白井議員:日本共産党を代表して、まず国民健康保険について質問します。
国保加入世帯、10年間で約30万円の所得減、1人当たり1万5000円の国保料増
事業費会計の24度決算の概要と収支を説明してください。部長、お願いします。
本田生活福祉部長:24年度の収支は、歳入は約3445億6000万円に対し、歳出は約3448億6000万円で、約3億円の赤字となっております。この不足分については25年度予算を補正し、繰り上げ充用を行って補填をしております。
白井議員:繰上げ充用、補填といって、財政厳しいわけなんですけれども、24年度の1人あたり保険料は前年度とくらべてどれだけ上がったのか、伺います。
本田生活福祉部長:24年度決算の1人あたり保険料は、医療分、支援分合わせて9万7095円で、23年度の9万2963円と比較すると、4132円の増となりました。
白井議員:保険料高くって、もう生活壊すほどのレベルだと思うんですけれども、抑える努力は、どのようにしてきたのでしょうか。
本田生活福祉部長:本市の財政状況が厳しい中、加入者の保険料負担を緩和するため、24年度は市費を約132億円、1人あたりでは1万4802円を繰り入れました。
白井議員:それでは、加入世帯の所得と保険料の負担割合について、具体的に伺うんですけれども、10年前と比較すると、全世帯と給与所得世帯の平均所得はどう変わったのか、そして1人当たり保険料はどう変わったのか、伺います。
本田生活福祉部長:まず、1人あたり保険料ですが、14年度は8万1975円、24年度は9万7095円で、1万5120円の増加でした。次に、国保加入者の全世帯の平均所得ですが、14年度は267万9262円、24年度は237万9588円で、29万9674円の減少でした。最後に、給与所得者の平均所得ですが、14年度は417万9611円、24年度は337万8861円で、79万8050円の減少でした。
限界に近付きつつある、保険料で賄う方式の国保制度
白井議員:局長にですが、ここ10年で所得が減って一方保険料が増加して、特に、その零細企業に勤める人や非正規雇用の人がほとんどを占める給与所得の世帯で所得減っています。今後、年金生活者も増えますから、全体では低所得者で支えあうかたちなんですけれども。国も認識しているように、医療費は増えることが確実で、そうすると相対的に多い所得の世代への過剰な負担が必至なんですが、その現行の医療費を保険料で賄う方式自体がもう限界に近付きつつあると思うんですが、認識どうでしょうか。
岡田健康福祉局長:これは本市にかぎらず、全国の市町村が運営する国民健康保険は、加入者の年齢構成が全体で大変高い。あと、医療の水準が高い。また、低所得者が多い。構造的なこういった課題を抱えているという状況にございます。また、今後も高齢化の進展や医療技術の高度化によりまして、医療費が多分増加するだろうと。そういうことになりますと保険料は年々重くなるというような見込みがされております。このために、横浜市では他都市と連携し、国に対して指定都市市長会などを通じまして、国民健康保険制度と他の医療保険制度との負担の公平性を図り、長期的な安定した制度となるよう国の責任を明確にした上で、すべての医療保険制度を一本化するなどの抜本的改革を早急に実現することを、これは要望をしているところでございます。
白井議員:財源、国へ要望し続けているということなんですが、その具体的な要望の内容、そしてその実現に向けてはどう働きかけていたのか、具体的に伺います。
本田生活福祉部長:本市では、国民健康保険の創設以来、医療分の普通調整交付金が交付されていないため、普通調整交付金の算定方法の見直しについて毎年継続的に獲得に向けた要望行動を行っております。なお、本年は6月14日に林市長が厚生労働省を訪問し、大臣に直接要望書を提出しました。
白井議員:林市長も直接要望されているということなんですが、何が障害で、実現ができていないのか、どうなんでしょう。
本田生活福祉部長:普通調整交付金は、市町村間で生ずる財政力の不均衡を調整することを目的にしています。現行の制度では、本市を含め医療費の低い保険者は普通調整交付金が交付されず、保険料が高くなるという状況が生じておりまして、算定方式を見直すよう、要望を続けております。国における見直しが進まない要因のひとつには、本市が主張する計算方式へ変更した場合には、他の保険者の普通調整交付金が減額されることなどがあると思われます。
白井議員:本市は全国で最大の保険者ですから、交付金を要求するだけではなくって、医療分がいま32%しかない、受けていないこの国の負担割合、これを1980年代前半の50%へと引き上げを率先して求めるべきです。そしてまた、加入者の貧困化を止める国レベルの政策化がもう急務です。この点でも国への強力な働きかけが必要ですが、どうでしょうか。
岡田健康福祉局長:横浜市では、指定都市市長会を通じまして医療保険制度を一本化するなどの抜本的改革を早急に実現することを要望しておりますが、合わせてということで一本化が実現するまでの間、当然ありますので、国民健康保険事業の安定的運営を図るために、国庫負担率の引き上げを含む財政措置を講ずることも合わせて要望しております。
