日本共産党みわ智恵美です。党を代表し、市第116号議案「横浜市乳幼児等通園支援事業の設備、運営等の基準に関する条例制定」、市第144号議案「令和6年度横浜市一般会計補正予算」には賛成の立場から、市第127号議案「横浜市地域包括支援センターにおける包括支援事業の実施に係る人員等の基準に関する条例の一部改正」、市第132号議案「横浜市立学校条例の一部改正」市第148号議案「令和6年度港湾整備事業費会計補正予算」市第153号議案「令和6年度横浜市市街地開発事業費会計補正予算」には反対の立場から討論を行います。
「こども誰でも通園制度」の在り方は“子ども中心”で考えよう
まず、市第116号議案「横浜市乳幼児等通園支援事業の設備、運営等の基準に関する条例制定」についてです。「親の就労にかかわらずすべてのこどもの育ちを応援する」の考えを示して、これから国の「こども誰でも通園制度」が始められようとしています。強調されているのは「家庭とは異なる経験の中で成長できる機会を保障する」「在宅で子育てする保護者の孤立感や不安感の解消につながる」ということです。子どもさんにとっても保護者にとっても、保育の専門家や家族以外の人との交流がある子育て環境が保障されることは重要だと考えます。ですから、何よりも子どもたちに安全な安心できるスペースが確保され、そこには保育の専門家がいてくれるということが、大前提ではないでしょうか。市長は事業の実施にあたって国から示されている手引きの素案に基づくことや、市としての事業者の認可にあたっては、設備や配置基準に加えて審議会からの意見も踏まえ、総合的に判断を行うと述べられました。しかし、今の基準では保育士確保が厳しい現状であるなかで、初めて保護者と離れて保育される子どもさんが、保育士以外と対面することも考えられます。政府の検討会でも「こどもを理解するには一定の時間がかかる」「今通っているこどもたちの保育に支障があってはならない」との指摘がされています。市長は、事業者や利用者の皆様のご意見もお聞きしながら安心してご利用いただける事業としていくとも述べられましたが、何よりも子ども中心のあり方を考えていただきたい。保育士の配置基準を抜本的に改善して、初めて親の元を離れて保育されるこどもさんにとっての安全で安心のスペースを保障していただくよう求めます。
公定価格で事業運営をしている事業者のへ厚い物価高騰対策を
同じく賛成ですが、市第144号議案「令和6年度横浜市一般会計補正予算」についても一言述べさせていただきます。
今回の国の経済対策に連動した対応ですが、社会福祉施設と児童福祉施設等への光熱費等及び食材費の高騰に対する支援となっています。
止まらない物価高騰の中で公定価格で事業運営されている事業者にとっては、光熱費や食材費の負担増が事業運営に大きく影響を及ぼす事態です。
前回の支援は高騰分でしたが、今回の支援は半額とのことです。なぜ半分なのですか。残り半額は誰に負担を求めるのでしょうか。施設運営そのものに大きな負担となっている光熱費や食材費高騰を支援しなければ、働く方々の賃金への影響、施設の利用者や保護者の負担増となってしまうのではないでしょうか。物価高騰分を価格に転嫁できない、公定価格で事業運営をしている事業者のみなさんをしっかりと支援できるだけの額を、国に要望することはもとより、市としての取り組みも必要です。市が、支援の手を緩めてはいけない分野です。
また、19床以下の診療所などへの支援がされないことも問題です。市として、県まかせにせず、光熱費や物価高騰に苦しむ診療所への支援は必要だということは改めて求めておきます。
横浜市地域包括支援センターの有資格者配置基準の緩和を進めては
センターの使命を果たせなくなる
次は、市第127号議案「横浜市地域包括支援センターにおける包括支援事業の実施に係る人員等の基準に関する条例の一部改正」についてです。横浜市は高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるようにと、地域ケアプラザと一部の特別養護老人ホームに、保健師・社会福祉士・主任ケアマネの有資格者を備えた地域包括支援センターを設置しています。地域包括支援センターは「総合相談支援業務」「権利擁護義務」「介護予防ケアマネジメント業務」「包括的・継続的ケアマネジメント支援業務」の4つの役割があり、市の介護・高齢・福祉の要です。この役割を果たすために専門職が配置されているわけです。市長は、地域包括支援センターに3職種を揃えるべきところ、人材確保が困難である現状を踏まえ、柔軟な職員配置が可能となるよう国が介護保険法施行規則を改正したことに伴うもので、規制緩和を進める条例を提案しています。本市としては今までどおりの職員配置を原則とするとしていますが、柔軟な職員配置も認めるとすれば、採用が難しい職種においてはなおさら原則は壊されてしまうのではないでしょうか。3職種あって推進されている包括支援センターですが、現状で横浜市の欠員42人と聞いています。別の法人間でもこの規制緩和が可能なことも示唆されていますので、益々、人員配置が形骸化されてしまうのではないでしょうか。市民が頼りにしている地域包括支援センターで無くなるのではないか強く懸念するところです。常任委員会では、一時的緊急避難的とも説明をされながらも少ない人数でのさらなる人員不足を招く懸念を認められていました。市長は、地域包括支援センターが必要な人材を確保して役割を果たせるよう支援をしてまいりますとの答弁がありました。そうであるならば、有資格者が集まらないことを理由に規制緩和に踏み出すのではなく、横浜市が高齢となっても住みやすい住み続けたい街であるためにも、人材確保を果していくために、担い手不足を招いているケア労働を担っている方々への処遇改善を率先して進めていくことを強く求めます。
