憲法解釈変更での集団的自衛権行使に反対を表明せよ
古谷議員:古谷やすひこです。日本共産党を代表して、質問いたします。
まず、集団的自衛権の問題について、伺います。
今、安倍首相が憲法を解釈によって変えて、集団的自衛権の行使を容認することを進めようとしております。しかし、こんなことは本来は許されません。そもそも憲法は、国民が国家に守らせるべき法律です。憲法によって権力が拘束されるという立憲主義から真っ向から否定するものです。このことについて、断固抗議と反対の意思、表明すべきだと思いますが、どうか伺います。
私たちは、アメリカの戦争に日本が巻き込まれるような集団的自衛権の行使は認められない。米軍基地のある沖縄県では、「基地が標的になる」として18首長が反対の意を表明しています。同じく米軍の基地が存在する本市も、集団的自衛権が行使された場合は同様な危険があります。市民のいのちとくらしを守る立場から、集団的自衛権の行使の容認に踏み込むことについて、反対の意思を本市としても明確に表明すべきだと思いますが、どうか伺います。
渡辺巧教副市長:古谷議員のご質問にお答え申し上げます。
集団的自衛権について、ご質問をいただきました。
解釈での行使容認が立憲主義に反するかということについてでございますが、防衛安全保障の分野につきましては国の専権事項であり、基礎自治体としてお答えするものではないと考えておりますが、国の基本的枠組や進むべき道にかかわることではありますので、国政レベルで幅広く議論していただきたいと考えております。
集団的自衛権の行使についてでございますが、繰り返しで恐縮でございますけれども、防衛安全保障の分野につきましては基礎自治体としてお答えするものではないと考えております。
新システム移行に際して保育の質をさげるな
古谷議員:次に、子ども・子育て新システムへの移行について、伺います。
新システムについて、今、国と自治体で保育に対する公的責任を後退させるものだとして、保育などの関係者から強い危惧の声が上がっています。しかも主な財源は消費税増税で、子育て世帯にとっては二重に困難を押し付けるものとなっています。
先日発表された本市の4月1日付けの待機児童数の中で、特徴的なことは、この1年で開所された認可保育園31園のうち23園が株式会社立の保育園であるということであります。私たちはこれまでの議会論戦の中で、弾力運用という名のもとで、本来横浜の子どもたちのために使われるべき保育運営費が明らかな目的外支出であるといった事例を具体的に指摘をしてきました。保育運営費を本社の法人税の支払いにあてたり、別の保育園の建設費にあてられていたり、東京の認可保育園整備のためにあてられていたりすることについて、横浜の子どもたちのためには使われていないじゃないかということを指摘してきました。また、その結果、保育士が定着しないなど保育の質が低下する事例も出てきました。改善するべきだと厳しく指摘をしてきました。そして、企業立の保育園の中で働く方からも、それを裏付けるような内部告発が相次いできました。
こういった問題を置き去りのまま新システムに移行しては、公金の目的外支出を拡大してしまうようなことになります。そして、そのつけを結局は園児にまわしてしまうことになります。これからシステムをつくる時期に、あらためて保育運営費を目的外使用させないための規制を強化すべきだと思いますが、どうか伺います。また同様に、これから拡大する学童クラブなどでも、営利企業参入と運営費の使途について一定の規制、すべきと思いますが、どうか伺います。
新システムの移行に当たっては、本市で今まで行ってきた現行水準を下げないこと、特に現在市独自の上乗せ横だしをしている制度について保育の質を後退させないことが必要だと思いますが、どうか伺います。
新システムへの移行に伴って、小規模保育または認可園への移行を希望する横浜保育室に、十分な財政支援もすべきだと思いますが、どうか伺います。
学童について、新システムでは面積基準が定められたり、対象児童が6年生まで拡充されるなど制度が大きく動いてまいります。これが軟着陸できるように、積極的な行政の支援が、今、必要です。
特に、建物と人件費の問題、これはこの機会に解決の道筋をつけるべきだと考えます。特に、耐震性が不十分な施設を使っている学童クラブが全208か所中89か所、人数でいえば9698人の学童登録児童のうち3978人が、実に4割以上の子どもたちが耐震性の不十分な場所で放課後を過ごしていることになります。