国保料算定方式の変更が子育て世帯を直撃
白井議員:それでは、国が応能負担の原則に反して政令を改正して、今年度本市の保険料算定方式が、市民税方式から所得による旧ただし書方式に変更になりまして、6月に保険料の通知を受けた市民から、「収入が例年と変わらないのに、経過措置があるのになぜこんなに上がるのか」「払える金額ではない」と、子育て世帯を中心に相談が多数寄せられています。国の誤った政策による被害を最小限にするのが地方自治体の役割ですけれども、本市では全くこれが不十分と言わざるを得ません。
例ですが、港北区の子ども3人の夫婦、昨年の保険料が38万5000円、これが51万。そして、緑区子ども2人夫婦は37万8000円が50万6000円に。そして、もう1例、旭区の子ども3人の自営の夫婦、30万7000万円が51万1000円と、もう3割から7割という大幅な負担増です。これらの3世帯の2011年度の年収は、順に450万円、506万円、249万円です。300万円前後の所得のうちから、その一割を超える保険料の負担というのは、もうもともと限界に達していたところなんですけれども、年収が変わらないのに算定方式の変更という行政側の都合だけで13万から20万が強いられているんですけれども、当然負担増に見合う受益は一切ありません。もう納得されないのも当然のことですが、子育て世代へのいじめと同じと思うんですけれども、これ払える額なんでしょうか。どうなんでしょうか。受けとめ、どうでしょうか、局長。
岡田健康福祉局長:今回の計算方法の変更という制度改正、これは政令で改正されたわけですけれども、これは所得が同じならば保険料も同じというような考え方をもとにして仕組みを考えるということでの改正ということになっております。そのこと自体、いろいろなご意見あるというのは承知はしておりますが、やはり今回の制度改正に伴うやはり計算をしていきますと、結果としていまお話をしたような状況が生じている世帯もあるというような状況に多分あるんだろうというふうに思います。横浜市としては、できるだけ今回は制度改正に伴って控除額、所得控除額が基本的になくなるということですので、そういったことなどに着目をしたいろいろな対策をとっております。そういうようなことの中で、こういった状況が生じているのであれば、やはりそういったご家庭にはしっかりと丁寧な説明をし、必要なご相談をしていくということで現在対応をしております。
保険料増加世帯への対応が全く不備
白井議員:この3例の共通点ていうのは、子どもを2人以上扶養している世帯が直撃を受けていることなんです。子育て中の世帯に対してあまりにも思いやりが欠けていて、中期4か年計画の基本政策の第一には子育て安心社会の実現をかかげる本市の基本方針にも逆行しています。「子どもを減らして待機児童を減らそうという考えか」とかとか、「子どもの多いことを市は嫌っているのか」など手厳しい声があがるのも当然なんです。障害児をかかえる世帯からも悲鳴があがります。
多人数世帯の負担増を抑制する独自の対策がいかに不備であったかをこれらの実例が示していると思います。3実例とも経過措置の対象にもなっていません。このクラスの世帯にとって、現行の軽減制度は有名無実です。国民健康保険事業という社会保障が、市民の暮らしを破壊するということは絶対に避けなければなりません。福祉の心を欠く制度設計の誤りという認識はないんでしょうか。
岡田健康福祉局長:今回、計算方法の変更ということに伴いまして、それは控除がなくなる、基本的には考慮されなくなるということですので、そういったことに合わせまして、横浜市としては賦課割合の変更とか経過措置の実施とか市費の繰入とか、こういう3つの対策を行っております。その結果ですけれども、均等割料率は24年度と比較しますと、これは医療分支援分で比較すると、9030円の減額というふうにもなりますし、経過措置の対象となった人の保険料額は1人平均3万1000円の軽減がされたということで、こういった経過措置の対象者は課税世帯の25%に達していると。こういうようなことから、3つの対策については一定の効果があって、いろいろと配慮がされているものというふうに考えております。
白井議員:措置の対象にならなかった人たちがこんなにあがっているということなんです。6月の保険料の通知額を郵送する際に、これらの世帯が本当に払える額なのかどうか、内部で検討はしなかったのでしょうか。
本田生活福祉部長:25年度の予算の中で、保険料としていただく賦課総額はすでに決まっておりますので、条例および法令に基いて均等割料率と所得割料率を算出して告示をいたしまして、それに基づき各世帯の年間保険料を算定して通知したものでございます。
白井議員:その通知の際に、額を局内部で、局長、確認していますか。
岡田健康福祉局長:今回の制度改正に伴ってどういう要素がどういうような保険料への反映をされるかということについては、その項目などについては検討をしております。ただ、通知を出す際に、一人ひとりの世帯であるとか一人ひとりの保険料、こういったものを個々に確認するということはしておりません。
