(実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。)
緑化義務付けを300㎡以上に引き下げ、
よりいっそうの緑化推進を
河治議員:私は日本共産党を代表し、今定例会に提案された諸議案のうち4件の議案に関連して質問いたします。
質問の前に、9月1日の市都市計画審議会で「瀬上の森への都市計画法に基づく手続きで開発提案は認められない」とした市都市計画提案評価委員会の決定が了承されましたが、緑を守ろうと奮闘された地域の皆さんをはじめ、関係各位のご尽力に敬意を表します。
それでは質問に入ります。
最初に、市第34号議案 横浜市緑化地域に関する条例の制定と、市第42号議案 緑の環境をつくり育てる条例及び横浜市開発事業の調整等に関する条例の一部改正についてです。
本市は、都市化とともに年々減少する緑の保全に、基本計画を策定して取り組んできましたが、2004年の緑被率は31.0%まで落ち込み、緑地の維持拡大は急務です。これまで、建築物建築の緑化は緑の環境をつくり育てる条例による協議事項でしたが、今回の条例制定により、2004年に都市緑地法で定められた緑化地域制度を活用し、建築物の新築・増築の場合に一定割合の緑化が義務付けられる面積が広がります。そこで、法改正後、本市はこれまで緑地拡大のためにどのような努力をされてきたのか、伺います。
条例案では、緑化義務を住居系用途地域における敷地面積500平方メートル以上としていますが、都市緑地法では300平方メートル以上1000平方メートル未満の範囲で定めることができるとしています。緑地を拡大するには緑化を義務付ける建築物の敷地面積を下げることが重要です。すでに条例制定している名古屋市では、建築物の敷地面積を原則300平方メートル以上とし、建ぺい率の最高限度が60%を超える区域については500平方メートル以上としています。
現在、緑の環境をつくり育てる条例に従って、500平方メートル以上の建築確認の際に緑化の協議をすることになっていますが、2007年度でみると、住居系地域では協議に応じた件数の割合は5割で、協議に応じたところの緑化面積は平均で23%、建築申請に対しての緑化面積は8%です。したがって、500平方メートル以上、緑化率10%としても必ずしも緑化が促進されるとは限らず、むしろ緑化が鈍化することにならないか、懸念されます。
商業系・工業系用途地域における建築申請に対しての緑化面積は、工業系では8%、商業系にいたってはわずか3%にしかすぎません。工業系・商業系地域を対象外にして、はたして緑化が促進されるのかも、懸念されます。
そこで、名古屋市の例にならって対象敷地面積を原則300平方メートル以上とし、建ぺい率などに応じて面積などに弾力性を持たせるべきだと思いますが、どうか伺います。
商業系・工業系用途地域において、協議に応じた件数割合は6割から7割です。これらの地域については、これまで通り強制力を持たない協議によって緑地を拡大していこうとのことですが、どれだけ協議に応じてもらえるかが鍵だと思います。そこで、事業者の緑化に対して、支援策の拡充や税軽減などの優遇策、協議のテーブルにもつかない建築主名の公表など、協議割合を高める対策が必要だと思いますが、どうか伺います。
中田市長:お答え申し上げます。
まず、市第34号議案そして市第42号議案についてのご質問をいただきました。
これまでの緑地拡大の取組についてでありますが、改正都市緑地法の施行に先駆けて、16年度に緑の環境をつくり育てる条例によって、緑化協議の対象敷地面積を1000平方メートルから500平方メートルに引き下げました。また、開発行為の際に、緑化を義務付ける開発事業の調整などに関する条例や、斜面地における地下室建築物の建築および開発の制限等に関する条例ということも制定いたしまして、さらに横浜市風致地区条例の改正などに緑化制度の拡充を行ってまいりました。
建ぺい率に応じて対象敷地面積に弾力性を持たせるということでありますが、これまで緑の環境をつくり育てる条例においては、500平方メートル以上についての緑化協議を行ってきたわけであります。本市におきましてはこれまでの緑化協議の継続性もございますし、敷地内における建物や駐車場ということなどの配置も、都市部において考慮していくということなど、さらに環境創造審議会からも提言をいただいて、昨年の市会での議論ももちろん踏まえまして500平方メートル以上といたしたものでございます。
商業系用途地域の緑化を推進するための支援策などについてでありますが、屋上壁面緑化や生垣設置に対する助成、緑化認定ラベル事業などの誘導策を強化しつつ、展開をいたしてまいります。