放課後キッズクラブ、はまっこふれあいスクール、放課後児童クラブ、この放課後3事業を今は自由に選択できる環境にはない中で、住んでいる場所によって耐震性の危険度が異なるというのは不合理であり、一刻も早くこのことは解消すべきだと思いますが、どうか伺います。
また、賃金の安すぎる学童指導員の処遇についても、今回学童クラブが法で定められたことを機に、改善するべきだと考えます。しかし、指導員処遇の改善のためといっても、今以上に保護者負担増はもはや限界ですから、抜本的には補助金を増やすことがどうしても必要だと思いますが、どうか伺います。
渡辺巧教副市長:子ども・子育て支援新制度について、ご質問をいただきました。
営利企業における保育所運営費の弾力運営についてでございますが、新制度では保育所運営費の仕組みが変わることになります。報道によれば、保育に要する費用の仮単価の案が示されたようですが、現在本市としてもこの情報収集に努めているところであります。今後正式に内容が提示される予定でございますので、国が示す新たなルールを見極め、その動向を注視してまいります。
放課後児童クラブの運営費についてですが、現在本市の放課後児童クラブでは営利企業への補助金交付を見合わせております。新制度では、社会福祉法人その他の多様な事業者の能力を活用した放課後児童健全育成事業の実施を促進とされておりますので、補助のあり方について今後検討してまいります。
新制度における保育所の本市独自の助成についてですが、国が示す公定価格をもとに、現行の保育の質の水準を確保できるような、本市独自の助成のあり方を検討してまいります。
横浜保育室が認可の枠組みに入れるための支援についてでございますが、認可に移行するための施設整備費補助や、認可基準以上の職員配置を行った場合の運営費の加算などを行うことにより、積極的な支援を行っております。
放課後児童クラブの建物の耐震性の向上についてですが、留守家庭の子どもたちが安心してすごせる放課後の居場所を確保することは、喫緊の課題と認識をしております。放課後児童クラブにつきましては、25年度から開始した面積基準、耐震化を担保するための分割移転に対する準備経費の補助や、物件の情報提供を継続してまいります。
放課後児童クラブの運営費についてでございますが、本市では児童の人数に応じて常勤の指導員配置を義務付けておりまして、それに見合った基本運営費を補助しております。今後、国の省令で指導員の資格要件も求められることから、本市といたしましても指導員の処遇も含め、安心安全な活動を行うために必要な財源措置につきまして国にしっかりと要望しているところでございます。
一攫千金をねらうカジノを横浜でやるのか
古谷議員:続いて、カジノの問題について伺います。
今度調査費のついたIRは、その概念上カジノを含まない事はありえません。したがって、IRの問題はカジノを横浜でやるかどうかの問題です。現在認められている競輪・競馬などの公営ギャンブルは、公設・公営・公益で、特別法で定められています。しかし、現在国会の審議待ちのカジノ法案で検討されているものは、公営ギャンブルとは真逆で、民設・民営・私益で運営され、そこに公益性はひとかけらもありません。こんなことを横浜市は本当に進めていいんでしょうか。民設・民営のカジノにどんな公益性があるのか、伺います。
横浜にカジノをつくるということは、真面目に働いて額に汗して、横浜を支えていくという勤労の風土ではなくて、敗者の上に成り立つ偶然の享楽で経済を活性化させるということに他なりません。子どもたちにまじめに働かなくても一攫千金が起きるなんてことを教えられるのかどうか、伺います。
ギャンブル依存症について、ギャンブル依存症の調査は、2008年に厚生労働省が行い、その後も継続的に行われております。2010年、11年、12年と、研究結果の報告書が出されています。その報告書では、諸外国に比べて日本の現状は今どういう状況にあるのか、本市はどういう状況なのか、調査結果をどう認識されて、本市ではどんな対策をうってこられたのか、伺います。
渡辺巧教副市長:IR統合型リゾートについて、ご質問をいただきました。
IRの公益性の考え方についてですが、本国会に提出されております法案では、「特定複合観光施設区域内の整備の推進が、観光および地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであること」、全部引用させていただきましたが、と第1条の目的に明記をされております。また、同様に第3条の基本理念には、「地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されること」が明記されております。こうしたことから、この法案に基づき構想されるIRにつきましては、公益性があると考えているところでございます。
