2024年7月18日
横浜市長 山中竹春様
日本共産党横浜市議団
団長 古谷やすひこ
横浜市は、都筑区にある横浜国際プールのメインプールやダイビングプールなどを廃止し、「スポーツフロア化」などを行う「横浜国際プール再整備事業計画(素案)」を示し、7月31日まで市民意見を募集しています。
1998年(H10年)に市の施設として整備された横浜国際プールは、50m×10コースのメインプール、25m×25mのダイビングプールがあるメインアリーナ(観客席約5000席)と、50m×8コースがあるサブプール(観客席355席)、多目的ホールなどがあり、メインアリーナは夏季はプール、冬季はプールを床に変えたスポーツフロアとして運用されています。現在は横浜市スポーツ協会・コナミスポーツクラブ・トーリツグループの3者を指定管理者として選定し運営されています。選定時に本市が求めた業務の基準において、横浜国際プールの理念と運営の基本方針が次のように示されています。「横浜のスポーツ・レクレーションの拠点として、水泳をはじめとした各種スポーツの振興・普及を図るとともに、アスリートから一般の市民まで幅広く満足と感動を与える施設であり続けることを目指している」「スポーツ関係団体や関係者との連携強化による大規模スポーツイベントの積極的な誘致、魅力的なスポーツ教室等の開催…大規模スポーツイベントから一般市民まで幅広い利用者のサービス向上・利用促進に努め、もって『横浜市スポーツ推進計画』の趣旨にのっとり、スポーツ振興に資する施設運営や事業を展開することを基本とする」としています。
素案において、横浜市は、メインプールの現状について、①施設の老朽化が進んでいて、プール設備や空調設備等の大規模な設備更新が必要なタイミングを迎えている。②メインプールの利用者が2011年(H23)から7年間の統計で15%減っている(冬のスポーツフロアは111%増加)、③国際大会の開催が少ない、④冬のスポーツフロアへの床転換作業に年間二か月の休館期間が必要で年間5100万円がかかっていることなどの問題点を上げています。その上で、今回の再整備事業は、老朽化が進んでいる施設の単なる長寿命化を図るのではなく、「本施設をエリア全体の魅力向上に寄与する施設にしていくこと」を目的にするとし、再整備にあたって民間事業者へのサウンディング調査を行い、事業者から利用機会の拡大及び収入増や、維持管理費の削減、多様な市民ニーズへの対応等の観点を踏まえ、床転換なしの通年スポーツフロア化の提案があったことから、今回のメインプールを廃止する再整備計画素案をまとめたとしています。
しかし、メインプールは、国際級の大会をはじめ各種大会の開催や選手・指導者養成など、幅広く活用できる総合的な室内水泳競技場として活用されていきました。また、駐車場から各プールまでフラットなつくりで、スロープでつながっており、障害者も安心して使えることから、障害者団体の水泳大会などに欠かせない施設になっています。多くのパラリンピックの水泳選手を育ててきました。観客席は、県内で横浜の次に大きい「さがみはらグリーンプール」の倍近くあることから、ゆったりと観戦できる県内で最高のプールだと聞いています。
プール利用者が減っているとしていますが、コース貸しの一般利用は、抽選で外れることもあって定期的な利用が難しいという声も聞いており、一般利用の使い勝手を良くするなどさらなる利用促進が求められます。国際大会の誘致に向けては本市としての政策が求められます。
最大の問題は、神奈川県水泳連盟や横浜水泳協会、障害者水泳4団体など利用者団体が計画に納得も同意もしていないまま、素案が示されていることです。水泳団体や関係者との連携なしには施設運営や事業展開はできないはずです。一方で、市はプロバスケットボールチームのホームアリーナとして試合の8割の会場確保に協力することを指定管理者に求めており、通年スポーツフロア化はそのための変更にみえます。これらを見ても素案策定のプロセスに不透明さを感じざるを得ません。
横浜市では、市民が反対する中で公園プールが廃止されたり、一部の学校での水泳授業が民間スイミングスクール等に委託されたり、学校の建て替え時にプールをつくらない方式などが進められています。市民や子ども達が水泳に関われる環境が少なくなっている中で、本市施設としての国際プールのメインプールは、新たな水泳授業の活用など可能性を見ても、その存在意義はますます高まっています。
以上のことから、横浜国際プールはメインプールを存続する再整備計画とすることを求めます。