議会での質問・討論(詳細)
2025年2月19日

■会派代表 予算代表質問 古谷やすひこ 2月18日㈫

古谷議員:日本共産党 古谷やすひこです。党を代表して、予算案について質問します。

はじめに、市民生活を支える物価高騰対策について伺います。

歴史的な物価高騰の状況、連日ニュースでも流れています。ガソリン価格高騰、野菜やコメの価格高騰している上、実質賃金は下がり続けています。そうして国民生活は本当に厳しい状態に追い込まれています。生きていくうえで欠かせないものが軒並み値上がりしており、市民から「食費を減らし、コメを減らし、電気代も節約する」など、切実な声が寄せられています。今の状況は本当にとても深刻です。一刻も早い対応が求められています。一方で、本市の税収はいま、絶好調です。その中身をみれば、物価高騰による消費税収入が増えたことや定率減税が終了したことの影響などで税収が増えています。

地方公共団体は、言うまでもなく、住民の福祉の増進を図ることを基本です。その歴史的物価高騰の中で、税収が好調であるならば、きちんと疲弊している市民生活向上のために優先的に市民に返していくべきではないか。それが政治の役割、市長の役割ではないか。市長の見解を伺います。

山中市長:税収増の背景を踏まえ市民生活を支えるための施策に還元するべきとのことですが、令和7年度予算案では誰もが安心して暮らすことができるよう子育て世帯への直接支援の充実や、商店街への支援、上昇を続ける労務単価の個々の事業への適切な反映など市民生活全体を支えるために必要な予算を計上しております。今後も経済情勢や歳入の状況などのバランスを踏まえながら、必要な施策にしっかりと取り組んでまいります。

古谷議員:次に、本市ができる賃金を上げる施策についてです。

実質賃金が上がらない中で、本市としてできることはいくつもまだあります。自治体が管轄する分野で賃上げのリーダーシップを発揮することが必要ではないでしょうか。

まずは、公契約条例の制定を求める立場で伺います。公契約条例とは、自治体が発注する公共工事、業務委託等に従事する従事者の賃金・報酬下限額を設定し、自治体・受注者の責任等を契約事項に加えることを定めた条例で、ILO(国際労働機関)の第94号条約に基づいています。市長は建築業界をめぐる人手不足問題がとても深刻な状況だと捉えていると思います。従事者の賃金を守るために市としてできることは、公契約条例の制定だと考えます。その制定に足を踏み出すべきです。市長の見解を伺います。

山中市長:賃金を上げる施策についてご質問をいただきました。公契約条例を制定すべきとのことですが、労働者の雇用条件・労働条件を守ることは大変重要であり、本市としても低価格競争対策等に取り組んでおります。条例制定について労働者事業者の皆様から様々なご意見がある中、国は建設業法等の担い手三法を昨年6月に改正しまして労務費等の確保と、行き渡りの取り組みを進めております。

本市としてもその動向を踏まえ、労働条件を守るための環境整備に適切に取り組んでまいります。

古谷議員:また賃金を上げるという点では、本市の青少年育成のための公共的公益的なサービスを行っている横浜ユースの職員ボーナスがカットされました。それは、本市の外郭団体の協約マネージメントサイクルで経費削減を求められ、法人は賞与支給率を削減することで、人件費を削減し、財政状況を向上させました。そして本市はこのことを評価しましました。これでいいのでしょうか。外郭団体が赤字を垂れ流していいというつもりはありません。しかし法人支出の8割を人件費が占める、うち全職員の84%が非常勤職員というところに経営改善を求めれば人件費削減につながってしまうではないですか。協約マネージメントサイクルで一律に経営改善を求めるがゆえに、こうなってしまっているのではないでしょうか。これでは今まで青少年育成に当たってきた貴重な人材が流出してしまいます。市も貴重な人材を守る立場に立つべきと思うがどうか、市長の見解を伺います。

山中市長:横浜ユースのような外郭団体には一律の経営改善を求めるのではなく、貴重な人材を守る立場に立つべきとのことですが横浜ユースは、未来を担う青少年の健全な成長を支援するため多様な体験活動の提供や支援者の育成等に取り組んでおります。そしてそれらの取り組みは、豊富な知識や経験を有する職員によって支えられていると承知しています。外郭団体においても経営の自立性が求められますが、引き続き職員が安心して活躍ができるよう団体とともに事業内容の見直しや、運営を方法の工夫等に取り組んでまいります。

