※実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。
消防職員の増員など消防力の拡充を
白井議員:私は、日本共産党を代表して質問します。
はじめに、市第41号議案 平成23年度横浜市一般会計補正予算第3号についてです。
総合的な震災対策の考えかたに基づく補正として、施設の耐震化、津波対策、災害救助用資機材などが充実されます。3.11東日本大震災を経験し、多くの市民は被災地に思いを馳せ、復興を願い、あわせてここ横浜であのような災害が起きないか、防災や避難は大丈夫だろうかと不安を強めています。
市議団として8月に津波被害の大きい石巻市、女川町、仙台市若林区に行き、支援と視察をしてきました。被害を目の当たりにし、教訓を横浜で生かすことが尊い命に報いることと感じました。こんどの大震災と巨大津波は、人間社会にとって何にもまして大切なものが命とくらしであり、それを守ることが行政の根本課題・使命であることを示したと思います。
昨日は「防災の日」で、市役所ロビーには、本市消防職員が東日本大震災の被災地で救助活動をした写真のパネル展示が行われています。また、8月8日に神奈川区六角橋商店街で発生した火災は、18棟に被害を出す大規模火災で、49の消防隊が出場したと聞いています。改めて本市の消防力、中でもマンパワーの強化の必要性を実感しています。
そこで、368万7千市民の命とくらしを守るという重責を担っておられる市長に、3.11東日本大震災を経験しての本市の消防力強化についての認識を伺います。
本市の消防力の整備は、国が定めた「消防力の整備指針」に沿って、中田前市長の下で2006年度に策定した「横浜型消防力再編計画」に基づき行われており、4年半たちました。5年ごとに見直すとされており、現在、局内部で見直し作業中と聞いています。
この「再編計画」は、消防署と出張所・ポンプ車・はしご車・救急車・職員数などの配置計画で、これにより「消防力の充実強化を図る」とされています。
消防署所については、国の指針による数値だけで算出した整備数は、111か所です。計画策定当時99か所あり、これを8か所減らし、9か所にする計画でしたが、現在96か所です。
ポンプ車については、算出数は174台です。当時115台あり、7台減らし108台にする計画でしたが、2010年時点で113台です。
また、職員数については、算出数は4,000人から4,800人程度です。当時3,365人でしたが、署所や車両を減らしながら決定するとして、現在3,360人です。
このように、現行の消防力再編計画は、国の指針による算出数に対して少ない上に、さらに減らすという、消防力の充実強化に逆行する乱暴な計画です。4年半たった現在、計画通りに進んでないことからも、実態とかけ離れた無理な計画と言えます。
青葉区での消防職員の賭けマージャン等の不祥事はあってはならないことです。そうであっても、災害から住人のいのちとくらしを守るには消防力の強化は待ったなしです。マンパワーはその要を占めています。再編計画は見直し作業を待たずとも、ここで一旦凍結し、東日本大震災で国民がその強化の必要性を肌身で感じた消防職員の増員など、消防力の拡充に舵を切り替えるべきと考えますが、市長の見解を伺います。
林市長:白井議員のご質問にお答え申し上げます。
市第41号議案についてご質問をいただきました。
本市の消防力については、効果的効率的な消防体制の構築という視点にたち、運用面等を見直しながら、的確に対応してきました。一方で、大震災が本市で発生した場合の必要な消防力という視点で、今後検討していきます。
横浜型消防力再編計画ですが、平成18年度に計画を策定して、5年が経過することから、現在見直しをしています。計画の見直しにあたっては本市の人口や火災・救急件数などの基礎データを再度確認した上で、地震災害等の大規模な災害への対応も考慮し、検討を行っています。
(第2質問)
白井議員:消防力について、運用を見直して的確に対応してきたということですが、マンパワーは数が充足していることが大切ですので、この消防力の再編計画、見直していただいて、向上、充実、拡充に向けて、見直していただきたいということを再度要望させていただきます。いかがでしょうか。
林市長:私は、消防力強化については、就任当時から十分に考えておりまして、今回、特に大震災があって、その必要性については本当にしみじみと感じておりますので、先生もおっしゃった通りに、本当に今の人数で、まさかの時の震災に対してとか日常のいろいろな災害に対して対応力のある人数なのかも含めて、検討しております。お答え申し上げました。
子どもの安全のためにすべての保育園を耐震補強工事の補助対象とせよ
白井議員:次は、保育所の子どもを守ることについてです。
市立保育所の耐震改修ができていなかった13園全園を耐震化するための予算がつきました。公立保育所の耐震改修には国費がつかず、自治体負担ですから、これまでなかなか進まず、保護者の不安も高まっている中で、予算化されたことはひと安心です。
一方、民間保育所では、築年数の古い園で昭和56年新耐震基準に適合せず、耐震補強の必要性がありながら、未着手の園が25園もあります。耐震補強工事が早急に行われる必要があります。この25園のうち、鉄筋コンクリート造りや鉄骨造りの9園は横浜市の要綱で補助対象とされていますが、軽量鉄骨造り、木造の16園は対象外とされており、耐震化は園まかせになっています。危険な園舎の中で毎日生活する子ども達を放っておくわけにはいきません。
