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日本共産党を代表し、今定例会の議案に対し討論します。
まず、市第21号議案 横浜市行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号に関する法律の施行に関する条例の一部改正については、反対です。
近頃、「今年の12月に保険証が原則廃止されます」「マイナンバーカードをお持ちください」との表示が目立ちます。マイナ保険証を強要はできないはずなのに、持っていなければ保険診療が受けられないかのような誤解が生みだされています。市として使用している健康保険証は有効期限まで使用できます」等、市民が安心できるような広報を繰り返し行うことが必要です。
そもそもマイナンバーカードの取得は任意であるにも関わらず、それを保険証と無理やり紐づけて、保険証そのものを廃止しようとする一連の事態は、あまりにも無駄な事務作業を自治体に押し付けるものでしかないと言わざるを得ません。なぜならば、マイナ保険証を持っていない人には保険証そっくりの「資格確認書」を送る。マイナ保険証の人には送らない。しかし、被保険者全員には「資格情報のお知らせ」を送る。
マイナ保険証の人は、医療機関の窓口でトラブルにならないように、「資格情報のお知らせ」をマイナンバーカードと合わせて持ち歩かなくてはならない。マイナ保険証と保険証の紐づけ登録の解除は、10月からできると国から示されたけど、具体的な日程は未定まま。こんな混乱を極めることをいつまで続けるのでしょうか。
改めて、日本共産党は保険証を廃止することに反対です。保険証はこれまでと同じように存続させるよう求めます。
保険者である横浜市は、被保険者が、医療を受けられない事態は決して起こしてはなりません。市民が安心して医療にかかれるようにすることが重要です。現行の保険証を存続し、少なくとも1枚で医療機関にかかることができる「資格確認書」を全被保険者に公布することを求めます。
市第26号議案 横浜市営住宅条例の一部改正については、借り上げ型市営住宅の廃止の議案です。18戸の住居を廃止する一方、別の場所に在る市営住宅での建替時に16戸確保すると聞いています。全体的な戸数が減ることに変わりなく、容認できません。さらに今後も20年の契約満了向かえる棟があり、更新を希望しないオーナーが増えた場合、全体の31,000戸を維持するという市の方針からも逸脱する可能性があることも危惧しています。本市は、低廉な家賃で住むことができる市営住宅の増設の方針をもつことを強く求めます。
市第28号議案 横浜市建築基準条例の一部改正についてですが、これは、学校や病院などの特殊建築物において、全鉄筋コンクリート造りなどの耐震化構造としなければならなかったものを、一部木造でも可能とする規制緩和を行うものです。間伐材の利用の促進には反対しませんが、この条例改定には、建築物の安全性にかかわる看過できない規制緩和が含まれていることから賛成できません。建築確認制度や耐火規制は居住者や利用者を守るための規制です。しかし今回の狙いが、木材利用の促進のために防火、耐火規制の基準を緩和し、その対象建築物の拡大を内容としている点においては、安全性確保の担保があるとは言えません。
市第29号議案 横浜市地区計画の区域内おける建築物等の制限に関する条例の一部改正については、5月に都市計画決定された関内駅前地区の地区計画の区域の2つの再開発ビルなどの建築物の規定を条例化するものです。同地区には旧市庁舎街区に高さ170mの超高層ビルが工事中で、今回、隣接して、高さ制限と容積率を緩和した超高層の170mと120mのビルに商業・業務・賃貸マンションを入れる計画となっています。公共施設としては、交通広場と区画道路しかありません。210億円もの公費を投入することに値する公共性があるのかが問題です。
市第22号議案 横浜市地域ケアプラザ条例の一部改正についてです。今回のこの条例改正には賛成しますが、懸念もあります。横浜市地域ケアプラザ条例において、デイサービスを置かなくても良いとする施設が増やされてきたなかで、今回、横浜市港南台地域ケアプラザも、デイサービスを無くすというものです。周辺地域に多くのデイサービスセンターができている事で、不安の声はきかれませんが、条例上初めてケアプラザにおけるデイサービスを無くすというもので、今後の介護保険の施策推進にあたってはデイサービス事業を民間任せにしていて良いのかという懸念が残ります。しっかりと検証していくことを求めます。
市第50号議案 令和6年度横浜市一般会計補正予算(第2号)については、賛成します。しかし、新型コロナウイルスワクチン接種事業では、65歳以上の方、60歳以上65歳未満で一定の障害を有する方を対象として自己負担を3,000円に設定するとしていますが、コロナウイルスのまん延時を思い出してください。何方よりも先に医療従事者のみなさんを守るために、先行接種を実施していたではありませんか。医療従事者のみなさんが先に倒れてしまうことのないように、希望する方には、先行して接種を受けられるようにしていただきたいとあらためて要望します。そして、海老名市のように、接種費用の無料化を検討することを求めます。
