議会での質問・討論(詳細)
2024年10月22日

■決算討論 古谷やすひこ 2024.10.22

古谷議員:日本共産党を代表し、令和5年度横浜市一般会計歳入歳出決算に賛成、港湾整備事業費会計、市街地開発事業費会計など4つの特別会計に反対の立場から討論を行います。

子育てしたいまちに向けた第一歩を評価

党市議団はこれまで、市民生活の向上のための施策について賛成し、市民生活の向上に資するものではない施策には反対し、対案を示してきました。

2023年度の一般会計は、子育てしたいまち 選ばれるまちづくりを最重要課題と位置づけ、歴代市長が行ってきた大型開発偏重などのまちづくりの課題を抱えつつも、人々の暮らしにスポットをあて、豊かな「明日の横浜」実現にむけた第一歩を踏み出そうとしたものだと考えます。

具体的には、子育て世帯への直接支援策として、中学校3年生までの医療費の所得制限及び一部負担金の撤廃を実施、保育所等の整備などにより1063人分の受け入れ枠の確保、放課後児童クラブの医療的ケア児の受入拡充、通学路の安全対策、省エネ住宅住み替え補助などは市民要望にかなうものと評価します。また、児童福祉施設・社会福祉施設等への物価高騰対策支援や、もの忘れ検診の対象年齢の拡大や、地域交通の維持・充実に向けた具体的な検討や、安全で快適に地用出来る公園整備なども誰もが安心して暮らすことのできる横浜に向けて必要な手立てを行ったと考えます。これらの市民の暮らしを支える施策を今後も力強く進めていただき、更なる予算増と拡充を要望します。

また、2023年度の市税決算額は前年度比190億円増の8,863億円となり、2年連続の増収で過去最高額を更新しています。中でも市民個人が納める市民税が90億円増え、4,319億円となりました。この。市民税の増の背景には歯止めが効かない物価高騰に対応する所得増が主だった要因となっています。市民が納めた税金を、物価高で苦しむ市民生活を支えることに厚く振り向けることが求められています。

所得が増えても、市民のくらしは厳しいままです。物価の変動を反映させた実質賃金は、今年5月まで、26カ月連続で前年割れし、マイナスの期間は過去最長を更新しました。帝国データバンクの調査よると、2024年は予定を含む食品の値上げは7424品目に及び、平均の値上げ率は18%と大きな負担増が予想されます。実質賃金は今年の6月からやっとプラスになりましたが、プラス分は6、7月の賞与の伸びが寄与したもので、効果は一時的との見方もあります。

実質賃金は、1996年をピークにして、ほぼ一貫して下落していて、わずかな上昇率では、とても地域経済の活性化にはつながりません。30年間、経済成長できない国となってしまった要因がここにあります。

この失われた30年をどう取り戻すのか、現在行われている総選挙の主要なテーマとなっています。日本共産党は、働く人の賃金を引き上げるために、物価高のなかでも空前の儲けを上げている大企業の内部留保に課税して10兆円の予算を生み出し、中小企業の賃上げの直接支援にあて、最低賃金を時給1500円へと引き上げること、また、労働時間を1日7時間、週35時間に短縮し、一人ひとりが自由に使える時間の拡大を提唱しています。この転換こそが、日本経済を元気にする道であり30年を取り戻す要となるものだと確信しています。

横浜経済の主人公は市内企業の99%にあたる中小企業です。そして市財政を根幹から支えているのは市民ひとり1人です。そこをあたためること以外に本当の景気回復も強い経済へ転換もありえません。市民の暮らしを支える施策に、最大限の力を入れることを強く要望します。

過大来場者目標の国際園芸博などの問題は看過できない

子育て世帯への直接的な支援を進めたという点で、決算議案に賛成しますが。一つ一つの事業では看過できない問題があることは、指摘せざるを得ません。

本市は、23年度は1700万円をかけて『大都市制度』の啓発事業を行っていますが、果たして今やるべきことなのでしょうか、市民ニーズも市民的な議論も限りなくゼロに近いものだと考えます。今一度立ち止まることを求めます。そして、みなとみらいを歩行者デッキでつなぐ計画も進めていますが、いつまでみなとみらいに莫大な税金をつぎ込むまちづくりを続けるのでしょうか。横浜駅きた西口鶴屋町地区や東高島駅北地区開発なども同様です。これらの不要不急の大型開発事業や、関内・関外地区の民間超高層ビルへの今後200億円の公金投入計画などは一度立ち止まることを求めます。