そこで、補助対象の9園は、老朽改築の希望も補助対象とはなりますから、老朽改築や耐震化のロードマップをつくるとともに、すべての民間保育所が耐震補強にかかる調査や設計、工事に補助が受けられるよう要綱を改正すべきと思います。市長の見解をうかがいます。
林市長:市立保育所耐震補強およびリフレッシュ工事事業に関して、民間保育所の耐震化についてですが、これまでも園の状況を確認しながら耐震化を働きかけ、耐震工事や建て替えを進めてきました。今回の大地震をふまえ、保育所の建物としての安全確保がますます重要となっていることから、補助対象の拡大をふくめ、耐震化等スピード感をもって取り組んでいきます。
市内全域の地域防災拠点で仮設トイレ用排水管の整備を
白井議員:今回、災害対策用トイレとして避難者用トイレパックを地域防災拠点などへ備蓄する経費が盛り込まれています。大震災被災地では、下水管の破損によりトイレが使用できなくなり、対策に追われた様子が報道されました。避難所のトイレ対策には万全を期すことが大切です。
本市では、地盤の液状化による下水管破損により避難所となる学校のトイレが使用できないことが想定される地域防災拠点に、仮設トイレ用の配水設備の整備が進んでいます。国から2分の1補助があり、2010年度から5年間で51校の計画となっています。トイレは避難所の衛生状態を左右する大きなポイントですから、計画を前倒しし、急いで備えるべきと考えますが、市長の見解をうかがいます。
防災拠点となっている学校現場からも拡充が必要だという声もありますので、液状化想定地域以外の市内全域の防災拠点にも災害時用トイレの排水管の整備を進めるべきと考えますが、どうでしょうか。
林市長:災害用トイレの排水管の整備につきましては、22年度から整備を開始し、26年度までに51か所の地域防災拠点で整備を完了する計画となっています。しかし、先の東日本大震災の被害状況を、私も直接現地でみましたが、トイレの問題は市民のみなさまにとって重要です。従いまして、早期の整備完了を検討していきます。
液状化想定地域以外の整備につきましては、51か所の地域防災拠点の整備とあわせ、整備手法や課題整理等さまざまな角度から検討を行います。
区や学校、住民の自発的な津波避難訓練に市が責任をもって支援を
白井議員:次に、津波避難対策についてです。予算には、東京湾沿岸の6区で街路灯や電柱に海抜表示の設置があります。先日配布が始まった「津波からの避難に関するガイドライン」をまとめた冊子には、標高5メートル以上の高台やビルの3階以上への避難が紹介され、避難ビル指定のための選定作業を進めているとしています。
冊子には、津波の河川遡上についても注意がありますから、津波対策は沿岸6区だけでなく、河川沿岸の内陸部についても対象として対策を立てることを要望しておきます。
また、冊子には避難訓練の重要性もあり、沿岸の区や内陸部を含む小中学校では津波を想定した避難訓練が始まっています。大震災被災地の釜石市では、行政が主導して行ってきた津波防災の専門家による小中学校児童生徒への避難教育が効を奏したとのことです。本市で住民の自発的な津波避難訓練が進むよう、行政が主導して責任を持って、区や学校、住民の自発的な取り組みを支援する仕組みづくりとして、マニュアル作成や体制確立などを行うべきと考えます。市長の認識を伺います。
林市長:住民の自発的な訓練のために、市が積極的にかかわるべきとの考えについてですが、津波が発生した際には市民のみなさまが自らの安全確保のため、迅速適切な避難行動をとっていただくことが大変重要です。このため、津波避難の訓練を行うことは大切であり、機会をとらえて地域のみなさまの働きかけるとともに、地域が実情に応じた自発的な訓練を実施できるよう支援していきます。
新築一般住宅の固定資産税減額を続けて耐震化率向上を
白井議員:最後に、市第20号議案は横浜市市税条例等の一部改正です。
これまで、本市独自制度として要件にかなった新築住宅に対し、都市計画税の2分の1が減額されていました。今回新たに、耐震改修住宅等を対象に加えたものの、一般の新築住宅の減額は廃止し、省エネ対策がされた住宅のみと対象を限定するものです。昨年度実績では約9000棟が対象外となります。
東日本大震災後、市民は自宅の耐震性を向上させたいとの思いが強くなっています。市街地全体の住宅の耐震性向上には、既存住宅の耐震改修に加え、立て替えて新築にすることが決定的です。新築住宅が増えることで本市の住宅耐震化が促進されています。一般住宅を対象からはずし、減額の対象を狭めることは、耐震化率向上に逆行します。そこで、一律減額を廃止することについての見解を伺います。
また、改定の理由を地球温暖化対策等のインセンティブ効果をより高めるとしていますが、そうであれば、省エネ対策等の新築住宅に対しては現行の減額割合ではなく、引き上げるべきと考えますが、見解を伺います。
林市長:市第20号議案についてご質問いただきました。
新築住宅に対する都市計画税の一律の減額措置廃止についてですが、今回の改正は、住宅政策が量から質へと転換されたことをふまえ、税制度を活用して、新築住宅の建設を促進するのではなく、耐震対策や環境負荷が少ない住宅など、質の高い住宅への建設改修を誘導するものです。これにより本市の重要な施策である、災害に強く環境に配慮したまちづくりという政策目標を実現するものです。
省エネ住宅等へのインセンティブ効果を高めるためであれば、現行の2分の1の減額割合を引き上げるべきとのことですが、今回の改正は単に新築住宅の建設を促進するのではなく、耐震対策や環境負荷が少ない住宅の建設、改修への誘導を明確にした政策税制であり、減額割合の設定にあたっては、課税対象が同じである固定資産税の例を参考に設定いたしました。
以上、白井議員のご質問にお答え申し上げました。