2025年1月16日
横浜市長 山中竹春様
日本共産党横浜市議団
団長 古谷 やすひこ
路線バスを守り発展させ、市民の移動の自由を保障する役割発揮を
横浜市地域公共交通計画(素案)への意見
「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づき、本市の地域交通の取り組みを推進する5年間のアクションプランとなる「横浜市地域公共交通計画」(素案)に意見募集が行われています。
移動手段の中でもバスによる割合が他都市よりも高いとされている本市において、バス事業者は厳しい経営状況、また深刻な人材不足とされ、その中でも市営バスは2024年度に3回にわたり632便が減便となりました。地域主体で運行するミニバスなどは不採算のため新規開設がなかなか進みません。地域公共交通の衰退に歯止めをかけなければ、住民の日常生活や社会活動に大きな支障をきたし、地域全体の衰退を招くことになりかねません。
素案では、「公共交通は、誰もが日常生活を送るうえで必要不可欠であるとともに、人々の外出を促し、健康増進やまちの価値の向上など多面的な効果をもたらすものであることから、市域全体で地域に適した交通サービスの充実を図るため策定する」としており、プッシュ型による新たな地域交通サポート事業による導入支援が行われるなど、一定、充実に向けた方向が示されていることは歓迎しますが、路線バスに代わるものではありません。
移動の自由を保障する公共交通の役割は特別に大きいことから、真に住民が日常生活や社会活動に支障なく利用できる地域公共交通となるように、意見を提出いたします。
第1章 計画に関する基本事項について
〇移動の自由を保障する交通権、移動権を明記すること。
第4章 バスネットワーク維持について
イ・ウ 市営・民営合わせて10事業者の対象13路線に、生活交通バス路線維持制度として運行経費の一部を補助しており、新たに民営バスへ人材確保に向けた補助制度(家賃補助)の導入とされています。
〇バス事業者へ公共サービスにふさわしく必要な財政支援を行い、路線バスを維持すること。
〇市営バス乗務員の抜本的な処遇改善を行い、人材を確保すること。
〇バス停のスペース確保、屋根やベンチの整備は事業者任せとせず、市の責任で安全で快適なバス停にすること。
エ 市西部地域における交通ネットワークの構築として、相鉄線瀬谷駅と上瀬谷間の地下と地上にバス専用道を整備し、連接バス最大3台で隊列走行するシステムの導入を目指すとしていますが、途中駅もなく、地域住民が求めている地域交通とは言い難いものです。テーマパークへの送客が大半となる交通システムに本市が事業費負担する大型事業の是非が問われます。
〇瀬谷駅からのバス専用道整備とシステム導入にあたっては、巨大テーマパークへの来場者輸送をメインするのではなく、住民要望を聞き、地域住民が望む地域交通の充実の内容に見直すこと。
第4章 新たな地域公共交通の導入について
オ 新たな地域交通サポート事業による導入支援
交通不便地域に市がプッシュ型でミニバスなどの導入について、地域の意向確認・移動の実態調査・実証運行・本格運行へつなげるとし、本格運行の運行経費に補助金が出ることは導入のハードルが下がり、敬老パスで運賃割引されることは利用促進にもなることから歓迎します。
〇目標は市内50地区程度にとどまらず、体制をとって支援をスピードアップし本格運行までの期間を短くし、導入地区を大幅に増やし交通不便地域をなくすこと。
キ 公共ライドシェア(交通空白地有償運送)、日本版ライドシェア等の活用としていますが、ライドシェア普及の促進では、交通空白地の根本的な解決にならないばかりか乗客の安全が保障されない乗り物が増えかねません。
〇活用の記述を削除し、また、国へ、日本版ライドシェアの廃止、自家用有償旅客運送の規制緩和をストップ、旅客対象を観光客のみとする自家用有償旅客運送の禁止を求めること。
第5章 交通DX・GX・共創の推進について
シ 新たなモビリティーツールの活用、自動運転技術の活用が示されています。
〇新たなモビリティーツール、自動運転技術については、安全面の課題が残されていることから、拙速に進めないこと。