学校図書館の活用は学力向上に関連あり
あらき議員:私は12年間小学校の学校の図書の読み聞かせボランティアしてまいりました。そして、いまは中学校で3年間同じように読み聞かせボランティアをしています。ところが、学校の図書館の活用があまりにもできていない。それは、専任専門の学校司書がいないということ、その観点からいくつか質問してまいります。
まず、横浜市子ども読書活動推進計画を策定した背景について説明してください。
山田教育長:いわゆる子どもの読書離れあるいは活字離れ、そういったものが進むなかで、読書への意欲を向上させ、主体的に読書に親しむ習慣を身に付けられる環境作りを進める、そういったことから平成18年3月に策定をしたものでございます。
あらき議員:学力の向上と学校図書館の重要性についても、文部科学省の調査等によって明らかにされたとありますが、この点についても説明してください。
入内嶋指導部長:平成19・20年度の全国学力学習状況調査の指導方法等に関する取り組みと学校における学力層の割合についての分析という結果によりますと、学校図書館を活用した授業が学力向上に関連があるというふうに分析されております。
あらき議員:私が頂いた資料でも、低学力層を減らし、高学力層を増やすということがわかりましたと。それから、学校図書館の活用が学力に及ぼす効果を検証するために行われた新教育システム開発プログラム調査でも、批判的読解力、コミュニケーシン能力の育成というところで効果があったというふうに書かれています。
そこで、第1次計画の成果と課題を踏まえて昨年2月に第2次計画を策定しましたが、その基本方針6つについて説明してください。
川﨑生涯学習担当部長:基本方針としましては、一つ目に読書に親しむ機会の充実、二つ目に読書環境の整備と充実、三つ目に読書活動を支える人材の育成、四つ目に主体的な読書の推進、五つ目に読書活動に関する社会の理解と啓発、六つ目に横浜の地域特性に応じた読書活動の推進、以上6項目でございます。
あらき議員:この6つの基本方針を進めていく上で、学校図書館法があります。その第1条と第6条について説明し、その法律に基き横浜市の学校図書館の充実に向けてどのように取り組んできたのか、伺います。
山田教育長: 学校図書館法、この第1条には「この法律は、学校図書館が、学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であることにかんがみ、その健全な発達を図り、もつて学校教育を充実することを目的とする」というふうになっております。また、第6条では「学校の設置者は、この法律の目的が十分に達成されるようその設置する学校の学校図書館を整備し、及び充実を図ることに努めなければならない」というふうにされております。
本市ではこれを受けまして、学校図書館ネットワーク推進校、これによって蔵書間の電算化による環境整備、あるいは読書活動達成化拠点校、こういったものをまた設けておりまして、これによる学校図書館を活用した授業改善などに取り組んでいるところでございます。
また、司書教諭あるいは学校図書館ボランティア対象の研修会で、各学校の優れた取り組みを紹介し、学校図書館の充実に役立ててございます。
あらき議員:いただいた資料で、これパンフレットなんですけど、小・中学校における読書活動の推進で、「学校図書館を核とした読書活動の推進に努めます。また、保護者や地域のボランティア、市立図書館等関係機関との連携を一層推進し、読書啓発活動や学校図書館活性化を図ります」とあるんですね。
ボランティアだけの力では学校司書の代わりはできない
ところが、その学校図書館のボランティアなんですけれども、これ、市長がティーミーティングで丸山台中学校の図書館ボランティアの方たちとお話しした経過が載っているんですけど、丸山台中学校ボランティアの方と対談された内容について教育長、ご存知ですか。
山田教育長:丸山台中学校、これ平成23年のネットワーク推進校でございますけれども、こちらに市長がうかがっていろいろとそのボランティアの方とお話をされたということは覚えておりますけれども、中身はちょっといま覚えておりません。
あらき議員:ここで言われていることが私は非常に感動受けているんです。「学校図書館は毎日開館することで生徒たちの居場所になっています。しかし、私たちボランティアだけの力では学校図書館を学習に活用することはできません。学校でどのような授業が行われているのか、必要な資料は何かということは私たちにはわからず、先生からこんな資料がほしいと相談されても、専門家ではないのでアドバイスもできません。学校図書館が授業に役立つ学習センターとしての機能を果たすためには、専任の学校司書の力が必要だと思います」と述べられていました。この点について、教育長どのように考えられますか。
山田教育長:まず、学校図書館のボランティアについては、これも先ほどのご質問にお答えいたしましたけれども、今年度から研修をして、そのボランティアの能力向上あるいは資質の向上といったものに努めているところでございます。また、学校司書につきましては、これも先ほどお答えをいたしましたとおり、現在予算の中で検討を進めているところでございます。
あらき議員:私は小学校の読み聞かせのボランティアをして残念だったのは、いまお話ししたとおり、学校図書館に専門の司書がいないということなんです。実際にどうなっているかというと、図書館がまず開いていません。陳列する棚の整理がされていないために貸し借りがスムーズにいきません。小学校の低学年に、この本あるよってお話ししても、本棚の高さが合わないからその本読みたくても手が届かない、そういう実態があることを十分にわかってきました。それから、改善の要望を学校にしても、先生方は授業で忙しく整備する時間が取れないというのが現実です。
こういう実態を改善するために学校司書を配置することが必要不可欠だと思っています。それは、専任専門だからです。この点について再度教育長に伺います。
山田教育長:この学校司書につきましては、いま文科省の方で示しております財源措置のなかで、専任のというふうな言葉を使っておりますので、そういったことは当然念頭に置きながら検討をしているということでございます。
