苦境に立たされている訪問介護事業所への支援について
大和田議員:日本共産党の大和田あきおです。党を代表し質問します。
今年4月、介護保険の報酬改定によって、報酬を引き下げられた訪問介護事業所の倒産が深刻化しています。そこでまず、訪問介護事業所への支援をどのように進めるかについて質問いたします。
東京商工リサーチによると、今年1月から10月までに倒産した介護事業者は全国で145件にのぼり、その内、訪問介護が最多で72件です。介護保険制度が始まった2000年以降、最も多くなりました。
厚労省調査の資料では、訪問介護事業所の約4割が2022年度以降3年連続で赤字であることが明らかになっています。そんな中、厚労省は今年4月、3年に1回の介護報酬の改定を行いました。全体で見ると、1.59%引き上げとなりますが、訪問介護だけ基本報酬を引き下げました。しかも引き下げ率は2~3%で過去最大です。訪問介護事業所がなくなれば「住み慣れた家で暮らし続けられない」と不安の声が広がっています。訪問介護は、要介護者の在宅での生活を支えるうえで欠かせません。このままでは在宅介護がかなわず、「在宅放置」を招きかねません。
現に今年10月、神奈川県民主医療機関連合会が県内の訪問介護事業所を対象に行った基本報酬引き下げに関する調査結果」では、基本報酬引き下げについて89.6%が「納得できない」と回答しています。また同調査で、88.3%の事業所が困難な経営状況となっていることが明らかとなりました。訪問介護の基本報酬引き下げに対しては、再改定を望む声が88.8%と最も多く、「報酬見直しを早急に行ってほしい」との声が多く出されています。
① このまま横浜でも訪問介護事業所の倒産が増える事態が進めば、市の介護保険事業計画を実施することが困難になるのではないでしょうか。計画を推進する立場の市としては、訪問介護事業所の実態調査をするべきと考えますが、市長に伺います。
山中市長:介護事業所への支援についてご質問をいただきました。訪問介護事業所の実態調査を行うべきとのことですが、本市では市内介護事業所の運営上の課題など把握するために、3年に一度実態調査を実施しております。また令和7年1月から介護事業所の経営情報の集積と分析を国が行うことになっておりますので、その分析結果も参考にして事業所の実態を把握してまいります。
② 併せて、その調査結果について検討した上で、訪問介護の基本報酬を引き上げる再改訂を、3年に一度を待たずに、国に求めることが必要と考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:基本報酬を引き上げる再改定について、次期介護報酬改定を待たずに国に要望することが必要とのことですが、介護報酬は国が経済社会状況等の様々な変化や、介護事業所の経営実態調査の結果等を踏まえて決定したものであると承知しております。引き続き国の動向を注視してまいります。
大和田議員:東京都世田谷区は9月、区内にある高齢者・障害者施設への緊急安定経営事業者支援
給付金の支給を決めました。給付の対象となるのは、区内に262ある訪問介護事業所のほか、居宅系サービス事業所、通所・入所系の高齢者施設、障害者施設などです。このうち訪問介護事業所には1事業所あたり88万円支給されます。区の担当者は、訪問介護の基本報酬引き下げをうけ、苦境にあえぐ事業者が区内でも増えているという実態を踏まえ、「事業者に給付金という形で支給することにした」と説明しています。
横浜市内の訪問介護事業所の管理者の方からは、次のような訴えが寄せられています。
「今は訪問介護事業所が一番大変なときです。この4月に基本報酬単価が下げられ、事業所収入が大きく落ちました。そのため、事業所収入に対する支出の割合が、昨年4月から9月までは約80%でしたが、今年は約90%になっています。そのため、これまでの収入の利益が半減しています。これではとても経営が困難です。」というもので、公的支援が待たれています。
③ そこで、訪問介護事業所の経営安定化について、横浜市として他都市のように支援すべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:訪問介護事業所の経営安定化について本市でも支援すべきとのことですが、訪問介護事業所の皆様から寄せられている声を通じて介護報酬の改定による影響を受けていることは認識しております。今回の報酬の改定では、訪問介護の処遇改善加算の加算率は他の介護サービスと比べて高い設定となっております。まずは事業所の加算の取得が進みますよう引き続き支援をしてまいります。