IRによる経済の活性化について子どもにどう教えるのかというご質問でございますが、現在運用されております競馬などの公営競技は法律に基づく規制により適正に運営され、その収益の使途として、社会福祉の増進などの必要な経費の財源にあてることとされております。いわゆるIR推進法案には、「観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであること」、先ほどもご紹介したとおりですが、さらには「適切な国の監視及び管理下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されること」が明記をされております。こうした法案の趣旨や理念などにつきましては、子どもさんにかぎらず多くの市民のみなさまにご理解いただくことが重要であると考えております。
ギャンブル依存が日本では高いというご指摘についてでございますが、これは先生ご指摘のとおり、確かに日本人男性のギャンブル依存の発生頻度が高いとされておりますけれども、その要因としてパチンコによる頻度の増大の影響が大きく、わが国独自の状況を呈していると報告されていることは認識をしております。
また、本市の状況および対応についてですけれども、ギャンブル依存に特化したかたちでは把握しておりませんけれども、各区においてアルコールなどの依存症全般に関わる相談の中で対応しております。具体的には、相談の内容に応じて専門の医療機関や回復に向けた施設およびNPO法人などの団体を紹介しております。また、このようなNPO法人に対して、横浜遊技場組合さんがその活動を支援するなどの取り組みを行っていらっしゃいます。
栄養バランス、夏場の傷み等弁当の問題解決にも中学校給食実施を
古谷議員:次に、中学校給食について伺います。
横浜市では今年度望ましい昼食のあり方を検討して、アンケートなど行うという予定ですが、ぜひお隣の川崎市で行った給食アンケート参考に、取り組んでいただきたいと思います。
川崎のアンケート結果等からは、保護者は家庭弁当について3つの心配があることが分かっています。弁当の栄養バランスの問題、「夏場の傷み」の問題、経済的に弁当が用意できない家庭への対応の問題です。
そこで伺います。本市では、家庭弁当の栄養バランスの担保、どうとっていくのか。また、弁当の「夏場の傷み」にどう対応していくのか。また、お弁当を用意できない経済的困窮家庭に対して、どう対応していくのか、それぞれ伺います。
本市では、就学援助を使って給食費が免除されている小学生は実に2万6500人います。これらの児童が中学生に上がれば、給食がないため、昼食に対する援助が全くなく、自己責任というのが今の横浜の現状で、現に昼食を用意できない家庭もあります。中学生が昼食を食べるも食べないも市は関知しないというのが本市の方針なのか、伺います。
この3つのデメリットは、いずれも給食を実施しているところでは起こりえない問題です。
今後行う昼食に関するアンケートでは、2011、12年度で行ったアンケートのように弁当を前提とした設問ではなく、給食についても家庭弁当についても中立的なゆがみのないニーズ調査を行っていただきたいと思います。
川崎のアンケートのように「おこさんに中学校での昼食は何を食べさせたいですか」と素直に聞くべきだと考えますが、どうか伺います。川崎のアンケートでは、この設問の回答に8割近い保護者が「小学校のような給食」を選んでいます。この結果について、所感を伺います。
岡田教育長:中学校給食についてご質問いただきました。
家庭弁当における栄養バランスの担保の考え方についてですが、家庭弁当は保護者など作る方が責任を持って作っていると認識しています。教育委員会としては、家庭弁当作りを応援するために、短時間で手軽に作れる栄養バランスがとれた弁当レシピや、主食・主菜・副菜のバランスなど弁当作りのポイントを記した資料を全世帯に提供しています。また、学校では家庭課の授業や生徒会活動などで、子どもたち自身がお弁当作りに関われるように食育に取り組んでいます。
家庭弁当の夏場の傷みを心配する保護者への対応についてですが、これまで教育委員会で把握している限りでは、家庭からの持参弁当による食中毒は報告されておりません。教育委員会としても、食育だよりをとおして衛生面に配慮した夏場のお弁当作りの留意点を紹介しています。また、学校によっては、保健室だよりなどによりまして、保護者へ食中毒に対する注意喚起も行っています。なお、学校に空調が整備されたことにより、保護者の安心感が高まっていると聞いております。
