議会での質問・討論(詳細)
2014年3月20日

■総合審査(あらき由美子)

あらき議員:共産党を代表して質問いたします。

生保基準引き下げに合わせて就学援助基準を引き下げるな

まず、就学援助制度についてです。就学援助は学校教育法第19条「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対して、市町村は、必要な援助を与えなければならない」に基づいて、実施されています。今回の予算編成にあたり、就学援助について教育長はどういう思いで取り組んだのか、伺います。

岡田教育長:本市の就学援助は、本市の生活保護基準に準じる制度であるため、要保護者の基準見直しに伴い、同様に認定基準の見直しを行うことといたしました。

あらき議員:就学援助の対象としているのは、今お話しいただいたように生活保護を受けている保護者と、その保護費を基準にした所得の保護者を準用保護といっています。この基準となる生活保護費を国が引き下げたことで、その影響ができる限り及ばないようにと国の通知に合わせて対応している自治体は政令市でいくつあるのか、また横浜市のように引き下げたのはどこか、伺います。

岡田教育長:他都市の状況につきましては、確認できている限りでは、25年8月の生活扶助基準の見直しを受けて基準を変更した都市が4都市、生活扶助基準の見直し前の25年4月1日を基準としている都市などが14市あります。結果として、26年度には見直しの影響が出る都市と出ない都市があるということになりました。

あらき議員:結局、影響させないようにその通知に基づいてやっている自治体が多いということは確認できた点は、教育長、認めますね。

岡田教育長:それは結果として影響が出ているとこと出ていないとこがあり、政令市の数として今把握できる範囲では影響していないところの方が多いというふうになります。

あらき議員:就学援助の所得基準を引き下げたことで今年の所得基準で対象となった方のうち、1%、約400人が新年度からこの援助が受けられないということになります。これを避けるには、私たちの試算では約2000万円の予算で済みます。先ほど答弁していただいたように、現行の所得基準を維持している自治体もあるのに、なぜ本市は引き下げたんでしょうか。

林市長:繰り返しで申し訳ありませんが、本市の就学援助は本市の生活保護基準に準じる制度であるため、要保護者の基準見直しに伴いまして同様に認定基準の見直しを行うこととしたものです。

あらき議員:前回の質問で、生活保護基準額が他都市より高いということを教育委員会は答弁しました。それは、地域毎の生活様式・立地特性に応じて生じる物価・生活水準が高いため、保護基準額が高いということなんです。市の示している認定基準額、たとえば4人世帯で総所得額358万円以下が344万円以下に下がることは事実です。4月からは消費税8%、さらに重くのしかかります。さらなる追い討ちをかけることにもなります。本来ならば、むしろその影響も考えて、所得基準額を引き下げるのではなく、引き上げて対象を広げるべきだと考えますが、教育長の見解、伺います。

岡田教育長:本市の就学援助は本市の生活保護基準に準じる制度です。本市の生活保護基準は激変を緩和させるために3年かけての段階的に基準を引き下げることとしておりますので、就学援助も連動して、これに連動させることといたしました。なお、消費税増額等に伴い国の示す支給単価に変更があった場合は、検討して対応してまいります。

あらき議員:市長、今までの私と教育長のやりとりを聞いて、どう感じられたでしょうか。地方自治体によっては影響を受けないようにしている自治体もあるということです。ぜひ、この点の市長の見解、伺いたいと思います。

林市長:生活保護の対象でなくなった方が引き続き制度の対象になるということ、就学援助の本市の所得基準額が全国の20の政令都市の平均を上回る水準であることからも、今、教育長が回答申し上げたことは適当だというふうに考えております。

あらき議員:それは本当に冷たい姿勢だと思います。ぜひこの点、改めて検討していただきたいと思います。

学校図書の選定は学校長の判断で行うことを確認

あらき議員:次に、学校図書について伺います。改めて、学校図書の選定方法について確認します。学校図書館の選定基準、どうなっているでしょうか。

岡田教育長:学校図書の選定基準については、全国学校図書館協議会の図書選定基準を参考とするよう、平成25年4月5日に学校長に通知しております。

あらき議員:そこで、学校長が学校における選定委員会などの意見を参考にして決めるということでよろしいでしょうか。

岡田教育長:学校では、図書選定委員会などを開き、学校長の承認を得て、図書を選定しています。

あらき議員:2013年9月2日、公益社団法人全国学校図書館協議会理事長が「『はだしのゲン』の利用制限等に対する声明」を述べています。その内容を抜粋で言います。「学校図書館は、多種多様な資料を児童生徒に提供し、自由な利用による情報へのアクセスを保障すること、そのためには専任の司書教諭・学校司書を配置し、各学校の『学校図書館資料選定基準』に基づいて『学校図書館資料選定委員会』が教職員、児童生徒等の要望を考慮して選定を行うことを、ここに再度確認します」とありました。教育委員会はこれを尊重しますね。