2027年の国際園芸博覧会は、全体図が示されず、物価高騰の影響で会場建設費が予定額よりも膨らみ、市民負担になるのではないかとの不安の声が届いています。大阪万博のようになるのなら中止してほしい。このような厳しい声も聞かれます。半年で有料入場者想定1000万人としている過大目標を直ちに現実的な目標にし、バス乗務員の確保もままならないのに、1時間に50本もマイクロバスを出すという非現実的なものになっている輸送計画を改めることを、繰り返し強く求めます。

不要不急の大型開発偏重の予算・まちづくりはやめよう

次に4つの事業費会計についてです。

港湾整備事業費会計、市街地開発事業費会計、みどり保全創造事業費会計、国民健康保険事業費会計の4会計については、物価高騰で苦しむ市民のくらしを支える地方自治体の役割を果たしているとは言えない税金の使い方で、認める訳にはいきません。

特に、巨大テーマパーク立地を核とした旧米軍上瀬谷通信施設の再開発は、抜本的な見直しが必要です。事業者には、当該地域の豊かな自然や残された生態系をしっかり守るよう市として求め、地域の高い市民要望である医療施設や介護施設、日用品も買える道の駅など整備計画に加えることを求めます。また、同地区と東名高速道路を直結する新たなインターチェンジの整備計画などは、少なくとも利益を最大限享受する物流地区の事業者に整備費負担を求め、事業者の利益のために税金が投入されることがないよう求めます。

また、巨大テーマパークは、年間1500万人を集客するという過大な目標が掲げられています。事業期間は50年です。集客の命綱となるのが、上瀬谷駅から地下トンネルつくり、そこを自動運転で新たな交通ですが、本市の財政負担も採算リスクも明らかにされないまま進められています。将来世代への負の遺産とならない見通しはあるのでしょか。作ってみてダメでしたではすみません。このまま事業を進めることを認めることはできません。

国民健康保険事業費会計については、毎年黒字になっているのに、保険料はずっと値上げです。2023年度も119億円8831万円の黒字でした。黒字分は保険者に還元すべきです。このような決算結果に賛成することはできません。

また、コンテナ貨物量の増える見通しがないなかで新本牧ふ頭整備を進めた港湾整備事業費会計、民間タワーマンション建設への法外な公金投入などをしている大型開発事業等の市街地開発事業費会計、みどり税を別途徴取しているにもかかわらず、みどりを守れていない、みどり保全創造事業費会計などは認められません。改めて中止や見直しなどの改善を求めます。

最後に、市民の願い・ニーズはどの市民要望アンケートを見ても明白です。それは年を重ねても安心して暮らしていける福祉や医療・介護の充実です。また安心して子ども産み育てることができる子育て支援、お金の心配なく学べる環境、一人ひとりのこどもの人格と成長を何もよりも大切にする教育です。そして大災害が来ても希望を持って復興が成せる防災対策、安定した雇用と収入、自分の自由に使える時間です。この当たり前の願いに向き合わない政治が、国政で行われてきました。願いとは別のものが地方自治体に押し付けられてきました。保険証を廃止し、任意であるマイナンバーカードに無理やり紐づけたことで、どれだけ多くの職員が対応に追われたか、無駄な事務作業費が発生したか。市民の不安が広がったか。怒りがこみ上げます。

また、自治体間の競争を煽り、自治体と企業との癒着をつくりかねない、ふるさと納税の本市の影響額は毎年更新し続け、前年度比44億円も増え、265億円のマイナス影響となりました。これだけの予算が毎年あれば、全国で広がる小学校給食費も無料にできます。また、学校の体育館・地域防災拠点の電気ガスが絶たれても稼働できる空調設置も進めることができます。

自公内閣は教育に力を入れると言いながら、国の教育予算は増やしていません。こんな国のお金の使い方を変えなければ、横浜の教育現場はよくなりません。政治の大本を変え、市民の暮らし最優先の政治となるよう力を尽くすことを宣言して、討論を終わります。


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