備工事などをしっかりと進める。こうしたあらゆる工夫を駆使いたしまして、完成予定の前倒しに向けて、工事工程の短縮に努力をしていきたいと考えております。以上でございます。
山下ふ頭から港湾機能をなくして集客施設にするのか
あらき議員:次に、市第2号議案・横浜市山下ふ頭開発基本計画検討委員会条例の制定についてです。
現在の山下ふ頭は、市有地66.2%、国有地31.2%、民有地2.5%で、そこに民間の倉庫24棟、事務所等6棟、公共上屋が11棟、事務所などが2棟、その他の棟4棟の合計47棟があり、在来船を中心にふ頭としての機能があります。
まず、これまで山下ふ頭における港湾機能を見直すという基本方針は、どういう経過と論議で誰が決めたてきたのか、伺います。
港湾審議会の分科会等で検討してきているとも聞いていますが、港湾関係者の意向はどの程度まで汲んでいるのかが疑問です。これまでの分科会等で検討してきた内容をもとに作られた新港湾計画案に山下ふ頭の再開発が示されています。その内容は、物流主体の土地利用を見直し、市街地との近接性など優れた立地特性を生かした新たな拠点づくりを進める、大規模で魅力的な集客施設などの導入が可能な土地利用へ転換するとしています。つまり、ふ頭としての機能をなくすことが前提となっています。こういう前提で計画を進めていることについて、港湾関係者の意向を反映させているのかどうか、伺います。
港運協会に、山下ふ頭の再開発についてどのように検討してきているのか、伺いました。対応された幹部は「確かに山下ふ頭の再整備についての議論はしていますが、ふ頭機能をなくすということについては、全く聞いていません。現にいま、このふ頭を活用している事業者からの合意を前提にして、検討委員会を設置することがそもそも必要なのではないでしょうか」ということでした。つまりは、ふ頭としての機能をなくすという前提を示すこと自体が問題です。事業者の合意を前提として進めることがそもそも必要だと考えますが、見解を伺います。
今後、この検討委員会で基本計画が策定されていく過程において、港の機能として検討するのは港湾局が主体になるのは理解できますが、再開発のコンセプトで示されている集客施設や山下公園との連続性を考慮した緑地やプロムナードを配置するとなれば、都市整備局、文化観光局、財政局など他局との連携が必要になると思いますが、どうするのか伺います。
また、再開発のコンセプトの中に集客施設とありますが、新年度予算で調査費がついたカジノを含むIRもその集客施設と考えているのでしょうか。カジノ賭博は犯罪です。そのカジノを同地域に設置することは許されません。この際、明確にお答えください。
渡辺巧教副市長:市第2号議案についてご質問をいただきました。
山下ふ頭再開発にいたる基本方針の検討経過についてですが、山下ふ頭は現在検討を進めている都心臨海部再生マスタープランの対象地区のひとつに位置付けられておりまして、1月に公表した新たな中期計画の基本的方向におきましても再開発を進めることとしております。一方、現行の港湾計画におきましても、山下ふ頭はコンテナ化の進展などを背景に、利用形態の見直しの検討が必要な区域として位置付けられております。こうしたことを踏まえまして、山下ふ頭の物流機能からの土地利用転換につきまして、25年に港湾計画の改定素案を策定し、パブリックコメントを実施いたしました。現在、港湾計画の改定手続きなどを進めているところでございます。
ふ頭機能をなくすことについての港湾関係者の意向についてということでございますが、港湾計画改定にあたりまして、港湾関係者の方に入っていただき、その他市民や学識経験者などにも入っていただいた横浜港港湾計画検討部会の中で、物流主体の土地利用を見直し、新たな賑わい拠点づくりを進めるということについて、ご理解をいただき、改定素案を取りまとめているところでございます。
山下ふ頭の再開発にあたり、事業者からの合意を得るということについてでございますが、山下ふ頭は現在物流機能を担っており、稼働している倉庫等の港湾施設の移転・調整などが必要になるため、これまでに港湾関係団体に説明しております。今後、地元の権利者の方や関係事業者に対してご理解・ご協力をいただけるよう丁寧に話し合いを進めてまいります。