財政力が貧しくても学校司書は採用できる
あらき議員:片山前総務大臣が、「学校図書館と知の地域づくり」という特別講演を昨年の7月13日に行っています。ここ一部引用させていただきます。
「財政力が貧しくても学校司書は採用できる」「知事を8年で辞めて東京に移ってきて、東京都の小中学校に行ってみたら、司書がいない。ほとんどいないんです。横浜市で、慶応大学の日吉キャンパスの近くの中学校にいってみたら、学校図書館はりっぱなんですが司書はいない。校長先生に、教育委員会に話して司書を配置してもらったらどうですかというと、横浜市には500ほどの小中学校があるが学校司書はひとりもいませんからと、自信たっぷりにきっぱりと言われました。川崎市も同様だそうで、神奈川県にはいないんですね。関東の大人口を抱えるところの小中学校には学校司書がほとんどいない。田舎の貧乏県でがんばっていた者から見ると何たることだろうかと思いましたが、それがわが国の現状です。
今、小学校に学校司書ないしは司書的なものの配置率が一番高いのは島根県です。溝口島根県知事が数年前に奮起されて、島根県内の学校図書館に司書を置こう、費用の半分は県が出すからということで市長村長にはっぱをかけて、配置率が99%くらいになっている。横浜市はゼロ、東京都もゼロに近い。教育現場は財政の豊かさに反比例するのかなと思ったりしますが、そんなことではいけないんですね。
大都市の横浜や東京は鳥取県や島根県からみれば本当に裕福です。そういうところがきちんとしなければいけませんね。今日は愚痴を言う場ではないので、前向きの提言をしたいと思います。実際は大都市にしてもそれなりに財政は厳しいものはあるかもしれませんが、要はお金をどこに使うかという選択の問題。優先度合いを少し切り替えてもらえませんか。もっと言えば、優先度合いを少し間違えているところがありはしませんかということです」と述べられていました。この点について、教育長どのように感じますか。
山田教育長:冒頭申し上げましたように、読書離れとか活字離れとか言われて久しいものがございます。また、文科省の調査でもわかっているように、学力の問題とやはり関連性があるというふうなことも伺っております。ただ、本市の場合でいいますと、司書教諭というものの配置を優先的に行ってきて、学校司書につきましては、先ほど申し上げましたように予算の中で十分これから議論していくということになってございます。
ただ、学校によっては、非常に学校ボランティアの方がカリスマ的なボランティアの方もいらっしゃいまして、ある中学校はものすごく整備をした学校もございますし、なかには小学校がもともとオープンスクールみたいな学校で作っておりまして、学校図書館自体がないような小学校が実はあって、最近はそれを作るためにいろいろと工夫をしているようでございますけれども、様々な状況ございまして、そういったなかで学校司書についても現在予算のなかで十分検討していきたいというふうに考えているところでございます。
学校図書館整備の地方交付税があるのにサボっているのか
あらき議員:もっとびっくりしたこと言います。学校図書館図書等の整備ということで、本年度国は学校図書館への新聞配置及び学校図書館担当職員の配置に要する経費に対する地方交付税措置を講ずる、地方交付税措置されているんです。やらない横浜市はサボっているんじゃないんですか。どうですか、教育長。
山田教育長:次年度の予算のなかで十分議論をしていくということでございます。
あらき議員:その答えはひどいですね。この片山総務大臣から引き継いだ川端総務大臣が同じこと言っているんですよ。学校に学校司書が必要だと。「プロの導きで子どもの好奇心が刺激されます。読めばスポンジみたいに吸収して読書に喜びを感じ、楽しむようになると思います。だから、図書整備費にお金を付けたんです」と言っているんです。やらない横浜市は問題じゃないですか。この点は、鈴木副市長に伺います。
鈴木隆副市長:いずれにしても、私どもとしては、子どもたちにきめ細やかな教育環境を整えることは大切だというふうに認識しております。司書教諭のほかにもっぱら学校図書館に関する業務を担当する職員、いわゆる学校司書の配置について、今後予算編成の中で十分議論していきたいというふうに考えております。
あらき議員:今田教育委員長に伺います。丸山台中学校も行かれたと思うんですけど、ほかに他都市どこ行ってらっしゃいます。
教育委員長自ら学校司書のすばらしい先進都市の視察を
今田教育委員長:まずは、長い間読書ボランティアをやっていただき、そのことに敬意を表します。
学校現場ということでいきますと、私も年間25程度学校を回ります。そのなかで先生もいわれるような図書館が正直なところ閉まっているのを見て、そこに人がおられればぬくもりがあり子どもたちの読書意欲も高まるものだろうなというふうに思っているところでございます。
あらき議員:ここに新聞記事で、東京・荒川区それから杉並区を視察したっていうの、これどなたが行かれたんですか、教育委員会。
山田教育長:教育委員会指導部の指導主事が視察に伺っております。
あらき議員:大和なんかは、教育委員長自ら他都市行っているんです。それですばらしいということで予算付けているんですよ。やっぱりその姿勢はまずいと思いますね。今田教育委員長、ぜひ先進都市いっぱいありますから行ってきてください。お答えいただけます。
今田教育委員長:事務局とまたいろいろ相談して、寄らせていただきます。
あらき議員:最後に、ここで片山前総務大臣が言っているこの言葉も気に留めておいていただきたいと思います。「正規職員、正規雇用の司書配置を心がける」「司書教諭の実態は名ばかりというところが存外多い。それではいけない。そもそも私は、教諭はみんなが司書教諭であるべきだと思います。学校図書館と連携しながら授業を展開していくという面において」。そして、教諭はやはり教員の専門であって、図書館の専門家ではない。「教員が講習を受けて資格を取らせるなどでお茶を濁している面がある。」学校正規職員、それは、学校司書は正規でなければいけないと言っています。ぜひお願いします。