議会での質問・討論(詳細)
2008年2月21日

【2008年第1回定例会】「予算代表質問」 大貫憲夫議員

実際には、質問と市長答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。 

市長は市政に対する市民の信頼回復のために市民と議会に説明を

大貫議員:日本共産党を代表して中田市長に質問します。
 まず市長の市政運営の問題です。
 この間の交通局での不祥事や、昨年発覚した消防団のパーティー券購入問題をはじめ、市長ご自身にかかわる醜聞などによって、市政に対する市民の信頼は著しく低下したと考えます。何よりも市政に対する信頼を取り戻すことが市政運営の基本です。市長はこの事態をどのように認識されているのか、見解を伺います。

 残念ながら、市長ご自身は積極的に市民の不信に答える姿勢をとっているとは思えません。政治資金規正法違反で市職員から逮捕者をだした2006年の町田市長選挙、そして今回の消防団パーティー券購入問題に関わっても、市長自身の給与を3か月間2分の一に減給されました。しかし、減給すればすむというものでなく、これで市民の信頼を回復できたと考えておられるのか。市長在任期間中に、政治資金集めにかかわって2度も自分自身を減給処分したこと自体異常なことであり、さらに2003年の入札妨害事件など一連の事件は、すべて市長に係わり合いの深いものです。この事実をどのように市民に説明されるのか、市長ご自身の行動に問題があったとするのが当然だと考えますが、その点もあわせて伺います。

 1月4日、新たに「横浜市職員行動基準」が発表されました。これは市長にも適用されるとのことです。しかし、これまでの経営責任職行動基準にあった政治資金パーティーへの参加・寄付の禁止項目が消されました。政治資金パーティーに関わる事件等が問題になっているとき、なぜこの項目を削除したのか、また政治家としての中田市長の行動基準についても市民に示すことが必要と考えますが、見解を伺います。

 業者との癒着とも思われる市政運営についても、重大な問題です。
2005年横浜市技能文化会館の指定管理者の指定にあたって、2004年12月に出された「横浜市勤労福祉行政のあり方検討報告書」では、運営主体はおおむね横浜市勤労福祉財団が適切と考えられるとされていたにもかかわらず、突然、中田市長がレギュラーとして出演しているテレビ番組のスポンサーの会社の子会社に指定管理者が決まりました。また、2006年の市長選挙にあたり、中田市長に対し限度額いっぱいの政治献金を夫婦で行った事業者が、マリンタワー再生事業者に指定されました。これらの事実は市長の何らかの関与があると考えざるを得ません。市長の明快な答弁を求めます。

 看護専門学校での中国語受講における公私混同の問題、中山市議への恫喝事件にかかわる関与、サンディエゴ訪問の直前の中止などの問題については、依然としてその真相がはっきりしていません。そのひとつひとつについて市長ご自身が率先して、市民と議会への説明責任を果たすことが信頼回復の大きな前提だと考えます。市民と議会に対し、その機会をつくる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

中田市長:お答え申し上げたいと思います。
 市政運営についてのご質問を、まずいただきました。初めに市政に対する信頼についてということでありますけれども、先ほど来これはご説明をしてきたように、市政に対する信頼回復ということは当然私が担っている大きな責任というふうに考えております。いろんな不祥事というものは、ちいさいものからまたそれ以上のものまで諸々ありますけれども、それについてしっかりと包み隠さずに公表する、そして公表の前にはしっかりと実態を把握する、原因はなにか、このことを総括をして、そして前に進む、これは私は必要なことだというふうに思っておりますから、今後ともそうした姿勢で対応をしてまいりたいと思います。

 ただし、事実と異なることについてはですね、毅然とした対応、態度というものを示す必要があるのであって、それこそ大貫さん、なんでもいっていいわけじゃないですよ、ここは。しっかりとしたですね、内容があるものを言ってください。それこそ、どこかで聞いただけの話をこういうところで言うことは、議会の品位が穢れます。横浜全体の品位が穢れます。そのことも認識をしてもらいたいと思います。

 今回の給料減額についてでありますけれども、結果としての責任は当然私にあるんです。市長ですから。ですから、そのことに対して総合的に自らが決断をしたものです。減給をすれば済む、そんなことは一言も言ったことはありません。ましてや、2分の1、3か月という減給は、これ全国的に比較してみてください。もちろんこれは大きい減額です。でもそれをなぜやるのか、10%だ15%だ20%だ、それが高いとか低いとかそういう議論にしないために半分にしてるんです。もうその一点ですよ。簡単に言えば。しかしそれは、責任を引き受けて、そして前に進んでいく、総括をしっかりしてそれを次に生かす、そういうことのためには基本なんであって、そのためにやっているということをぜひ日本共産党のみなさんにもご理解をいただきたいというふうに思います。

