小学校の英語教育が本当に必要か
関議員:日本共産党を代表し、質問します。
英語教育について伺います。
今月、横浜版学習指導要領が示されております。具体的取り組みとして第1にあげられているのが「横浜の時間」で、各教科でも道徳・特別活動を重視しょうとするものです。具体的取り組みの第2が「小中英語教育」。第3として基礎・基本の習得や特別支援教育、不登校予防などで、推進の具体化は小中一貫カリキュラムで行うというものです。道徳の重視も驚きですが、義務教育で求められる基礎・基本の知識の習得よりも英語教育を重視したものになっていることに疑問を持たざるを得ません。
横浜教育ビジョン推進プログラムで、2009年度から市内全小学校の全学年で、週1時間英語の授業を実施するとしています。
授業は、教育だと聞いております。ところが、授業の準備は英語の免許を持たない学級担任がします。これでは、数学の教師に英語の授業を準備させるようなものです。無免許で「教育」といえるのかどうか、伺います。
押尾教育長:現在本市がやろうとしている、また国の考えている外国語活動というものは、総合的な学習の時間や道徳と同様、教科ではございませんが、重要な教育活動の一環として位置づけておるものでございます。
関議員:いま、教育活動というふうにおっしゃったんですが、教育というふうに受け取ってよろしいわけですね。
押尾教育長:教育ということで結構でございます。
関議員:そうであれば、また繰り返しますけれども、免許を持たない者がですね、準備をするというのは、これは教育といえるんでしょうか。
押尾教育長:道徳等と同じような扱いでございますので、道徳も免許がございませんけれども、全部の教諭職員がやるというふうになっておりますので、同じような扱い方というふうに認識しております。
関議員:道徳は領域と聞いておりますが、どうですか。
押尾教育長:道徳は領域でございますけれども、これも外国語活動、私どもは英語活動と読んでおるところでございます。
関議員:わからなくなってきました。教育なのか、英語活動なのか、はっきりさせてください。
押尾教育長:英語活動というようは教育活動という認識をしていただければと思います。
関議員:免許を持たない教師の準備と、これは本当に大変問題があると思います。
いま教育長、「活動」とおっしゃいましたけれども、この「活動」にこだわると子どもも大変です。市は「コミュニケーションを図ろうとする態度の育成」であって、ゲーム等を介し英語に馴染ませる「活動」、文法も教えることはないとしています。しかし、「文法を学ばないと、英語を使えるようにならない。特に高学年ではゲームに飽きる、逆に高度すぎて英語嫌いをつくりだす」との専門家の指摘もあるんですけれども、「活動」は問題ではないでしょうか。
押尾教育長:子どもたちの発達段階に応じた教育やロールプレーなどの体験的な活動を通して、子どもたちは積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を身につけていくと考えております。そして、その過程の中で、子どもたちは無意識のうちに音声を通して英語に慣れ親しみ、自然に主語述語という文法についても学んでいくというふうに考えております。
関議員:文法を自然にということですけれどもね、そういうことで広い意味での教育、これに責任を持てるんですか。どうでしょう。
押尾教育長:中学校の、最終的に中学3年生における英語教育の最終点が、小中一環の英語教育の最終点でございますので、そこに至るまでの様々な教育活動ということの認識でございます。
関議員:小学校教育について伺っているんですが、どうでしょうか、もう一度。
押尾教育長:小学校におきましては、子どもたちの発達段階を踏まえて楽しく英語活動をしてコミュニケーションの力を図っていくというところでございます。
関議員:ですから、教育というふうに考えた場合は、非常にはっきり説明が出来ない部分があるということを強く指摘しておきますし、指導補助であるAETの派遣元の委託業者「マクシード」との契約書をみますと、2007年度の仕様書では、「英語活動」でなく「英語教育」というふうな契約がされていますけれども、「英語教育」となっているんです。「活動」という言葉はどこにも見当たらないんですけど、これはどのように説明されますか。
押尾教育長:英語指導助手配置事業におきましては、外国語講師を配置し、小学校から中学校まで一貫したねらいのもとに教育を行うという視点で考えておりますので、小学校における英語活動も、広い意味での英語教育というふうに考えております。
関議員:いずれにしてもですね、免許のない学級担任にまかせるのは、教育の専門性を軽視したやり方です。専科をあてて責任をもって実施すべきではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
押尾教育長:平成20年1月の中央教育審議会の答申におきまして、指導者、英語活動の指導者におきましては、当面は学級担任を中心にAETや英語の堪能な地域の人材とのティームティーチングを基本とすべきと示されてございます。本市についても、指導者について、国の方針によりまして行っていきたいと思っております。
関議員:国の方針ではちょっと先の話ですよね。どうです。
押尾教育長:国の事業でも、私どもの横浜の事業は先を進んでおりますので、国から後から、国の方からこのようなかたちが追って出たというふうな認識をしております。