横浜市大の入学金ゼロと学費無償化に向けて検討を
大和田議員:次に、大学の学費無償化についてです。
いま、さらなる学費値上げの道を進むのか、値下げにふみ出し、高等教育無償化への道を進むのかが問われています。
ヨーロッパでは、教育無償化をめぐる長い国民的な運動のなかで、高等教育についても60年代後半から無償化にふみ出し、維持している国が少なくありません。
日本は、2012年に国際人権規約の高等教育無償化条項について留保を撤回し、高等教育を無償化することを国民と国際社会に公約しました。しかし、大学の学費は上がり続けています。
現在、高学費によって学生生活は限界にきています。私立大学の初年度納付金は平均で約148万円、国立大でも約82万円にもなっています。そのなかで、アルバイトと貸与奨学金なしに学生生活が成り立たない状況が”当たり前”になっています。
学生の8割がアルバイトに従事し、3人に1人が貸与奨学金を利用しています。平均で約345万円の奨学金という名の「借金」をかかえて社会に出ざるをえない状況です。
昨年、日本共産党市議団は、横浜市内の高校生に学費についてアンケート調査を行いましたが、約6割の高校生が学費が「進路に影響している」と回答しています。
① 現在の学費は、学生やその家族にとって大きな負担を強いているのは明らかです。
市長は、現在の大学の学費が高いという認識はあるのでしょうか、伺います。
山中市長:大学の学費無償化についてご質問をいただきました。大学の学費に対する認識でありますが、経済的に困難な学生への支援については国において授業料等の減額免除や、給付型奨学金の大幅な拡充が図られており、さらなる充実に向けて検討が進められております。本市としても学習意欲のある学生が、経済的な理由により学びを諦めることがないよう市立高校での進路指導の際などに、支援制度の周知を図っております。
大和田議員:神奈川県では、県立保健福祉大学で、住民税非課税世帯や準ずる世帯の成績優秀者に対して、入学料や授業料の減免制度があります。また、2025年度から、入学料を現行の半額に引き下げる方針です。また、兵庫県では、若者が学費負担への不安なく、希望する教育を受けることができるよう、県として一刻も早い対応が必要と判断し、県立の2大学において2026年度から「県内在住者の入学金と授業料を所得に関わらず無償化する」新たな方針を打ち出しました。大阪府においても、2026年度に向けて段階的に大学の学費無償化を進めており、大阪公立大学では2026年度入学者から4年間無償化される予定です。
国際人権規約の精神で学費無償化にふみ出す時です。教育基本法では、大学とは、「学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するもの」と明記しています。
② 横浜市でも横浜市立大学の入学金をゼロにし、学費の無償化について検討すべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:横浜市立大学の入学金をゼロにし、学費無償化について検討をすべきとのことですが、現在、横浜市立大学では市内在住の方の入学金を半額としております。また国の就学支援制度に基づき支援等に応じた授業料の減免を実施しており、令和7年度からは多子世帯の授業料が無償となります。本市としても国や他の大学の状況など、その動向を注視してまいります。
横浜国政プールのメインプールの存続を
大和田議員:次は横浜国際プールのメインプールの存続についてです。
① 9月の本会議で、市長は日本水泳連盟鈴木会長の懇談要請に応えるべきとの質問に対して「所管局で意見交換を進めている」との答弁にとどまりました。しかしその後、報道によれば市長は日本水泳連盟鈴木会長の面会を断ったとありました。なぜ断ったのでしょうか、市長に伺います。
山中市長:横浜国際プールについてご質問をいただきました。日本水泳連盟会長の面会についてですが、計画策定を進めるためには現場レベルでの対話が何よりも重要であることから、素案の策定に至った経緯や施策の詳細を丁寧にご説明差し上げるとともに、実際の水泳現場で携わっている皆様のご意見を丁寧にお伺いするなどして、所管局で対応をしております。
