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放課後児童クラブへの支援強化を
宇佐美さやか議員:日本共産党を代表し、質問します。
まず、市第115号議案 こども、みんなが主役!よこはまわくわくプランの策定についてです。市長の掲げる「子育てしやすいまち」を目指すものとして様々な施策が盛り込まれています。その中で、関係団体が毎年強く要望していることを踏まえ党市議団として、さらに推進が必要と考える施策について質問します。
基本施策4学齢期から青年期までのこども・若者の育成施策の推進では、目標と方向で『小学生のより豊かな放課後等の居場所づくり』と掲げています。より豊かな居場所として、欠かすことができない放課後児童クラブでは、指導員のなり手不足を招いている大きな要因である、賃金の低さが以前から課題となっています。ケア労働が軽視されている風潮を払拭し、結婚や出産など様々なライフスタイルの変化にも対応できる処遇改善が求められているなかで、指導員の経験年数に応じた処遇改善をはかることが必要と考えますが、市長の認識を伺います。
山中市長:宇佐見議員のご質問にお答えいたします。
市第115号議案についてご質問をいただきました。放課後児童クラブの支援員について、経験年数に応じた十分な処遇改善を図るべきとのことですが、本市では、クラブが安定的に人材を確保できるよう国費を活用しながら支援員の経験年数や研修の受講実績等に応じた処遇改善を実施しております。また地域による人件費等の格差を踏まえ、国に対して地域の実情に合わせた補助基準額への見直しを要望しています。引き続き支援員のさらなる処遇改善が図られるよう取り組んでまいります。
宇佐美さやか議員:さらに、全てのクラブで障害児担当職員1人を常勤として配置し、常勤3人体制を本市の標準とすること、その体制を維持するために障害児の在籍の有無や児童数の増減に影響されることなく安定した運営を継続できる様に、さらなる財政的支援を実施していただきたいと考えますが、どうか併せて伺います。
山中市長:放課後児童クラブに障害児担当の職員を常勤として配置し、常勤3人体制を標準とすべきとのことですが、配慮が必要な児童が増加傾向にあることからクラブの受け入れ体制を整えることは重要であると認識しております。そのため本市では、クラブが障害児等を受け入れる際に職員を加配した場合には、補助金を加算しています。一方で、クラブからは人材確保に苦慮しているという声もあり、配置基準において標準配置等をすることについては、慎重に検討する必要があると考えております。
児童数の増減に影響されず、放課後児童クラブが安定した運営ができるように支援すべきとのことですが、放課後児童クラブの運営については、国の基準に準じた補助金に加えて地域独自に補助額を上乗せするとともに、児童数が少ない小規模なクラブについては、より多くの上乗せを行うなど支援の充実に取り組んでいます。また6年度には、常勤の放課後児童支援員を2名以上を配置した場合の補助を創設しています。引き続きクラブの安定的な運営を支援していきます。
宇佐美さやか議員:そして、児童が学校の敷地内で放課後を過ごす全児童対策の放課後キッズクラブでは「児童が増え続け、教室が手狭になっている学校がある」と、運営している方から伺いました。こうした児童数が増え手狭になっているキッズクラブの利用スペースの狭あい化について、今後どう対応するのか市長の見解を伺います。
山中市長:利用者数が増加している放課後キッズクラブの利用スペース確保の考え方ですが、子どもたちが安全に安心して過ごせるようキッズクラブの専用ルームのほか、利用者が増えた場合は特別教室等を兼用ルームとして使用するなど、必要に応じてスペースを確保しています。また猛暑や、授業等で校庭や体育館が使用できない場合には引き続き各学校と連携調整をしながら、子どもたちの安全な活動場所の確保に努めていきます。
こども誰でも通園制度について
宇佐美さやか議員:次は、市第116号議案 横浜市乳児等通園支援事業の設備運営等の基準に関する条例の制定についてです。この条例は『子ども・子育て支援法』の改正にともない創設され、2026年度に本格実施される『こども誰でも通園制度』の基準を定めるものです。この制度は本市が認可した施設と保護者が直接契約を行い、保護者の都合で、預ける施設や日時を申し込む仕組みとなっています。昨年から試行実施が始まり、現在は14施設で運用され、昨年12月の1か月間で定員62人の内37人が利用したと聞いています。