こども意見も聞かずに決めた南舞岡小学校の統廃合に反対
次は、市第132号議案「横浜市立学校条例の一部改正」は、戸塚区にある南舞岡小学校と港南区にある日限山小学校の統合を行う議案です。
日本共産党は議案関連質問で「なぜ統合を決める前に子どもたちから意見を聞かなかったのか」と問いました。教育長は「横浜市子ども子育て基本条例の趣旨を踏まえると、子どもが素直な気持ちを表明できる環境を整えることは大変重要であり、どのタイミングでどのように意見を聞くかについて今後もしっかりと検討して工夫してまいります。」と答弁されました。『こども基本法』には、こどもが『自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会、その意見が尊重される』ことが謳われており、横浜市こども・子育て基本条例では「こどもが、社会を構成する一員として、その年齢及び発達の程度に応じて意見を表明する機会を確保、意見を施策に反映させるために必要な体制の整備に努める」と記されていますが、「こどもの意見表明」の機会を保障してこなかったことが明らかとなりました。
常任委員会の場でさらに問われた教育長は「こどもたちの意見を拾い上げることをしました」との答弁もされていますが、こどもが「自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する」ということはどういうことなのかを改めて考えるべきです。学校の主人公は子どもです。学校は地域の灯文化の拠点です。この学校のあり方について、年齢に応じて社会が抱える問題をきちんと伝えて、どう考えるのかをしっかりと聞くことが大切です。常任委員会では「早い段階で伝えることが不安をあおる」ことにもとの懸念が示されましたが、子どもたちを信頼していただきたいです。これまでの統廃合についても、その後子どもたちは慣れていくものだという考えで強引に進められてきているのが実態です。こども基本法や市条例ができたことで、国連子どもの権利条約に則ったやり方で、統廃合等にどう子どもは関わっていけるのかに取り組めるチャンスだったのではないでしょうか。法ができても条例ができてもこれまで通り、大人社会が決めたことをどうわからせるのかを課題とするのは本末転倒です。
私たちは、学校の存続は少子化対策にもつながるものだと考えます。南舞岡地域が横浜市の郊外部であることは明らかで、その郊外部から学校を無くしていくことが郊外部の再生や活性化に反することは明らかです。自然に囲まれた環境で是非子育てをと市としてもアピールしているのに、そこには学校が無いというのでは残念過ぎます。南舞岡地域を愛し、南舞岡小学校を大切にする保護者・地域住民市民からの請願も繰り返し出されてきました。地域の方々にとっても宝である学校の存続についてこんなにも本気で考えてくださる住民をこそ大切にしていただきたいと思います。
リニア建設発生土を受け入れる事業や不要不急の開発事業は認められない
次は、市第148号議案「令和6年度港湾整備事業費会計補正予算」についてです。当該議案には、新本牧ふ頭第1期地区整備事業と新本牧ふ頭整備費負担金が繰越明許補正されています。コンテナ貨物量の増える見通しがないなかで進められている事業であり、リニア中央新幹線整備の建設発生土を受け入れるということで、国も負担し、本市も負担します。また、国直轄事業としての市の負担も発生するものです。リニア新幹線建設事業は、品川―名古屋間286kmのうち8割がトンネルという今世紀最大の超巨大開発事業です。沿線の住民をはじめ、多くの国民から「自然環境、生活環境が破壊される」との懸念や不安の声があがっています。
さらに、IT技術が飛躍的に進化し、コロナを経験した日本で、リニア新幹線のような超高速輸送手段が必要なのかどうか、立ち止まって冷静に考えるべき問題です。超電導で走行するリニアは、新幹線の約4倍の電力を消費すると言われ、気候危機打開にも逆行する乗り物と言わなければなりません。その工事の膨大な残土を受け入れることが前提で進められている新本牧ふ頭工事は認められません。
民間タワーマンション建設への法外な公金投入は止めよ
最後に、市第153号議案「令和6年度横浜市市街地開発事業費会計補正予算」についてです。この補正には東高島駅北地区土地区画整理事業・埋め立て事業が入っています。物価高騰で苦しむ市民にとってほとんど恩恵があるとは思えない事業である民間タワーマンション建設への法外な公金投入につながるものであり認められません。新年度、最大の税収となる予想が出されています。住民、そして横浜経済を支える市内企業の99%にあたる中小小規模事業者こそが、市財政を支えています。そこに光が当たる施策推進を願って討論を終わります。
