最低賃金19円引き上げ時給868円に、神奈川地方審が答申
最低賃金、直ちに1000円以上に!
神奈川地方最低賃金審議会(柴田悟一会長)は8月23日、県内の最低賃金を19円引き上げて時給868円にするよう神奈川労働局長に答申しました。異議申立てなどがない場合、10月20日から適用されます。
868円では生存権が保障されない!
この答申を受けて、神奈川県労働組合総連合(神奈川労連)は声明を発表しました。
声明では、生活保護水準との逆転解消などと報道されているが、同労連の試算では本来の生活保護水準が時間額1436円になること、時給868円では憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を実現できないことを指摘し、「直ちに最低賃金時間額を1000円以上にすることが、改正最賃法の趣旨を実現することと考えます」と訴えています。
ごまかさないと最賃は1436円に
2007年の最低賃金法改正で、第9条3項に生活保護との整合性にも配慮すること(生活保護水準を下回らないこと)が加えられました。しかし、神奈川労連などは、意図的に最低賃金を実態より高く、生活保護費を少なくみせるために、計算方法のごまかしを行っていると指摘しています(右)。
このごまかしをせずに、最低賃金法9条3項に基いて計算したのが神奈川県では時給1436円で、民事再生法に基づく労働債権単価である1441円に近い額となります。
最賃1000円以上は実現できる!
最低賃金を引き上げれば中小企業が倒産するなどと言われますが、最賃の引き上げが原因で会社が倒産したという証拠はありません。
厚労省が経済産業省と連携して最低賃金の引き上げで最も影響を受ける中小企業に対する支援を実施するとしているように、国と自治体が実効性のある中小企業支援策を進めれば、最賃1000円以上は実現可能です。
党市議団、毎年最賃引き上げを要求
日本共産党横浜市議団は毎年、神奈川地方最低賃金審議会と神奈川労働局長あてに、最低賃金を引き上げるよう要求しています。今年も8月14日に大貫憲夫団長らが神奈川労働局を訪問し、最低賃金を1000円以上に引き上げるよう求めました。
最賃額算出計算5つのゴマカシ
1.労働時間の水増し:生活保護基準は月額なので、最低賃金と比較する場合時間額に換算します。その際、正月も夏休みも祭日も一切休まず、週40時間働いたとした法定の上限いっぱいの理論値月平均173.8時間で計算。実際の155時間程度より大幅に水増ししているため、時間当たりの金額が低くなります。
2.勤労必要経費不算入:働く場合に必要な被服代等の勤労経費が全く考慮されていません。
3.生活扶助費を平均値で計算:生活扶助費は同じ県内でも都心部と周辺部で差をつけていますが、最賃の計算では県平均額にしているため、都心部に住んでいる人は、生活保護基準より少なくなります。
4.住宅扶助費を平均実績値で計算:生活保護受給者には市営住宅などの家賃が安い住宅に住むように指導されています。その家賃の平均で計算するため、生活保護を受けている人の約半分より最賃額が低くなります。
5.税や社会保障費の計算のごまかし:全国で最も最賃が低く、税金も少ない沖縄県のケースを他の都道府県にも当てはめて計算するため、実際よりも税や社会保障費が低く計算されています。
(神奈川労連のパンフ・HP等より)
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「こんにちは横浜市議団です」2013年9月4日(PDF版)