 過去の事件に関する私の関わり等をどう考えるかということでありますが、これは先ほど来も申し上げてきたとおり、私が直接的に関わったというようなことについては、それはある意味ではひとつもない。だけど、私は責任がある。そして、しっかりと公正に調査をする。もしも調査をいい加減に内部でやったって、みなさんのような人たちがいるわけですよ。必ずそれについては不十分だという話になるし、そういう意味ではどの調査においても所管に対しては正直にあろうと、全て徹底的に調査をして出そう、それに尽きるんです。こういってやってきているわけであります。そういう意味では、そうした調査結果というのもこれまで出し、そしてまた一連の事案についてはその結果に対してきちっと責任を負う、これが私の立場であるというふうに考えて、その都度適切に対応をいたしてまいりました。

 次に政治的中立性の確保と職員行動基準についてでありますけれども、職員行動基準を説明したハンドブックに、当然なんですけれども、政治的中立性の確保についてですね、まさに独立した章を設けているわけであります。その中で、一般職職員の政治的行為の制限や経営責任職の政治的中立性の確保ということに関する3項目について明記をして、そしてこれを職員に周知徹底を図るということにいたしております。

 政治家としての行動基準ということでありますけれども、これはなかなか難しいですがおもしろいネタだなあと思ってお聞きをしておりました。どうやってやるのか、またサディスチョンいただければというふうに思いますが、選挙によって付託を得た政治家としての活動というのは、当然ですがそれぞれ自らの政治信条に基づいて、自らを厳しく律しつつ行動するということであり、そしてそれはもう当然ですけれども法令というものはそれこそ広い意味でのコンプライアンスの中でわきまえなければいけないし、さらに行ったこと、一つひとつの行動、このことに対しては選挙で私たちは問われるわけではないですか。何かいい行動基準をつくれる、そういう自信があるのであるならば、ぜひ案を議会のなかでお示しをいただければというふうに思います。

 横浜市技能文化会館の指定管理者およびマリンタワーの運営事業者の選定についてですが、いずれも事業者の提案内容や事業性について、極めて客観的に評価をしているわけですね。学識経験者、専門家で構成された委員会、そのなかで十分な審議を行って、公正公平に選定をしてきているわけであります。もちろんですが、その審査結果についてはホームページ等で公開をしているわけです。それはなぜか。先ほど申し上げたように私がそういうことに関与をし始めたら、横浜市政の改革はできないんですよ。都合のいいことだけなんかいうのかとか、知り合いだからなんかいうのかとか、そういうことに市長が口挟んだらそれこそほかのことはできないんですよ。だから絶対にそういうことは口を挟まない、これは私の、はっきりいって市長になってからの絶対に譲らないポリシー。逆に言うならば、私いつも思うけれども、こういう委員会なんかを設けたときに、たとえば委員会の審議委員なんかにここにしろあれにしろなどということを外部が言って、そうした影響を受けないようにということを常に私は心配をするわけであって、そうしたことの懸念というものは、委員会等、審査会等、こういったところで常に私は、絶対そういうことないよう、現に何度も言っておいてくださいよということを関係の副市長や局長たちに伝えて、そういうことが発生をしないようにということの方を、むしろ私は心配をしているわけであります。

 各種、私の濡れ衣に対する議会の説明についてでありますが、これはすでに本会議や関係委員会で説明をさせていただいているところであります。もしもそれ以上であるならば、きちっとしたなにか確証をもっていってくださいよ。なんでもかんでも、次から次へと、つくりだせばここでネタになり、ここでネタになったら私は説明をするという繰り返しをしていたら議会は進まないじゃないですか。そういうことに対して責任ある態度というものを持つということを大貫委員に求めたいと思います。

(再質問)
大貫議員:市長、お答えありましたけど、これだけの問題を起しておいて、開き直りもはなはだしい。私は怒りさえ覚えます。ましてやね、この問題というのは横浜市全体の問題ですから、市長が一つひとつ問題についてそれを解明するのは当たり前の話で、それも徹底してやらずに、自分だけの、自分の主張する、そのこと自体が大問題。あのマリンタワーの再生事業に関わっても、献金を夫婦で合わせて300万円を出している。このことについてはですよ、他の例をみれば一緒に1万円前後の方ばっかりなんですよ。意図があってこういうことやること以外考えられません。以上です。

中田市長:根拠のないことを次から次へと並び立てて、そして私に対して開き直りというのは、開き直りもはなはだしい、そう思います。すべて情報をしっかりと開示をしているわけですから、今後もよくご覧をいただきたいと思います。以上です。

