議会での質問・討論(詳細)
2025年2月20日

■予算関連質問 白井まさ子 2月20日

日本共産党を代表して質問します。
1.避難所の環境改善
白井議員:初めに、避難所の環境改善についてです。能登半島地震での被災への対応を踏まえて、本市の地震防災戦略が見直しされ、原案が示されました。日本共産党市議団は、新たな戦略の策定にあたって、避難所にもなる市内459か所の地域防災拠点を、文字通り地域防災の「拠点」となるよう強化・拡充を行うこと、市民6割が居住するマンション・集合住宅にスポットをあてた防災対策の強化等を求めてきました。今回発表された戦略で「誰もが安心し避難生活を送ることができ仕組みの構築」が掲げられ、「避難所環境の向上」「物資支援の充実」などの取り組みが示されました。これによって、市民から改善を求められている地域防災拠点・避難所の「雑魚寝状態」の問題は解消できるのか。この視点で伺っていきます。
能登半島地震での被災者は、避難生活などが原因となる「災害関連死」が、直接死の2倍となっています。このことを教訓として、避難所の生活・居住空間の環境改善は、本市の最優先課題だと考えます。
①避難者が避難者が主に生活する学校体育館の就寝環境については、2025年度に予算付けされたのは、459拠点の1拠点に対して、わずか約24基のパーティションと111個の簡易ベッドの備蓄です。1拠点に避難者は1000人の想定です。これで雑魚寝状態の解消となるのでしょうか、市長の見解を伺います。
山中市長:避難所の環境改善についてご質問をいただきました。避難所の環境改善は避難者のストレスを少しでも軽減するためにも大変重要な取り組みであります。そのため避難世帯数などに応じたプライバシー確保のためのパーティションや、就寝環境の向上につながるコット・エアマットを新規に導入してできる限り早期に避難所の環境の改善を図ってまいります。
白井議員:昨年12月に、国は自治体向けの避難所に関するガイドラインを改定しました。ガイドラインには、紛争や災害の被害者が尊厳のある生活を送ることを目的に定められた最低限の基準である「スフィア基準」を基にした居住スペースの面積が示されました。その面積基準は3.5㎡です。本市の地域防災拠点・避難所でもこの基準を満たしていく必要があると考えます。どのように満たしていくのか、伺います。
山中市長:スフィア基準に沿った居住スペースをどのように確保するのかですが、まずは地域防災拠点においてスフィア基準を参考に改定された国の指針で示されている1人当たりに必要な居住スペースの確保に努めてまいります。地域防災拠点において必要な居住スペースが確保できない場合には、補充的避難所や民間宿泊施設などを活用してまいります。
白井議員:また、災害発生時は、あらゆる場所でトイレを巡る切実な問題に直面します。6割の市民が居住するマンション・集合住宅では、発災直後からトイレが使えなくなる可能性が高く、「トイレ難民」が大勢出ることが想定されます。この問題の解消も待ったなしです。国の改訂ガイドラインでは、避難所では「トイレはスフィア基準に沿って発災当初から50人に1個のトイレを確保できるよう備蓄や整備を進め、一定期間経過後は20人に1個」とすること。また、「女性用と男性用は3対1」とされています。本市の地域防災拠点のトイレの現状は避難者1,000人想定で76人に1個、新年度予算で男性用トイレを増やしても58人に1個となり、50人に1個の基準も、男女比も満たしません。本市の地域防災拠点において、改定ガイドラインの基準を満たすトイレ設置基準を作り、一刻も早く改善することが必要です。見解を伺います。
山中市長:トイレの確保について市独自の設置基準を作り、トイレ環境を改善すべきとのことですが国のガイドラインでは発災当初と避難が長期にわたる場合のそれぞれのトイレの数や男女比が示されております。本市では防災計画において避難所等のトイレの数などを定めて配備し、さらに民間事業者との協定締結によってトイレを避難者数に応じて追加配備できるようにしております。
国のガイドラインや今後の避難者数の想定の見直しを踏まえながらそういう対策の充実を図ってまいります。
白井議員:新たな戦略では、避難生活のスペースを拡大するとして、これまでの地域防災拠点として避難所となる小中学校体育館に加えて、福祉的避難所など補充的避難所を増やす、民間宿泊施設活用としていますが、補充的なものを増やす対応では、日常的な訓練もなく、本質的な改善となりません。地域防災拠点そのものの、か所数を増やすことを要望しておきます。