保育の関係団体から、預け始めに事故が多いこと、アレルギー対応が難しいこと、親の都合で毎回異なる施設を利用すると、特定の大人との安定したかかわりが必要な発達段階にある子どもにとっては、強いストレスを与えること、そして本格実施が始まると保育未経験の事業者が参入することも考えられ、これらのリスクがさらに増すことなどの懸念が出されています。こうした懸念を払拭することが必須と考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:市第116号議案についてご質問をいただきました。こども誰でも通園制度の新たな実施にあたり保育現場の懸念を払拭することが必須とのことですが、事業の実施にあたって国から示されている手引きの素案には、安全計画の策定や面談を通じたお子様の情報共有のほか、ならし保育の実施などが記載されています。また事業者の認可にあたっては、設備や配置基準に加えて審議会からの意見も踏まえ、総合的に判断を行います。事業者や利用者の皆様のご意見もお聞きしながら安心してご利用いただける事業としてまいります。
子どもの一時保護施設の新基準について
宇佐美さやか議員:次は、市第117号議案 横浜市一時保護施設の設備及び運営の基準に関する条例の制定については、児童福祉法の一部改正に伴い行われる条例の制定です。『一時保護されている児童の権利擁護をしっかり規定』することが目的とされ、本市では、職員の知識及び技能向上や生活支援、教育及び親子関係再構築支援等独自の基準も設けるとしています。
具体的な改正の内容として、これまで職員配置基準になかった学習指導員の配置や、これまで3歳以上は4人に1人だった職員配置基準を3人に1人と引き上げること、少年の居室は個室とし、1人あたりの面積が4.95㎡以上から8㎡と広くなります。時代に則した必要な改定と考えます。
山中市長:市第117号議案についてご質問をいただきました。個室化を進めていくべきとのことですが、現在整備中の東部児童相談所や再整備が完了した児童相談所では、個室化しております。その他の施設では一時保護児童数が高い水準にある中で、現状の定員を維持することにも配慮して、相談室から居室への転用や間仕切りの設置等によってプライバシーを確保していきます。本条例を踏まえ、引き続き子どもたちが安全で安心して生活できる環境の確保に努めます。
地域包括センターの専門職配置の基準緩和は、
市が掲げる介護・福祉の目標達成に逆行する
宇佐美さやか議員:次は、市第127号議案 横浜市地域包括支援センターにおける包括的支援事業の実施に係る人員の基準に関する条例の一部改正についてです。
改正の内容は、2つあり、人員確保が困難な施設の対応策として、施設に常勤として必要な3職種といわれる保健師・社会福祉士・主任ケアマネの有資格者を非常勤でも良しとすること。また、1つの施設に3職種の有資格者を揃えなくても、近隣施設を掛け持ちさせることで基準を満たしたことにできる仕組みに変えることです。
地域包括支援センターは『よこはまポジティブエイジング計画』にある「地域で支え合いながら医療や介護が必要となっても安心して生活でき、自分らしく生きることができる」という将来像を叶えるための要となる場です。基準を緩めて目的を達成することが可能でしょうか。各施設の質の担保のためにも、現行の3職種揃った基準を緩めるべきではないと考えますが、市長の見解を伺います。
3職種の有資格者が集まらないことを理由に規制緩和に踏み出すのではなく、担い手不足を招いている要因を解消していくことこそ必要です。ケア労働を担っている方々への処遇改善が、最も有効と考えます。本市において、ケア労働を担う方々への更なる処遇改善を強く要望し次の質問に移ります。
山中市長:市第127号議案についてご質問をいただきました。支援の質の担保のため、今までどおり地域包括支援センターに3職種を揃えるべきとのことですが、今回の条例改正は人材確保が困難である現状を踏まえ、柔軟な職員配置が可能となるよう国が介護保険法施行規則を改正したことに伴うものであります。本市としては今までどおりの職員配置を原則としますが、採用が難しい職種もあることから柔軟な職員配置も認めることで、地域包括支援センターが必要な人材を確保して役割を果たせるよう支援をしてまいります。
南舞岡小学校(戸塚区)統廃合は、なぜ決める前に
子どもたちの意見を聞かなかったのか
宇佐美さやか議員:次は、市第132号議案 横浜市立学校条例の一部改正については、戸塚区から南舞岡小学校を削除し、港南区へ新たに『ひぎり舞岡小学校』と記載し名称を変更する議案です。
