議会での質問・討論(詳細)
2024年10月2日

■総合審査  10月2日(水) 白井まさ子

白井議員:日本共産党を代表して、質問します。
能登半島地震の復旧の最中に豪雨で被災された方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。まずは、2023年度決算審議にあたって、防災対策から伺っていきます。

地域防災拠点には電気・ガスなどライフラインが止まっても動く空調設置を

白井議員:地域防災拠点の強化についてです。
地域防災拠点・避難所ともなる小中学校の体育館に2021年度からエアコン設置が進められていますが、今年度予定分が設置されても全体の2割強にとどまります。市長からは、今後10年程度で整備することや、地震防災戦略の見直しで加速化するとお聞きしました。避難所は命と人権を守るスフィア基準が満たされ、安心して過ごせる環境が必要で、冷暖房機能は不可欠です。学校体育館のエアコン設置を急ぐべきと考えます。市長の見解を伺います。

山中市長:学校体育館の空調は教育環境の整備として進めていますが、災害等の発生時には多くの学校で避難所が開設されますので、そのためにも早期の整備が必要不可欠であると考えています。今年1月の能登半島地震を受けて新たな地震防災戦略の検討を行っておりますが、その中で体育館空調の設置の加速化についても検討をしてまいります。

白井議員:エアコン整備に10年もかかっていては、市民は安心できません。もっと早く整備を進めていただくよう強く要望します。

次に設置済みエアコンについてです。本市が配布している防災パンフには、「地震が発生したらライフラインが寸断される。復旧にかかる順番として一般的にガスは遅く、東日本大震災の場合、5週間」とあります。
電気も都市ガスも両方止まることが想定されますが、その場合、避難所のエアコンは稼働するのでしょうか。

下田教育長:電気とガスの両方が停止した場合は、体育館の空調機器は稼働をすることができません。その場合は体育館の照明やコンセントなども使えない状況にはなります。

白井議員:それでは困ります。
文科省から示されている「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」では、「電気・ガス・水道・情報通信等の機能を保持できるよう、代替手段も含めた対策をあらかじめ講じておくことが重要」とあります。また、関西の小学校の事例を見ると、「都市ガスは、被災した場合の復旧に時間がかかると想定し、早々に候補から外した。コスト比較を行い、最終的に災害時にも早期に供給可能なプロパンガス対応のガスヒートポンプエアコンと発電機を採用した」としています。また、都市ガス式のうち、プロパンガスに切り替える機能が付いたタイプもあると聞いています。本市でも、電気・都市ガス両方が止まっても、体育館のエアコンが稼働できるよう検討していただきたいと思います。どうでしょうか。

山中市長:能登半島地震では、1月に発生した地震だったこともありまして、寒さなどによる避難生活の厳しさが顕在化いたしました。本市でも冬場や夏場の避難生活では同様の状況が予想されると思います。そのため電力や都市ガスが停止した際の対策につきましては、他都市での対応事例などを調査してまいります。

白井議員:明日には来るかもしれない大(おお)地震に備えて、地域防災拠点が、文字通り「拠点」としての役割が果たせるよう、市自らが想定している電気・ガスが同時に止まっても冷暖房が稼働するような、必要な機能強化を早急に進めていただくよう要望します。また、ペットがいても安心して避難できる防災拠点となるよう強化をお願いします。

福祉避難所を早急に必要数確保し直接避難できるよう見直しを

白井議員:次に、福祉避難所についてです。
これまで本市は、社会福祉施設など557施設で協定を結び、受け入れ想定人数は1万5397人としていますが、要支援者数は市内に約17万人いらっしゃいますから、まったく足りていません。このままでは、発災後に福祉的な支援が必要な多くの市民が取り残されてしまいます。既存施設へ福祉避難所となってもらうよう、もっと積極的な働きかけを行うことが必要と考えますが、どうでしょうか。

佐藤健康福祉局長:これまでも福祉避難所の拡充に向けまして、地域ケアプラザや特別養護老人ホームなどの社会福祉施設との協定締結を着実に進めてまいりました。今後も福祉避難所の運営に必要な食料等の備蓄や通信手段の確保など行政が支援していくことを丁寧に説明しながら協定締結ための働きかけを行い、福祉避難所の拡充に努めていきます。

白井議員:これまでの働きかけの延長では、必要数の確保は難しいと思います。早急に必要数を確保するために何が必要なのか検討し、強力に進めていただくよう求めます。

本市では、要援護者は、発災時には、いったん地域防災拠点に移動し、必要と判断されれば、福祉避難所に移動する流れになっていますが、2021年(R3)に改定された国の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」で「要支援者の直接避難を可能とする指定福祉避難所制度」が示されました。高齢者や障害者の直接避難が示されたものと見ますが、どう認識しているのでしょうか。

