議会での質問・討論(詳細)
2012年9月28日

■「病院経営局」 あらき由美子議員(2012.9.28)

在宅復帰率85%の高度な医療を広く市民にアピールせよ!

あらき議員:日本共産党を代表して質問いたします。
 まず、脳血管医療センターについて伺います。
 私の友人が脳出血で脳血管医療センターに運ばれ、点滴治療を3週間受け、リハビリをしっかり行い、先週退院しました。その方は、「歩行訓練をしたとき、家に帰るには坂道があり、女性なので必ず荷物を持って歩くので、そういうリハビリをしたいと要望したら、その通りのプログラムを組んでくれた。リハビリの先生たちがとてもよかった」と感謝の言葉を述べていました。患者や家族からはどのような意見が寄せられているか、伺います。

山本脳血管医療センター長:温かいお言葉いただきましてありがとうございます。確かに院内に投書箱がございますし、私も毎朝1時間半くらいかけて全患者に声をかけてくるんですけれども、その中から聞くご意見の中に、いまの先生のご指摘ありましたように、特にリハビリの治療成果が非常にいいということもありまして、適切な治療をしてくださったということに対する感謝の気持ち、それからやはり医療ですからチームプレーということで対応・接遇がよかったというお褒めの言葉をいただきます。
 反面、ハード面におきましては一番の問題は、アクセスが悪いということをいただいておりますけれども、逆にいえば、当時できた非常に立派な病院だったということではお褒めの言葉をいただいております。
 逆に今度は少しお叱り・苦情ということになりますと、やはり一番多いのは、これは裏返しになりますけれども、病院職員、特に医療職員の接遇の問題、いいというお褒めの言葉をいただく反面、もう少しこうしろというご指摘を受けるというようなこととか、それからやはり相変わらずですけれども、外来の待ち時間が多かったというようなご指摘があることも事実でございます。

あらき議員:この病院は、脳卒中の専門病院がなかったことから時代の先取りとして作られました。現在は早期治療と入院直後からの一貫したリハビリにより、治療を終えた脳卒中患者の85%が在宅復帰できるとしています。この在宅復帰率が高いことについてどう評価しているか、伺います。

山本脳血管医療センター長:特にリハビリテーション部門というのは、先生ご覧になったと思いますけれども、非常に広い訓練室を設けておりまして、常勤のリハビリの専門医が5名、それから理学療法士、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)ですけれども、その専門職員75名を配置するというわけで、非常に人的にも充実した医療体制になっております。こうした医療体制の中で、発症から手術の翌日からだいたい平均1.5日からリハビリを開始しておりまして、しかも早朝のリハビリ、土曜日・日曜日を含めた現在365日のリハビリを行いまして、さらにリハビリテーション病棟では集中的なリハビリを行っており、全国平均が70.5%程度ですけれども、先生がご指摘のとおり当センターにおきましては85%以上というような、これだけは誇るべき成績であるというふうに自負しております。

あらき議員:これまでの質問の中で他の委員からは、人件費比率が高いことが問題だと指摘されていました。でも、今お答えいただいたように、在宅復帰率が高いということはリハビリを重視し、そのための職員が多いからだというお答えでした。これは、まさに患者にとって最善の医療を行っている結果だと思います。この点を市民にアピールするべきだと思います。いただいたパンフレットにも、「知ろう!防ごう!脳卒中」ってあるんですけど、そのすばらしい在宅復帰率の高さを誇っている病院だっていうのが一行もないんですね。ぜひその点、改善の余地があると思うんですけど、いかがでしょうか。

山本脳血管医療センター長:ご指摘、非常にありがとうございます。確かに私もこの病院に来まして4年まるまる経ちましたけれども、やはり私自身けっして自慢するわけでございませんけれども、このセンターでは高度な医療を行ってそれを提供しているというふうには自負しております。ただし、一番やはり悪いことのひとつは、いいことを外に向けて宣伝するというかアドバタイズするという、これがやはり欠けているということも事実でございます。これからはぜひ、いい面はどんどん発信していきたいと思いますので、先生方のご協力よろしくお願いしたいと思います。

あらき議員:これほど立派なパンフレット作らなくても、今やろうとしているこれからの脊髄の関係のも含めて、身近にもっと自分たちの病院をアピールすることは、私はとっても大事だと思いますので、ぜひその点の工夫をお願いしたいと思います。

医師・看護師の確保に努力して、患者の確保を

 第2次中期経営プランに基づく経営改善に今年度から3か年で取り組むことになっていますが、脳血管疾患医療機能の維持・向上及び医療機能の拡大・拡充に向けた主な取組内容とプランの最終年度における経営改善目標を伺います。

高橋病院事業管理者:脳血管疾患医療機能の維持・向上につきましては、4月から脳神経血管内治療科を新設したほか、年度内にMRIを更新します。さらに、医療機能の拡大・拡充につきましては、横浜市立大学の協力を得まして、常勤の専門医2名を確保しまして、4月に脊椎脊髄外科を新設いたしました。また、手術件数の増加に対応するために、年度内に手術室の増設工事を行います。
 プラン最終年度の経営改善目標は、経常収支を23年度決算と比べて6億3600万円を改善することにしています。