2022年6月に制定された『こども基本法』の第3条の3及び4では『自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会、その意見が尊重される』ことが謳われています。横浜市こども・子育て基本条例でも「こどもが、社会を構成する一員として、その年齢及び発達の程度に応じて意見を表明する機会を確保、意見を施策に反映させるために必要な体制の整備に努める」と記されています。それにも関わらず、こどもを真ん中にして考えるはずの教育委員会は、検討部会において「学校規模適正化、学校統合は、地域や保護者にとっても意見の分かれる非常にデリケートな課題であり、児童の年齢や発達の程度に対して、不安や混乱を招くことがあるため、検討の途中経過段階で児童へ説明し、意見を受けることは、望ましくないと考えています」と答えたと聞いています。初めから、児童の意見を聞く姿勢が無かったのは、大問題です。
統廃合が全て決まった後、今年1月24日にYouTubeで動画を流し、アンケートを実施した集計の速報値をホームページに載せています。動画では、児童を誘導するかのような設問を繰り返し、あたかも学校を統廃合すれば友達が増えるなど良いことが沢山あるかのような内容となっています。大人が子どもから意見を聞くことをやめてしまえば、子どもたちは従うしかないのではありませんか。なぜ、統廃合について、決定する前に子どもたちから意見を聞こうという声が教育委員会の中でなかったのか、とても不思議です。
なぜ統合を決める前に子どもたちから意見を聞かなかったのか、教育長の見解を伺います。
下田教育長:第132号議案についてご質問いただきました。なぜ統合を決める前に子どもたちから意見を聞かなかったとのことですが、地域保護者の代表が本当に一生懸命に検討いただいてその過程でも議論した内容をニュースとして全戸配布し、子ども含め様々な方からご意見をいただいてまいりました。その上で子どもたちに学校とも相談しながらスライドなどを活用し、子どもにとってできるだけわかりやすい形で学校統合に関する情報を提供し、アンケートも行ったところです。先日も私は議会でお答えをいたしましたが、横浜市子ども子育て基本条例の趣旨を踏まえると、子どもが素直な気持ちを表明できる環境を整えることは大変重要であり、どのタイミングでどのように意見を聞くかについて今後もしっかりと検討して工夫してまいります。
物価高騰対策は、価格を転嫁できない公定価格
で運営している医療・保育・介護福祉施設に厚く振り向けること
宇佐美さやか議員:最後に、市第144号議案 令和6年度2月補正予算(第7号) 国経済対策に連動した対応、物価高騰対策についてです。
現在も、新型コロナやインフルエンザのクラスターが発生している下、病院では、病床稼働率の低下などにより経営が急速に悪化し、全国地方独立行政法人病院協議会に加盟する病院の中で7割が赤字と報道されています。今回の議案では、20床以上の医療機関1床、10,000円と額が少ないことから、増額を検討していただきたいと考えますが見解を伺います。
そして、今回も医療機関としながら、病床を持たない診療所への支援策はありません。診療所への支援を検討するべきと考えますがどうか伺います。
山中市長:市第144号議案についてご質問をいただきました。一床あたりの支援額を増額すべきとのことですが、国の交付金を活用した病院への物価高等対策については、今回も国・県による支援が検討されています。本市としては国・県の支援に上乗せすることにより、支援の幅を広げてまいります。診療所などの病床のない医療機関への支援を検討すべきとのことですが、現在県において診療所を含む県内全ての医療機関等への支援について検討されています。本市としてはより物価高騰の影響が大きい病院に対し、県が検討している支援に加えて、その幅を広げるための独自の支援を行ってまいります。
宇佐美さやか議員:いつ収まるのかわからない物価高騰に対して、国は、補正予算というかたちで地方自治体に小出しに振り分けていますが、その額があまりに少ないことが大問題です。 今回の補正予算では、昨年の9月に続いて、社会福祉施設と児童福祉施設等への光熱費等及び食材費の高騰に対する支援も計上されていますが、今回は、影響を受けた額の半額を支給するとなっています。昨年よりも多くの食品が値上がりし、秋に比べれば当然、寒さが厳しく、光熱費も重くのしかかり、施設運営に大きな負担を強いています。施設の利用者や保護者の負担増も危惧されます。公定価格で事業運営をしている事業者のみなさんをしっかりと支援できるだけの額を国に要望していただきたいと、強く要望し質問を終わります。