岡田教育長:選定方法につきましては、申し上げたとおりですので、それは学校長のもとでということになります。

子どもたちが求めているのは“昼食”ではなくて“給食”

あらき議員:次に、学校給食について伺います。食育基本法第20条、学校給食に関する部分について、お願いします。

岡田教育長:学校、保育所等における食育の推進として、国及び地方公共団体が子どもの健全な食生活の実現や健全な心身の成長が図られるよう、必要な施策が書かれております。

あらき議員:そこの学校給食に関する部分を再度読んでいただけますか。

岡田教育長:それでは第20条を読み上げさせていただきます。「国及び地方公共団体は、学校、保育所等において魅力ある食育の推進に関する活動を効果的に促進することにより子どもの健全な食生活の実現及び健全な心身の成長が図られるよう、学校、保育所等における食育の推進のための指針の作成に関する支援、食育の指導にふさわしい教職員の設置及び指導的立場にある者の食育の推進において果たすべき役割についての意識の啓発その他の食育に関する指導体制の整備、学校、保育所等又は地域の特色を生かした学校給食等の実施、教育の一環として行われる農場等における実習、食品の調理、食品廃棄物の再生利用等様々な体験活動を通じた子どもの食に関する理解の促進、過度の痩身又は肥満の心身の健康に及ぼす影響等についての知識の啓発その他必要な施策を講ずるものとする」。以上、20条、読み上げさせていただきました。

あらき議員:この食育基本法が2005年に施行された以降、政令市と神奈川県下で中学校の完全給食を導入または導入予定している自治体、わかってたら教えて下さい。

岡田教育長:政令市では、食育基本法が施行された平成17年度以降になりますが、3自治体で、給食の内容がパンまたは米飯、ミルクおよびおかずである完全給食を実施しています。この3自治体のうち、北九州市では全員喫食で、相模原市と大阪市では家庭弁当との選択制で行っております。県下では、海老名市が家庭弁当との選択制で完全給食を実施しております。

あらき議員:予定では神戸市と川崎市もその検討にはいっていると聞いています。
そこで、2004年学校教育法が改正されて、栄養職員150名、横浜市はそのほかに栄養教諭60名を配置しています。その目的は何でしょうか。

岡田教育長:平成16年の文部科学省からの通知には、「児童生徒の食生活の乱れが深刻化する中で、学校における食に関する指導を充実し、児童生徒が望ましい食習慣を身に付けることができるよう、新たに栄養教諭制度を設けるものです」とあります。また制度概要には、「すべての義務教育、所轄学校において給食を実施しているわけではないことや地方分権の主旨等から、栄養教諭の配置は、地方公共団体や設置者の判断によることとされている。公立小・中学校の栄養教諭は県費負担教職員であることから、都道府県教育委員会の判断によって設置される」と記載されております。

あらき議員:栄養教諭は60名いるんですけど、中学校147校あります。この60名で回りきれないと聞いてますけど、この点どうですか。

岡田教育長:さまざまな工夫をして対応をしております。
あらき議員:はっきりと全部回れてるかって聞きましたら、回れてないっていいましたけど、その点どうですか。

岡田教育長:回っていない学校もあります。

あらき議員:正確に答えて下さいね。だって、学校職員と栄養職教諭が位置付けられたということに、やっぱり食育を横浜市がどれだけ踏み込んでやるかっていうことなんだと思うんです。
もう一点、公益財団横浜学校給食、今まで学校給食会が、名前を変えるんです。「よこはま学校食育財団」。そして、この変更の主旨として「食育事業は、学校給食を中心とすることから『学校』の言葉を使用し、事業範囲を明確にします。」学校っていったら中学校入らないんですか。

岡田教育長:現在、中学校では給食を実施しておりませんので、この場合には今は入りません。

あらき議員:そういう姿勢が子どもたちを私たちは非常に追いやっていると思うんです。市長、先ほど磯部委員が言っていました。私も自分の中学校で荒れている実情みてました。そういう子どもたちがいるっていうことで、やはり昼食をみんなで同じものを食べる給食が必要だと思いませんか。

林市長:先生、私はですね、今、横浜市が家庭弁当を基本としておりますけれどもね、何度も申し上げておりますけども、お子さんのことをよく一番知っている保護者の方が作る家庭弁当にはよさがありますし、家庭弁当を基本として、そしてやはりお弁当を持ってこられないお子様、そういうことはしっかりとケアして、栄養バランスがとれたぬくもりのあるランチの提供に向けた、今、検討をしているということでございます。