あらき議員:そこで、この計画に基づき、診療体制の確保に向け努力していると聞いています。2010・2011年度の外来患者数の一日当たりの診療科別外来患者数では、神経内科がトップで64人、担当医師は5名でした。現在は4名という体制で、8月末までの数値で56.3人となっています。神経内科医師は最高時の14名から現在の4名と激減しています。入院患者とともに、外来患者の人数を増やすためにも、神経内科医の確保が絶対条件だと考えますが、どのように取り組んでいるのか伺います。

高橋病院事業管理者:私どもの最大の課題がそこだと思っております。これまでも神経内科医に研修の場として選ばれるように、つまり来てくれるお医者さんに選ばれるよう、環境整備を行ってきました。特に今年は、最新のMRIを購入して運転しておりまして、さらに臨床の研修の場としての整備を図っております。今後、横浜市立大学と連携を図り、協力を得ながら、横浜市立大学以外の広く人材を求めるために全力を尽くしてまいりたいと思います。

あらき議員:そこで、2010年3月18日に「脳血管医療センターの健全な運営に関する提言」を国立循環器病センター日本脳卒中協会の山口武典さんから受けています。その中に、「臨床研究の業績が少ない、立派な業績を挙げていることが後期研修医の病院選択の大きな要素となるため応募が増加することにつながる」と書かれていました。これがその資料です。
 それから、厚生労働省の資料で、2009年11月に行った「医師確保対策」という項目で、臨床研修医が病院を選ぶ理由のトップは「初期研修のプログラムが充実」が60.3%、その次に「プライマリケアに関する能力を習得できる」「多くの症例を経験できる」「指導体制が充実している」のいずれもが40%台となっていました。
 こういう実態について、センター長は承知していると思いますが、医師確保としてこの点を重視して取り組んでいるのかどうか、山本センター長に改めて伺います。

山本脳血管医療センター長:確かに国立循環器病センターの山口先生のご指摘のとおり、やはり若い医師に魅力のある病院づくりを進めていくことは非常に重要であると思います。これは単に臨床レベルだけではなくて、研究の必要性っていうのは痛感しておりまして、そのためにひとつはやはり、いま先生のご指摘ありました神経内科医の不足ということは、臨床に追われてできないということですから、これはいま答弁もありましたように、とにかく私も全力をあげて神経内科医の確保の努めたいと思います。
 ただ、もうひとつは、若い医師が集まりにくいもうひとつは、これは専門病院の特殊性というんですけれど、これはここだけでなくて、たとえば同じような病院が秋田県に秋田脳研というのがございます。そこもやはりかなり脳卒中に特化した病院でありまして、どうしてもいまの研修医システムそのものがどうしてもジェネラルっていうんですか、全科を回らなければいけないシステムであります。そうしますと、きわめて特殊なことをやっている病院に対しては若い医者がそこでは専門医の指導が受けられないという、そういう問題がひとつはございます。ですから、その辺もなんとか克服するためには、大学との助け合いを上手にやるとか、その辺の工夫も今後考慮していきたいと考えております。

あらき議員:ぜひその点で頑張っていただきたいと思います。
 さらに医療機能を強化するため、今年度、手術室の増室や病棟の改築などに取り組んでいると聞き、先日センターを見学してきました。それぞれ来年度に稼働するとのことですが、手術室が現在の1室から3室に増えることにより、それに見合った麻酔医師や看護師の確保に向け、どのように取り組んでいるのか伺います。

城病院経営局:麻酔科医につきましては、現在横浜市立大学から常勤医師が1名、それから非常勤医師2名の確保について協力を得ております。引き続き増員に向け、調整をしてまいりたいと思います。
 また、手術室の看護師の確保につきましては、4月から脊椎脊髄外科の手術を開始する中で、院内の看護師を手術ができる看護師として育成することにも取り組んでおります。さらに、手術室経験者の確保に向け、専門情報誌への求人広告の掲載なども行っております。

シャトルバスの運行などで足の便の確保を

あらき議員:外来患者を確保するために、市営バスについて、現在の根岸駅間の巡回運行に加えて、市営地下鉄の沿線、例えば、私の南区では吉野町駅や阪東橋駅などとのシャトルバスの運行などを交通局に働きかけてほしいと、これはそちらの脳血管からもお願いしているというふうに聞きました。ぜひこの点は、取り組む課題として私は効果があると思うんですけど、この点、鈴木副市長に伺います。

鈴木(隆)副市長:外来患者数が一日平均140人というのが、いま脳血管医療センターの状況なんですが、現行の根岸駅―センター間を運行する135系統におきましても、利用者数が少ないことが赤字になっているというふうに言われております。今後、中期経営プランを達成していく中で、利用者の動向を見極めながら、今ご指摘のあった点についても検討していく必要があるというふうに考えております。

あらき議員:アクセスが悪いということで、やはり足が遠のきますから、ぜひこの点は検討していただきたいと思います。
 経営状況が赤字だから民営化や廃止すれば良いという考え方は、私たちはあまりも短絡的だと思っています。公立病院だからこそできる専門病院としての実績を積み重ね、市民にとってよりよい医療を提供できることをアピールしていくことこそ必要だと考えています。この点しっかりと受け止め、来年度予算に反映していただくことを求めます。その見解を鈴木副市長に求めて、終わります。

鈴木(隆)副市長:いずれにしても、私たち市民医療を支えていく立場で病院経営をしていかなければいけない大原則がありますので、そうした視点に立って、先ほどから様々な先生方からいただいた意見を率直に受け止めながらがんばっていきたいというふうに思っております。


新着情報

過去記事一覧

PAGE TOP