佐藤健康福祉局長:令和3年の災害対策基本法の改正を受けまして、事前に特定された要配慮者やそのご家族が、あらかじめ指定された福祉避難所へ直接避難することはできる指定福祉避難所の考え方が示されています。さらに国が作成いたしましたガイドラインでは、要配慮者の特性によっては、日頃から利用してその環境に慣れている施設へ直接避難したいという声があることから、直接避難を促進することが適当であるというふうに書かれているということを認識しております。

白井議員:自宅から福祉避難所への直接避難の検討を進めるべきと思います。どうでしょうか。

山中市長:国のガイドラインで示された直接避難を確実に運用するためには、発災直後から福祉避難所を安全に開設して受け入れ体制を整えることが必要であります。そのためには施設の被災状況の確認や支援者の確保などが課題であると考えられます。引き続き能登半島地震における福祉避難所の開設状況を踏まえながら当事者の声も伺い、要援護者の安全な避難について検討を進めてまいります。

白井議員:特に高齢者は環境変化によるストレスが災害関連死の背景にあると、専門家の指摘があります。福祉避難所に直接避難する取り組み強化を要望します。

学校施設の断熱化促進を

白井議員:次に、学校の暑さ対策・断熱化についてです。
気候危機による酷暑はもはや災害級です。子どもたちの健康面でも、省エネの観点からも、小中学校施設の屋上・壁・窓・天井などの断熱化が求められます。校舎の建て替え時には断熱化がされていますが、校舎の建て替えは年に数校です。建て替え計画のない学校も断熱改修を急ぐ必要がありますが、どうでしょうか。

下田教育長:ご指摘のように既存の校舎の断熱化、これが課題となっております。現在建て替え以外の手法として長寿命化の改修を検討しております。その改修と合わせまして、既存の校舎の断熱性能の向上を図るため、また屋上改修工事に合わせた遮熱等の導入、遮熱カーテンの設置、さまざまな対策を講じることで取り組みを進めております。

白井議員:保護者や市民の参加で、教室の天井に断熱材を入れて、夏場に他の教室より、6度から8度室温が低かったという他都市の例も聞いています。断熱改修、ぜひ進めてください。
また、教室のエアコンについてですが、2011年からの3年間で設置され、すべてが10年以上経過しています。中には、効かなくなり緊急修繕した学校も出ています。何年使用すると想定しているのでしょうか。

下田教育長:空調の耐用年数ですけれども13年から15年程度となっています。耐用年数が経過したものに直ちに停止してしまうということではありませんが、使用の時間、環境、その他のメンテナンス頻度の状況によって、それぞれ状況は変わってくるという認識といえます。

白井議員:更新計画が必要となっていると思いますが、どうでしょうか。

下田教育長:更新については、先ほど申し上げましたように、建て替え含めて順次やってますけれども、普通教室の空調については、すぐに更新できない期間においても、適切な運用ができるように定期的な点検、計画的な清掃、あるいは点検以外にも日常の段階で不具合が生じた場合には、適宜部品交換を行って、教育環境の維持に努めております。基本的には、先ほど申し上げたように、できるだけ早く進めるように取り組みを進めております。

白井議員:メンテナンス、掃除、点検、交換ということですが、壊れるまで使うというのでは困ります。更新計画の策定を求めておきます。

地域交通の充実には運行費への補助が必要

白井議員:つぎに、地域交通の充実についてです。
党市議団は、地域が主体となって運行するミニバスなどには、市として、車両購入費や実証運行中の運行経費補助を行うだけでなく、運行経費そのものに補助を行い、持続可能なものにするよう求めてきました。
運行経費への補助がない中で、ミニバスなどの運行は、全市で17ルートにとどまっています。そのような中、今年2月に「地域交通のさらなる充実に向けた方向性」として、プッシュ型支援や公費負担の在り方を見直す検討が示されたことに注目しています。

南区三春台・清水ケ丘地域では、10年前にバス路線がなくなりましたが、移動手段を求める市民の声が高まり、この度、タクシー会社によるワゴン車での定時・定路線の運行が決まり、年明けから運賃300円で実証運行が始まると聞いています。また、バス路線のない港北区大曽根地域では、本市が行ったアンケート結果が町内会や住民グループへ報告され、今後、市が運行計画案を策定すると聞いています。
こういった地域の運行は、運賃だけでは運行経費が賄えない場合に本市からの補助が必要と考えますが、公費負担はどう考えているのか伺います。