白井議員:あがるということを抑えるために措置をとった、その効果はどうだったのかの確認もしないで送ったということで、ひどいと思うんですけれども。これなんとか対策をとらなきゃいけないと思うんです。
名古屋市では特定の所得控除のある人に対して所得控除を行い保険料減額
たとえば、名古屋市の対応を承知しておられると思いますが、説明していただけませんでしょうか。続けて、本市で同様の対策ができないのはどういうことなんでしょうか。
岡田健康福祉局長:名古屋市では、配偶者控除や障害者控除など特定の所得控除がある人について、所得から一定額を減額して保険料額を計算しているときいております。こうした対応の場合、特定の所得控除がある人のみに適応され、他の所得控除が大きい人が対象外となることなどから、本市では所得控除の大きい人、幅広く対象として、期限を定めた経過措置を実施することとしたものでございます。
白井議員:改めて現実を直視していただきたいんです。子育て世帯の救済が急務です。市長答弁では、来年度なんらか対応を検討すると聞いているんですけれども、今年度の緊急的な措置が必要です。同一条件のもとで負担増となった世帯に対しては、負担増部分を全額免除すること、そのための財源は補正を組んで一般会計から繰り入れること、これぜひやるべきですが、どうでしょうか。
岡田健康福祉局長:ただいまのようなご指摘のあったような措置を取りますと、大変多額のお金がかかる状況にございます。今回の算定方法の変更に伴いまして、賦課割合の変更、経過措置の実施、市費の繰入、こういったようなことを行って配慮をしておりますので、改めてそのような措置をとるというのは、非常に困難だというふうに考えております。
白井議員:そして、加えて恒久的措置も必要です。名古屋市のように独自の所得控除を創設すること。そして、それに伴う必要な財源は、保険料の枠内ではなくて一般会計から繰り入れること。これも要望しますが、どうでしょうか。
岡田健康福祉局長:横浜市はこれまでもそれぞれの被保険者の保険料を引き下げるために多額の市費の繰入をしております。こういうような状況に鑑みて、それに加えてということはなかなか困難な状況というふうに考えております。
白井議員:強く要望して、次の質問です。
小児医療費助成制度の対象年齢引き上げを
小児医療助成制度についてです。昨年の10月から、通院対象年齢が1歳拡大されて小学1年生まで、喜ばれていまして、歯医者さんからは無料が広がったことで受診が増えていると聞いているんです。本市は、やっと1年生までですけれども、県内自治体では新たに今年拡大するところもあります。県内の33自治体のうち、通院助成の対象が小学校6年生以上の自治体と、そのうちで中学3年生までやっている自治体の数と割合、合わせて政令市で小学校3年生まででみると、現状どうなのか、説明をお願いします。
本田生活福祉部長:小児医療費の通院助成につきましては、県内では本年10月現在で、小学校6年生以上の自治体は18団体で全体の約55%、中学校3年生までの自治体は8団体で約24%となります。続きまして、政令市でございますが、小児医療費の通院助成につきましては、本年10月現在で、小学校3年生以上の自治体は13団体で、全体の65%、中学校3年生までの自治体は7団体で35%となります。
白井議員:それでは、子ども1人当たりの医療費は、年齢によってどういう状況でしょうか。説明お願いします。
岡田健康福祉局長:これは厚生労働省の発表ということで、国民医療費の22年度1人当たりの総医療費のデータをもとにしてお話をしますと、0歳から4歳までは年間23万2800円で、これは10年前に比べますと37%の増加ということでございます。また、5歳から9歳までの区分では、12万2100円ということで、これは10年前に比べると22%の増加、特に低い年齢層ということで医療費が増加する傾向にあるというようなことで認識をしております。
白井議員:市長がオールナンバーワンの横浜とおっしゃっていますから、副市長としても、これまでのように、年齢拡大は財政状況を見て検討していくとして留まっていてはいけないと思うんですね。子育て世代の家計の厳しさ、本当に深刻になっていることを直視すべきだと思います。
厚生労働白書では、子育て世代の収入が減少して、中でも30歳代の減少傾向が目立っている。そして、国民生活基礎調査でも、30歳代で所得が300万未満世帯、それから450万未満世帯が増えて、低所得化の進行がわかります。また、本市の就学援助の伸びをみても、この家計の深刻さ、つかんでおられるはずです。子育て世代への経済的支援策として重要な制度ですから、他都市並みに、せめて小学校6年生までの拡大が必要です。優先順位を高めていただきたいと思いますが、副市長に伺います。
鈴木隆副市長:私どもも少子化が進む中で将来を担う子どもたちが健やかに成長するよう環境を整えるということは非常に重要だとかいうふうに考えております。昨年そういうこともありまして10月に小学校1年生まで年齢の拡大を実施をしましたが、さらなる制度の拡大については現在多額の費用が必要となりますので、財政状況など見極めながら今後とも検討していきたいと思っております。