2012年7月27日
神奈川地方最低賃金審議会長 柴田 悟一 様
神奈川労働局長 及川 桂 様
日本共産党横浜市会議員団
団 長 大 貫 憲 夫
日頃、賃金をはじめ労働時間や雇用など労働条件の向上に向けて労働行政に尽力されていることに敬意を表します。
厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会は7月25日、2012年度の最低賃金引き上げの目安額を全国平均で7円、神奈川県で9~18円とすることを決めました。この引き上げ額は、東日本大震災の影響を考慮にいれた昨年度と同水準の低いものであり、民主党政権と日本経団連、連合との合意である「2020年までの早期に全国最低800円、全国平均1000円」とは程遠いものです。
そもそも時給1000円でも、月160時間(1日8時間、月20日として計算)働いて月収16万円で、ここから税金や社会保険料を差し引くと生活するにはぎりぎりで、とても家族を養う金額ではありません。これでは、仕事をしていても生活保護に頼らざるを得ない事態が進み、結婚したくてもできない青年がますます増え、少子高齢化がさらに深刻になって、日本の将来が危ぶまれます。
神奈川県は、最低賃金が生活保護水準を下回る「逆転現象」が起きている都道府県のひとつで、最低賃金と生活保護水準の差額は18円で、北海道(30円)、東京都(20円)、宮城県(19円)に次いで全国で4番目に大きくなっています。引き上げ目安の上限である18円の引き上げで、ようやく逆転現象が解消することになります。
生活保護費以下の賃金は、憲法第25条で定められている国民の生存権、国の社会保障的義務にも反するものです。
神奈川県内で働く労働者が昨年6月に、県の最低賃金が生活保護を下回っているのは憲法や最賃法に違反するとして、神奈川労働局長を相手に起こした最低賃金裁判では、原告が当初の60人から今年の5月23日には102人に増えました。
神奈川県では昨年、最低賃金を引き上げ目安として示された18円引き上げましたが、生活できる賃金を保証するために、今年も最低賃金を大幅に引き上げるべきです。なお、長引く不況で仕事が減り、賃金アップで営業が苦しくなる中小企業に対しては、別の政策で解決をはかる必要があります。
ついては、下記の実現に向け、貴職の真摯な対応を要請するものです。
記
1.生活保護費とのかい離を解消し、生活できる賃金を保障するために、すみやかに時給1,000円以上にする方向で、審議を行うこと。
以上