古谷議員:次に、子育て家庭を支える給食費の無償化についてです。

「子育てしやすい横浜」を政策の柱に位置付けている山中市長にとって、給食費の無償化にぜひ足を踏み出すべきです。今回英語教育の充実を打ち出されましたが、同じく教育の一環である給食について、自己負担をなくす自治体が増えてきていて、2024年9月1日時点で、全自治体の3割に当たる547自治体に無償化されたところが上ります。さらにこの来年度予算でも増えるものと予想されます。東京都では全ての自治体で給食費は無償となりました。東京都は、「本来国が行うこと」とした上で、国が実施するまでの間、学校給食費の負担軽減の取り組みをさらに後押ししたいとして、学校給食費への財政支援を拡充すると発表しました。また、昨年の衆議院選挙では、主要政党のほぼすべてが給食費の無償化・軽減を公約に掲げています。ここに税金を投入すべきというのはコンセンサスをえられているのではないでしょうか。給食費は小中学の児童生徒がいる世帯では固定経費であるため、無償化は事実上の子育て世帯にとって可処分所得が増えることとなります。したがって給食費の無償化は消費を喚起し、地域経済にも好影響が出るのではないでしょうか。いまこそ、横浜市も給食費の無償化に足を踏み出すべき時ではないか。市長の見解を伺います。

山中市長:給食費の無償化についてご質問をいただきました。小中学校の給食費の無償化を行うべきとのことですが、給食費の無償化をはじめ子育て教育全般の経済的負担の軽減策は大切な取り組みであり、国が主導して地域間の格差や自治体の財政力によって支援内容に差が生じることがないよう、制度設計をすることが肝要であると考えています。今後も引き続き国の動向を注視し、要望を続けてまいります。

古谷議員:次に、不登校について伺います。

横浜で増え続けている不登校について伺います。増え続けている、勢いが止まらない今の状況は、公教育の在り方そのものが問われているのではないかと思います。

私は2年前の本会議で我が子の不登校についてカミングアウトをしたことをきっかけにして、たくさんの不登校の相談を受けてきました。その中で感じたことは、もちろんそれぞれの事例で千差万別様々な理由で不登校になっていますが、共通して感じているのは、一度敷かれたレールからはみ出てしまうと、容易にもとに戻れない、なかなか取り戻せない。それほど、今の義務教育は過密なプログラムになっていると感じています。実際、現行の学習指導要領では、以前より授業時数や学ぶ内容が増えており、子どもたちは追い立てられています。結果、通常学級の窮屈さが増し、不登校や特別支援学級在籍の子が増える原因となっているのではないかと思います。

言うまでもなく学ぶ権利は子どもたちにあります。学ぶ環境を整えるのは教育委員会です。今の学校ではありのままの子どもたちを受け入れられない、多様性を認められない、集団性を重んじる学校になじめない子どもたちが増えているのだと思います。こう考えるとそもそも不登校の要因は子どもではないのではないかと思います。そこで教育長に伺いますが、不登校の要因は、子どもたちにあると考えるのか、学校にあるのか、伺います。 

変わるべきは子どもたちなのか、学校なのか。多様性ある、ありのままの子どもたちを受け入れられるために、学校の在り方こそ変えるべきであると思うがどうか伺います。

そのためには、子どもたちの声をよく聞いてほしい。不登校になっている子どもたちの声も聞いてほしい。徹底的に子どもたちに寄り添う学校にするためにはどうするのか、教育委員会には切に抜本的な改革を求めます。

下田教育長:公教育のあり方についてご質問いただきました。不登校の要因についてですが、国の不登校要員調査の子どもの回答によりますと体の不調、気持ちの落ち込み、学業の悩み、ネットやゲームの影響、声や音などに対しても敏感であることなど、そのような答えをした割合が高くなっています。不登校の要因は授業や教職員友人との関係など学校に起因するものに加え、家庭や個人に起因するものなど、複雑に絡み合っており本市が設置する不登校の居場所でも同様に複雑であるという状況を聞いております。多様性のある子どもたちを受け入れられるよう学校のあり方を変えるべきとのことですが、これからは学び方や学ぶ場所、学ぶ速度を含めた多様な選択肢を提供し子供たちが自身の状況に合わせて学ぶことができる環境も整えていくこと重要だと思います。そのために校内ハートフルのような学校内のケアに加えて学校以外での多様な学びを実現する居場所の確保に加え、オンライン・メタバースなど重層的な学びの空間を整備して子供が心の状況で安心して学ぶことができる環境をつくってまいります。以上ご答弁申し上げました

古谷議員:次に、2025年問題についてです。 

2025年問題とは、1947~49年頃のベビーブーム時代に生まれたいわゆる、団塊の世代が、2025年から75歳以上の後期高齢者となり、日本人の人口における高齢者の割合が増加するさまざまな問題を指す言葉です。特に医療や介護がその社会を支える体制になっているのかを確認します。