あらき議員:長年にわたって検討しているのに、じゃあ給食に踏み切らない理由は何なんですか。お金がないからですか。市長の決意が足りないからです。他の自治体と比べて横浜市が食育の点でも、私は先ほど指摘したように、劣っているんじゃないかと、そういうことを食育の点からも心配します。いかがでしょうか、市長。

林市長:食育の点といえばですね、やはりもっと広範な視点から見ることも非常に大事ですね。たとえば、子どもたちが家庭で、いろんなケースがあると思いますけど、保護者の方と一緒にお弁当を作るかもしれないし、お子さんが楽しんで作るかもしれないし、いろんな多様性があると思うんですね。ですから、そういう意味でも、子どもたちが食材を実際手にして、それを焼いたり煮たりすることも食育の一環であると思いますので、私としては、家庭弁当にもよさがあるという考えは持っております。

あらき議員:2011年度に教育委員会が調査をしています。教育委員会が栄養面や衛生面を指導した弁当を学校で販売した場合の購入見込み、これ生徒が答えています。月1回から2回、あるいは購入しない、全部足すと7割、74.1%です。昼食ではなくて、子どもたちが望んでいるのは私はやっぱり給食だと思います。この点、市長どうですか。

林市長:重ねてご答弁申し上げます。中学校昼食については、この時代の変化の中で生活環境も変化しておりますので、新たな中学校の昼食のあり方を検討する必要があると考えております。教育委員会において、年内には横浜らしい中学校昼食のあり方をまとめる予定ですので、それを受けて検討してまいります。

あらき議員:一度、ぜひ現場に行って、子どもたちの給食、昼食、両方食べている様子を見てきて下さい。特に中学校に行って、全部聞いてきて下さい。私からは以上、この点についてははっきりと今後の給食の問題は引き続き取り上げていきます。

最低レベルの小児医療費助成制度、今こそ年齢引き上げを

あらき議員:次に、小児医療費の点です。各自治体がそれぞれの考えに基づき制度を運営しているため内容に差が生じています。本市としても今後とも努力はするが、本来は国の制度として子どもの医療費の充実に向けた環境整備が必要と、小児医療費の点では答弁をされています。国の制度改正が具体化されていない状況では、施策の優先順位を上げて拡充を検討すべきと考えます。そこで、本制度の施策の優先順位について市長の認識、伺います。

林市長:横浜市はさまざまな事業を実施しておりまして、子育て支援策の充実についても保育所待機児童解消の継続、放課後児童育成推進など多岐にわたって多額の予算を計上しています。小児医療助成についても、子育て世代の経済的負担の緩和とそのお子様の健やかな育成を図るための大切な施策のひとつだと認識しています。

あらき議員:そこまで認識されているんだったら、ぜひ一步進めていただきたいんです。子どもを産み育てやすい環境づくりを進めていくことは重要なテーマと認識していらっしゃると、何度もお答えいただいています。県内19市のうち小学校一年生にとどまっているのは横浜・川崎市のみ。先ほどもありましたように、川崎市は拡充に向けて今後検討するとしています。そうなると、神奈川県下の中の市の中でも横浜市は一番最後に残ってしまいます。市長は今後生産年齢人口が減少していくことについても取り組んでいかなければならないとおっしゃっています。その点でも人に注目をすれば、子育てをする応援する小児医療費無料化の拡充は、課題として真っ先に取り組むべきことだと思います。いつの時点で決断されるんでしょうか。

林市長:今申し上げましたように、子育て支援策はさまざまな充実を先生方と議論しながら図ってきているところでございまして、この小児医療費助成制度の拡充はより多額の財政負担が継続的に必要になりますので、今後慎重に見極めながら検討していきたいと思います。

あらき議員:そのお答えをずっと聞いています。もうこの間ずっと聞いています。ぜひもう一度、もう一度早めに決断いただくよう、この点では要望しておきます。

就労支援センターの職員を増やして障害者に手厚い就労支援を

あらき議員:最後に、障害者の就労支援について伺います。就労支援センターは障害者の就労への定着を目指す目的で設置されています。支援の流れについて、局長、説明してください。

岡田健康福祉局長:就労支援センターの支援の流れでございますが、まず働くことを希望される障害のある方との面談を通じて、センターへの利用登録を行う。次に、その方の仕事に対する適正を評価し、必要に応じて職業訓練や企業等での実習を行います。その上で、ハローワークなど関係機関と連携しながら求職活動に入ります。そして、企業等への就職が決まった後にも支援を継続し、職場訪問を通じたフォローアップなどを安心して働き続けられることができるよう定着支援を行っております。
あらき議員:この就労支援センターの登録者数と定着支援者数、5年前と比較してどうなっているのか、伺います。