協議のテーブルにつかない建築主の公表など検討すべきだというご指摘でありますが、緑化地域に指定をされれば建築確認と連動することから、確実な緑化がなされるということになっていくものであります。今回は、現行制度上の問題から、商業系用途地域に緑化地域の指定を行いませんでしたが、国に制度改正の要望を行っているわけでありまして、その動向によって指定拡大を検討をいたしてまいります。
精神障がい者のため、
地域医療センターやショートスティ施設等の拡充を
河治議員:次に、市第40号議案 横浜市総合保険医療センター条例の一部改正についてです。
議案は、横浜市総合保健医療センターが、精神障がい者の日常生活の支援として、港北区の生活支援センター事業を行うため、条例改正しようとするものです。
精神障がい者のための支援施策の充実が求められ、とりわけ、地域で生活することが強調されるようになった昨今、地域生活を支える生活支援センターの役割は重要です。そこで、未設置の区について早急に設置すべきと考えますが、どのような計画になっているのか伺います。
精神障がい者が増加していることや、身近なところでの生活支援を重視するならば、中期計画の1区1館では少なすぎます。人口の1%が精神疾患を患っているといわれているなか、生活支援センターの増加が求められていますが、増やす考えはないか伺います。
生活支援センターの構想段階では宿泊がありましたが、実現しませんでした。精神障がい者が生活支援センターを利用するなかでセンターが心休まる場所となり、宿泊を望む声が多いと聞いています。旭区の生活支援センターを運営するNPO法人が、障がい者の要求を受け入れて宿泊を実施していましたが、今年度から市の事業として運営されるようになりました。これらのことから、生活支援センターでのショートスティはどうしても必要だと思われます。そこで、今回設置の港北区生活支援センターで、ショートスティを実施すべきと考えますがどうか、また、既設の生活支援センターにも広げていく必要があると思いますがどうか、伺います。
精神障がい者の家族への支援策も重要です。日本共産党市議団がこの夏に精神障がい者団体の方々と行った懇談では、親子の関係が一時的に悪化して、親がどこかに避難せざるを得ない場合や、親の精神的安定のために自宅を離れる必要がある場合の親の一時宿泊施設がぜひとも必要だという意見が出されました。旭区ではNPO法人が行っていると伺いましたが、運営は財政的に厳しいようです。そこで、精神障がい者の家族が泊まれる一時宿泊施設が必要と思いますが、整備する予定はないのか伺います。
生活支援センターは、区福祉保健センターと連携しながら、ひきこもり状態などの精神障がい者への家庭訪問や相談、障がい者が出かける場合の同行などを実施しています。しかし、訪問や同行サービスの利用件数が0件と、本来の機能が十分発揮されていない生活支援センターがあります。これは、区福祉保健センターの相談受け入れ体制が不十分で、生活支援センターとの連携がとれていないことが原因です。精神障がい者の家族から、区福祉保健センターに相談に行っても、相談窓口の医療ソーシャルワーカーが忙しく立ち働き、声もかけられない状態だと伺いました。
そこで、生活支援センターが精神障がい者やその家族の求めに応じたサービスを保障するには、相談窓口である区福祉保健センターに常勤する医療ソーシャルワーカーを、せめて全区で4人体制に拡充すべきと思いますが、どうか伺います。
生活支援センターの相談で、医療への不安が非常に多いと聞いています。精神障がい者は、肝機能障がいなどの合併症に苦しんでいる人が多く、医療費は大きな負担になっています。身体・知的とともに3障がい一元化と位置づけられるなかで、精神障がい者は、身体・知的障がい者に適用されている県の重度障がい者医療助成制度の対象になっていません。神奈川県下では鎌倉、藤沢、相模原など10市町で独自制度として、この制度に精神障がい者を加えていますが、横浜市は「コストがかかる」として、やっていません。そこで、3障がい一元化というからには、横浜市でも独自制度で精神障がい者を対象にすべきと考えますが、その考えはないか伺います。
中田市長:次に、市第40号議案についてのご質問をいただきました。
生活支援センターを早急に全区に整備すべきということでありますが、横浜市中期計画においては、精神障がい者の日常生活を支援する拠点施設として生活支援センターを、平成22年度末までに各区に1館整備をするということにいたしておりまして、現在整備を進めているところであります。生活支援センターの設置数については、現在は横浜市の中期計画の目標達成ということに向けて、整備をいたしているところであります。