市の業務委託等でワーキングプアをつくるな

大貫議員:次に、新年度予算案について質問します。
 新年度予算案はこれまでと同様、財政再建を至上命題として福祉・教育・市民サービスを抑え、切り刻み、一方で開港150周年のカウントダウンの年として大規模プロジェクトを進めようとしています。しかしそれは、市民生活を応援し、同時に財政再建を進めるという市民の求める予算とは相容れないものです。

 市税収入は、昨年度の当初予算を発表した時点での見込みと比較して126億円の大幅な減収としています。それは、個人市民税においてひとりあたりの給与収入の伸びの見込みが大きく下回ったためで、大企業の利益更新の対極でのわが国の貧困と格差の広がりを反映したものといえます。その証拠に、懸命に働いているのに生活保護水準以下の暮らししかできないという、いわゆるワーキングプアといわれる世帯が日本の全世帯のおよそ10分の1に達しています。

 いま重大な問題としてクローズアップされているのは、本市業務を民間委託することなどによって、ワーキングプアを作り出している恐れがあることです。

 西部水再生センターの場内清掃点検業務の年間委託費は、2,112万円の予定価格に対し876万円で落札されました。それまでと同様5人の作業員で単純計算すると、税込みで一人当たりの年収は175万円、月収14万5000円に過ぎません。役務・委託にかかわる経済性を追求した契約制度の弊害によって、官製ワーキングプアを作り出す結果になっています。この状況をどのように認識されているのか、市長の見解を伺います。

 市発注の建設工事でも建設労働者の賃金水準の低下が問題になっています。2003年の入札妨害事件を理由に、本市の入札制度が大幅に変更されました。その結果、低入札競争が激化し、公共工事の55%が赤字で行われていることが社団法人横浜建設業協会の行った市発注工事費の調査で明らかになりました。この問題は、工事の品質にもかかわり、また建設労働者の賃金の引き下げにもつながることは必至であり、放置できません。

 市の発注する委託事業で、雇用する労働者の市職員と同等の賃金基準を契約企業に確保させることや、公共工事の建設労働者が生活できる賃金保障を義務付ける公契約制度を導入するなど、何らかの施策をとることが必要です。市長の見解を求めます。

中田市長:次に、平成20年度予算案について、ご質問をいただきました。
 まず、入札制度でありますが、受託した企業で働く従業員の賃金でありますけれども、受託企業と従業員との間でこれは当然ですけれども決定をされるものというふうに認識をしております。いわゆる大貫議員がおっしゃる公契約制度の導入ということについてでありますけれども、従業員の賃金の額については、最低賃金法の定めは当然あるわけでありまして、本来企業と従業員との間で決定をされるものであり、発注者という立場で、一定の賃金保障を設ける施策を行うということは、これはなかなか難しい、適当ではないと考えております。

開港150周年記念事業に2年間だけで
約300億円は市民の理解を得られない

大貫議員:次は、開港150年周年記念事業についてです。
 開港150周年を市民全体でお祝いすることは有意義なことです。しかし、だからといってなんでもありというものではありません。開港150周年関連事業を予算概要の主要事業から抜粋すると2007年度128億円、新年度165億円となり、この2年間だけでも合計約300億円の規模です。市民福祉を切り刻み、市民にガマンを強いているとき、これほどの財政支出に市民の理解を得ることは困難と考えます。この点での市長の説明を求めます。

 そして、その財源の一部として財政調整基金を111億円取り崩すとしています。年度間の財源の不均衡を調整するための基金として、また災害緊急時の財源として重要な役割を持つ財政調整基金の使い方としては適切さを欠くと考えますが、この点での見解を伺います。

 市長の施政方針演説では、開港150周年を契機に横浜をステージアップし、創造的な都市・横浜の実現によって他都市とは違う魅力ある「横浜ブランド」づくりをすすめるとしています。それは、街づくりを家づくりにたとえると、家の玄関も大切ですが、外来者のための玄関ばかり立派にしても、市民の生活する居間は工事現場のプレハブで済ませるというように見えてなりません。そこには、360万市民の日常の生活が全く見えないといっても過言ではありません。この批判に対する市長の見解を求めます。

中田市長:次に、歳出についてでありますけれども、開港150周年関連の事業費でありますけれども、これはたとえばですね、横浜語学教育の推進や米軍施設返還と跡地利用の推進という、こういうものも含んで、開港150周年関連の事業費ということで、私たちはご説明をしています。すなわち、今申し上げた子どもたちの教育とかあるいは米軍施設の跡地利用とか、こういったことなどは、これから150年を機に、次の横浜にとって必要なそうした将来に対する投資である、予算配分だと、そう考えるから、150年を機にということを大事にしてその中に含んでいるわけであります。そういう意味では、イベントにお金を使うということで構成をされているわけではないわけであります。これからの150年を見据えた都市、横浜の新たな価値の創造の契機とするために、これら関連事業を推進するとともに、記念イベントを開催をして、363万横浜市民のみなさんとお祝いをするということは大変意義があることでありまして、事業の推進に必要な経費を計上をしたところであります。