社会福祉施設等物価高騰対策支援事業及び児童福祉施設等物価高騰対策支援事業では、各施設の光熱費と食材費への支援が行われることは、歓迎するものです。しかし、対象期間が4月~5月までとなっています。本格的な暑さに見舞われたのは、7・8月です。支援するというのであれば、対象期間を延ばしていただきたいと要望します。
さらに、常々要望していますが、公定価格で事業運営されているなかで、医療機関が対象とならないのは、患者に価格転嫁できないなかで経営的には厳しいものがあると容易に想像できます。医療機関も対象としていただきたいと、あらためて強く要望します。
住宅施策推進事業では、最高レベルの断熱性能のある省エネの戸建てやマンションに住替える子育て世帯に費用補助することで、省エネ性能のより高い住宅の普及及び空家の流通の促進を図りながら、子育て世代の市内転入・定住の促進につなげる制度で、今年度の件数を150件増やして500件とするもので、歓迎します。本市が掲げる2050年までの脱炭素化の実現に向けた市民の行動変容につながる事業ですから、市独自での事業費の拡大、対象世帯の拡大を求めます。
次に請願の不採択に反対の立場から述べます。請願第8号 重要土地等調査法に基づく注視区域指定に関する説明を求める意見書の提出方についてです。そもそもこの法律を知っている市民がどれほどおられるでしょうか。重要土地等調査法は、区域指定された場合、周囲1キロが監視対象となり『機能阻害行為』が確認されれば国が中止を勧告し命令します。従わなければ刑事罰が科せられます。土地利用に規制がかかり、住民監視が進み、憲法が保障するプライバシー権や思想・良心の自由が侵害される恐れがあります。注視区域に指定された横浜市内4か所は、内閣府のホームページで公表されているもので米軍施設横浜ノース・ドック、鶴見貯油施設と自衛隊施設の保土ヶ谷駐屯地と青葉区が含まれる艦艇装備研究所川崎支所となっています。しかし、市民が分かるのは区域だけです。制度説明のパンフレットがあるのは当該区役所だけであり、これだけでは国は説明責任を果たせていません。さらに外国人住民や観光客を含めて市民の基本的人権に制限がかかる恐れがある、重要土地等調査法で、法に基づく注視区域に関して国が市民に対して説明するよう求めるのは、当然のことだと考えることから、この請願を採択することを求めます。
次は、請願第9号 地方自治法の再改正を求める意見書の提出方についてです。
政府はこの法案を提出するにあたって、新型コロナの対応で指示を出す必要があったのに、法が無かったので出せなかったとの利用を挙げていますが、政府自らの失政を法のせいにしているのではないでしょうか。国会で「想定できない事態とは何か」との質問に法務大臣は「想定できない」と繰り返すばかりで、法改正の立法事実を示す政府の説明責任を全く果たすこともありませんでした。地方自治法において、およそ想定し得ない事態を想定して、その事態に対する権限を一般的・抽象的に行政権に渡してしまうことは、いわゆる「白紙委任」です。国による関与を最大限抑制すべき「自治事務」と「法定受託事務」を一緒にしてしまっています。これでは、国と地方の対等協力の関係が、戦前のような主従の懸念となるのではとの懸念が広がるのは当然です。憲法が保障する地方自治を乱暴に踏みにじるばかりか、国会が認めていない国の指示権を時の政府が独断で行使しうる点で、国会をも否定するものとの声も上がっています。地方自治体が地方自治体として働くべき役割を図ろうとして努力する横浜市の議会として、意見書をあげるべきです。
次に、 請願第10号 小児医療費助成制度の拡充についてです。この請願は、小児医療費制度の助成対象を18歳まで拡充してほしいというものです。神奈川県内でも18歳までの拡充を実施している自治体が増え、実施していない市は、残りわずか3自治体となりました。子育てしやすい横浜市を目指す本市として、安心して横浜で子育てしてほしいという思いは、行政側も議会側も変わらない思いではありませんか。お財布の心配なく医療にかかることができ、重病化を防ぐことが可能になることから、この請願の採択を求めます。
最後に、請願第11号 デリバリー方式による中学校の全員給食の実施の再考等についてです。先日の教育委員会の常任委員会では「食数が増えたから」 「検査体制を強化したことによりガラス・金属・等の重大な異物混入の報告が増えた」という趣旨の答弁がありました。
請願者は「これまでの異物混入についての徹底した原因究明を行うこと」と「2026年度から始まるデリバリー方式の中学校給食は、一旦立ち止まり、子どもたちの安全・安心を優先に市民も参加する検討委員会をつくり参考にしてください」という思いは、当然のことだと考えます。
本市は、28,000食という数のお弁当を作る巨大工場を建設する方向で進もうとしていますが、今の数量ですら、次々と異物混入が起きている事態を何ら検証することなく続けていること自体が大問題で、食の安全を危惧する市民のみなさんの気持ちは理解できます。まず、今起きている事態をしっかり検証し、数量が増えたことでのリスクは、もう十分に理解できたはずです。多くの子育て世帯、生徒が望む自校調理での温かい中学校給食実施へと舵を切ることを強く要望し、討論を終わります。