港北区生活支援センターにショートスティ機能をということでありますが、横浜市総合保険医療センターにある精神障がい者生活訓練施設において、これまでも全市対応のショートスティを実施をしておりまして、その中で対応が可能であると考えております。なお、既存の生活支援センターについては、生活支援センターの設備を活用した宿泊支援事業を一部の施設で実施をしているところでございます。
精神障がい者の家族の方が休息をとるための一時的な宿泊施設についてでありますが、本市としましては、ショートスティの利用によって本人への支援と、そして家族の休息が可能というふうに考えているわけでありまして、現時点においては、生活支援センターにその機能を設置をするという考えは持ち合わせておりません。
各区福祉保健センターの医療ソーシャルワーカーの配置についてでありますが、現在、各区の状況をまさに踏まえて対応しているわけでありまして、5区においては4人配置をしているわけでございます。精神障がい者の相談支援については、民間医療機関や生活支援センターなど関係機関との連携を図りながら、充実に向けて取り組んでいるわけで、こうした状況を踏まえまして、必要な区福祉保健センターの執行体制については4人体制としております。
重度精神障がい者に対して、市独自の医療費助成制度を創設すべきということでありますが、重度障がい者医療費助成事業は、県の補助事業として身体障がい者および知的障がい者を対象として実施をしており、これまで再三にわたって補助率が引き下げられるなど、本市の負担は増大をしておりますが、しかし本市はその意味において制度を維持してきたわけであります。こうした状況の中で、また新たな制度の創設は、これは困難であると考えております。
卸売市場の手数料の自由化は、
市場と卸売業者の整理・淘汰をもたらすもの
河治議員:最後に、市第43号議案 横浜市中央卸売市場業務条例の一部改正についてです。
議案は、卸売市場法の改正に伴い、これまで全国一律に定められていた卸売業者の委託手数料率を自由化するものです。
法改正は、市場間における手数料の引き下げと卸売業者の競争を誘発し、市場と卸売業者の整理・淘汰をもたらすとして、わが党は反対しました。時の政府は、改定の目的を生産者の選択権の拡大、卸売業者のサービス向上、ビジネスチャンスの拡大といいながらも、その影響の大きさから法制定から施行までの期間を5年間と長くしました。また、市場開設者が手数料の幅を自主的に定める裁量も認めています。
横浜市の中央卸売市場は、横浜市民の生鮮食料品等の物流拠点として、大きな役割を果たしてきました。しかし現実は、取扱量や売上が減少し、卸売業者の採算性が低下し、中卸売業者の経営状況も悪化していると聞いています。
そこで、委託手数料の自由化によって、卸売業者間や市場間競争が激しくなった場合、どのような問題が発生するのか、また発生した問題に対して、市としてどのように対応するのか伺いまして、私の質問を終わります。
中田市長:最後に、市第43号議案についてのご質問をいただきました。
横浜市中央卸売市場業務条例の改正は、卸売市場法の一部改正に伴って行うものでございまして、卸売業者がその機能サービスに応じた委託手数料を自ら定め、届け出る制度に変更するということによって、市場の集荷力の強化や活性化につながることが期待をされております。
お尋ねの制度変更によって発生する問題については、卸売業者が生産者である委託者に対して不当に差別的な取り扱いをすること、公正かつ適正な取引を損なうこと、卸売業者が自らの経営を圧迫するような低い委託手数料に変更することによって財務の健全性を損なうこと、こういったことなどが考えられようかと思います。
そして、それらへの対応についてということでございますが、開設者として適切に指導するということと合わせて、条例改正でも卸売業者に委託手数料の変更を命ずるということができるように定めているところであります。また、市民に生鮮食料品を安定的に供給しうる足腰の強い中央卸売市場を実現をしていきたいと考えておりますから、食の安全・安心、こういったことが昨今は特に大きな関心事であります。そうしたことに対する対応であるとか、物流効率化ということもあわせ、今後実現をして、卸売場の低温化やフレッシュセンターの整備ということなどを進めてまいりたいと考えているところでございます。
以上、答弁申し上げます。