「エキサイトよこはま22計画」は市長等の答弁に従って調査・見直ししていない
岩崎議員:横浜駅周辺地区は防災の見地から緊急に再整備が求められているという立場で、「エキサイトよこはま22計画」について、質問します。「エキサイトよこはま22計画」については、昨年9月の決算審査以来各議会で取り上げてきました。そのときの市長、副市長の答弁の実施状況について伺っていきたいと思います。
昨年12月の本会議市長答弁。「3・11の経験で得られた新たに課題となる事柄について計画にきちんと反映していきます」は、「計画」にどのように反映したのか、局長に伺います。
中田都市整備局長:想定を超える津波が発生したことや、一時滞在施設等備蓄品の不足など、東日本大震災から得られた新しい課題に対応するためには、津波からの避難に関するガイドラインへの対応や、帰宅困難者一時滞在施設の確保、帰宅困難者用の備蓄の促進などを図る必要がございます。これらの内容を、「エキサイトよこはま22」のまちづくりガイドラインやインフラ基本計画に反映いたします。
岩崎議員:次に、予算特別委員会総合審査での大場副市長答弁。「計画を必要な時点で見直してまいります。」また、「中間ふり返り」では「総点検」を行ったとしていますが、この1年間、「計画」の「どこを見直し」、それが「どこに反映」されているのか、局長に伺います。
中田都市整備局長:地域防災機能や帰宅困難者等への支援を強化するため、地元の関係者との地域対応のルール、あるいは新規開発における防災機能の整備・誘導方策、これについて見直しを行っております。これらの内容を「エキサイトよこはま22計画」のまちづくりガイドラインに反映をしてまいります。さらに、津波を視野に含めました治水安全度の確保も重要となるため、基盤整備の考え方を見直したうえで、中期的な基盤整備の計画となりますインフラ基本計画に反映してまいります。
岩崎議員:次に、同じ総合審査での市長答弁。「当然大掛かりな建設計画でございますから、そういうことはしっかり慎重に調査もし、検証もして、それこそプロ集団で進めていくことでございますので、きちんとやらせていただく」とした立地条件の「調査」の状況について、局長に伺います。
中田都市整備局長:現地調査といたしまして、橋梁、護岸現場や西口・東口周辺の地下街等への入り口の高さを計測いたしました。また、特に地下街等への入り口につきましては、止水板や土嚢などの状況を確認し、現在の施設で対応可能な水準を検証したところでございます。さらに、地下街の各管理者に対するヒアリングを行いまして、洪水時の防災体制、避難誘導訓練などを定める避難確保計画について、相互の整合が図られているか、確認をしたところでございます。
岩崎議員:突然ですけど、副市長、鈴木副市長、ちょっとお願いします。建築が専門である鈴木伸哉副市長、一般論で結構なんですけど、大小を問わず建築工事をやる場合、立地条件を十分把握したうえで計画を作るっていうのが常識だと私も思うんですけれど、この点、一般論でいいんですよ、エキサイトのこと言っているんじゃなくて一般論でどうですか。
鈴木伸哉副市長:当然その地区のまず敷地の状況、それと周囲の状況等もきちんと確認をしたうえで、特に詳細の設計とかいう段階になれば、そういうことは当然必要になってきますし、基本的なその計画を整備するうえでも、周囲の状況等を配慮しながら検討していくということであるかと思います。
岩崎議員:ありがとうございました。先ほどの局長の答弁なんですけど、特に立地の調査ですね、これ、さっきの話では上面をなでただけのことで、立地条件の調査とはとても言えないと思うんです。計画区域は、埋め立て地域なんですよね。だから地盤のボーリング調査なんてのは当然必要なんですよ。だから、こういうことも含めて、必要なことがほとんどやられていないというふうに思います。だから、これは市長が言っているように、「しっかり慎重に、プロ集団で、きちんと」行うべきものなんです。改めて、局長のこの問題についての考えを伺います。
中田都市整備局長:市長が答弁しておりますように、東日本大震災の経験で得られました新たな課題も出てきていることでございますので、「エキサイト横浜22計画」にこれは適切に反映させていかなければならないというふうに思っております。このため、先ほどお答えした内容もございますけども、現地調査として、今の実態を把握するということがまず大前提でございますので、それを把握したうえで、そのあとそれぞれの地区で建築計画を進めていく状況などを見まして、その時の地質状況なんかについても、それに合わせてしっかりと把握をしていきたいというふうに考えております。
岩崎議員:その進め方にはちょっと異論があるんですけど、ここでやれませんので、いまの3つの答弁に対するやり方なんですけど、計画への反映も、それから計画の見直しもまだ始まったばっかりと。それから立地調査でいえば、市長答弁に沿った内容で、まだ始まってないというふうにお聞きしました。ですから、改めて、市長・副市長が答弁したとおり、ちゃんとこれは、専門家集団なんですからちゃんとやってください。このことをお願いしておきます。
海や川に接近し、老朽建物が多く、非常に危ない横浜駅周辺地下街
次に、横浜駅周辺地下街の災害危険性の認識について伺います。地下街は、自らの構造体で水の浸入を防いでいますが、海水面下にあるため常に水没の危険にさらされています。先般、当局のみなさんと一緒に、横浜駅周辺地区を視察しました。その時に、私が気づいたことの一部を紹介します。
