2012年10月30日
日本共産党横浜市会議員団
団 長 大 貫 憲 夫
1.はじめに
9月6日から開催されていた第3回定例会は、3日目の本会議(9月19日)での市長提出議案等の議決と9月27日からの決算特別委員会の審査を経て、本日の本会議での決算等の議決ですべての日程を終了しました。決算議案はすべて賛成多数で認定されました。
前半戦の議案関連質問には荒木由美子議員、一般質問には白井正子議員が立ち、後半戦の決算特別委員会では、総合審査には岩崎ひろし議員が登壇し、各局決算の審査には、5人の議員が分担して、行政をチェックし、市民要望実現を迫り、学校司書の配置などが実現。決算認定反対討論は、大貫憲夫議員が行いました。
2.議案関連質問について
横浜環状北西線は東名高速道路・横浜青葉インターチェンジと第三京浜港北インターチェンジを結ぶ高速道路で、7月10日神奈川県知事から都市計画事業として認可が下り、10年後の完成を目指しています。今回の補正は事業認可に伴う最初の予算計上です。北西線の総事業費は2200億円で、横浜市の負担は650億円です。
2012年度の市民意識調査で市政への要望の第一は地震などの災害対策です。市は、別枠で市債を発行して対策を進めていますが、公共施設が中心で災害に強い街づくりの一部であっても、すべてではなく、本格的な対策には更なる予算が必要です。市費650億円は高速道路ではなく、大震災に備え、市民の命を守るための防災に優先して使うよう要求。
また、道路局が管理する橋1700のうち、1093は耐震診断もしていないまったく手つかずの状態です。緊急輸送道路沿道のビル耐震化事業も緒についたばかり。優先順位を切り替え、橋脚の耐震補強、緊急道路整備などに使うべきと主張。市長は、「高速道路ネットワークは、大規模災害時に緊急車両の通行や物資の輸送に大きな役割を果たす、災害対策の観点においても不可欠」と答弁。同報系の行政防災無線設置要求に対しては効果の低さを理由に導入を拒否。
3.一般質問について
来年度予算編成にあたっての基本的考え方、学校施設の耐震化、中学校プールの拠点校方式、神奈川県緊急財政対策、米軍施設の返還等について質問。
市長が示した「25年度予算編成スタートにあたっての市政運営の基本的な考え方」において、災害対策での人命被害ゼロの視点欠落、外発的産業中心の政策はやめ、中小企業の直接的な支援策に軸足を移すこと、30人学級や中学校給食など他市に遅れている子ども施策を進めることをあげ、「大胆な発想と政策の転換を図るべき」として、市長の見解を質しました。
市長は、災害対策や中小企業支援は施策推進方針での重点施策としているが、将来の横浜経済の発展のためには外から活力を取り込むことは不可欠として、企業誘致や観光MICEの推進などにも力を入れる、子育て支援の分野については、保育所待機児童解消や児童支援専任教諭の配置など、きめ細かな施策を推進していると答弁。
市は、学校施設の耐震状況について渡り廊下を文部科学省への報告対象から除外し、昨年まで耐震補強の対象としていませんでした。また、天井や照明器具の落下防止などの点検を学校任せにしてきました。白井議員はこれらについて「人命軽視」だと指摘、天井などの落下物等は教育委員会が責任を持って、専門家による詳細点検を求めました。
4.決算審査
決算審査で、前進したのは学校図書室の司書配置と、学童保育施策等です。小学校で12年間、中学校で3年間図書の読み聞かせボランティアの経験から、荒木議員は、学校図書館に学校司書がいないため、図書館がうまく活用されていない実態を告発、また国が学校図書館担当職員配置経費を交付税措置していることを示して、配置実現を求めました。
鈴木隆副市長は「今後の予算編成のなかで十分議論したい」と前向きな答弁をしました。
5年間で市の補助対象となる学童クラブは23か所も増えています。荒木議員は、学童クラブで困っているのは高い保育料、施設の確保、賃借施設の耐震化だと指摘。平均1万5900円の保育料の負担軽減を図り、施設の確保を市の責任で行うよう求めました。こども青少年局長は、2015年度施行予定のこども子育て支援関連3法の枠組みなどを踏まえて、放課後施策のあり方を検討すると答えました。学童施設の耐震化について、未耐震の賃貸施設の移転費用の補助を要求、局長は「そうしたことも検討課題だと認識している」と答えました。
決算認定の反対討論に立った大貫議員は、「一般会計全体は前市長の新自由主義に基づく構造改革路線と同じ立場で選択と集中が行われており、市民の目線とはかけ離れたもの」と批判し、遅れている子育て支援、年表盗作の自由社歴史教科書の使用継続、国保料等の強権的な滞納処分などその問題点を指摘し、改善・解決を求めました。
以上