岡田健康福祉局長:まず登録者数ですが、平成20年度2146人に対してその5年後ということになりますが24年度は3796人ということで、1650人の増加ということになります。そのうち、定着支援者数ですが、平成20年度は1033人、その後24年度は1718人ということで、685人の増加となっております。

あらき議員:今お答えいただいたように、5年前と比較してもかなりの伸びになっているということがわかりました。この就労支援センターは市単独事業として定員を超える部分について加算運営費を出していると聞いています。どういう基準で出されているのか、ご説明ください。

岡田健康福祉局長:現在、就労支援センターでは、センター長が1名、そして常勤の支援員が2名、それと非常勤の支援員が2名、合計5名という体制を基本にしております。各センターでの支援対象者の定員は、事業の実施要項上、年間200人というふうになっております。その200人の定員を超える部分については、1人につき2万円を加算運営費として補助をする、こういう仕組みになっております。

あらき議員:4年後、2018年に法定雇用率の算定基礎の対象に、新たに精神障害者が加わることが決まっています。この点からも、ますます就労支援センターの役割が大きくなると考えますが、この点についての健康福祉局長、見解、伺います。

岡田健康福祉局長:現在、就労支援センターにおいては、障害種別を問わず、精神も含めてということですが、さまざまな障害のある方の相談に応じております。昨今では精神障害のある方からの相談が増えているという状況にありまして、精神障害者への支援はますます重要というふうに認識をしております。今後はそれぞれの障害特性や個性に応じてきめ細やかな支援を行うため、スタッフの専門性を高めることなど、精神障害のある方への支援を充実させていくことが大切だと、こういうふうに考えております。

あらき議員:実際に私、この前、南部の就労支援センターに行って、所長とお話を聞いてきました。今非常に大変なのは、区との連携も必要だということなんですね。スタッフはもちろん、区からいろいろ相談くれば受けますけれども、やはり今の非常勤が2人という体制だと、なかなか回りきれないということが言われていました。
それから、今、養護施設から卒業されたお子さんたちも定着するのに一生懸命働いていらっしゃいます。その養護学校卒業した後の子どもたちの支援が続いているかどうかという定着の問題でも、やはりこの就労支援センターの方に問い合わせがくるということでした。
ということは、どんどんとこれからの就労支援センターの役割が、精神障害を加えるだけでなくて、広がっていく傾向にあると思うんですけど、この点は局長は聞いていらっしゃいますか。

岡田健康福祉局長:そのように認識をしておりまして、今後もやはり就労支援センター、これは特に障害のある方にとっては、まさに自立ということに直結する問題ですので、一生懸命取り組みたいと思います。

あらき議員:各センターからは今のような実態があることも踏まえて、定員を超える部分についても支援対象者数に応じた職員配置が可能となるよう予算を措置してほしいと聞いています。この点、今後どういうふうに対応されていくのか、改めて伺います。

岡田健康福祉局長:今も申し上げましたように、障害のある方にとって働くということは経済的にひとり立ちし、生きがいを高めるということにつながるなど、とても大切なことだと認識をしております。そのため、今年度は就労支援センターを1か所増設をして全体で9か所体制にすることで、支援体制の強化を図っております。また、加算運営費をはじめセンターの職員配置のあり方については、各センターからの現場の声をさらによく聞きまして、実情をしっかりと踏まえて適切な支援体制が図れるよう、引き続き努力をしてまいります。

あらき議員:ぜひその点お願いしたいと思います。この就労支援センター、3億円の予算が組まれていますけれども、ほとんどが横浜市費だということで、他都市に比較しても横浜市が非常にがんばっているという姿勢はみえました。ただ、今お話したように、精神障害者がこれから加わっていくこと、それから養護学校から卒業して増えていくという傾向があることもお話をしました。
そして、もう一点、やはり、この精神障害を含めて障害者のみなさんが、生活保護の対象ではなく、扶助から安定雇用になって、納税者となっていく。そういう傾向がみえることによって、この就労支援センターの職員のみなさんは、その明るい顔が見えてくると非常に自分たちも嬉しいんだという言葉を、私に述べていただきました。この点では、やはり実態を把握しているからこそできることであって、私たち、この就労支援センターの職員のみなさんがやはり非常勤ではなくて、少なくとも正規で働かせてあげたいんだという就労支援センターの声も聞いています。ぜひ、市長、この点では見解いかがでしょうか。

林市長:本当に、先生のご意見には同感でございます。ご意見しっかりと受け止めていきたいと思います。

あらき議員:今後ぜひ就労支援センターの役割は、ますます横浜市の障害施策の私はポイントになると思います。ぜひ、積極的に取り組んでいただけるよう要望して、終わります。


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