ひとつは、新耐震基準に適合しない老朽建築物が非常に多いこと。二つ目に、築48年、耐用年数に近い地下街構造物の耐震性の心配。三つ目、帷子川や幸川、新田間川、東京湾沿の護岸の強度と機能で問題箇所が大変多いこと、四つ目、計画区域独自の防災計画が検討されていないことなど、防災上、耐震上、問題が大変多い地区だと思いました。
横浜駅周辺地区の災害危険性や防災上の緊急対策に対する認識を、担当理事に伺います。
下村横浜駅周辺等担当理事:まず、お話がありました新耐震基準との関係でございます。エリア全体におきまして、新耐震基準が定められた昭和56年よりも前に建築された建物が、すべての建物に占める割合は延べ床面積ベースで38%となっております。
西口地下街についてですが、西口地下街の施設管理者から新耐震基準に照らして十分な強度を保有していると報告を受けております。
帷子川などの護岸についてですが、護岸の耐震強度が確保されていることを確認しておりますし、護岸としての機能も支障ないものと考えております。
なお、横浜駅周辺地域の独自防災計画の策定につきましては、横浜駅周辺固有の有効な防災対策や発災時の対応方針などを地域とともに検討し、まとめることが必要だと考えているところでございます。
岩崎議員:いまのお答えで、一緒に視察した認識とはかなりちょっとずれる状況があるので、これはまた改めて委員会でも詰めていきたいと思います。
危機管理監の「さほど問題ではない」発言は横浜市執行部の共通認識か
次に、また副市長申し訳ないんですが、よく聞いていてください。昨日の総合審査で危機管理監が、横浜駅周辺地下街対策に関連して「深さ何メートルの地下の場所にいるかということはさほど問題ではない」と答弁しました。私、これ大変な発言だと思いますよ。危機管理監の発言としては、これは人命軽視の認識というふうにいうしかありません。そこで、そういう認識が、横浜市の執行部の共通認識なのかどうか、その点だけでいいです。
鈴木伸哉副市長:先日の答弁の趣旨を私なりに解釈をいたしますと、大地震なり津波が来た時に、あそこの場所っていうのはとにかく地下の部分というのは早く逃げるっていうところが一番大事なわけですね。そういう中で、施設を管理している方々を含めて、しっかり迅速に逃げる体制をきちんと作って、なんかの時に対応しましょうというところが、あそこの場所において一番重要なことであって、そこの部分は関係者も含めてしっかり対応していくということであると思います。
岩崎議員:質問に答えていません。「さほど問題でない」っていうのは、それで共通認識なんですね。
鈴木伸哉副市長:答弁になっていないといわれるとあれなのですが、私がやはりいま申し上げたかたちで関係者責任職等が共通の認識を持っているということで、お答えをさせていただきました。
岩崎議員:共通認識かどうかと聞いているだけで、そうですというのか、そうではありませんというのか、どっちなんですか。
鈴木信哉副市長:詳細のところの細かい部分についての考え方っていうのがいろいろあるのかもしれませんと思います。基本的な考え方については一致をしているというように考えております。
岩崎議員:さほど問題ないという、こういう軽い扱いというのは、共通認識なんですか。
鈴木伸哉副市長:人命であるとかやはり人の安全というものを考えるというのが、いろんなことを考えるうえでのベースであるというふうに考えております。
岩崎議員:これは、引き続きやりますから。
計画を所管する都市整備局は、よもやそんな認識じゃないと思いますけれども、横浜駅周辺地下街の災害危険性をしっかり認識するとともに、人命を守る視点を重視して仕事に当たってほしいと思いますが、局長の考えを伺います。
中田都市整備局長:横浜駅周辺は、河川や海に近接していると、その上地盤が低いということがございます。またさらに、地下街が発達しているということがございますので、浸水を受けやすい地域だということは間違いないと思います。この認識に立ちまして、大雨、高潮、津波に対する安全度の向上を図っていきたいと、こういうふうに考えています。また、老朽化した建物が多くみられることから、直下型地震などでは甚大な被害を受ける危険性があるということでございますので、建て替えあるいは再開発による再整備、そういったもので耐震化を進めていきたいというふうに考えます。
国の法律見直しが確定するまでエキサイト横浜22計画は凍結を
岩崎議員:国は、まちづくりに関する様々な法律、上位法といわれるものを見直しています。エキサイト計画と、この上位法がいま見直されている、動いているっていうこととの関係をどういうふうに捉えているのか、担当理事に伺います。
下村横浜駅周辺等担当理事:「エキサイトよこはま22計画」は、横浜駅周辺地区のおおむね20年後の将来像を描いた基本計画でございまして、特定の法律に基づくものではありません。なお、本市や国の基本方針との整合を図るため、防災計画の修正に合わせた見直しを現在行っている所でございます。
岩崎議員:上位法が動けばそれに見合って計画を見直すということのようですけど、上位法が定まらないまま計画を進めようとしているわけです。新たに定められる基準と計画が相反することもあり得ます。これは大変心配です。まちづくりの前提条件となる上位法等が確定するまで、計画は凍結する必要があるということを指摘しておきます。以上です。