② また11月27日に関係6団体が選手や関係者から寄せられた意見2368件とメインプールを残してほしいとの陳情書を市に提出しています。それを市長はご覧になったのでしょうか、その感想を市長に伺います。
山中市長:陳情等の内容確認の有無と、それに対する感想とのことですが、内容についてはこれまでいただいた陳情等と同様の内容であったと認識しております。再整備の検討につきましては、今回いただいたご意見も含めて素案に対して市民の皆様から頂いた様々なご意見を総合的に踏まえて、原案の策定を進めてまいります。
③ これだけ明確な反対の意思が最大のステークホルダーから出されていて、水泳連盟会長との面会を拒否したまま、メインプールの廃止を強行するのでしょうか、市長の見解を伺います。
山中市長:メインプールについてですが水泳団体の皆様からは、メインプールの存続のご要望をいただいておりますが一方で、市民意見募集では通年フロア化を望まれる、あるいは理解を示される、そういったご意見を横浜市民の皆様から多数いただいております。より多くの市民の皆様に喜んでいただける市民の皆様のための、インクルーシブな視点を踏まえた次世代を育む施設を目指し、原案の策定を進めてまいります。
日本原水爆被害者団体協議会ノーベル平和賞受賞について市長の受け止め
大和田議員:次に、日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞受賞についてです。
ノルウェー・ノーベル賞委員会は10月11日、ノーベル平和賞を日本被団協に授与すると発表し、授賞式が昨日(12月10日)、ノルウェーのオスロ市庁舎で開催されました。ノーベル平和賞のメダルや賞状が贈られ、被団協の田中煕巳代表委員が被爆者17人を含む30人の代表団を代表し、「核兵器も戦争もない世界をつくりたい」と語り、核兵器廃絶を訴えました。
これは、長年の地道な活動で、被爆の実相を世界に広げ、核兵器の非人道性を明らかにし、核兵器禁止条約へのうねりをつくり出してきた活動が認められた結果です。
日本被団協は被爆者の唯一の全国組織として、広島・長崎への原爆投下から11年後の1956年第2回原水爆禁止世界大会において、長崎で結成されました。結成宣言は「自らを救うとともに、私たちの体験をとおして人類の危機を救おう」とのべ、「ふたたび被爆者をつくるな」と叫び続けてきました。
2016年には、被爆者が初めて世界に呼びかけた「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」を開始し、2020年までに1370万2345人分の署名を国連に提出しました。
こうした国内外での被爆者の訴えが世界の人びとを動かし、2017年、核兵器禁止条約の国連総会での採択に大きな役割を果たしました。
① そこで、今回の日本被団協がノーベル平和賞を受賞したことについて、どのように
受け止めているのか、市長の見解を伺います。
また、横浜市会においては、来年1月に、正副議長の主催で議員向けの「日本被団協ノーベル平和賞受賞記念「平和講演会」を開催します。市として市民を対象とした、講演会を設けることを強く要望し、質問を終わります。
山中市長:日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞の受賞についてご質問をいただきました。受賞に対する見解でありますが、核兵器のない世界の実現に向けた長年のご活動が評価され、受賞に繋がったものと考えています。来年は原爆投下から80年そして戦後80年を迎えます。ピースメッセンジャー都市として引き続き世界の平和の実現に向けた取り組みを進めてまいります。以上、大和田議員のご質問にご答弁を申し上げました。
古谷やすひこ議員から議事進行が入り、許可が下りる。
古谷議員:先ほどの大和田議員の質問に対して、高等教育の無償化のことについての質問の件です。国の動きを重視するという答弁をされたという風に思いますが、大和田議員の質問はですね大学の学費の現状について高いという認識が市長にはあるのか?と市長の認識について伺っております。明確な答弁を求めます
山中市長:学習意欲のある学生であっても、経済的な理由により学びを諦める場合がある。学費の値段によっては経済的な理由によって、学びを諦めることがあるというふうに承知をしております。以上、ご答弁申し上げました。