2.2027年国際園芸博覧会の公開
白井議員:次に、横浜で開催されようとしている2027年国際園芸博覧会について、園芸博が本来掲げる意義・目的にかなうものになろうとしているのかの視点で伺います。 
①2027年国際園芸博覧会は、国家的プロジェクトでありながらも、開催地横浜の取り組みが注目されます。これまで、広報よこはまなどでは「気候変動に着目した、環境と共生し市民とともにつくる「環共」をテーマとする日本で初めての国際博覧会」とうたわれていました。本市として、開催地横浜の市民とともに、掲げられた理念を一緒につくる姿勢なくしては、開催する意義・目的にかなったものにならないと考えますが、見解を伺います。
山中市長:グリーンエクスポ2027についてご質問をいただきました。グリーンエクスポは循環型の暮らしの体感や食と農の近さ、そしてそれを支えるためには環境が必要であり生物多様性に裏付けされていなければならないこと、また参加していただける方々同士の交流など、市民の皆様と共につくる博覧会としてまいります。
新たなグリーン社会に向けた人々の行動変容につながるよう計画を進めてまいります。こうした博覧会の意義や目的を様々な広報媒体などを通じたプロモーションなどによって、市民の皆様に共感が広がるよう努めてまいります。
白井議員:3月には開催2年前を迎えます。国際園芸博覧会協会が当初示していた会場建設費は320億円。その3分の1を市と県で負担し、その8割の86億円が本市負担とされています。新年度は本市負担金37億円ほどの予算案が示されており、次年度も同規模とされています。この費用とは別に、本市による機運醸成の費用も増額です。しかし、建設費320億円はどんなものにいくら使う想定なのか、会場計画の全体像が示されていません。肝心の中身がわからないものに、粛々と市費が支出されている状態です。これでは市民理解は到底得られず、機運醸成どころではないと考えますが、見解を伺います。
山中市長:会場計画の全体像についてですが、花・緑及びビレッジ出展の第1公募では多くの企業などから応募をいただきまして、231件の出展が確定いたしました。昨年10月から行っている第2次公募におきましても多くの関心が寄せられております。スケジュール通り順調に会場計画の策定が進んでいるところであります。あわせて開催の内容や会場計画について様々な媒体を活用して今後もお示ししていかなければなりません。議会の皆様方のご協力もいただきながら、市民の皆様の理解と共感につなげてまいります。
白井議員:基本計画では、会場を構成する施設として、開催地自治体が実施する4万4000㎡含む13万㎡の庭園・花壇が想定されていました。政府庭園、神奈川県庭園の計画が定められていますが、本市としての展示がいまだに示されていません。協会は、会場計画の目玉となる「ビレッジ出展」に参加する8社を発表しました。内定されたのは大手ゼネコン、大手デベロッパー、私鉄、自動車販売者などとされていますが、内定企業に示した情報は市民には非開示とされました。これでどうやって市民や議会が博覧会の開催意義に沿ったものになっているのかなどチェックができるのでしょうか。これでは、博覧会の意義を越えた、別の、企業頼み・企業主導の大集客イベントとして準備されているのではないかと不安を与えかねません。議会として内容のチェックができるよう会場計画の全体像を早期に示すことを求めます。どうでしょうか。
山中市長:開催自治体としての取り組みですが公園愛護会など地域で環境を守る活動を行っている方々に18区で説明会を開催するなどして市民の皆様と共につくるグリーンエクスポの意義や、目的などを説明してきたところであります。
また将来を担う若者が議論しアクションを起こす横浜未来創造会議や、地球に優しい未来の暮らしをつくる様々な活動のショーケースであるスタイル100を立ち上げるなど、取り組みを進めてまいりました。今後もこうした取り組みを本市として継続し、また発展させていき新たなグリーン社会への理解と共感の輪を広げ、グリーンエクスポを契機に皆様の多くの人々の行動変容につながるよう進めてまいります。

3.教員の未配置解消の手立て 
白井議員:次に、教育現場が抱える教員の未配置問題等の重大課題に対して、予算案では解決につながる手立てが打たれているのかの視点で伺います。
①昨年12月1日時点で、市内公立学校の教員が配置されず未配置となっている数は61となっています。本来配置されるべき先生が配置されない、大変異常な事態が続いています。全国的に、教育現場は、教員の長時間労働が、授業準備や子どもと向き合う時間がない、精神疾患の方が増加、さらに教員不足で新学期から担任がいないなど、子どもにとっても教員にとっても深刻な事態が指摘されています。日本共産党は、その解決に向けて、一つは、残業代ゼロ制度を廃止し残業代制度を導入すること、また、教員の受け持つ授業コマ数を1日6コマから4コマに減らして、授業量に見合った計画的な教員定数の抜本的引き上げで長時間労働をなくすことを国に強く求めています。本市で定数の未配置が起きている問題は、本市の学校教育において解消すべき最優先課題と考えますが、見解を伺います。
下田教育長:教員未配置解消の手立てについてご質問いただきました。教員の未配置解消を最優先課題とすべきとのことですが、教員の人材を確保し必要な配置を行うことは重要な課題であると認識しております。一方で全国的に教員志願者自体が減っている傾向が続いておりますので、教員の採用の工夫と合わせて教員の負担軽減、働き方改革と教育の質の向上の取り組みを進め教員の魅力を高めることも重要な課題であり、両面から取り組みを進めます。