基本計画の策定にあたり、他局との連携が必要であるとのお考えについてでございますが、これは検討事項がまさに多岐にわたりますので、港湾局が中心となり、ソフト、ハード両面から、先生ご指摘のとおり、庁内の関係局一丸となってしっかりと取り組んでまいります。
集客施設についてでございますが、山下ふ頭では都心臨海部の魅力向上に寄与する大規模で魅力ある集客施設などの導入を基本に考えておりますが、現時点で施設を特定しているものではございません。具体的な施設内容につきましては、今後事業性も含め、幅広く検討してまいります。
鶴見花月園公園整備にあたっては地域住民の声を生かせ
あらき議員:次に、市第18号議案、市第19号議案、市第42号議案・平成26年度一般会計補正予算(第1号)債務負担行為補正の3件は、花月園競輪場跡地の一部を防災公園とするものです。
花月園競輪場跡地に防災公園を設置するにあたり、地元説明会をこれまで2回行っていますが、地元住民からは様々な意見や要望が出されています。
また、現在共産党議員団が行っている市民アンケートに「市は花月園競輪場跡地に防災公園を作ると言っていますが、地域住民の意見・要望が取り上げられていません。こうした問題については地域住民の意見・要望が取り上げられるシステムを作ってほしい」という要望が書かれていました。今後こういう事業の際には市民要望を取り上げるシステムを作ることを、今回提案しておきます。
URが行う「防災公園整備事業」の国庫補助対象となる災害応急対策施設として、備蓄倉庫、耐震性地下貯水槽、延焼防止のための散水施設があります。本市の防災計画に基づき、この地域周辺には防災備蓄庫や東台小学校に緊急給水栓が設置されているため、その補助対象の施設は整備されません。備蓄倉庫や耐震性地下貯水槽などが設置されることは、より市民の命を安全にする有効な手立てとなることは間違いありません。現行計画の見直しが必要だと思いますが、どうでしょうか。
また住民からは、地区センターなどの市民利用施設や、今あるレーサーズハウスを避難施設等に利用するなどの要望もあります。これらの住民要望をURに伝えるなど実現に向けて検討するのかどうか、伺います。
渡辺巧教副市長:市第18号議案、市第19号議案、および市第42号議案について、ご質問をいただきました。防災倉庫などの整備や地元住民の要望についてですが、防災公園街区整備事業では、公園の防災計画上の位置付けに応じまして、国の補助を活用して必要な施設を整備いたします。
花月園競輪場は現在広域避難場所になっていますが、鶴見花月園公園を引き続き広域避難場所とするため、防火樹林帯など広域避難場所に必要な施設を整備してまいります。また、これまでの説明会でも、防災に対するご意見をいただいておりますけれども、かまどベンチのように公園施設を災害時に活用できるような工夫につきましては、今後も地域のみなさまのご意見も十分にお伺いしながら、しっかりと検討してまいります。
以上、あらき議員のご質問にご答弁申し上げました。
議第1号議案「将来にわたる責任ある財政運営の推進に関する条例の制定」
あらき議員:提案いただきました議第1号議案・将来にわたる責任ある財政運営の推進に関する条例の制定について、日本共産党を代表して質問いたします。
「将来にわたる責任ある財政運営」というなら、まず過去の反省を
まず、将来にわたる責任ある財政運営の推進に資するためという提案理由ですが、昨年度末で横浜市では一般会計が対応する分だけでも3兆3518億円の借入金残高があります。横浜市では、みなとみらい21事業では土地開発公社を使って土地を購入し、返済できない大型開発などで借入金と市債を増やし、最後は市民の税金を使って返済するという無謀で杜撰な計画を賛成して進めてきたのは、まぎれもなく今回提案している会派の議員のみなさんです。みなさんの反省なくして、「将来にわたる責任ある財政運営の推進」という提案については到底納得することができません。これまで多大な市債発行を進めてきたことについて、どのように考えているのか、伺います。