日本は現在、高齢化が急速に進行しています。厚生労働省は2006年に発表した資料では、「2025年には、高齢者(65歳以上)人口が約3,500万人に達する」と予測していました。しかし内閣府が2023年に発表した「令和5年版高齢社会白書」によると、日本の総人口である1億2,495万人のうち、65歳以上の人口は3,624万人(29.0%)となっており、すでに2023年の時点で3,500万人を超える高齢化社会となっています。その一方で、少子化も進行しています。総務省のデータによれば、2023年4月1日では、15歳未満の子どもの数は42年連続して減少し続けています。

いま国では石破政権のもと、5年間で43兆円の巨額な軍事費の財源をねん出するために、徹底的な歳出改革を行うとしています。その歳出改革の主要なターゲットとなっているのは、医療や介護や年金など高齢期の社会保障費で、公的給付の削減や負担増を求める方向です。そんな中、本市では安心して住み続けられる横浜を目指しているとは承知していますが、今の横浜は安心できる医療介護の体制になっているでしょうか。まずその市長にその認識を伺います。

山中市長:2025年問題についてご質問をいただきました。安心できる医療介護となっているかの認識ですが、介護施設の整備や住宅サービスを充実。回復期・慢性期の病床確保のほか各区の在宅医療連携拠点による医療介護連携を進めるとともに、必要な人材確保に取り組み増大する介護ニーズ・医療ニーズに取り組んでまいりました。

今後も市民の皆様の安心をお支えができるよう、医療提供体制の構築や地域包括ケアの推進にしっかりと取り組んでまいります。

古谷議員:介護について、人材確保がとても厳しい状況です。その結果、介護事業所、特に訪問介護事業所の倒産が増えています。本市が介護保険計画を推進するためにも本市の介護人材確保策の拡充が必要だと思うが見解を伺います。

医療についての人材確保も厳しい状況です。医師不足・看護師不足・薬剤師不足がずっと続いており、中でも看護師不足の状況は全く変わっていません。そんな看護師を養成する看護学校では、学生確保に苦労しており、横浜市内でも定員割れの状況が続いている看護学校もあると聞いています。今ある市内看護学校が閉鎖されてしまうようなことになれば、ますます材確保は苦境に立たされてしまいます。それを回避するためには、市内の看護学校への支援策の拡充が必要だと考えますが市長の見解を伺います。

山中市長:介護人材の確保の取り組みへの姿勢でありますが、介護ニーズが高まる中で介護サービスを安定的に提供していくためには介護人材の確保が大変重要となります。そのため令和7年度も引き続き新たな人材確保、定着支援、専門性の向上、介護現場の業務改善を4本柱といたしまして、総合的な対策を進めてまいります。

介護人材の確保や定着支援などにつながりを全力で取り組みを進めてまいります。

市内の看護学校への支援策の拡充についてですが、医師会及び病院協会の看護専門学校への補助を継続するなど、引き続き看護師を志す人材の養成確保に取り組んでまいります。また今後、潜在看護師の復職支援や現在就業中の看護師のさらなるスキルアップにも力を入れるとともに、将来の担い手となる小中学校等へ医療職の魅力を伝える。この取り組みを看護専門学校などとも連携をして進めてまいります。

古谷議員:さいごに、核兵器廃絶に向けての取り組みについてです。

昨年末、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞されました。被爆者の皆さんの80年のたたかい・草の根の運動の中で地球上から核兵器をなくす目標では、まだ道半ばですが、80年間核兵器の使用を許さなかったこと、また2021年1月核兵器禁止条約発効という歴史的成果を生み出したことは、被爆者の皆さんの粘り強い不屈のたたかいなくしては実現しなかったことではないでしょうか。そして、あらためて2025年を核兵器のない平和な世界の実現という人類課題に正面から向き合い核兵器禁止条約参加国を増やす、何よりも世界で唯一の被爆国である日本が核兵器禁止条約を批准することを横浜市としてももっと求めるべきです。市長はぜひその立場で、政府に対して核兵器禁止条約への批准を求めていただきたいと思うが、市長の見解を伺って、質問を終えます。

山中市長:核兵器廃絶に向けての取り組みについてご質問させていただきました。核兵器禁止条約への批准を求めるべきとのことですが、本市は平和首長会議の一員として核兵器のない世界の実現に向けて取り組んでおります。今後もピースメッセンジャー都市として、あらゆる核実験への抗議や啓発を通じて核兵器の廃絶に向けて取り組んでまいります。


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