日本共産党を代表し、市第85号議案令和6年度横浜市一般会計補正予算、市第76号議案などには反対の立場から、請願12号、請願13号などの議案には委員会における不採択に反対し、採択を求める立場から討論を行います。
最初に市第85号議案一般会計補正予算についてです。今回の補正予算は、消防車両の購入費、小中学校整備事業など切実で緊急性の高い事業費補正や債務負担行為の補正となっておりこれらの点においては賛成するものです。しかし、私たちが今回の補正予算に賛成できないのは、市営野庭住宅の建て替えそのものについての反対ではなく、その実施方法については問題があり認められないという点です。建替え工事と維持管理業務等についてPFI事業での実施としている点です。
日本共産党はPFI事業のねらいが大企業・金融機関・ゼネコンのための新事業をつくり出すために、従来の公共分野のしごとを広く民間の事業に明け渡すものと指摘してきました。日本がPFI事業を導入してから25年が経過しています。PFIを活用した場合、横浜市は施設完成後、事業主体に対して建設や運営、維持管理にかかる費用を毎年支払っていくことになりますが、運営期間のトータルコストでは国からの補助金も入って財政的に軽くなるとされていますが、PFI事業について(株)大和総研の金融調査部主任研究員の解説では「PFIは公的資金を投入することで公共施設へのビジネス機会を得る方法」と明確に示しています。横浜市においても今やるべきは、PFIそのものはどうだったのかの検証をすることではないでしょうか。事業の運営、下請けを含めた働く人々の賃金、雇用形態など、実態を調査と併せて、市としての財政的負担はトータルとしてどうなっているのか公表するべきです。
また、横浜市のように技術者もしっかりと存在している中で民間活力というのはいかがなものでしょうか。先日の財政局の質疑では、今後多くの市営住宅の建て替えが控えている中で、PFI手法での事業を核に据えるとの見解も述べられています。今あるノウハウや人財が消えていくことを示しているのではないでしょうか。
また、市営住宅の建替えには大勢の住民の2回もの転居が伴います。これまでにいくつかの市営住宅の建て替えの場面に私自身も立ち会ってきましたが、どこでも市職員のみなさんが住民に寄り添って懸命に対応されてきています。水道局に関わっていただくなどもありました。それでも、不満が解消されない場合や、転居による体調不良等困難が待ち受けています。そこに寄り添えるのは市がしっかりと責任をもって進めるからこそではないでしょうか。PFIではそうはいかなくなることもあります。また、議会からは一括発注となることから市内地元中小事業者の参入が可能かどうかの懸念も繰り返し出されています。これから、さらに進められる各地の市営住宅の建て替えを考えてもPFI事業で進めることは認めることができません。市が責任をもって直接建替え事業をすすめるべきと強く申し述べておきます。
次は、市第76号議案「横浜市立図書館の指定管理者の指定」についてです。山内図書館の指定管理についてです。私たちは、公立図書館は直営での運営がされるべきで指定管理制度はなじまないと考えます。
図書館法は「国民の教育と文化の発展に寄与することを目的とする」として、その17条で、「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」と「図書館利用無料原則」を規定しています。この公立図書館を営利企業が指定管理を受けるわけですから、どこで利益を出すのかが課題となります。そうなると人件費を削るしかありません。これまで全国で公立図書館における指定管理制度が導入されてきたところについての調査を日本図書館協会が行っています。
2024年1月に出されたその報告には、指定管理制度から直営に戻した15自治体が紹介されています。茨城県守谷中央図書館もそのうちの一つで、守谷図書館協議会が守谷市立教育委員会に出した答申は「現在の経費を上回ることなく市民サービスの水準を維持することを前提として、直営もしくは一部業務委託による直営とすること」としています。その理由には「営利企業が守谷市立図書館の指定管理を行い、一定の指定管理料の中でより多くの利益を出すためには、経費、特に人件費を削減する傾向が強まります。このことにより、現体制においてはスタッフの質の向上が難しくなり、守谷市立図書館に求められるスタッフの専門性を満たせていません。専門性の高いスタッフの育成や質の高いサービスを提供するという観点から、直営もしくは一部業務委託による直営とすることが望ましい。」と述べています。現在の山内図書館のサービス云々を述べているわけではありません。営利企業が公立図書館を指定管理する問題が明確に指摘されていると思います。
さらに、今回の選定にあたっての問題では、山内図書館の指定管理者選定評価委員会の委員には横浜市指定管理者制度運用ガイドラインに定めている「当該施設の利用者代表」が選任されていません。例えば、今回男女共同参画センターの指定管理者の指定がありましたが、指定管理者選定評価委員会の委員には「男女共同参画センターの利用者代表」が入っています。委員の選任にあたって「施設の特性に合わせて施設管理課が個別に判断する」となっていますが、図書館は利用者があって初めて成り立つ公的施設です。選定評価委員会委員に利用者代表が入らない中で選定が行われたことは問題です。