平原副市長:地域公共交通を継続して運行していくためには採算性の確保っていうのは大きな課題になってございます。そのため地域、企業、行政が課題解決に向けて協力して取り組んでいく必要があると思います。まずはですね、地域の皆様にたくさん乗っていただいて、地域交通を自ら支えていただくということをやっていただきたいと思いますが、加えて、地域公共交通の導入によって街が活性化すると、そういった観点もございますので、そういった様々な効果を見据えまして、公費の負担についても、現在検討して進めているところでございます。

白井議員:ぜひ経費への補助をお願いします。また、地域運行の交通にも、敬老パスが使えるようにすべきと考えますが、見解を伺います。

山中市長:敬老パスは高齢者の社会参加を支援して、福祉の増進を図ることを目的としており、その趣旨にのっとって検討を進めてまいります。

白井議員:ぜひ使えるよう検討をお願いします。

市営バスを減らしてしまっては意味がない

白井議員:新たな地域運行が前進する一方で、市営バスが10月1日から、運転手不足を理由として52路線で報道では今年度3回目の減便です。報道では平日運行265本の減です。地域交通は、市民の交通権を保障する安心の公共交通が土台にあってこそ機能するものだと考えます。抜本的に運転手の処遇を改善し、採用を増やして、これ以上の減便・廃止は行わないことを求めます。見解伺います。

三村交通局長:4月以降、3度目の減便によってご利用のお客様にはご不便をお掛けすることとなっております。誠に申し訳なく思っております。さらなる減便を可能な限り回避するべく、乗務員の処遇改善を行い、人材の確保育成や離職の防止に努めているところでございます。今後も厳しい経営状況のもとではございますが、乗務員の働き方改革にも対応しつつ、安全なサービスを維持していきたい考えております。

白井議員:運転手不足を招いたのは、運転手など人件費を抑制するとした20年前に行われた経営改革が大本にあると指摘しておきます。抜本的な改善を求めます。

高層ビルなどの大型開発に公金を投入し続けるまちづくりは大本から見直しを

白井議員:最後に、都市計画マスタープランについてです。
2040年の都市像として、脱炭素社会・子育てしたいまちの実現とあることは賛同できますが、実現方法の「規制緩和で投資を呼び込む」は、問題だと考えます。これまで、このような考え方で進めてきたまちづくりが、どんな結果になっているのか見れば明らかです。横浜駅きた西口鶴屋地区に再開発事業でできた民間商業ビルは、国際競争力の強化を掲げて、グローバル企業の外国人等の就業者が暮らしやすい環境を整えるとした国家戦略住宅として、容積率を大幅緩和した超高層ビルです。この事業に国と本市で45億円もの公金が投入されてきました。
事業目的そのものも問題だと考えていますが、自らが掲げられた目標は、達成できたのでしょうか。分譲マンションは完売となっているようですが、グローバル企業関係の購入は全体の三割に留まっていると聞いています。また、現在、6億円で売り出されている物件もあり、一部資産家や民間企業の投資目的と見える売買が行われています。このビルが横浜市民の暮らしにどんな恩恵をもたらしているのでしょうか。公共性はまったく見えません。まずは、このようなまちづくりの反省を行うことが必要だと思いますが、見解を伺います。

鈴木都市整備局長:横浜駅北西口鶴屋地区再開発事業におきましては、委員ご指摘のグローバル企業の就業者等の生活を支える環境整備に加えまして、企業交流の場の創出などを勧めました。また再開発ビルの整備に合わせまして、地上には交通広場や歩行者空間を、2階レベルでは駅直結の歩行者デッキ等を整備し、周辺交通環境を良好にするなど、公共性の高い事業であると認識しております。

白井議員:先日、横浜駅西口では民間の大改造構想が発表され、東口でも再開発ビルが動き出しています。関内駅前にも再開発で210億円の補助金が入る民間商業ビルが動き出しています。国の大型開発がここ横浜で大展開されることになります。公共性が見えない事業に対して補助金を出し続けることは、本当に市民の願いではないと思います。目指す都市像は到底実現できないと考えます。見解をうかがいます。

山中市長:あらゆる世代の人々が成長と豊かさを感じられる都市を実現していくことは、誰も異論はないと思います。そういった活力のある、あふれる都市は、人や企業を呼び込みます。横浜が成長と豊かさを感じられるそういう都市を実現することが今後も必要であります。そのことは先生もご異論ないと思いますが、そのためにまず必要なことは、これまで築き上げてきたまちの魅力を一層高めていく、磨き上げることが必要です。そして市民の皆様の生活環境の向上に資する、そういう意味で公共貢献が高い事業については、必要に応じて規制緩和なども行うことで、横浜の持続的な成長につなげていくことが必要だと考えています。


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