小学校で就学援助を受けている子どもが中学校へ進学した場合の対応ですが、就学援助を受けている生徒が経済的な理由だけで弁当を持参していないという報告は受けておりませんが、何らかの家庭の事情で弁当を持参できない生徒がいるという状況は学校からの報告があり、各学校で教職員や地域の方々のご協力もいただきながら支援をしております。
昼食を食べるも食べないも家庭の問題であるというのが本市の考え方なのかについてですけれども、自立を目指し、成長をする段階の中学生には、自ら食べることへの意味をしっかりと考えてほしいと思い、食育について推進しているところです。
川崎市のアンケートのように、素直に質問するべきとのことですが、川崎市では中学校での完全給食実施を前提として実施に関する基礎資料とするためアンケートを実施したと聞いています。本市のアンケートでは、今後の中学校昼食の充実に対するニーズや要望などを把握してまいります。
川崎市のアンケートで保護者の8割近くが給食を望んでいることについての考え方ですが、川崎市のアンケート結果では、中学校の昼食で一番食べたいものについて、子どもの約5割が家で作った弁当と回答し、小学校のような給食と回答した子どもは約3割弱であるという内容から、保護者と生徒の意識の乖離が窺えます。本市の中学校給食のあり方の検討にも参考になると思います。
以上、ご答弁申し上げました。
横浜でも寡婦控除のみなし適用を早く実施せよ
古谷議員:最後に、先ほどもありましたが、非婚の母の寡婦控除のみなし適用を行う問題です。
死別あるいは離別など結婚歴のある母子世帯には寡婦控除が認められ、税金や保育料などの軽減策がありますが、非婚の母子世帯には認められていないため、税金や保育料などに大きな差が出ています。この差を解消するために寡婦控除のみなし適用を行う自治体、実はこの4月からがたくさん自治体が増えています。
しかし、本市ではこの問題について、第一回定例議会の際に「全庁的に検討してまいります」と回答されておりましたが、お隣の川崎市でも急展開で動き、「準備ができ次第、4月までさかのぼって適用したい」と、こう踏み込んで市長も発言しています。
本市の状況も、もはや待ったなしです。毎日毎日、本市では約1800世帯の方々が、この問題に苦しみ続けています。また、どうしてもやりきれなくて、生活保護を受給されている方も知っています。現時点で本市が既婚か非婚かで待遇に差をつけている合理的な理由は何か、伺います。
横浜市でも一刻も早い対応が必要ですが、いまだやっておりません。いつからやるのか、踏み込んだお答えをいただきたいと思います。また、まずは保育料とか部分的にできるところからでも始めるべきだと思いますが、どうか伺います。
渡辺巧教副市長:寡婦控除のみなし適用について、ご質問をいただきました。
婚姻歴の有無で差をつける合理的な理由についてということでございますが、本市ではこれまでも児童扶養手当など婚姻歴の有無にかかわらずひとり親家庭を支援する制度を実施してまいりました。一方で、国の制度上、所得税額等を用いて算定することとされているものにつきましては、現行の所得税の寡婦控除の取り扱いが影響を与えているものと考えております。
実施の時期についての考えについてですが、本来は税制度を含め国全体で検討されることが望ましい課題であると考えておりますが、ひとり親家庭の自立支援を進める本市といたしまして、寡婦控除のみなし適用を導入した場合の課題や実施の方法等について、全庁的に検討を進めておりまして、その結果を踏まえて、本市での対応を総合的に判断していきたいと考えております。
実施できる制度からみなし適用を始めるべきとのお考えについてですが、今申し上げましたとおり、現在寡婦控除のみなし適用を導入した場合の課題等について検討を進めております。この結果を踏まえまして、本市の対応を総合的に判断をしてまいります。
残りの質問につきましては、教育長より答弁をいたします。
利便性第一の高速道路のあり方は根底から再検討すべき
古谷議員:なお最後に、先ほど質問をしました自民党の遊佐議員のわが党に対する問題提起に一言答えたいと思います。南線に反対する理由は、何よりも財政負担の大きさです。南線の総事業費は約5000億円。環境への負荷も問題です。住民合意もありません。そこに住まわれている住民を押しのけてでもやるつもりなんでしょうか。そこにどんな大義があるんでしょうか。人口減少社会の到来、大量生産・大量消費社会のあり方が問われる中、利便性を第一義的に追い求める高速道路のあり方は根底から再検討すべきだと訴えて、質問を終えます。