財政状況が厳しい中でも新市庁舎や高速横浜環状道路の建設か
今でも財政状況が厳しいという現実がありながら、新市庁舎建設をはじめ高速横浜環状道路を2020年東京オリンピックに前倒ししてまで建設しろということは、ますます市財政を圧迫することになります。これらの事業を推進していくことについて、私たちは「将来にわたる責任ある財政運営」とするためにこそ見直しすべきと主張しています。この点での見解、伺います。
市民サービスの引き下げと使用料等の値上げが前提か
第2条第3項「公共サービスに係る市民の受益と負担の均衡が図られること」、第8条2項「市は、使用料、手数料、負担金等に関し、市民の受益と負担の適正化を図るため、定期的に又は必要に応じて総合的な見直しを行うものとする」とありますが、これらは、市民が受ける公共サービスについて、サービスの引き下げと使用料等の値上げを前提として検討することを考えていると読めますが、この点についての見解を求めます。以上、ご答弁お願いいたします。
草間剛議員:あらき議員のご質問にお答えいたします。これまでの借金を増やしたことについての反省についてご質問をいただきましたけれども、繰り返しになりますけれども、横浜市の財政状況の現状は、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づく健全化判断比率が早期健全化判断基準値以下でありまして、政令指定都市で比較しても遜色がないこと、また横浜市債の金融市場での評価として世界的な格付け機関からAA-(ダブルAマイナス)の評価を得ていることなどから、直ちに危機的な状況ではなく、むしろ安定していると考えております。まさに、将来を生きる市民に対しても、持続可能な財政運営を実現する仕組みを作ることがわれわれの責任だと考えまして、本条例を提案いたしました。
新市庁舎建設等を推進することに対する財政運営上の認識についてでございますけれども、私どもとしましては、必要な施策の推進と財政の健全性の維持の両立に資する本条例を制定し、条例の趣旨に基づいて次期中期計画が策定されることで、財政運営に責任を持った上で、今後の本市の基本的な政策が推進されることを望んでおります。
公共サービスについて、値上げを前提として検討することを考えているのではないかというご指摘でございますけれども、条例8条2項における「使用料、手数料、負担金等に関し、市民の受益と負担の適正化を図る」という表現は、拙速な値上げを前提または想定しているものではございません。以上、あらき議員からのご質問にお答えしました。
(第2質問)
あらき議員:お答えいただきました第1問目の質問です。「将来にわたる責任ある財政運営の推進」という前に、私達は過去のこともきちんと評価をしなければなりません。その反省なくして前に進むとは思えないので、反省をしないのかとお聞きしたのです。現在の財政状況についてお聞きしたのではありませんので、この点について明確にお答え下さい。
それから、第2条第3項の部分、この料金値上げについても拙速な値上げはしないとおっしゃっていました。拙速はしないけれども値上げはするということなんでしょうか。この点についても明確にお答えいただきたいと思います。以上です。
草間剛議員:あらき議員のご質問にお答えいたします。認識と反省でございますけれども、先ほど現状認識についてお話をさせていただきましたけれども、市債残高についてもこの10年間確実に減少していることから、そのようなご答弁をさせていただきまして、認識はちょっと異なるということを若干、私としては感じております。
2問目の8条2項でございます。拙速という話でございますけれども、基本的に私達の立法の趣旨としては、これを条例を制定することによる値上げというのは、拙速な値上げといったのは、値上げというのは想定しておりません。ただし、社会経済情勢等によるものもございますので、このような表現にさせていただきました。以上、ご答弁を申し上げました。