次に請願について、委員会での不採択に対して採択すべきとの立場から討論を行います。
まず、請願12号は「市予算による少人数学級の拡大等について」です。横浜市の中学校では一クラス36人以上の学級がなんと56.4%と半数以上となっています。小学校では31人以上の学級は36%。この状況で、これまでとは様変わりしている働き方や家庭の環境の中、勉強が分からない、友達関係で悩んでいるなどのこどもたちのまなざしに先生方が答えるのは至難の業です。先生がいない「未配置」などもってのほかです。日本が子どもの権利条約を批准して30年となります。子どもの権利条約は、生命、生存及び発達に関する権利、子どもの最善の利益、子どもの意見の表明、尊重、差別の禁止の4原則を掲げています、子どもを権利の主体と位置付け、意見表明はどんなに小さな子どもにも保障されるとしています。日本は先進国といわれながらもその批准は158番目でした。いまだに子どもは大人の付属物との考えが広く深く日本社会を覆い、管理と競争が子どもたちを取り巻いてはいます。日本政府は、国連子どもの権利委員会から、子どもの権利の保障が不十分だという勧告を繰り返し受けています。2019年「自己に関わるあらゆる事柄について自由に意見を表明する子どもの権利が尊重されていない」など、条約の根本にかかわる非常に厳しい評価を受けています。
繰り返し国連からの勧告を受けても、競争の教育も、すし詰め教室も変えようとしない政府。そんな中で、横浜市における不登校児童生徒が過去最多の9,775人となっています。少子化の中で不登校が増え続けています。不登校やいじめの増加など教育現場を取り巻く状況を一刻も早く改善したいとの市民の願いに、子どもたちの「せんせいあのね」の声に、そのことを発することができない子どもたちの思いも受け止めたいとの教育現場の切実さに応える時ではないでしょうか。国に対してもいまこそ20人学級へ踏み出すよう要望するときと考えます。また、義務教育は無償とする憲法の原則からもフリースクールに通う子どもたちの学びも保障できる環境を整えていく時と考えます。よって請願12号は採択すべきです。
次は請願第13号「小学校給食費の無償化について」についてです。2024年衆議院選挙公約をみますと、日本共産党は「給食費、教材費の無償化を掲げて、国会質問では給食無償化について『義務教育は無償』を定めた憲法26条にそくして、学校給食や教材費の無償化をすすめ、義務教育を完全無償にしていきます」としています。自民党は、「学校給食費等の保護者負担の軽減」とし、立憲民主党は「公立小中学校の給食費を無償化します」となっています。公明党は、「学校給食に関する実態調査の結果を受けて課題を整理し、負担軽減など自治体の取り組みを後押し します」維新の会は「家庭の経済状況にかかわらず、等しく質の高い教育を受けることができるよう、給食の無償化」を掲げ、国民民主党は「給食費と修学旅行費を無償化」としています。もはや小学校の給食費無償化に向けて反対の余地など無いと思います。小中学校給食費の無償化は、全国では昨年の9月時点で3割の547自治体、今は4割に達しようとすると聞いています。神奈川県内でも多くの自治体で取り組まれてきました。義務教育無償の立場から横浜市としてもいよいよ踏み出すときではないでしょうか。よって請願13号は採択すべきです。日本共産党は、学校給食をはじめとして高等教育までの無償化を目指しこれからもあきらめず皆さんと一緒に取り組んでいく決意です。
次は、請願第17号「子どもたちの健やかな育ちを保障する横浜の保育・子育て支援施策の拡充を求める」についてです。横浜市会でも今年の第一回定例会で国に対して、1歳児及び2歳児の最低基準の引上げによる職員配置基準の見直し、保育現場に勤務する職員のさらなる処遇改善の実現などを求めて「保育所等における職員配置基準の見直し並びに保育現場及び放課後児童クラブに勤務する職員の処遇改善を求める意見書」を全会一致で採択し国に届けています。ですので、この場において議員のみなさんに対して保育の現場の大変さを語るのは不要でしょう。どの子も安全でより良い保育が受けられるようと願い、言葉を話せない幼子にも寄り添い日々頑張る保育の現場の処遇改善は急務です。よって請願17号は採択すべきです。
最後に、請願15号「開かれた市庁舎に向けた改善提案」についてです。常任委員会の審査では、多くの会派から「他都市と比べて理解できる」「検討の必要はある」「問題提起あったと受け止める」など、ほぼ請願者の主旨に添う意見が縷々述べられました。この点からも、是非本会議では採択をしていただきたいと思います。また、今後是非とも横浜市として市民のひらけた市庁舎にとの願いを正面から受け止めて開かれた市庁舎に向けた改善の検討を行っていただくよう求めまして討論を終わります。