関議員:ですからね、国に先んじているわけですから、市独自でやはり措置する考えが必要だと思うんです。しかも、横浜版指導要領で高い位置に位置づけているわけですから。どうでしょうか、そのあたり。再度伺います。
押尾教育長:外国人講師とあと学級担任と、また英語の堪能な地域の人材等を入れながら、子どもたちにあったかたちでの英語活動を推進していきたいと考えております。
関議員:答えにはなっていないと思うんですけれども。
「高学年では、中休みも充分取れない」とも聞く現場で、他教科も教え、雑務も多く、しかも免許のない教師には、独自の指導計画を作成する時間的保障も能力もありません。担任の過重負担は明白で、今深刻な教員の病気や、ひいては中途退職に繋がることになりかねないと思いますが、伺います。
押尾教育長:現在、小学校英語活動に関する手引きや事例集を作成してございまして、3月末に全校に配付する予定でございます。また、そこで示されている活動例を実践する際に必要な教材も、今後配付する予定でございます。こうした教育委員会としての支援によりまして、また担任の先生方の過重負担にならないようにしてまいりたいと考えております。
関議員:AETにしても、日本語が理解できない場合が多い。1人が3校を受け持ち、勤務時間も決まっている。担任も授業が目いっぱいという状況で、肝心の打ち合わせ時間の確保が困難と聞いています。どう解決するつもりですか。
押尾教育長:事前に活動計画を学校から委託業者に送ることによりまして、AETはあらかじめ活動内容を把握できるために、短い時間での確認や英語活動を実施することができるというふうに考えます。また、AETは放課後まで在校しておりますので、次回の活動についての確認や情報交換を行うことも可能であると考えております。
関議員:浜教組の06年実施したアンケートで、小学校英語の導入について、130校の回答ですが、どちらともいえない45%、よくない44%、よいはわずか4%です。中学校の受け止めも、46校の回答ですが、どちらともいえない60%、よくない26%、よいは13%に過ぎませんでした。現場の教員の合意を得て、条件を整えて進めるべきと思いますが、いかがですか。
押尾教育長:実施に当たりましては、準備期間を設け、準備が整った学校から導入を進めております。また、実際に指導に当たる教員からの意見や要望を参考にして、資料を作成し、指導内容や指導法をわかりやすく提示するとともに、教員に対する研修を充実させることで、段階的に条件を整えているところでございます。
関議員:小学校英語について文科省も導入する考えですが、意見が2分していると聞いていますが、小学校からの「英語教育」が本当に必要かどうか、中学校までのカリキュラムについても本市にもあてはまります。東京コミュニティースクールの校長先生は、第二言語は、母語の基礎の上に築かれると言い切っています。1年生から導入すると、どちらも中途半端になるという専門家もいます。コミュニケーションをつけるのになぜ英語なのか、なぜ1年生からか、母国語こそきちんと教えることが先決ではないかと思いますが、見解を伺います。
押尾教育長:母国語である国語は、学校教育であらゆる学習の基盤でございまして、外国語能力も総じて国語力が基本になると考えております。しかし、同時に国語と外国語ではそれの役割やねらいが多くは共通しておりまして、相乗の効果が期待できるだろうというふうに考えます。なお、日本語で生活や学習が完全に成立する環境でございますので、週に数時間の外国語の授業が国語力の低下を招くということにはつながらないと考えております。
関議員:先ほども、準備が出来た学校からやるんだというお話がありましたけれども、小学校からの英語教育が本当に必要かどうか、中学校までのカリキュラムが必要かどうかの疑問も解決されないまま、全校全学年実施は大きな問題であり、見直すように強く意見として述べておきたいというふうに思います。
学校特別営繕費は別枠で予算化・増額して教育環境の改善を
次に、学校特別営繕費についてです。一問、飛ばします。
新年度予算における学校特別営繕費は、全体として増額したにもかかわらず、学校施設老朽箇所改修費等は、前年比で4億6000万円減額です。過去5か年の推移を伺います。
押尾教育長:平成16年度77億8700万円、17年度72億5400万円、18年度57億5100万円、19年度48億5400万円、20年度43億9200万円でございます。
関議員:2004年度比で約34億円の減額、45%まで落とされていますが、これは教育環境の整備などで、必要不可欠な費用です。減らした理由は何か、伺います。
押尾教育長:厳しい財政状況の中、緊急を要する安全対策として耐震補強工事を行うほか、老朽化対策としての屋内運動場の大規模改修事業実施を重点的に進めてきたため、学校の施設老朽箇所改修費等が減となったものでございます。
関議員:耐震補強工事が学校特別営繕費を圧迫するというふうになっているようですけれども、別枠にして学校特別営繕費を増額すべきと思いますが、これは佐々木副市長に伺います。
佐々木副市長:基本的に、学校施設の安全性、耐久性を確保いたしまして、良好な学習環境を維持することは大変重要だというふうに考えております。ただ一方、予算に限りがあるなかでございまして、耐震補強工事についても学校施設老朽化箇所改修につきましても、優先順位をつけるというようなことをしながら、学校施設の営繕についての全体のバランスを考えながら、進めているところでございます。教育委員会において、今後とも適切に予算の確保を努めるということと、予算の配分の工夫について取り組んでいくことというふうに考えております。