白井議員:そもそも、毎年、次年度に採用すべき正規教員数に全く届かない少なすぎる採用数となっていることが未配置の主な原因です。これまで、市単独予算で数年かけて、小学校全校に児童支援専任教諭を配置してきました。一方で、この間、定数に欠員が出た場合の補充には、正規教員を充てると国費がつかないとして、臨時的任用教員が充てられていました。しかし、2025年4月からは、産育休での欠員を見越して年度当初から正規教員配置の場合も国費がつくこととなります。今後は思い切って、正規教員の採用を増やすべきと考えます。見解をうかがいます。
下田教育長:産育休の代替として正規教員の採用を増やすべきとのことですが、この度の高校負担制度の改正では産休や育児休業の代替教職員として正規教員を配置した場合での国員を対象となることで、教員を安定的に確保できるようになることが期待されております。今後の採用数等においても考慮してまいりますが志願者数が少なくなってきている状況の中で、必要な教員を確保していくために教職の魅力を高め、志願者を増やしていくことが重要と考えますので今予算等でもそうした視点からの取り組みをさまざまお示しさせていただいているところです。

白井議員:教員が長く働き続けられるように、「業務見直し」は何年も掲げられていますが、いまだに残業はなくなりません。打っている手立てが、問題解決につながっていないと指摘せざるを得ません。新年度は、校務DX推進で業務見直し、小学校英語推進にAET40人など外部人材の増員はありますが、問題解決の本丸である教員を増やさないまま、業務見直しでは、教員の長時間労働の根本的な問題は解決しません。今年度の教員採用試験受験者は2222?人で、この10年で半減しています。受験者を増やすとして、プロモーション、早期試験の実施など、手立てが取られていますが、本市教職の魅力そのものを増さない限り、受験者が増えることは期待できないのではないでしょうか。抜本的対策として、授業準備の時間、子どもと向き合う時間を作れるように、本市として教員を増やして授業時数を削減すること、また、奨学金返済免除制度を創設することこそ、魅力となると考えますが、どうでしょうか。
下田教育長:教員を増員し授業次数を減らすとともに奨学金の返済免除制度を創設すべきとのことですが、授業次数の軽減に係る教員増については国が小学校の教科担任制の拡充。中学校の生徒指導専任の増員等を進めております。さらなるを軽減のために増員する場合は、市単独での対応となりますが人材の確保や財政負担の面では課題がございます。またより効果的な人材確保の取り組みについては令和7年度奨学金返還支援制度を含めまして本市や他都市の取り組み等の効果検証総合的な調査研究を行ってまいります。

4.市民生活を支える予算の拡充 
白井議員:最後に、いま市民が直面しているのは、物価高などでくらしが大変、将来が不安というものです。そして、年を重ねても安心してくらせる誰もが暮らしやすいまちにという切なる願いを持っています。この願いを真っすぐ受け止め、市民から預かった税金を、市民のくらしを応援する施策に厚く振り向けることが求められます。しかし、2025年度予算案では、民間ビル・マンション建設への補助金、過大規模の上瀬谷開発事業、新本牧ふ頭、企業立地助成など、これまで通り、公共性の低い不要不急の大型事業への巨費投入が続きます。しかし、他にもっと予算増を必要としている施策があります。例えば、高等学校奨学金、介護・看護人材支援、モデル実施する補聴器購入助成、生活交通バス路線維持支援、住宅太陽光パネル蓄電池設置補助など、市民生活を支える、このような事業こそ厚く予算を振り向けることが必要と考えます。
公共性の低い不要不急の大型事業への巨費投入はやめて、財源をねん出し、市民生活を支える予算の拡充が必要です。見解を伺って終わります。
山中市長:市民向けの予算の拡充についてご質問をいただきました。大規模再開発事業などをやめ、市民生活を支える公共性の高い施策に予算を向けるべきとのことですが、都市の成長と活力を生み出すため業務機能・商業機能の集積に加えて横浜に人や企業を呼び込むことで魅力的な街づくりを行っていくことが必要と考えます。あわせて安全・安心な市民生活に必要な支援は基礎自治体の使命であると認識しております。7年度予算案におきましても、防災減災対策や新たな地域交通の取組など必要な予算を拡充しております。今後も着実に取組を進めてまいります。


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