市政ニュース ・ 議会での質問・討論(詳細)
2024年12月6日

■議案関連質問 古谷やすひこ 12月6日(金)

マイナ保険証によるトラブルが起きる医療現場の声を聞き、
重度障害者の方がマイナ保険証を取得しなくとも不利益がないように対応をすること

古谷議員:古谷やすひこです。日本共産党を代表して質問します。まず市第55号議案「個人番号および特定個人情報を利用する事務の追加」についてです。
議案は、マイナンバーカードの所管に重度障害者医療費助成を加えるものです。今回、12月2日に紙の保険証の新規発行が停止となりました。マイナ保険証の大きな問題点は、健康保険証における保険者の交付義務をなくし、申請主義にすることで、権利としての医療を支えてきた国民皆保険制度の土台を壊しかねない点です。特にマイナンバーカード・マイナ保険証の申請・取得・管理・利用・更新などについて、意思決定が困難な重度障害者にとって、その支援を誰がどのように責任をもって行うのかが決まっていないと思います。兵庫障害者連絡協議会によれば、難病や障害のある人が体調などの関係で役所に行くことができず、マイナ保険証の更新手続きができなかった事例もあったと聞いています。保険証の交付義務がなくなったマイナ保険証の申請主義の実害で期限管理が難しいという不安の声が出ているようです。自己責任の申請主義では、無保険になるリスクが大きくなります。長野県保険医協会が県内の高齢者施設や障害者施設を対象に調査したところ、回答した243 施設のうち7割近くの施設がマイナンバーカードを「管理できない」と回答しています。障害があるために詐欺などの被害に遭う人も少なくなく、マイナンバーカードなどのデジタルを利用した犯罪に巻き込まれ、気づかないうちにリスクが広がれる懸念もあります。こうした実態を解決する根本的な見直しがない限り、政府が掲げる「誰一人取り残さないデジタル化」は実現しません。だからこそ、デジタル化をするのであれば、第一に、支援を必要とする障害者や高齢者など社会的に弱い立場に置かれている人たちを「置き去りにしないデジタル化」を実行するべきです。現在、政府が推し進めるマイナンバーカード・マイナ保険証は、制度的格差と置き去りにする人を増やす愚策です。重度障害者の方にマイナ保険証を取得しなくても不利益がないように対応を継続するべきと思うがどうか、見解を伺います。
山中市長:市第五十五号議案についてご質問をいただきました。重度障害者の方が医療機関を受診するにあたり、不利益がないように対応すべきとのことですが、マイナ保険証で受診をする際には顔認証等の本人確認が必要ですが、障害などの理由によって難しい場合には申請により資格確認書が交付され、これまで通り保険診療を受けることができます。
必要な手続きについては、本市ウェブサイトに掲載するとともに障害者施設等の関係機関に幅広く周知してまいります。

本条例が障害者差別解消法に則って改正されるのであれば
全ての本市条例に趣旨を反映してバージョンアップを

古谷議員:次に、市第58号議案「横浜市福祉のまちづくり条例の一部改正」についてです。
 今回の条例の一部改正は、障害者差別解消法が成立したことを機会に改正されるものです。障害者差別解消法では、障害がある人への「不当な差別的取扱い」を禁止し、「合理的配慮」及び「環境の整備」を行うこととしています。そのことによって、障害のある人もない人も共に生きる社会(共生社会)を目指しています。共生社会を実現するための取組を推進するため、事業者に対し「合理的配慮」の提供を義務付けることなどを内容とする「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律」が、令和6年4月1日に施行されました。今回議案になっている横浜市の福祉のまちづくり条例でも、そのままでも法律には反していないものの、その法が求めるところをより精緻にくみ取って表現できるように条例改正を行うものだと聞いています。そうであるならば、他の本市条例でも障害者差別解消法への対応のバージョンアップが、他の本市条例でもなされるべきと思います。市長の見解を伺います。
山中市長:市第五十八号議案についてご質問をいただきました。他の本市条例でも障害者差別解消法への対応バージョンアップがなされるべきとのことですが、今回の法改正を契機に福祉のまちづくり条例の改正を行いますが、本条例は本市のあらゆる施策を推進するにあたり、基本となる理念や責務を定めております。今回の改正の趣旨を全区局で共有し、差別解消や合理的配慮を提供に向けた取り組みにつなげていきます。

