私は、日本共産党を代表して、議第10号議案「道路整備の財源確保に関する意見書の提出」に反対の討論を行います。
本議案は、当該道路安全管理委員会において、自民・公明党議員等の提案により、道路特定財源・暫定税率の維持などを求めて、意見書を国に提出しようとするものであります。
政府の言いなりに無駄な道路をつくり続ける
“自動装置”の延命に手を貸すのか
反対する理由の第1は、政府の言いなりになって無駄な道路をつくり続ける“自動装置”の延命に手を貸そうとすることです。
政府は、今後10年間で59兆円という「道路中期計画」を前提に、年間5兆4000億円にのぼるガソリン税などの道路特定財源制度と、本税に上乗せしてきた暫定是率の10年間延長を図っています。
「中期計画」には小泉内閣が「白紙だ」と明言した1万4000キロ高速道路計画が入っています。冬柴国交相は「白紙とは言ったが、やめるとは言わなかった」と開き直り、採算性や住民にとっての必要性を度外視した計画にあくまで固執する姿勢です。
12日の衆院予算委員会において、わが党の穀田恵二議員の質問で、1万4000キロにとどまらず、さらに約7000キロの大型道路や6本の長大橋建設まで整備対象・候補になっていることが明らかになり、その中には「東京湾口道路」計画も含まれています。東京湾にはすでに東京湾横断道路、いわゆるアクアラインが開通していますが、当初の想定交通量を大幅に下回る大赤字路線になっています。それなのに、さらにもう1本、第二東京湾横断道路、いわゆる東京湾口道路を建設しようとするものです。
冬柴国交相は、これらの計画を「国土形成計画」として、年度内に閣議決定することを目指していると答弁いたしました。高速道路・大型道路の建設がとまらない、まさに際限のない大規模プロジェクトの大盤振る舞いであり、その財源を保障するのが道路特定財源・暫定税率を維持するねらいにほかなりません。
「意見書」で、「経済発展のため」とか「市民生活の安全確保のため」などを理由に、高速横浜環状道路や都市計画道路の整備推進を述べていますが、誰のための経済発展なのかが問われます。国の言いなりになって、無駄な道路をつくり続ける道路特定財源の維持を求めることこそ、国民のくらしを破壊し、財政危機の道に突き進むことだと指摘をしておきます。
バリアフリー化や交通安全対策、道路環境改善の遅れを口実にするな
第2に、「意見書」で、道路整備が遅れていることを理由にしたり、あたかも道路特定財源の維持や暫定税率の延長がなければ、バリアフリー化や交通安全対策、道路環境の改善など市民要望が実現できないことなどを口実にしていることです。
道路特定財源について、政府・与党もことあるごとに「地方の要望」を持ち出しています。しかし、「道路中期計画」59兆円のうち、住民がもっとも切実に求めている通学路の歩道整備や、「開かずの踏切対策」、バリアフリー化、防災対策は合計でも数パーセントにしかすぎません。暫定税率を廃止すると地方の道路建設についても支障がでると言っています。しかし、地方の道路建設についても、国民のくらしに役立つ緊急性の高いものに限ったり、スーパー中枢港湾など「国際競争力」を口実にした無駄な高速道路計画などを中止すれば、総額を減らすことができます。住民の願いを大事にするなら、なによりも地方の裁量に任せることが大事です。“高速道路よりも生活道路を優先する”“大型プロジェクトよりも住民のくらし・社会保障を優先する”など、地方自治体と住民が予算の使い方を選択できるように、一般財源化することこそ必要ではないでしょうか。
「暫定税率」の維持を求める背景には、自・公政権がすすめた地方交付税の大幅削減にこそあります。全国知事会でも「地方財政の危機的状況をもたらした地域間の財政力格差を拡大させた最大の原因は、地方交付税の大幅な削減である」と厳しく指摘しています。自治体の財政基盤を再建するには、地方交付税の財源保障・調整機能を強化させることこそ、国に求めるべきできではありませんか。
道路特定財源や暫定税率を維持することで、国が地方の道路を整備してくれるなどとする言い分もあたりません。地方道路の整備投資の4割以上は、地方の一般財源による負担であり、不要不急の道路建設をやめることは、自治体の本来の仕事である住民の福祉の増進や環境対策など、一般財源を住民本位に使うことができることにもつながります。この際、財政や環境破壊などをかえりみない高速横浜環状道路の計画や、鶴見区でわずか数百メートルに、鉄道をまたぐ「南北道路」として、都市計画道路の「岸谷生麦線」と「岸谷線」という2本もの道路を建設しようとする無駄な計画は、やめるべきであることを強く求めておきます。
長く、自動車の利用者に道路建設費の負担を課す考え方、いわゆる「受益者負担」が取られてきました。今や自動車を持っている世帯は80%を占め、いろいろな輸送にも自動車は使われています。道路の「利用者」は直接の自動車ユーザーだけでなく、国民全体と考えるべきです。すでに、河川や港湾、空港などの公共事業について、「総額をきめた長期計画は資源配分を硬直化する」と廃止したことをみれば、道路をつくるだけの特定財源を維持する「総額ありき」の考えは時代遅れではありませんか。
“バブル期の遺物”のような無駄な道路をつくり続ける“自動装置”になっている道路特定財源は一般財源化し、上乗せされた暫定税率をきっぱり廃止すべきです。その上で、現行のエネルギー課税のあり方を抜本的に見直し、二酸化炭素の排出量を考慮した環境税の導入など、わが党の提案を紹介させていただき、私の討論を終わります。