2024年12月18日
横浜市長 山中竹春様
重点支援地方交付金は市民の暮らしを支える施策に厚く振り向けることを求める申し入れ
日本共産党横浜市議団 団長 古谷やすひこ
昨今の物価高騰により、市民の暮らしは厳しさを増しています。
実質賃金のマイナスは、今年5月までに26か月連続と、過去最長を記録しました。今年の春闘は、過去最高の賃上げだったにもかかわらず、実質賃金がプラスになったのは6・7月の2か月だけでした。報道によると、今年度上半期(4~9月)神奈川県内の企業の倒産件数は274件と前年度より13件多く、上半期としては3年連続で増加しています。
また、生きていくうえで欠かせないものが軒並み値上がりしており、来年1月から4月までに値上げが予定されている食品は、少なくとも3,900品目以上と報道されています。新米の価格高騰で、市民からは「お米が5キロで3,000円以上になっていて驚いた」「家族が多いから、お米とお餅と合わせると1万円以上になってしまう」「米を買うのを我慢している」という声や、市内のお米屋さんからも「こんな高い値段では誰も買ってくれなくなる」と悲鳴が上がっています。冬に入りましたが、光熱費を節約して寒い思いをしながら暮らしている市民も少なくありません。
市内の小規模事業者が多く加盟する民主商工会からは、飲食店が特に経営が厳しく、「食材費が高騰しているが値上げするとお客さんが来なくなる。とても苦しい」との声や、「多くの小規模事業者は、生活と事業が一体となっている生業(なりわい)経営だから、生計費が膨らむと事業に回せる資金が少なくなる。どんどん厳しくなる」との訴えが届いています。
医療機関や介護施設等の公定価格で運営されている事業所からは、「光熱費などの高騰分の負担が価格転嫁できず、運営費に重いしわ寄せとなっている」「どうやってこの公定価格で利用者にまともな食事を出せるのか」との声も寄せられています。
政府は、11月22日に新たな経済対策を決定し、12月17日に約14兆円の補正予算が可決しました。賃上げ環境の整備や物価高への対応など市民の暮らしを支える分野への予算計上もありますが、軍事費(防衛費)8,268億円や、AI半導体企業などの一部企業支援に1兆3,054億円の計上は、緊急に必要な手当てを行うことを目的とした補正予算の枠組みを逸脱するものです。特に軍事費については、4分の3は2025年度以降に支払う予定だった経費の前倒しで、何の緊急性もありません。日本共産党としては、国会においてもっと国民の暮らしを支える分野に厚く予算配分を行うことを提案しているところです。
横浜市においても、市民の命とくらし、中小企業・小規模事業者の営業と雇用を守るために、実効性ある対策を国に求めるとともに、前回より全国で約1,000億円増額された重点支援地方交付金の物価高対策予算(約6,000億円)を、市民の暮らしを直接支える施策に厚く振り向けるための補正予算として速やかに編成すべきだと考えています。
以上のことから、日本共産党横浜市議団としては、以下について強く要望します。
市として以下の事項を行うこと。
- 物価高騰による影響から市民の命とくらし、雇用と営業をまもるために、国の「重点支援地方交付金」を積極的に活用し、市独自の財源も投入し、補正予算を迅速に編成すること。
- 市内の中小企業・小規模企業者に対し、家賃やリース代などの固定費への補助を行うとともに、水道光熱費への補助を行うこと。また賃上げのための直接支援を市単独事業として実施すること。
- 医療機関、高齢者施設、介護事業所、保育所、福祉事業所等の公定価格で運営している事業所へ水道光熱費・燃料費・食材費等の支援を行うこと。
- 放課後児童クラブ、幼稚園、公共施設、市民利用施設、子ども食堂等へ水道光熱費等の補助を行うこと。
- 小中学校の給食費の無償化を行うこと。
- 私立学校の給食費や昼食代に補助を行うこと。また、物価高騰分の水道光熱費の支援を行うこと。
- 横浜市高等学校奨学金については、支給額と募集枠を拡大すること。
- 一般家庭に向けて、水道光熱費の減免を行うこと。
- 物価高騰支援給付金事業は、住民税均等割非課税世帯だけでなく、ひとり親世帯や低所得世帯にも拡大して支給すること。
- 埼玉県飯能市や栃木県下野市で実施しているような、物価高騰の影響を受けている子育て世代の負担軽減を目的としたおむつ等の育児用品の購入費助成を行うこと。
国に以下の事項を求めること。
- 重点支援地方交付金の増額を行うこと。
- 消費税の緊急減税を行うこと。廃止に向けた検討を行うこと。
- 大学授業料の値上げをストップし、無償化に向けて負担軽減を行うこと。給付制奨学金を拡大し、奨学金を返済している人たちへの支援を行うこと。入学金は廃止すること。
- 低すぎる公定価格により賃上げが進まず、人手不足が深刻となっている福祉分野の労働者に対し、その仕事にふさわしく、処遇改善・賃金引き上げを行うための緊急の財政支援を行うこと。そもそもの公定価格を引き上げること。
- ガソリン代を低く抑える対策強化を進めること。