精神障害者の方の、地域移行の受け皿施策の拡充を。
救護施設・更生施設に対する市の評価を問い、そこで働く人たちの処遇改善を求める

古谷議員:次に、市第59号議案「横浜市生活保護法に基づく保護施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部改正」についてです。
保護施設である救護施設は、社会福祉法第2条によって定められた第一種社会福祉事業で生活保護法第38条第1項第1号によって規定された保護施設のひとつです。生活保護法第38条第2項には「救護施設は、身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設とする」とあります。確かに、その目的にそって精神障害の方が救護施設への入所が措置されているわけですが、いま入院医療から地域移行へと転換がはかられている中、本来であれば精神障害施策の中でグループホームなどの受け皿がさらに広がっていくことが必要です。今回の個別支援計画策定へ改正されたことをきっかけとして、精神障害の地域移行の受け皿施策をさらに拡充することが必要ではないでしょうか。市長の見解を伺います。
山中市長:第五十九号議案についてご質問をいただきました。精神障害者の地域移行の受け皿施策をさらに拡充すべきとのことですが、精神障害のある方が地域に移行ができるよう、住まいとなるグループホームの整備を着実に進めます。また多様なニーズに対応するため、各区の自立支援協議会には医療・保健・福祉の各分野に加えて、住まいや就労など幅広い分野の関係者が参加し連携して支援にあたっています。これらの取り組みを今後も進めることで、精神障害のある方の地域への移行を支援していきます。

古谷議員:先日、南区にある救護施設「浦舟園」を視察させていただきました。入所事業・居宅生活訓練事業・保護施設通所事業・生活困窮者就労訓練事業など運営法人の職員さんの献身的な、奮闘の様子はわかりました。そこで伺います。あらためて市長は、この救護施設・更生施設について、どう評価されているのか伺います。
山中市長:救護施設及び厚生施設への評価ですが、救護施設等は地域での自立した生活への移行を目標に生活上の支援や、作業プログラムを行う入所施設であります。また退所された方に対しても、地域に定着するための通所事業などを実施しております。このため支援を必要としている人にとって、救護施設等は地域におけるセーフティネットとして生活を支える施設であると認識しております。

古谷議員:またそこで働く職員体制の拡充や処遇の改善も抜本的に必要です。介護保険法上で、処遇改善加算が出てきましたが、この施設は適用外です。市としても低すぎる処遇を改善すべきと思いますがどうか伺います。
山中市長:救護施設や厚生施設で働く職員の処遇を改善すべきとのことですが、職員の人件費も含めた施設運営に必要な経費は、施設事務費として厚生労働大臣が定める基準によって算定されています。救護施設等に限らず福祉施設で働く職員の処遇の改善については、引き続き国の動向を注視し、必要に応じて国に要望をしていきます。

市役所利用者の駐車場料金の減免実態の調査実施を行い
混雑時などを踏まえた利用時間(減免時間の拡大等)の見直しを

古谷議員:さいごに、市第66号議案「庁舎駐車場の指定管理」について伺います。
 17施設の駐車場利用者に対して65%を減免しています。しかし市役所や区役所を利用する市民が、きちんと減免されているのかどうかの効果測定が必要です。「区総合庁舎駐車場の減免内容」という文章には、役所を利用する内容によって駐車場減免を30分にするか1時間にするか、それとも利用時間すべてを減免するかの基準が書かれてあります。例えば、区役所に諸手続き、相談等のために来庁する方は一時間と決められているようですが、そもそも区役所窓口の繁忙期では来庁者本人の都合に関わらず1時間以内で終わらないことも多いと思われます。ほかにも「市の事業に関わるボランティア」は減免1時間と決められていたりするのも理解に苦しみます。わざわざボランティアに来てもらっている方には、その利用時間すべてを減免するべきです。市役所を利用すること、区役所を利用することに対してハードルを設けるべきではありません。役所を利用する方が適切に減免されている状況にあるのかの実態調査を行い、改善をはかるべきと考えますが市長の見解を伺います。
山中市長:第六十六号議案についてご質問をいただきました。庁舎駐車場の利用料金の減免についてでありますが、庁舎駐車場についてはパブリックコメントや有識者の懇談会からご意見を頂いた上で、公共交通機関の利用者との公平性や受益者負担などの観点から、原則として有料としております。一方で手続きやご相談でご来庁される場合…例えばですが、窓口繁忙期のお手続きにおいては、減免時間を増やすなどの対応としております。状況に応じて適切に減免制度を運用してまいります。

以上


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