 財政調整基金の活用についてでありますけれども、これはまさに前段のご質問でいただいたこの事業費というのを考えた時に、毎年の予算に影響を与えないようにし、しかし150年ということを次の横浜につなげるということのためにはどういうふうに工夫ができるかということで、財政調整基金を活用していこうというふうにしたわけであります。開港150周年関連の2事業については、21年度までの時限的な事業であり、長期的に支出の続く経常的な経費ではないこと、そして開港150周年を契機として横浜のさらなる飛躍につながる重要な事業であること、こうした点を踏まえてその財源として19年度から財政調整基金を活用しているところです。それは先ほど申し上げたように、毎年の予算が逆に言ったら20年度21年度、大きく影響を受けるようなことがあったらそれこそ市民生活に影響がでてしまうから、財政調整基金の活用を考えたわけであります。しかもこの財政調整基金はこれまで横浜市は積み上げに積み上げてきたわけであって、21年度末で約200億円の残高が見込まれているわけであって、これは18年度末の時点で一番の最新のデータで比較をすれば、政令市の中でもっとも多い、頭抜けて多い金額が、私たちは基金の残高として積み立てているということも合わせてご説明をしておきたいと思います。

 市民の日常生活が全くみえないというご批判についてでありますが、これもまた詭弁を呈されているなあと私は思います。市民生活を豊かにしていくために今やるべきこと、その投資は行う必要が当然あるわけです。道路、公園、学校などの安全の確保、医療、介護体制の整備、身近な緑の保全、こういったことなど、市民の日常生活の基盤づくりを重視をして、まさに予算配分をしたのが平成20年度予算であり、ご批判は全く当たらないものと思います。

地球温暖化対策は企業・公共部門での排出ガス削減が目標達成のカギ

大貫議員:最後に、地球温暖化対策について伺います。
 わが党は、温暖化対策について「全体最適を率先して追及する」という市長の姿勢を評価するものです。その言葉を裏付けるためには、確固とした決意と実効ある施策が必要です。
 2006年に「横浜市温暖化対策地域推進計画」が改訂されました。本市の温室効果ガスは京都議定書の基準を直近の2005年時点のデータで16.3%オーバーしています。なぜ大幅な増加となってしまったのかの検証が必要です。基準をオーバーした理由を具体的に伺うと同時に、2010年に京都議定書の目標値をクリアーするという本市の目標達成のための保証は何か、伺います。

 わが党は、本市域の排出量の大半を占める企業・公共部門での削減が目標達成のカギだと考えています。そのためにも、たとえば石炭による火力発電所の電源開発など、市内大規模排出企業ごとに総量削減を義務付ける協定を結び、定期的な報告をうけ、目標をクリアーした企業に対する顕彰をするなど、何らかのインセンティブが必要と考えますが、この点についての見解を伺います。

 さらに、緑被率向上なども含め地球温暖化対策に不退転の決意を示すために、焦眉の問題になっている栄区の「瀬上の森」を、環境行動都市横浜のシンボルとして保全することを要求して、私の質問を終わります。

中田市長:次に地球温暖化対策について、ご質問をいただきました。
 本市の温室効果ガスの排出の増加理由についてでありますが、家庭・業務部門からの排出量が増加をしているということが主な原因でありまして、これは人口の増加、業務床面積の増加や、世帯あたりの電力使用料が増えているということなどによるものと考えられます。

 地域推進計画の目標の達成についてでありますけれども、計画では22年度の一人当たりの温室効果ガスの排出量を平成2年度から6%以上削減をするという目標を設定をしております。最近の温室効果ガスの排出量を見ると、15年度をピークに16、17年度と減少に転じておりまして、この傾向をさらに加速化をしていくということのために、横浜市脱温暖化行動計画CO-DO30を策定をしたところでありまして、全力を挙げて目標の達成を図ってまいりたいというふうに思います。

 大規模排出企業の削減義務付けや削減の取り組みに対するインセンティブということでありますけれども、現在、横浜市生活環境の保全等に関する条例に基づく地球温暖化対策計画書制度において、温室効果ガスを多量に排出する191の事業者に対し、排出抑制の計画や対策の実施状況の報告を義務付けております。今後、対象範囲の拡充など制度の実効性の向上を図るとともに、事業者の取り組みを促進する手法、仕組みといったことについても、検討をいたしてまいりたいと思います。
 以上、答弁申し上げます。


新着情報

過去記事一覧

PAGE TOP